鬼滅の刃を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
泥濘の底に潜り、無念を切り払う。炭治郎の初仕事は、憎悪と慈悲の一刀を見事、払暁にたどり着かせた。
誰かを守るための力、禰豆子への信頼。任務達成の余韻もなく、猥雑なる大正浅草に飛び込んだ少年が出会ったのは、人を装う仇敵・鬼舞辻無惨であった…。
そんな感じの鬼滅の刃、泥の鬼始末記から休む暇もなく浅草混迷編であります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
手の鬼のような哀しみが泥の鬼にもあんのかなー、と思ってましたが、まぁ根っからのクソ処女厨ゴミ悪鬼であり。鬼にも色々あんだな、と思った次第。木村くんはハイテンション悪役、お疲れ様でした。
結構淡々と始末が進む話であったが、焦りのない進行でどっしりキャラをほっていくペースには、相変わらず淀みがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
意を決して泥に潜った後、犠牲者の遺品を見て修羅の顔になる炭治郎。戦が終わり、残された残酷を見るときは菩薩の目である。
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烈火の憤怒と、止水の慈悲。相反する性質をしっかり抱えつつ、戦士として頼もしさも見せる炭治郎は、やはり見ていて楽しいキャラだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
腐る前に食ってやった。人は鬼に感謝しろ。
身勝手極まる毒舌を止めるべく、刃を奮った自分を悔いるような表情を一瞬見せるのも、なかなかに奥ゆかしい。
エゴむき出しの凶暴な語りが印象的だからこそ、無惨を問われた後の狼狽、恐怖はよく目立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
一体鬼の始祖は、血を分けた邪悪な”子”に何を仕込んでいるのか。浅草での邂逅を入り口に、そこら編も来週掘るのだろう。マージ録でもなさそう。
禰豆子ちゃんはお兄ちゃんの信頼、鱗滝さんの暗示、自分に残った高潔を大事に、”守る”戦いを頑張る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
鬼に落ちた時に失った知性が、攻撃に単調さを生む。そこを突かれて受けた傷が、兄と同じ位置なのは面白い。流れる血は、やはり赤い。
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その傷は、簡単には癒えない。両腕を落とされた沼の鬼が、一瞬で両手を再生させていたのとは明確な違いだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
癒えぬ傷を抱えたまま、それでも生きていくしかない。
炭治郎の呟く真理は、やはり空々しく響く。
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ズタボロの傷を抱え、涙を拭えない青年とは違う、心を殺した兵器にも見える。(そう思えるよう、やや暗いライティングで炭治郎を照らしている)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
しかしその苦しみに寄り添う手は、傷にまみれて分厚い。青年と同じ痛みを抱えた人間のまま、少年は鬼滅の刃となった。よく見れば、それは判る。
助け得たもの、失ったものを見据え、かすかな朝焼けに向かって歩いていく。妹を背負い、安住の地をとうに失った迷い子に、青年は謝罪する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
全てを嗅ぎ分ける異能の鼻がなくとも、人は隠された真実を見分けて、ちゃんと過ちを改めることが出来る。
青年と炭治郎の別れは、とてもこのアニメらしかった。
どうも『人間は戻り、改めることが出来る』ということ、それに対する形で『鬼は間違え、戻れない』ということが、一つの大きなテーマな気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
ツンデレ義人ばっか出てくるので、あんま『間違える』ことがないけど。今回の青年のように、自分の苦しみに一時思いが迸っても、思い直すことは出来る
しかし鬼は不帰の道を踏み越えてしまって、初期衝動すら忘れて人を喰う。大事なものを汚して、取り下げるということがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
禰豆子はそのルールの中間点にいる、とても特別な存在だ。
彼女が人であり続けれるか、鬼に落ちるのか。どのくらい焦点を当てるか、今後楽しみな部分である。
特別な修業を受けなくても、心根を素直にすることは出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
平穏な日常に暮らしていても、惨殺の悲劇は突然襲いかかる。
剣からスゲェオーラだして怪物をぶった切る、ヒロイックアクションを描きつつも、このお話は凡庸さをしっかり見据えて、そこにある強さを忘れない。
あらゆる人に共通する、普遍的な強さと弱さ。無残の血を受ければ、誰でも鬼になってしまう危うさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
