からかい上手の高木さん2を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
うららかな春の日に、少年は空を見上げる。早く大人になりたいなぁ、大人になるってなんだろう?
そんな視線を遠くに見つつ、今日も少女はほくそ笑む。ぼんやり調子のあの人を、からかったならどんな顔するだろう。怒らず少し赤面して、私の方を向いてくれるかな。
そんな感じの青春涼風奇譚、数珠つなぎの第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
四話連作をコンテ・演出・作監全部共通でやるという、高木さんにしては珍しい形式の今回。
場面と場面、テーマとテーマ、時間的・空間敵連続性が様々な場所で顔を出し、なかなか面白い作りになった。どっちかというと一期に近いか?
今回はとにかく”大人”がテーマで、筋力が突き出した西片が調子に乗ったり、ミナちゃんが背伸びしてみたり、コーヒー飲んだり謎解きしたり、少年たちは頑張って身の丈を伸ばす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
当然内実は追いつかず、色々齟齬も出るのだが、そこもまた可愛らしい。
高木さんは小悪魔笑顔でそういう悪戦苦闘とは無縁…と思いきや、西片の視線の外側、三人称的客観の中で子供っぽくほほえみ、幼く楽しんでもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
しかし西片相手には余裕を保ちたいので、そういう表情は極力見せない。突っ込めないと知ってて、一番の弱点を晒して楽しんだりもする。
『自転車を忘れたのは、西片と一緒に歩きたいから』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
最初に言ってた真実を、当然西片は見落とす。
メロンソーダとコーヒーの交換に秘められた、間接キスの罠にも気づかない。バカである。
僕と同じように、高木さんもその純朴が大好きである。可能な限り接触し、独占したいと思う。
窓ガラスの向こうの男の子領域で、ガッチリ繋がった手と手。ガラス越しに見つめる高木さんを、腕相撲と自分の筋力に夢中の西片は気づかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
骨ばった男の手とは、全く違う高木さんの繊手。細く白く柔らかな幻惑。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/ZlYE35Il3V
筋力で正面勝負なら負けるはずないのに、良いように揺すぶられて、タイミングを盗まれ負ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
いつものように、西片は高木さんに追いつけない。それでも挑発に乗っかって手を伸ばし、浅はかに純粋に少女を追いかける。
求められているという事実をたっぷり味わって、高木さんはご満悦だ。
西片の前では見せない、満面の笑み。ゴミ捨てに行って、第2エピソードを通り過ぎる時の表情は、高木さんの幼い純朴をよく切り取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
教室は教室で、バカ三人組が仲良く、幼さと成熟のダンスを踊る。ミナちゃんにはそういうの早いから!
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こうして女子がまとまるとすっげぇデコ率であり、山本先生のフェティッシュを強く感じるわけだが、それはそれ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
似合わぬ背伸びをイジられすぎて、涙を浮かべるミナちゃんを宥めるユカリちゃん。幼さを愛おしく転がすサナエちゃん。
男女の違いはありつつ、高木さんと同じ時代を学友も生きている。
そこから下校風景、罰ゲームのおごり。ジュースは100円、消費税導入前のノスタルジーである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
我慢して飲み下したコーヒーと、唇が名残るメロンソーダ。どっちにしても、西片にとっては苦い味わいとなる。
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リベンジを誓っての翌日、迷路の街は不思議に美しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
超気合入ってるってわけではないのだが、当たり前の日常に存在する不思議な美麗が、良く取材された美術だったと思う。小豆島の空気が、上手く焼き付けられている、というか。
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けんぱ遊びに興じる幼さを、計算高く、そして無邪気に特別に西片だけに晒しながら、高木さんは共に歩く朝を心から楽しむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
もし、最初に伝えた素直な気持ちを、真っ直ぐに受け止めてくれたら。
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起こるはずもない奇跡を夢見ながら、結果は当然西片の負け。あるいは勝ち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
子猫のつがいのように、素直に戯れ合える日を夢見つつ、少女は今日も自分の手首を握る。からかい上手ではなく、恋に恋する高木さんにならないように、己を抑え込むことで、永遠の戯れは続いていく。
かばん、缶飲料、猫と、『2つ』である象徴がエピソードを貫通する回となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
くっついたり離れたり。形を変えて現れるつがいが何の象徴かは、説明しなくても明白であろう。
力が強くなり、少しずつ世界が見えてきて、でも素直に繋がりあうには遠い季節。
春。青の時代。
そこを叶わぬ挑発を織り交ぜつつ、心地よいゲームを維持し続ける高木さんの純情、気づかずぬまま取り込まれる西片の慕情が、ゆったりと連なるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
4つの掌編が上手く共通点を持って、緩やかに連動している感じが落ち着きを生み、独特の視聴感であった。かなり好きな雰囲気。
今回は結構徹底して高木さんが小悪魔(少なくとも、西片主観では)なので、初心を思い出した感じにもなったな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
”見つけてしまった”後の今では、高木さんも相当の西片ジャンキーであることが解っているけども、そうなる前は無敵の小悪魔、ミステリとしての少女そのものに見えたものだ…。
それが読み解かれることを待っている恋文なのだと気づけば、お話は終わり、戯れと青春は終了である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
今日も静かに、ゲームは続いていく。そこには近づいては離れ、心の不可思議な運動と、春日のようにくすぐったい懐かしさと優しさがある。皆、可愛らしく生きている。
来週も楽しみですね。