ヴィンランド・サガを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
無法の中の方、殺戮の中の生。刃を捨てた戦鬼トールズは、死中に活を求め兵団の首魁・アシェラッドに決闘を申し込む。
殺し、殺され、騙し合う。そんな宿命に背中を向け、家族を背中に背負った男の生が終わる。
矢衾に微笑む強さが刺すは、修羅の笑みか、我がこの運命か。
そんな感じの幼年期編完ッ! 去らばトールズ、真の戦士!! というエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
とにかくオッサン二人の身体言語、顔面強度がぶっちぎりで凄く、濃厚な男圧力を全身に浴びる大満足のエピソードであった。
まぁトルフィン少年には地獄の始まりだけどさ…すっげぇな石上さん…絶叫、名演でした。
お話は顔面が強い二人の意地がみっしりぶつかり合い、戦士と元戦士、英傑二名の生き様が火花を散らした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
トールズ父さんの揺るぎない不戦の決意と、悪辣なれど複雑な表情を見せるアシェラッド。静と動の対比が、生死と勝敗が複雑にねじれる決闘に絡み、最高の見応えを生んでいた。
トールズは世紀末救世主と化し、無手で軍船を制圧する。海に叩き落とした相手が溺れぬよう、オールを投げ込む余裕もありだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
その無敵を眼にしたアシェラッドは、童子のように笑う。地の果てで巡り合った好敵手に、血が騒ぐ。
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その兇猛な視線を受けて、トールズは揺るがない。戦の狂気などそよ風と受け流す表情を見て、アシェラッドの顔も冷える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
敵味方の区別なく、コンバット・ドラッグに狂って暴れた副官とは少し違う顔で、戦場を見据える。
ほんっと目ヂカラ満載のいい顔乱舞で、表情食べてるだけで満漢全席だよォ…。
トールズは己の圧倒的武力に溺れない。背中に背負った若造と素人、どう守りきって生き延びるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
ここで決闘法を持ち出し、最も傷が少ない勝利を手繰り寄せる辺り、戦人の勘が緩んでいないことを感じさせる。
戦争は常に外交の延長線上にある。決闘は蛮人が己を律するための儀式なのだ。
オーディンにかけた誓いは、しかし後に破られることになる。死を賭してなお、刃を捨て信念に殉じた真の戦士を見て、アシェラッドはもう一度誓いを建てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
今度はヴァイキングの大神ではなく、始祖アルトリウスに賭けての誓いであり、破られることはない。
これが属州ブリタンニア将軍を意味するとなると、彼の鎧の意味も判るわけだが、となると彼はイングランドに侵略されるアンゴロサクソン人でも、侵略するデーン人でもなく、失われゆくローマの文明を継承したブリトン人としてのアイデンティティを背負ってることになる。ふ、複雑ブリテン史…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
とすると、裏切り上等切剥ぎ余裕な顔をして、いつでもコルブランドを抜ける高貴な血筋ということにもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
何故彼が、ヴァイキング兵団の首領をやっているか。今後大事なクエストとなりそうだ。アイリッシュ海経由で、ウェールズで略奪された…?
そこら辺は先の話として、不動のトールズと変惑のアシェラッド、一騎打ちは緩急と重量感に満ちた、素晴らしい殺陣だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
ズカズカと突き進む戦鬼に、帆綱を切り落とし目隠しを仕掛けての奇襲。そこから武器狙いの一撃を読み切り、逆に壊し…たのが戦鬼の狙い、大ぶりの一刀を逆しまに利する。
武器を壊し、武器を奪う。トールズ最後の戦いは、彼が戦場で学んだ虚しさを全て詰め込んだような攻防になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
切り裂かれた自分の血。奪った敵の武器。そんなものでしか物事を動かせない己の器量に、戦士はまず嘆息する。
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真の戦士に、剣は必要ない。刃を捨てることから、生き方が始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
トールズがたどり着いた境地は、あまりに高峰すぎて凡人にも蛮人にも理解されない。ただアシェラッドは、己の敗北の意味に感じ入る。
そして、トルフィンの無垢な瞳にも父の奮戦、それを超えたものは届いて…いると良いなぁ…。
己の刃を首に突きつけられ、アシェラッドは首領の座を譲ろうとする。真の戦士のもとで、新しい生き方を探してみたくなったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
部下たちはその真剣さを飲み込めないが、無言で対峙するトールズはしっかりと飲み込む。飲み込んだ上で、戦場には帰れないと”眼”で答える。
血と刃でしか動かぬ闘争の機械となるより、氷に包まれた我が家で当たり前に生きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
それを既に選んだから、俺はここにいて、お前はそこにいる。
トールズの真っ直ぐな視線は、譲れない生き方を静かに語るようで、重たく強い。
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戦士として生き続けるなら、この男を殺すしかない。決闘の誓いを破り、自分が差し出せる最大の誠意を自分であざ笑って、飛び道具で決着させるしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
今にも泣き出しそうな伏せた瞳は、その運命を飲み込む複雑さを感じさせる。アシェラッドお前…面白いキャラだな!!
