ノー・ガンズ・ライフを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
テロルも辞さないコルトの覚悟は、しかし巨大な謀略に飲み込まれていく。
スピッツベルゲンとベリューレン、拡張者を挟んで睨み合う二大組織に、挟み込まれすり潰されていく個人。
その声なき声を、鉄郎はハルモニエで吠える。
たとえ、傷が痛むとしても。
そんな感じの、コルト編後半。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
超覚悟人間、乾十三が出張って爽快に状況を殴り飛ばしてきた今までの話とは違い、まだ未熟な鉄郎が苦い結末を飲み込む展開となった。
十三の庇護に頼らないことで、ちょっと作風も変わったし、少年の痛みと成長もよく見える仕上がり。
我らが英雄、メガアームド斎時定様の巨大像が見下ろす、クソみたいな街。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
溢れる社会主義ディストピアっぷりに興奮してくるが、そのド底辺を歩くコルトの言葉は、特別な物語に選ばれた鉄郎にとって重い。
3Dモデルの異物性を、結構面白い演出で活かすアニメだよね
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綺麗事を一緒に背負い、体と魂を守ってくれる十三とも出会えた。ハルモニエという特別な力も手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
そんな鉄郎と違い、コルトはこの街にうごめく凡百の群集として、テロル以外の突破口を見つけられないまま、”明日”を信じられない。
この生っぽいどん底加減は、作品世界の奥行きが出て良い。
鉄郎が『いつか来るだろう明日』ってのを綺麗に信じられるのは、本物の地獄を知らないから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
そう嘯くコルトも、スピッツベルゲンに捨て駒にされ、己の過ちをべリューレンに利用されそうになる。
弱者が暴力の牙をむき出しにする時、一番最初に餌食になるのは同じ弱者。シビアな現実である。
十三はかつて、そして現在進行系で、そんなリアル真っ平御免とツッパり、意地を貫いてきた。哲郎もそんな意地に、拾い上げられ守られてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
しかし今回、銃頭は物語に介入しない。現実を何も知らねぇ、なんの力もねぇガキ一人で、ヘヴィな状況に対処しなければいけなくなる。
その厳しさはハッピーエンドを当然連れてはこず、コルトは撃たれるし、巨大組織をギャフンと言わせることも出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
せめて、明日を求めて仕込んだ爆弾が、同じ苦しみに苛まれている弱者を傷つけないよう、必死に意地を絞り出すくらいしか出来ない。
しかしその小さな強がりが、鉄郎を十三に庇護される側から、隣に並び立つ存在へと変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
鉄郎をヒロインからもう一人の主人公に引っ張り上げるためには、この泥臭く、なんとも後味の悪いエピソードが必要だったのだろう。
そのままならなさが、妙に手にしっくり馴染む。良いエピソードだ。
鉄郎はドブ川に身を投げて、コルトを体を張って守ろうとする。彼の命はこの段階でほぼ尽きていて、それは無駄なあがきだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
しかし第1話、自分を守るために一緒に落ちた十三と、タメを張れる覚悟を示すことは出来た気がする。
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形の上では、無力な自分を背負ってもらっているのだけども、その実死人を故郷に連れて行って、対等な目線で最後の希望を受け取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
コルト最期の帰郷は、『操る』というハルモニエの特質を、上手く活かしたシーンになっていた。
それが完璧な答えにならないところに、鉄郎の未熟が嘘なく書かれている。
コルトが身を浸す、”街”の現実。それに飛び込んで、明日を信じられない絶望だけは、希望へと変えることが出来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
それしか、少年には出来なかった。それだけは、少年にも出来た。
凄腕のプロが意地を張り通す、痛快娯楽劇とは少し違うが、手応えのある挫折と希望が、よく燃えていた。
十三が鉄郎の物語に介入しないまま、クールに処理屋としての仕事をこなす描写も好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
今まで小狡い描写ばかりが多かった警備局が、青筋ビキビキ言わせながら最後の意地を犯罪者に突きつけるところも良い。
皆泥の中、かすかな輝きを握りしめながら生きているのだ。
コルトの話をやったことで、スピッツベルゲンも相当な屑だと印象付けられたわけだが、そこに席を置くメアリーの兄、ヴィクターと十三にも因縁がありそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
べリューレンの”ハンズ”も顔を出してきて、最終エピソードはまた強く煮えそうである。やっぱ過去コスる話は興奮するなッ…!
巨大な力とちっぽけな意地がぶつかる鉄火場で、鉄郎は今回掴み取ったもの、掴みきれなかったものを胸に刻んで、どういう立ち回りをするのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月13日
このアニメは鉄郎の成長物語だったとも思うので、最後にどういう変化を刻んでくれるかは楽しみである。
今後の鉄郎の生き様が、コルトの墓標になるわけよ…。