そういう”広さ”を見落とさないのが、このアニメを気に入ってる理由なのかなと、青年の謝罪で思わされた。いいシーンであった。
けして世には出ない炭治郎の孤闘も、少しは報われるか。苛烈な道だよね…
一つの悲劇、一つの救済に手を降って、朝焼けを抜けて。怒りを込めてたどり着いたのは、浅草十二階、凌雲閣。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
夜景はオレンジの輝きに彩られ、欲望がギラつく都会。”街”よりも更に近代化した、日本の最新鋭である。
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やはり鍛え上げた美術力が、最高に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
路面電車を受け止めるべく、敷かれた石畳。怪物のようにそびえる巨塔。町外れの夜鳴きそばすら、電灯で照らされる繁栄。
山出し炭治郎の当惑と興奮が、肌で伝わる良い美術だ。
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ちょうど”さらざんまい”の河童戦争で焼け落ち、へし折れた風景が生き生き押し寄せてくると、奇妙な同時代性を感じて興奮する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
まぁ別作品の話は横に置いて、性と欲が渦を巻く都会では、炭治郎の鼻も惑わされる。不夜城の明かりから町外れに逃げ、妹と暖かいのを一杯…
と思ったところで、鼻をつくどす黒い匂い。この圧倒的に”人”の領域たる浅草に、鬼の根源がいる!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
炭治郎の素朴さ、衣食住を疎かにしない人格をこれまで積んできただけに、山かけうどんの無惨な有様はなかなか重要だ。
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炭治郎は暖かい飯と妹、とても大事に思っているものを二つも置いてきてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
そうせざるを得ないほどの圧力を、無惨の血臭は放っている。到着時は機能しなかった”鼻”が、怪物の気配を嗅ぎ分け、街の外装を剥ぐ。
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その先にいたのは洋装の男、その家族。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
妹を置き去りに仇を追った和装の炭治郎は、近代化する”街”に馴染めない。
家族という嘘で自分を覆い、我欲をスーツに隠した無惨は上手く浅草の夜に溶け込んでいる。
炭治郎が(よりにもよって目の前の!)鬼に奪われたものを考えると、非常に残酷な対比である。
和装/洋装の割合も、泥の鬼がいた”街”と近代化最先端たる浅草では細かく変わっていて、浅草のほうがスーツが多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
大正モダンの足音が聞こえる街で、しかし”鬼”という中世の怪物はその角をソフト帽で隠し、人の合間に潜む。つくづく狡猾である。
この後追跡を交わすべく、ノータイムで鬼増やしにかかる無惨。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
『あ、慣れてる』という思わされるスムーズな犯行。犠牲者が『夫婦』であるという残虐。
仕草の一つ一つが、炭治郎が大事にしたいものを片っ端から踏みつけてて、良いヘイトアーツだ
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たしか鬼殺隊は”政府非公認”と鱗滝さん言ってたし、ここで日輪刀抜いてぶっ殺すわけにも行かないのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
形だけの煙幕とはいえ、炭治郎の鼻は無惨の”家族”がただの人間である事実を、鋭く嗅ぎ分けてしまう。ここで切りかかれば、自分に刻まれた傷と同じものを、幼子に見せることになる。
そういう分別が付いてしまう…鬼滅の殺戮兵器になりきれない慈悲こそが、炭治郎の強みであり、弱みでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
それが極悪非道(なんだが、妙な小心さも感じさせる。JOJOの歴代ボスっぽくもある)の鬼舞辻無惨に、どんな顔を見せるか。浅草風俗の描写と合わせて、来週も期待である。
鬼が抱える人間性、秘めた仏性ってのにも濃淡があることを、手の鬼と沼の鬼はよく教えてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
その親玉たる無惨がどんだけ救えない(あるいは救える)存在かを知るのは、彼をボスとする作品と向き合う上で凄く大事な気がする。相当なゴミを叩きつけられそうで、今から腹筋鍛えないと…。
夜闇の浅草、血と欲の大サァカスを外天楼が見下ろす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月19日
敵の首魁、家族の仇、鬼舞辻無惨に行き合った炭治郎少年は、一体何を思うのか。洋装の皮の下に、鬼はどれだけどす黒いものを隠しているか。
来週も楽しみです。大正浅草描写素晴らしく良いので、ごっつり背景見してほしくはあるな。