ドロヘドロを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
薄汚れた混沌の町、ホール。
異世界からドアを開け、魔法使いが襲い来る狂乱の街を、ズカズカと進むトカゲの顔の男。
躊躇いのない暴力と、曇りのない剽軽が同居するカイマンの失われた記憶、積み重なる暴力。
その先に何が待つか。それは…混沌の中。
つーわけで、天才・林田球の原作をMAPPAが渾身のアニメ化!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
暴力とユーモア、血しぶきと生活感をごたまぜに、超ハイセンスな小汚さでぶちまけたカオスの申し子が、存分に暴れまわっていた。
薄汚さを最大化するために、狂ったレベルのこだわりと作り込みを使い倒す。
原作のテイストを最大限理解した、良いアニメ化だと思う。まぁ俺も、IKKI時代しか知らんのですっかり忘れとるのだが…この漫画面白いな!!(今更ボーイ)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
頭からケツまでわけが分からねぇけども、その意味不明感に気持ちよくぶん殴られて、もっと見たくなる圧倒的パワー、驚異的ケイオス。
非常に元気な第一話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
まず、美術がマジですげぇ!!!!
ホールの薄汚れた世界、重く沈鬱なんだけども、所々に過剰な明るさとハイテンションが宿る独特の雰囲気が、ビシッとアニメに宿っている。
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”街”はもう一つの主役であり、言葉なく強い存在感を宿す大事な舞台。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
これから展開される物語の雰囲気、解像度、焦点をドバっと流し込んでくる、問答無用の説得力がしっかり宿っていました。
あらゆる瞬間隙なく”ホール”なの、本当に凄いと思う。頭っから世界観に浸れる。
ただ奇っ怪で凄いだけでなく、ザラつき魅力的な世界観を最大限活かすよう、スタイリッシュなシーンは凄くカッコいいのが、やっぱ良いですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
カイマンが記憶惑乱を起こすシーンとか、白黒とレイアウトがズバッと決まった、良い画面に仕上がってました。
なんだか理解らねぇが、とにかくスゲェ。
見て一発で判る所まで、緩みなく世界を仕上げていたのは本当に良いと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
”ホール”の薄汚さに比べ、煙ボスの居城は綺麗にまとめられていて、彼の人格がしっかり滲んでいました。
カイマンの世界とは真逆で、しかし同等のセンスと力がある
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ただ杓子定規に綺麗なのではなく、狂ってるところはちゃんと狂っていて、伝統魔法の得体のしれない美しさも宿って、”ホール”とは別角度から、思いっきりぶん殴ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
こんだけメチャクチャなのに、ちゃんと”魔法使いのお城”なの凄いですよね。ギリシャ風の特大絵画は意味分かんないけど…。
そんなクレイジーな世界で、何が起こるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
血まみれの男がトカゲ男に食われて、その奥にいる別の男に対面するのです。
出だしから訳がわからねぇ…だがそれが良い!!
『これで悪酔いするなら帰りな!』と、作品が言ってくれるのは親切。
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…親切なのか? 親切ってなんだ?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
そんな疑問も膨れ上がる、訳の分からねぇスタートである。
視聴者の混乱は、記憶と過去を持たないカイマンの混乱でもある。
彼の内面的なアイデンティティ・クライシスは、”ホール”という世界、そこで展開するハチャメチャなドラマにも拡大していく。
主役の内的宇宙と、それを取り巻き展開させる物語(外的宇宙)がしっかり繋がっているからこそ、兎にも角にもハチャメチャで、しかし不思議と芯がある、魅力的な一話が生まれているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
これは作品の根っこに繋がる部分なので、安定感と信頼を生みもする。
主役が訳わからねぇんだから、話も世界も訳わからねぇに決まってんだろ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
そういう一本筋の取ったクレイジーが、一話ずーっと暴れまわるお話である。
何が起こってるかは、カイマンがそうであるようにさっぱり分からない。しかし、何かが起こるのはイヤってほど判る。理解らされる。
混沌のキャンバスに踊るのは、奇妙な剽軽さとむせ返るような暴力で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
バイオレンス表現が多彩で、直接的にやるシーンもあれば、センスよくスパッと見せるところもあって、味が濃いのに胃がモタれない、見事な味付けだった。
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血まみれドバドバでギガバイオレンスするところもあれば、ドアからぶら下がった手とか、口から垂れ下がった皮とか、過程を飛ばして結果だけ見せる演出も使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
暴力ってのは味が濃い調味料なので、結構使うのが難しいと思うのですけど、それを色んな味付けで見せるってのは大事だと思う。
この後もゲップが出るほどバイオレンス満漢全席が襲い来る話なわけで、その表現が多彩なのはスゴーク良いです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
暴力一直線の乾いた話ではなく、ジューシィな人間味とか、剽軽な面白さとか、色んな味が混ざるからねぇ。
しっかしトカゲの口の中が三回も出てくるアニメ、初めて見たよ…狂ってんのかな?
