鬼滅の刃を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
”母”を倒した炭治郎と伊之助は、傷を癒やす間もなく新たな敵に邂逅する。
一方善逸は”兄”と出会い、その異形と邪毒に震え上がる。どうしても恐怖に勝てない情けなさを、抱えたまま走った時代。
殴打が錬鉄の一打となったあの時代を、刻まれた技を思い出せるなら。
まだ、俺は戦える
そんな感じの、善逸ちゃんの孤独な闘いである。蜘蛛一家はデザインがいい塩梅にキモくて、鬼の異形感が良く出た良い敵である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
蜘蛛ボディに直接顔がついた”兄”は特にキモくて、ホラーな感じが善逸のブルブルと上手くシンクロし、良いマッチアップだ。蜘蛛顔に人間ボディの”父”と逆なのね。
毒を仕込み、人を怪物に変える。陰湿な”兄”の攻撃に、汚い高音が木霊する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
命がけの重たいバトルで少し浮いて聞こえるけども、しかしそれは笑い事ではなく重たい。
善逸だって、怯えて逃げる自分が好きじゃない。どうにかして変えたいけど、なかなか変わってくれない。
そんな彼が曲りなりとも、鬼滅の剣士をやれているのは師に出会ったからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
静かに見守り、簡勁な導きを与える鱗瀧さんとはまた違った、”じいちゃん”の密着指導。ベコベコ叩き、大声で怒り、それでも諦めず一つのことを貫けと、しっかり教えてくれた人の思い出。
それが徹底的に刻み込まれているからこそ、善逸は意識を手放しても…手放したほうが強くなれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
剣を奮って誰かを守る。それは情けない自分には夢でしかなく、臆病者が逃げ去った後でしか叶えられない夢。
だが、確かに情けない善逸と勇者の善逸は、思い出で繋がっている。
善逸の闘いは涙まみれ血まみれ、全然カッコよくない。まぁ鬼滅の少年たちは皆ボロボロになりながら戦うので、”余裕”とは程遠いわけだが、特にズタボロだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
それは彼がただ夢を見るだけでなく、ヒーヒー喚き目をそらしつつも、そんな自分と向き合いながら少しずつ強くなっている証拠な気がする。
前回も行ったけども、炭治郎は人格的完成度が非常に高いため、ジワジワ自分を変えていく物語は伊之助と善逸の領分に見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
”兄”として伊之助の傷に布をまこうとする炭治郎の優しさに、伊之助は慣れていない。人に優しくされ慣れていない子供は、人にどう優しくして良いかもわからないのだ。
親に捨てられ、人に騙され、血縁はない”じいちゃん”を縁に生きていくしか無かった善逸も、家族の縁には恵まれていなかったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
ボコボコ叩かれながら挑んだ修行時代、結局弱気の虫は消えなかった。何度も逃げて、諦めた。善逸一人なら、剣士には絶対なれなかっただろう。
それは持ち前の異常聴力を活かす道を塞いで、戦えば守れるかもしれない命を諦める、ということでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
曲りなりとも今、善逸が戦えているのはじいちゃんと出会ったから。そして、彼が出来ないなりに必死にしがみついて、涙まみれで頑張ったからだ。
居合一本、使える技は一つだけ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
善逸のバトルスタイルは限定的であるがゆえに芯が通っていて、非常にカッコいい。
あの三枚目が多彩な技で大暴れしても、なんかグッと来ないしね。
一つしか出来ないが、一つだけは出来る。それはとても強いと、認めてくれた人がいたのだ。
恐怖を操る”兄”を断ち切った、地上の雷、霹靂一閃・六連。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
むっちゃカッコいい作画が素晴らしかったが、今回のお話の力点はその見せ場…と同時に、無茶苦茶かっこ悪い血まみれ、汚い高音であったとも思う。
弱さ、醜さは善逸のキャラクターだ。しかし、それが全てではない。
鼓屋敷での夢想剣に比べると、今回は”自分”を保ったまま、今の”自分”に繋がる過去を思い出しながら、秘剣を放てていたように見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
ボロボロになりながら、クズみたいに泣き崩れながら、善逸はだんだん、あの時見た”夢”が近づいている。そんな気がしたのだ。
それは”家”に恵まれ、”長男”としての誇りと倫理がどっしり背骨を貫いている炭治郎には、描けない歩みだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
無論、炭治郎のブレない人徳は作品を支える支柱だ。彼が鬼を斬る意味、人を守る理由に惑わないから、この無残な物語にはさわやかさがある。
しかしそういう人間ばかりでは当然なくて、惑いもすれば弱くもなる部分も、人の尊さに繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
善逸は最初、恐怖との遭遇を夢だと思う。目覚めれば禰豆子の太ももに溺れて、戦いは終わっていると。
しかしそれは、善逸が本当に見たい夢ではない。本当は、強く正しい剣士として、誰かを守りたい
守りたい”誰か”には、自分のために骨を折ってくれた師匠との思い出とか、そんな人が夢見てくれた強くてカッコいい自分とかも含まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
理想像への道程は遠い。今の善逸はぎゃあぎゃあ騒ぎ、血反吐にまみれて時に逃げる、情けないただの人間だ。
それでも、過去繋がった人と、その人が生み出してくれた今の自分を貫いていけば、夢に届く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
虚仮の一念巌も砕く。一芸に専心した結果、善逸の雷鳴居合は唯一絶対の凄みを手に入れている。
過去を見せる今回の戦いは、一歩ずつ進む善逸の”今”を肯定する展開だった。大事なのは秘技という”結果”ではない
そんな過去も微妙な陰りがあって、桃(鬼を払う聖なる果実)を蔑ろにする兄弟子とか、あんだけ仲良かった”じいちゃん”が今どうなって、善逸は藤の山に放り出されたのか、とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
一歩ずつの”今”を肯定するだけなら、兄弟子描写いらん気もすんのよね…碌でもなく再登場しそうな予感だ。
それは先の話として、愚直な一刀で未来を切り裂いた善逸。毒で死にかけであるが、散々ネタ振りされてる”柱”が助ける感じかなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
蜘蛛一家を一人ずつ落としていく中で、積み重なるダメージ。あんま子供らに酷いことせんといて…。
炭治郎・伊之助組は傷の治療もままならないまま、”姉”と”父”に遭遇してた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
家族を演じつつ、その実恐怖と暴力で繋がってる鬼一家は、確実に炭治郎の逆鱗に触れると思う。あの子キレるとマジ凄いんで、こっちはどうにかなるとして。
伊之助は治療を拒んで、傷を追ったまま連戦となるなぁ…不安だ。
おくるみ一つで捨てられた伊之助は、一人で生き抜く獣のルール以外知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
炭治郎が根気強く、諦めずに教えてる(ここらへん、”じいちゃん”と共通)けども、癒やしたり、力を合わせたり、考えたりといった人間の強さを、なかなか自分のものに出来ないのだな。皆、変わりゆく道の途中だ。
学園青春マンガなら『傷つきながら強くなれ!』で良いんだけど、この残酷大正伝奇、傷は即ち死に直結だから、手早く学んでいかないとねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
殴打が錬鉄を成し遂げるっつったって、死んでは花見も咲かないわけで。頑張れ、伊之助…獣のまま人を学べッ!!
そんな感じの、善逸の過去と現在、そして未来をめぐる闘いでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月30日
へっぽこな彼にも、己を支える夢と思い出があって、磨き上げた一芸がある。そういうのがわかるとやっぱり、キャラが好きになれて良いですね。
残る蜘蛛一家は三体。激闘に流れる血で、少年たちは何を描くか。来週も楽しみです。