グランベルムを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
満月が消えても、闘いは続く。”たった一人”の座を巡る、審判者と候補者の最終決戦。
激戦に次ぐ激戦の果てに、人形が再び形をなす。在り得るはずのない、新月と満月の合。
辿り着いた運命の渦の中で、冠と笏を抱いて少女は願う。
魔法の国が消えていく。だから、私達も消えよう。
そんな感じの最終決戦Bパートッ! からのー、新月最後の決断、全てが消え果てた後の平穏と最後の魔法、というエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
良かった…”魔術”と”少女”と”闘い”を選び取った理由を、最後までしっかり貫いた最終回でした。
自分たちが書こうと思ったものを、最後まで書く。簡単に見えて奇跡であるね…。
ロボバトルは最終回でも意気壮健、全周攻撃に完全知覚、再生に超高速戦闘と、強い表現がバリバリと暴れまわる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
事ここに及んでなお、ロボバトルのスロットルを緩めない…むしろ強めていくのは魔術と同じくらい、ロボアニメってことが大事だった証明だと思う。
”眼”を強調した演出は今回も健在で、月の子供たちは無慈悲な月光を睨みつけ、その紋章を瞳に宿す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
過剰な魔力に運命を翻弄され、生き方を歪められた犠牲者という意味では、新月と水晶は鏡合わせの双子なのかも知れない。だからこそ、各々の道は譲れない。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/JG49Irstwj
激しい戦いは極限を超えて、鎧であり武器でもあるアルマノクスを乗り捨てた生身での闘いに突入していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
人形が思いの結晶であるなら、思いを宿す肉体もまた、魔術で操られる人形。主と従の境界線は混ざり合い、交錯していく。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/qJPo2q8uFM
ヴィオラカッツェと一体化し、世界と繋がる全知を得て、それを捨てる。生身でいるということは、傷を自分で引き受けるということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
水晶はドロセラグリッセルを背後に従え、再びそこに戻っていく。神の生み出した人形であることを捨てられなかった彼女は、新月のように無防備にはなれない。
滅びてもなお残留する思念。倒れ伏した新月の前に、満月が訪れる。それが幻影であるかは、もはや問題ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
ここはアルマノクスの庭、魔法の国である。人形と操り手が混ざり合い、新たな月となって立ち上がる奇跡くらいは起こるのだ。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/f1abzL19dr
前回ラストで消え去った人形と魔石は、願いを束ねる核として再生していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
満月は新月の人形(アルマノクス)として再誕するが、そこには強い瞳がある。今回、アルマノクスののっぺりした”眼”の奥に、意志の眼光があることが幾度も強調されていく。人形もまた、意志を宿すのだ。
肩口に宿った黒い邪眼の力も、ホワイトリリィから継承される。記憶を略奪する大きな力に、自分はここにいると力で証明するような不遜。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
それは呪いではなく、自我を誇る決意の表明なのだと無言で語るような、アルマノクスの眼光。
睨み返す、審判者の眼力。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/zfNWOL8Hyy
人形を操る糸は、操り手をさかしまに操る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
孤独、アンナとの因縁、満月の存在と消失。
アルマノクスに選ばれた特権は、”普通”を愛し求めた魔術師にとっては鎖でしかなかった。
その糸を己の意志と、託されたもので手繰って力に変える。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/ZNJ8Sd1PJt
糸に捉えられ、十字に吊られた水晶は贖いの贄とも見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
1000年前、魔力によって生み出された審判者。終わらない闘いに自我を軋ませながら、それでも宿命を果たそうと、主の願いを叶えようと立ちふさがった”悪魔”の闘いが、今終わろうとしているのだ。
二股の刃を携え、眼光に意志を宿して突き進む魔力の人形たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
アクションの一つ一つに必ず、鋭い猫目がカット・インされているところに、全てを貫く統一感がある。
それは意志。それは自我。糸に縛られた人形でも、必ず生まれてしまうもの。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/oHDtyUjfM6
新月ちゃん必殺のスイカバーアタックで、水晶はその生命を絶たれる。開放、と言って良いものか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
まぁ、みんな突っ込んだだろう…シロッコやないかい! ナレがカミーユだからかーい!!