カイマンは超暴力を迷わず行使する危険人物だが、子供っぽい明るさとノンキな面白さも持った、奥行きのある人間だ。高木渉の好演が光る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
二階堂との爽やかな友情も良い。仲良く馬鹿笑いした直後に、殺し屋の目で魔術師を睨み、殺す。
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殺意と善意に敷居がない、異質な精神性。しかしそれは、魔法使いの侵略を受けた”ホール”ではむしろ当然の生き方だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
狂った世界では、狂っていることが正常になる。そんなルールを、オンオフのスイッチすらない二人の歩みは、よく教えてくれる。
カイマンと二階堂は本当に仲良しで、餃子を美味しく食べて軽口をたたき合い、協力して魔法使いを殺す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
この軽やかで明るい友情と、血まみれのギガバイオレンスが混じり合うことなく、裏表もなく、同居しているかすら解らないまま、とにかく隣り合って存在してしまう。
そういう話である。
そんな彼らに立ちふさがる、もう一つの極。煙ボス率いる魔法使いたちにも、情があって生活がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
異常性よりも日常性を大事に、ボスの頼れる部分を初回から見せる運びはとても良かった。アニメになると、マジでカッコいいなボス…。
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打算も込みで、魔法使いだって徒党を組み、お互いを助ける。情も繋がりもあるが、『命を大事にできねぇやつは死ね!!』という矛盾を吠えたりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
相容れないパラドクスが、しかし確かに存在してしまっているがゆえの混沌と対立。もしかしたら対話と融和。
それが、ドロヘドロ。
カイマンサイドは徒党を組まず、二階堂と一生キャッキャしながら過去を探し求めることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
それが頼れるボスを頭に、血まみれ闘争にスクラム組んで飛び込んでいく煙一党と重なっているのも、また面白い。
ボスは部下の面倒よく見て偉いなぁ…皆狂ってるけどさ!!
表現の部分の話なんですけども、多分めっちゃコストかけてあらゆるモノを小汚くしてるの、本当に凄いと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
通信機、写真の包み、人間の顔。あらゆる場所にウェザリングが入って、ツルッとしてるものが一個もない。
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ザクザクした描線が常に、物質の表面を這い回って情報量を上げている。スルッと処理しきれないカオスが、無謬の存在を許さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
そういうルールを徹底するべく、描画に計算された小汚さ、ハイコストな汚れが付きまとってるのは凄いと感じました。
主役も話も敵役も、全てが狂っていて過剰。しかし異質さだけが際立つのではなく、餃子に象徴される生活感、頭のトゲに枕が刺さるユーモアも、確かにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
暴力と悪夢のワンダーランドを、一方的に消費させない魅力的な混乱。
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一切訳がわからねぇが、強烈な個性とルールが作品世界を力強く下支えしている安心感と、このカオスに飛び込みたくなる魅惑はしっかり伝わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
良い原作を、良いアニメに仕上げた良い第一話でした。マジ素晴らしい。一生背景美術見てたい。
カイマンの3Dが、一切違和感なく作画に溶け込んでるのも凄い。
一切予測不能、何が飛び出すか理解らねぇびっくり箱なアニメですが、面白いものが見れるのはまぁ間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月15日
このカオスに、思い切り首を突っ込んで、奥にいる”もうひとりの男”と話し合いたくなるような、いい仕上がりでした。
こっから何が見えてくるのか。それはまだ、混沌の中…次回も楽しみ。