Free!-Dive to the Future-を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
世界の果てに置き去りにされた、若き獅子たち最後の決戦が、今始まる。
高校競泳全国大会のため東京を訪れた、岩鳶高校水泳部。
時とともに離れた道は、再び繋がるのか。
そこから見えてくる未来の色は、どんな色彩なのか。
というほど重くはない、高校組のラストエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
以前こんな事を言っていたわけだけども、やっぱり作品世界に生きるキャラクターとして、自分なりに歩いてきただろう物語をちゃんと終わらす尺を与えてくれたのは嬉しかった。https://t.co/eNnrbzMBLc
岩鳶で怜と渚、新たな水泳部がどんな青春を送ったかは、主役がその輪の中にいない今、そこまで精密には描かれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
部分部分をスケッチするような描写をつなぎ合わせて、想像する余地がある…とポジティブに捉えることも出来るし、脇役としてハンドル可能なだけ軽妙に描かれてきた、とも言える。
一期・二期で見せたような、濃厚に絡みつく愛着の鎖。それに今の高校世代は縛られないし、ということはそれを切開し、深く踏み込んで細密に描写する必要もない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
それを作品への物分りの良さと捉えるか、はたまた彼ら自身のニンの良さと捉えるかは、見る人によって分かれるところと思う。
それがカメラに捉えられるにせよ、しないにせよ。今代の岩鳶水泳部は彼らなりに青春し、競技し、東京大会にたどり着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
今回はそれに報いるお話であるし、少し離れたところから主役たちが後輩の頑張りを見て、自分たちの立ち位置、少し伸びた背丈を確認するエピソードでもある。
冒頭、切り取るレンジの広さ、繋がりの暖かさを確認するように連続する食事のシーン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
食べるメニューは違えど、お互いちゃんと向き合って、背筋を伸ばし楽しく食べる。適切なコミュニケーションは、様々な場所で機能する。
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後に描写されるように、大学生になった遙も凛も、高校時代のようなルール破りはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
自分を見守ってくれる人に相談し、自分の責任でスケジュールを調整して、自分の欲望を走らせる。それが可能なラインが、食卓越しにちゃんと伸びている。
思い返せば中学時代、食事をマトモに取らなかった結果ぶっ倒れていた遙。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
そんな彼がコーチにちゃんと話をしてバランスの良い食事を取り、スケジュールを調整し、責任を引き受けて行動を起こすようになった。
そういう安定感の上、三期終盤は乗っかっている。そこまでディープな動揺はない。
んだが、キッチリ不安になって、ドラマのアゲサゲが成立するよう、画面がきっちり暗くする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
ここら辺の色彩の鋭さ、印象の強さは、コンテ演出を担当した石立監督の味わいか。ところどころ”エヴァーガーデン”っぽい味があった。
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話全体が振り回されるほど強くなく、しかしエピソードがうねる程度には大きく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
物分りの良い悩みは、あがり症の怜くんにも襲いかかる。部長として後輩を導き、朗らかにいい雰囲気を作ってきた”怜先輩”も、一皮むけばいつもの怜ちゃん、赤メガネのメンドクサ人間である。
彼のトーテムである紋白蝶が空を舞い、自分の身の置所を探す視線が泳ぐ。水泳を始める切っ掛けになった遙は、この場にはいない。後輩にも体重は預けられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
手持ち無沙汰な気持ちを誰が引き取るか、というところで、意外なリンクが発生する。
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一回目はすれ違い、二回目は振り返る。旭との数年ぶりの再開は、映画の描写を逆さ写しに拾って、凄くエモい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
一回目すれ違う時の、柱を挟んだ交錯が緊張感あって良い。見てて『オイオイ運命(ディスティニー)じゃん』と呟いてしまった。
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僕は映画版の、旭と怜のエピソードが好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
出ると思わなかった推しが顔だしたから、てのもあるけど、顔も名前も知らない同士が出会って、人生のすごく大事な部分が好転していく善い偶然が、凄く風通し良く感じたんです。
特別な誰か以外とでも、運命は転がっていく、みたいな。
あの時メンタルトレーニングに旭を導いて、イップスを解消し再び泳ぐ道へ手を引いた怜が、旭に再開することで心の曇りを取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
あの時は縁のなかった水泳を、全国レベルにまで仕上げている。
伸びた背丈、変わった景色。それでも繋がるもの。
そういうものが、緑鮮やかな色彩の中で踊っている。