超シリアスな良い戦いなんだけども、ここは何回見ても笑う。勢い在りすぎる…。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/AEgPAIIt88
水晶は負け惜しみか呪いのように、勝者の迷いを予言する。見えなかった瞳が見えて、消える瞬間、満月と同じ人形の指が見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
彼女が何の人形だったのか。誰の願いを託され、果たそうとしていたのか。”悪魔”は誠実であるがゆえに、常に哀しい。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/zkba9kuiml
満月は真っ白な日常を畏れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
ただ新月の虚無を反射する人形の役割から外れたことが、彼女をグランベルムに導き、満月と邂逅させた。
水晶は審判者の役割を背負い続けるには、自我に満ちすぎた。主の願いを、ヒトが魔力を背負うには不純な結晶であると証明するべく、己が勝者になろうとした。
人形は道を外れていく。用意された運命を飲み込めるのなら、誰も苦しまない。それでも、願いは泉のように胸から溢れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
新月もまた、マギアコナトスの祝福から外れ、特別を呪いながら戦いに挑んだ。己自身を否定し、糸を断ち切る席を求めた。
その闘いが終わる。
満月と一体化した新月ちゃんが、口を覆う布を外しているのが良いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
(人としての価値観から見れば)理不尽な不幸に押し流され、優しい気持ちを殺してきた運命の子供。
自分が何者であるかも知らず、ただ漂白に怯えていた人形と出会うことで、彼女は言葉を手に入れた。
願いを強く求め、瞳に宿すことを畏れなくなった。行き着くところまで行って、求め訴える(ソロモン以来の魔術の古式であるな)ことでしか望みを果たし得ないと知ったから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
新月は口を覆うヴェールを外し、言葉を放ち、ものを取り入れる窓を開放したのだろう。
その口から、最後まで願いを貫けるのか。アルマノクスの超絶バトルとは違う場所でも、審判者は最後まで問いかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
魔力を否定することは、それに触れ合った全ての痕跡を消すこと。今までの物語は消去され、その中心にいた主人公も微かに消えていく。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/ljd6AzXXNg
ここで天界の水晶と、仮想現実の水晶が同じく玉座を背負っているのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
現実世界に置いて、それはかつて封じられたものの傷跡でしかなく、しかし月光の照らす魔法の国では、全ての権能を保証する王権の石なわけだ。
そういうモノを背負う立場に、水晶はいる。1000年い続けた。
ここから展開される問掛けの夢が、いかにもグランベルム的な不穏さに満ちたアングルなのが、懐かしくも嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
魔術は日常と平穏の中にこそある。たとえそれが消え去ったとしても、まだまだしぶとく残響するのだ。
そして、審判者の揺らぎを、想い出の名残りが消していく。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/9TpxfV4ciY
辿り着いた願いは、人形が抱いた思いは、全て主たる新月の反射。そこに収まらない涙を瞳に収めて、満月は消滅を前に微笑む。そこに込められた意志を、新月は受け止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
最終戦の”眼”にクローズアップした演出は、ここに集約させるためだったんじゃないかなぁ、と思う。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/pmHJtJZrLn
意思は伝え貫くと同時に、受け止め飲み込むためにもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
瞳を交わし、言葉にならない魔法を自分の中に刻むことで、自分も世界すらも変えてしまう大きすぎる願いを前に、震えを噛み殺せる。
あなたと、あなたに反射した私は嘘ではなかったから。それを見据える瞳は、強く輝くから。
積み上げてきたもの、受け取ったものを確かめて、新月は微笑みながら最後の魔法を使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
1000年の執着を超える、我欲を超えた我欲、平穏を超えた平穏を掴み取る真の魔術師の瞳を見て、水晶も毒気を抜かれた感じだ。”悪魔”の仕事も、魔法と一緒に終わりになる。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/Oi82he17BC
戴と王錫の授与。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
自分の特権を否定し、存在すらも否定する一度きりの王権の行使に、木々は生え揃わし、地と海は命で満ちる。
月に愛された新月の魔術は、常に命の賦活という形(意図せぬ開花、動き出す人形)で発露していた。
ならば、最後の魔法もそのように。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/NQFhgeDRdk
赤い魔力に脈動していた月は終わり、青白い死の星に戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
アポロが幻想を打ち破る、科学時代のただの石。魔石足り得ない、命なき夜の女王。
それが、グランベルムの結末である。魔法の国は、その申し子の願いどおりに消えたのだ。
湖面にもう、双子の月は映らない。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/BsBPtD4J9u
