からくりサーカスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
ケレン味満点で登場したプルチネッラも鎧袖一触、私のあるるかんは無敵だ!
子育て期の母グマのように荒れ狂うしろがねと送る、ドタバタ疑似家族共同生活コメディ…はつかの間の夢、糸繰りヤクザにヒロイン勝が(また)攫われ、どうするどうなる、加藤鳴海19才!
そんな感じの、序章第二幕である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
三人の主人公が一堂に会し、ここで作った関係と感情をもとに話が転がっていく、ファーストエピソード。やはりどっしり時間を使って、丁寧に距離感を描いていく。
思い返すと、この戯けた雰囲気が夢であったかのように、世界はハードさを増していくのだなぁ…。
お話の方は強キャラオーラ満載で登場したプルチネッラをなで斬りにして、戦闘担当主人公の強さを見せた後に、まるで往年のサンデー漫画みたいなラブコメ共同生活が展開していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
『ひとつ屋根の下に女がいる異物感とドキドキ』を大事にしてるところが、僕の好きなサンデーラブコメだなぁ、と思う。
声もガタイもまーったくそうは思えないけども、鳴海兄ちゃんは十九歳。合法的にお酒が飲めないお年頃である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
難病に侵され、世の中の世知辛さで純真さを塗りつぶそうとしても、次から次へと赤心が溢れ出てきちまう。一文の特にもならねぇのに、かわいそうなガキの面倒を見ちまう。そういう男である。
アルバムを使って具現化されるが、勝は鳴海のありえた過去であり、鳴海は勝のあるべき未来だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
『優しくされたら、報いたい』『弱い存在を、自分の欲でもみくちゃにしちゃいけない』
そういう人間として当たり前で、しかし守っていくには難しい信念を、二人は共有している。
体が弱くてちびっ子でも、強くなれる。誰かの弱さを守るため、身勝手な悪辣を拒絶するために、力を正しく使うことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
母と死に別れ、金と欲に塗れた薄汚い世界に投げ込まれた勝にとって、鳴海兄ちゃんは希望そのものだ。『自分も将来、薄汚い大人になるしかないんだ』と、未来を投げずにすむ。
鳴海もそんな勝の視線を背中に受けて、精一杯突っ張る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
19歳の身の丈に刻まれた世知は、バックレちまえとささやく。ゼニだけもらって、無関係だと背中を向けろと。
しかし自分を善人と信じる無垢な視線が、良心をチクチク刺激する。自分の中で弱いままの子供が、悪いことをさせてくれない。
似た者同士の二人はお互い影響し合い、運命的に出会って知り合っていく。そこに時間は関係ない。たった一日、たった一回の食事と風呂が、魂を結びつけてしまうこともある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
そういう濃厚さのある日常パートで、とても良かったと思う。序章で主役のキャラが色濃く煮出されているのは素晴らしい。
時間が濃いのはしろがねも同じで、最悪の出会いから流されて共同生活、ラッキースケベに彼シャツ(無意識)に手料理まで、バトルヒロインがやるべきイベント一日でコンプリートである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
勝と鳴海が共感で繋がるのに対し、異性であるしろがねとは反感が前に出てくるのが面白い。
鳴海兄ちゃんもツンデレなもんだから、好きになっちゃった自分をなかなか肯定はできない。『顔だけは良いな』と蓮っ葉気取りつつ、ワーワー文句言いつつ手料理は食べ、同じ床で眠る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
しろがねもラメラメ全身タイツという非日常を脱がないまま、エプロンという日常を羽織り、鳴海に接近する。
『自分のため』とうそぶきつつ、この作品は孤独になると途端に弱くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
我欲に押し流されたり、『自分が、自分が』と意気込みすぎたり。他人を信頼できなくなると、すぐさま潮目が怪しくなってくる。友情や愛情、人と人を繋ぐものが、いつだって最強の武器なのだ。
勝を守る戦闘マシーン、人形を操る人形と自分を規定するしろがねには、社会性も日常もない。正確には『なかった』のだが、勝が足場を置く社会に身を乗り出して、鳴海という異物に触れて、おっかなびっくり人間を獲得していく。メシも作るし、風呂も入るようになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
当たり前に食べて、当たり前に笑い合う。日常の中の人間性をつかの間、三人は獲得するわけだが、それは傀儡とヤクザという非日常の乱入によりぶっ壊されてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
そしてそれは、さらなる人間性の剥奪の序章でしかない。あの疑似家族は、手に入れては失い、諦めては蘇る巨大な運動の、最初の一回だ。
あの三人は今後、巨大な運命のうねり、どす黒い人間の欲望、爆裂する巨大な暴力にさらされる中で、幾度も今回の一夜を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
そこが、彼ら主人公(つまりこの物語)が堕ちきらない最後の釘なのだから、どっしり構えてしっかり描くのは、とても正しいのだろう。
どんどんでかくなる話のスケールが上滑りせず、”私の話だ”という実感を持って受け止められるためには、善と悪は身近でなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
鳴海兄ちゃんは小さく小さく、勝の視線が投げかける、あるいは自分の良心が訴えかける善を否定し、その否定を否定し、19歳らしい葛藤にまみれている。
今後物語には、世界を左右するような巨大な善悪の嵐が吹き荒れるわけだけども、それは今回描かれた泥臭く、身近な悪の誘惑と、当たり前の日常がほっこり思い出させ、養ってくれる善の温もりと、本質的に異なるわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
スケールがデカくなっても、このお話はわたしたちの物語なのだ。
そういう足場を築く意味でも、チンピラがナイフを構えて不意打ちしてくる生臭さは、結構大事なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
動機が”遺産目当て”ってところも、”誘拐組””ぶっ殺し組”という直球勝負なネーミングも、凄く良い。日常から半歩踏み出したところにある、つまんねー悪事って感じがする。
しかし鳴海もしろがねも、そんな悪党に勝てない。勝はあっさりさらわれ、同じ悪党たる阿紫花の手を借りるしか、解決の手段はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
正しいだけでは、善でい続けることは難しい。正しさを貫くための力を、優しく使いこなすことも難しい。その難しさも、この序章では等身大だ。
懸糸傀儡だの、全身タイツのバトルヒロインだの、人を笑わせないと死んじゃう病気だの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
トンチキなケレンを盛り込みつつ、そこでうねる感情はあくまでコンパクト、身近な善悪、肌触りの在る日常と非日常がうねる、長い一日の物語でした。
やっぱキャラの魅せ方が素直かつパワフルで、勝が健気で可愛いなぁとか、鳴海兄ちゃんが良いやつでかっこいいなぁとか、しろがねがポンコツで可愛いなぁとか、受け取るべき感情が真っ直ぐ描写から生えてくるのが、とても強いと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
これは原作の強みだし、それを活かしたアニメの強みだろう。
悪い奴らに健気な子供が攫われ、立派な大人はどうするべきか。非常にスタンダードな障害が、鳴海としろがねに再び立ち上がる。勝だって、ただただ悪に押し流されるばかりじゃなかろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月19日
奇縁が結んだ三人の物語は、悪意と暴力の風を受けて、ゴロゴロと転がっていく。来週も楽しみですね。