芝生、光、闇と三層になった世界を横から切って、足で魅せるレイアウトとかほんとバッキバキ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
三期らしく、問題はそこまでヘヴィではなくハンドルの範囲内なんだけども、画面が生み出す印象は必要十分に鮮明である。
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かくして緊張を解し、トンネルから抜けて光に向かう男二人。怜の迷いをメインで切り取ったので、渚はあんまり目立たない。似鳥とのライバル関係をもうちょい掘ったら、ラストの対決ももうちょい煮えたかな、とは思う。しかしまぁ、配分難しいところだ
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
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怜ちゃんの応援に一般生徒がいる所、レーンを超えて繋がる手のモチーフ。
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やっぱり今回のエピソードは非常にサンキらしく、公平で軽みがある。事故るほど重たく、十代の少年の内面に切り込まない筆。特別でない他人と、当たり前に繋がれる世界。
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それを描くことで拾いきれなかったものも、当然有るのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
もっとディープにネットネトに、岩鳶の子供たちの感情を切開してほしかった気持ちもある。郁弥と日和にあんだけ時間使ったんだからさ~、みたいな。
しかしその方向で話を進めると、”競技”とか”他者”とかと、とんでもない衝突したりする。
1エピソードに収まるだけ悩み、その軽みに答えるだけの結果が出る。怜は全国優勝できず、渚は似鳥に負ける。文句なしの大勝利を引っ張り込めるほどのドラマは、岩鳶の子供たちには与えられていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
そこら辺のエネルギー・バランスを見る目は、やっぱり冷静で誠実だ。嘘がなくて、いいと思う。
遙も凛も、感情を強くかき乱したりはしない。ガキみたいに抱えきれない思いに悩んだり、どう泳いでいいか分からなくなって足が止まったりは、三期最初からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
少し迷ったとしても、自分なりに道を探す。他人とコンタクトし、感情と情報を共有していく。”大人”になったのだ。
ぎりぎり間に合った遙が、怜を見守りつつ至近距離には近づかない(近づけない)世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
いつものように片思いで、でも報われていて、『ああ、怜ちゃんの話っぽいなぁ』と思った。話の侵攻の邪魔にならないよう譲って、必要なだけ波風立てて、物分り良く物語に協力的だった、キミらしい絵だった。
でもその少しの寂しさを超えて、繋がるものがあったから。キミのラストスイムは力強く、輝くものだったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
バタフライの師匠にあたる凛も、怜の泳ぎを見守っているところが好きだ。色んな場所に離れつつ、縁と思いは繋がっている。不可分なほど密着はしなくても、人は生きていける。
その公平で”正しい”結論が、はたして”Freeらしい”のか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
その問は次回最終回を迎えても僕の中に残るだろうし、”正解”はどこにもないだろう。自分なりに映像から咀嚼したものを組み上げて、一体何が”Free”であったか、人は百万の答えを出す。
その全てに意味があると、多分”正しい”Freeは言ってくれる。
遙も凛も、”今いちばん大事なもの”を自分で定め、それをコーチ(大人、社会)と適合させ、未来を見据える。暗いトンネルを、誰に手を引かれるでもなく自分の足で抜け、安定した未来を自分の目で見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
その足取りと背中に、不安定な揺らぎはない
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きれいな顔のアップも当然あるし、決意を込めた瞳も描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
でもここで”背中”なのが、(むちゃくちゃ身勝手な迷走含めた)今までの自分の歩み、競技の最前線に残れなかった者たちの思いを背負って世界に飛び出していく”競技者” のポートレートとして、なんか良いな、と思ったのだ。
あんなに勝手だったガキどもは、気づけば大人になり、他人にも共有可能な言葉を使って自分の思いを伝え、湧き上がる感情に巧く対処できるようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
一人暮らしも海外生活もそれなりに乗りこなし、未来に続くキャリアをしっかり積み上げるようになった。”大人”になった…既に”大人”だったのだ。
そんな彼らが、自分の将来を決める戦いに挑む。それだけで未来が決まるわけじゃないけど、重たいものが乗っかった大勝負。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
そこを必死で泳ぎ切ることで、背丈の伸びた三期の遙は、一体何を見つけるのだろうか。肩を並べる凛は、どんな景色を見るだろうか。
過去は現在と未来に、いつでも繋がっている。迷ったことも間違えたことも、光に向かって伸びている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月20日
そういうことを語り切れる終わりだと、満足感があっていいな、と思う。語り口を変えつつ、今まで蓄積された”Free”の物語を、三期はとても大事にしてくれたから。来週最終回、楽しみです。