新月は淡い輪郭のまま、髪を上げて耳を顕に、新しい世界を聞きながら進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
呪いによって成長を止めていたネネちゃんも、すっかり年通りのお姉さんである。
危ういガードレールの上を歩く赤毛の少女を、”姉”が確かに支えている。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/i2uLMbPYrA
運命の崖っぷちから転がり落ち、そこに手を差し伸べられなかった過去はなくなった。姉妹はお互いを恨むことなく、魔力に焦がれることもなく穏やかに日々を過ごしていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
そこに黒髪の少女はいない。気の迷いに振り返っても、奇跡を観測する力は人から喪われたのだ。
そういう世界にほほえみながら、新月はトンカツまんを頬張る。多分味は”普通”だろう。それをずっと望んで、手に入れて、しかし自分の掌には掴めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
世界に漂白される恐怖に突き動かされていた満月と、同じ立場に新月が置かれるのは皮肉…というより宿命であり、決断の結果である。
戯れに、花に魔法をかけてみる。それは己が選んだ通り発動しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
それを見て取った時、新月は微笑んだ。その視線の先に、自分を観測しない世界の中に、彼女は何を見たのだろうか。
それが多分、最後の問掛けだ。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/JoO4V5jOy0
魔法が消えた世界に、新しい風が吹いてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
それに触れることは出来なくても、かけがえのない奇跡の積み重ねを皆が生きている。魔法は、そこにあるのだ。
少し驚いて、微笑んだ新月の瞳の先に、一体何があるのか。描かれず想像できることが、僕はとても豊かだと思う。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/0IYWrVWoNY
青い花が開いたのは、微かな魔力の残滓なのだろうか? それとも、ただの偶然?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
どちらにしても、命はひたすらに何かを求めて開花し、その必然として散っていく。誰もがその営みを忘れていっても、世界はそこにあり続ける。
そんなふうに、乱れ咲いた命達の記憶が終わった。
©ProjectGRANBELM pic.twitter.com/eQuur1xSdb
いいアニメだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
ロボ×魔法少女×バトルロイヤルという、ある意味手垢のついた題材を全ての領域で徹底的に彫り込み、”それ”でなければいけない理由を一カット一カットに刻み込むお話だった。
アルマノクスの人形性とキャラクターを重ねることで、終盤ロボに血が通ったのは素晴らしい。
魔法にしても異能力を手に入れるためのスパイスではなく、世界を編み上げ、認識するもう一つの知恵としてしっかり描きぬいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
メタファーを重ね、オカルトの歴史を静かに掘り下げ、また積み重ねてドラマに活かす。知識に振り回されるのではなく、目の前の群像に命を宿すために使い潰す。
少女たちの末路が各々様々にあり、それぞれ必死であったことはとても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
散るものは散り、残るものは残り、忘れられるものは忘れられた結末であったが、それぞれ過不足なく己の領分を果たしきり、しっかりと生き抜いた物語だった。
超常的な魔術と、当たり前の日常が常に隣接していて、相互に侵犯していると”絵”で見せる不気味で不穏当な描画は素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
不穏に揺らぐ日常で手に入れたものを、超常の中で力に変える。あるいは超常に繋がった日常が崩壊し、それでも残る輝きを掴み取る。日常と非日常のダイナミズムがあった。
燃料が付きそうなところで新たな謎を開示し、あるいは真実を暴露して加速を付ける話運びも、緊張感を維持して力強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
いかにも現代伝奇の主人公らしく、理由なく日常の空白に急かされる満月が背負う、余りに大きな運命。それが顕になったときのショックは、僕を作品に前のめりに溺れさせた。
ラスボスを努めた水晶の悪魔性、人形性は最後に顕になる符として完璧で、物語のピースをきっちり埋める良いキャラだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
余りに人間的な彼女が壁をやったことで、マギアコナトスの非人格性が喪われず、話のスケールが縮小しなかったのはつくづく妙手だ。袴田水晶大先生は、やっぱり偉大だ…。
他のキャラも皆輝いていた(特に中盤を支えたアンナさんの獅子奮迅)が、やっぱ新月と満月が好きだなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
クール黒髪と、天然ピンク。結構『あー、はいはいそんな感じね』で受け流しちゃいそうな組み合わせなんだけど、そこから一捻り二捻り月面宙返り、ドラマのうねりとともにキャラの印象が変化する
身を切るほどに”普通”の幸せを切望し、それが全て掌からこぼれていく新月の残酷。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
焦がれた非日常の反射として生まれ、空疎な人形の宿命に翻弄される満月の哀しみ。
”人形である”という宿命をお互いに背負いつつ、そこからはみ出す強い自我を瞳に宿して、決戦に挑む彼女たちの背中はとても大きく見えた
そこから一つの結末まで、ロボバトルも感情熱量も一切緩むことなく突っ走った体験は、とても得難いものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月27日
凄く面白く、興味深く、心揺さぶられる物語でした。大傑作だと思います。
全13話、余すことなく楽しませてもらいました。
ありがとう。