Dr.STONEを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
遂に完成なった科学の武器、黒色火薬。立ち上る煙は新たな出会いを呼び、新たな危機を呼び込む。
安全か、未来か。自分か、他人か。屈服の果ての生か、意地を貫いての死か。
人生は複雑な問題集。出すべき答えは山積みで、思索はあまりに短い。
さぁ天才少年、解答の時間です!
というわけで箱根到達…でも状況は止まらず、ゴロゴロと主人公の死まで状況が動くエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
冒頭、温泉の中での『告白しない』という選択に始まり、何かを選び取る行為が積み重なっていくお話だったように思う。
"選び取ること"には根源的な物語パワーがあるので、話が停滞しないのは良いね。
大樹は公平な立場でなければ、自分の好意を伝えないと決意する。それはつまり、世界を救済し物語を終えなければ、杠とのロマンスは終わらない、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
これを本気で言えるところに、大樹の凄みがあると思う。その覚悟を受け止め、じっと待つ杠にも。
黒色火薬はサクサクと製造成功し、しかし状況は激しく揺れ動き、決断が連続していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
狼煙に答えず、安全を買うか。畏れず科学を使い、誰かと生み出す未来に賭けるか。
当然、千空は未来を取る。その貪欲が、合理的で科学的だと信じるからだ。譲れば、自分を支えたものが揺らぐからだ。
司を殺すために作られたはずの黒色火薬は、結局千空の命を救わない。直接的な暴力として、科学の精髄は機能しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
ここら辺の話の運びに、作品が"科学"にどういう夢を見ているか滲んでいる気がする。
覇道よりももっと優しいものを、科学は連れてきてくれるはず。だから、狼煙が上る。
選択は正負両方の可能性に対して開かれていて、狼煙の主よりも先に、司が追いつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
人質に取られた杠が、ガタガタ震えつつも根性出して、プライドを持って司の"暴"に向き合うのが好き。心が太いヒロインだ…。
司も千空の性根を見切って、友か自分か、答えの見えている選択を投げる。
自分は孤独だからこそ強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
司の言い草は、火薬を武器ではなく通信機器として使い、誰かと繋がることを優先した千空と正面から対立する。
それは時に脆弱性になるが、群れとして機能する人間の特色を思えば、千空のほうが秩序と繁栄には近い。
そして司は、旧世界のそういう価値観から弾き出された。
平等に、お互いの顔と強みを突き合わせながら社会を形成していくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
圧倒的な個人が、生きるべき存在を選別し、生き方を規定していくか。
司と千空の対峙はつまり、社会がどうあるべきかという価値観のぶつかり合いでもある。
千空が科学を譲れないのは、それを生み出した社会的価値に繋がるからだ
今回は千空が”科学”に出会った瞬間、それを使って友情を掴んだ瞬間が、回想シーンで描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
藤原啓治声のパパンが、息子の自主性を最大限尊重しつつ、身銭を切って夢への階段作ってやるシーンは何億回見ても泣いちゃう。
親父さん…アンタマジ立派だよ…救世主の父、現代のヨセフだよ…。
千空の夢を大樹が守り、杠が加わり宇宙までぶっ飛ぶ所も、三人の関係がグッと迫ってきて非常に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
大樹が”守る”ことしか出来ないこと、不当な暴力に抵抗する武器として”科学”を使うこと、その歩みは失敗と試行の連続であること。
作品のコアが見える回想な所もグッドだ。
こうして過去が見え、科学への信頼が実体験に結びついた”思い出”でもあることが判ると、千空は無敵のクール主人公から、汗も血も出る”人間”へと変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
それは彼が死ぬ物語に必要な要素だ。教条として”科学”を信奉しているだけの無敵人間は、けして死なない。死んでも痛くも面白くもない。
個人的な思いと苦難、出会いが”科学”と入り混じっていると知ればこそ、それを譲れず、杠を守って死んでいく千空は重たく感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
序盤の科学無双を心地よく進めつつ、ストーリーの節目で人間味をギュッと出してくる話運びは、やはりトルクがあって力強い。
もし、全ての倫理が削ぎ落とされたこの世界でなければ、俺たちは友達になれたか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
司の問いかけは『友達になりたかった』という、暴武の覇王最後の人間味でもある。何かを押し殺したように、諦めたように見つめ合う表情は、苦くて奇妙に爽やかだ。
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/VB8Ir7dkVu
原作が持ってる、Boichi先生圧倒の筆力。それが生み出す”キメの顔”の強さが、いい感じにアニメになってるところはとても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
お互い好きになれた。支え合えるかもしれなかった。
だが世界の見方があまりにも違っていて、譲れないものは重すぎる。
だから友情をその手にかけて、道を違えていく。
全人類完全復活を目指す千空は、当然自分の死にも諦めない。ここでの表情に匂う寂しさは、自分の生への諦観というよりも、お互い優秀すぎるからこそ譲れない宿命への寂しさみたいなものだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
ここら辺、語らず判り合ってしまう”男の会話”みたいの大事にしてて、少年漫画だなぁ、と思う。
まぁ後にニッキーとかでも判るように、魂と魂が響き合う太いコミュニケーションは、この作品では性別に限定されねぇわけだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
一般的に”男”の領域とされるものを、かなり大事に話に盛り込んでいる感じ、というか。それが成り立つのはやっぱ、Boichi先生の漫画力だよなぁ…。”絵”で理解る、っつー
かくして大樹は間に合わず、千空の選択は未来を閉ざした。しかしそれで散り果てるほど、男の見た夢は小さくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月27日
未来へ、可能性の方へ、より多くの人の幸福へ。強がりの奥にデカすぎる夢を秘めた少年と、彼を慕う者たちの物語はまだ終わらない。
次週、プロローグ終了。非常に楽しみです。