ここで戦場に戻らないのなら、アシェラッドは自分の政治的立場を維持するべく、自分を殺すしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
沈黙の内、切り合いの中で通じ合ったトールズは、そこまで覚悟していたはずだ。
だがそれでも、決闘の法、己の命は何かを切り開きうる。そう信じたからこそ、首を縦には触れなかった。
ここで”戦鬼”に戻らないのは、トールズ最後の意地であろう。アシェラッドを副官に戦場に戻れば、また刃に振り回され、殺すことで欲を満たす機械に戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
それはヘルガと出会い、ユルヴァを名付けたときから諦めた生き方だ。死ぬのも殺すのも、鬼はもう怖いのだ。人間になってしまったのだ。
アシェラッドはトールズの生き様に見た夢と、トールズが背負う不殺の強さを嘲笑いながら、矢を射掛けさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
蔑された決闘の神聖、消えゆく命の炎。それでも選んだ道に従い、刃は敵の首ではなく、海へ沈める。
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自分の死という、綺麗事が一切通用しない最大のリアルを前に、それでも不殺を選びきった戦士を前に、アシェラッドは二度目の誓いを立てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
それは裏切られず、アシェラッドは若き凶刃を刃ではなく、拳で制する。トールズのように。
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ここの世紀末覇王っぷりマジ凄いけども、ここでレイフ船団と若造返すところに、アルトリウスの誓いの重さ(オーディンの誓いの軽さ)が見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
彼もただ、戦場で殺し殺されるただの機械ではなく、そこを抜けた何かを求めているのかもしれない。
だからこそ、死してなお貫いたトールズの覚悟が眩しく、二度は汚したくなかったのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
他所のお家騒動を担ぎ込まれた、ただの汚れ仕事。机に足を上げ、ヘラヘラと受け答えしていたときとは、言動の重みが全く違う。
どちらが、本物のアシェラッドなのか。複雑な男だ…。
武人ではないが命の重さを知るレイフおじさんの号泣とか、最後まで自分の命で政治を左右しようとするトールズの目配りとか、決闘以外の部分も面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
レイフおじさんの剣を取らぬ芯の強さは、結構好きだ。再登場あるのかしら?
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満月が緑に照らす不可思議な海を、船が行く。五人力の英雄を失い、曳航不能となった船には、父の無念を修羅と刻んだ少年が、刃を以て吠える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
復讐を。
戦鬼の子は父の血を浴びて、小さき戦鬼となってしまった。
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ここのトルフィンの顔面力もなかなかパワフルで、中年二人の顔面合戦に殴り込みをかけるのに十分な”圧”だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
のだが、故郷に帰る舵ではなく、血を流す刃を握ってしまった少年は、父の高みには遠い。
まず、戦鬼の後継として血に塗れる道か…地獄じゃん。
トールズもさんざん殺して強くなり、剣を捨ててなお意志を譲らぬ強さを手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
同じ道を歩かなきゃ、息子も同じ高みにはたどり着けないのは判る。判るが…あの絶叫とこの表情、並の修羅道が待ち構えていないのもまた、判るのだ。やっべーなコレ。
回想の中でトールズの不殺を回想している時は、苦い敗北を噛みしめるような表情なのに、むき出しに殺意を受け取る時は涼しい顔で受け流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
仇、アシェラッドの裏腹な心境はやはり面白い。殺し合いはあまりに日常過ぎて、心が動かんか。
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かくして父は去り、子は仇の牽く船に乗って異国へと向かう。胸に漆黒の復讐を燃やし、腕に殺意と刃を握って。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
歴史の大河はブリテンを舞台に、激しい炎を約束する。道しれぬ闇夜を抜け、辿り着く先はどこか。面白いじゃないのこのアニメ…。
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というわけで、トールズ父さんが散るお話でした。いやー面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
死人出てるからあんま喜んじゃいかんのかもしれんが、男たちの分厚い魂、それがにじみ出る動きと顔面がハイクオリティで殴りまくってきて、重厚感でバキバキにされるエピソードでした。うーむ、強い…”強い”よこのアニメ!
アイスランドではあんなに無垢だったトルフィン少年が、戦場のリアリティの中でどれだけ薄汚れていくか。復讐の炎を抱いて、どれだけ黒焦げになっていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
そしてそこに、複雑な多相を持つ仇、アシェラッドがどう絡んでくるか。話が一気に血生臭く勢い付いてきたぞ…。
偉大なる父の死により、さらば故郷、揺籃の日々という感じですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
父が既に背中を向け、アシェラッドが憧れつつ飛び込めなかった『剣を持たない戦士』の生き方は、トルフィンくんに届くのか。
その前の修羅道を、まずどっしり描きそうで楽しみです。メレーアクションたっぷりだ! 来週も楽しみ。