虚構推理を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
奇縁で結ばれた、一眼一足の少女と怪物混じりの青年。
次なる事件は、死体を縄張りに投げ込まれた大蛇神の説得！ 男の方は豚汁食いたいから来ないッ！！
全てが一筋縄ではいかない、パラノーマル・ミステリ。おひいさまのラブの行方も、五里霧中の彼方かッ！？
そんな感じの、掟破りの超メタミス第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
九郎とおひいさまの、ラブコメしてんだかすれ違ってんだか微妙に判別しにくい、独特な距離感をグツグツ煮込みつつ。
”真実”ではなく”納得”を追いかけていく、説得型真相追跡物語がゴリゴリと展開していく。異能メタミスの本領発揮、というか。
まーとりあえず、OPのおひいさまが可愛い可愛い可愛い祭り。既に神輿は妖怪たちが担いでくれているので、練り歩く必要なしッ！！
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
人類の三大欲求『可愛い子を神輿に担いで練り歩きたい』を完璧に満たす、福祉の行き届いたアニメだ…。
©城平京・片瀬茶柴・講談社／虚構推理製作委員会 pic.twitter.com/Lrzzo1rlhX
琴子はデザインも芝居も完成度が高く、立って動いてるだけで絵になるいいキャラだ。彼女の可愛さが、フックとなり背骨となりエンジンとなり、物語を駆動させている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
なので、思いっきり強気にぶん回す。全面に出す。正しい。
しかし、ただの可愛い祭りではないのはご承知の通り。
スカートの裾を下から攻めるアングルも、必ず妖怪が絡んで奇っ怪な絵面になる。ボーッと興奮しているだけを許してくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
妖怪どものデザインも可愛いんだけども、なんでこうも、おひいさまのヒラヒラを狙ってくるのか…不思議な匂いするのか？
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とまぁこんな塩梅で、推理と説得とラブコメと怪異譚が奇妙に煮崩れた、不思議な味わいのアニメである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
ラブコメの方も、連れない態度も気にせず琴子がグイグイ行って、跳ね返されても諦めず、その猛攻を九郎が捌くトムジェリ型である。なかよくケンカしな。
愛のためなら妖怪ストーキーングも辞さない、琴子のアクの強さ。それに負けない、妙に飄々とした九郎のしぶとさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
この2つが噛み合って、一体愛は生まれるのか、脈はあるのかないのか追いかけるのも、このお話の面白さの一つだ。
横暴なおひいさまを応援したくなる可愛げがあるの、強いわな。
九郎は己を呪った”もう一つの肉”を、琴子に教えない。そこまで、信頼関係が生まれていない、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
その割には、豚汁抱えて説得現場に足を運んだりはする。怪異を恐れているのではなく、自分という怪異に十分なほど琴子が”強い妖怪”であるかを、じっと見極めている感じもある。
魑魅魍魎が跋扈する世界の形を、とっとと”是”と認めたこの世界。世界の真実、異能の可否という、フツーのミステリや異能力モノなら引っ張るネタは、作品を牽引し得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
異質な世界、異質な住人にも独特のロジックがあり、秘密を隠す壁がある。それを乗り越えるやり方も、異質でありつつ…
奇妙なロジックを持つ。これは謎も恋も同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
九郎のハートを射止めるためには、普通のやり方では届かない。刻まれた”もう一つの呪い”が発言するような、異常でやばい状況を共有することが…超絶ミステリの渦中に飛び込んでいくことが、おひいさまの恋をアシストもする。
そういう構図だ。
のんき（？）なラブコメの時間は終わり、雀の輿に乗っかって、向かうは赤い月の下。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
湖の主たる大蛇、その喉元に引っかかった”謎”の小骨を、様々にくすぐって取るのが一眼一足の智慧神、今回の仕事である。
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セッティングは正当怪異譚なのに、大蛇は妙にフランクだし、おひいさまは春のお呼ばれワンピース with 小学校時代の登山服だし、凄まじくポップだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
異質なもの、シリアスになりうるものを、その核を残しつつポップに煮込む。作品のテイストをよく表した、深夜の妖怪トークである。
琴子は伝奇化されたアームチェアディテクティブなので、妖怪を見、触り、語ることしか権能がない。ここら辺、案山子の神でもある久延毘古の正統という感じもあって、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
警察の内部資料も手に入らないし、加害者から直接証言も取れない。
出来るのは謎に名前を付け、背景を推察し、納得を生むだけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
かつて闇の濃かった時代、無明を相手に人間がそうしていたように。
良くわからないものを名付け、安心を手に入れる。人間の防衛本能を、恐れられる側の怪異もまた、求めている。ここに一つのネジレがある。
大蛇を置き去りに加速する、人間社会の発展。山や湖に巣食う魑魅と語らう術を失った、継承なき文明。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
琴子と九郎が”人間”として身を置いている世界は、怪異から見れば不気味な異界であり、今回の死体投棄は”そこ”との接点…漏れ出したミステリなのだ。
琴子の単眼は、そんな転倒を否応なく見る。
解決の方向性は真実をえぐるのではなく、妥協できる納得を探して、矢継ぎ早に解釈を叩きつけ続ける形だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
科学的な事実、社会法学的な決着を、”人間”としては一少女でしかない琴子は獲得できない。
堂々現場に到着して、警官にかしずかれ情報を教えてもらう”名探偵”ではないからだ。
彼女は新聞の公開情報を徹底的に集め、それっぽい推理の場を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
重箱の隅をつっついてくる大蛇を、口先三寸でだまくらかす…というよりも、真実よりも認識が重要であった時代のルールに従い、必要で適切な解決策を模索している感じか。
”藪の中””火刑法廷””虚無への供物”…
あるいは”ディスコ探偵水曜日”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
固定された事実を暴き出すのではなく、認識によって様々切り替わる不定形の事実を、次から次へと開陳していく複層型のミステリ。
確定し得ない謎を、探偵の言説によって例示し、選択し、固定していく認識の闘争。
琴子がやってるのは、そういう類の謎解きである。古くて、新しい語り部の仕事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
こうして目鼻を付けることで、人は深い闇に形を与え、安心を手に入れてきたのだ。
その心魂は、都市伝説（あるいは、詐欺まがいの健康広告）飛び交う現代の街でも、実はそうそう変わっていない。
必要なのは真実でも事実でもなく納得で、それは人間も妖怪も同じだ。理性の光ですべてを照らしたように見えて、妖怪も謎も残っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
琴子は単眼でそれを見据え、大蛇の前に提示し続ける。様々な事実、様々な真実が明滅を続ける。
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『上手く見つけてくれると良いのだけど』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
その一言の真意に適応するように、それを聞いた大蛇が納得するように、琴子は過去を推察し、再構築する。
大蛇は妙に堅牢なロジックでその穴を探し、納得を手放して次のお話を求める。
重要なのは、法で裁ける事件ではない。そっちはもう終わってる。
事件の加害者でも被害者でもなく、信じられつつも認識すらされない透明な通りすがりが、心に引っかかった謎。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
それを適正な色に塗りつぶすことが、このお話の眼目だ。
人知を超えた異質なシステムを納得させ、人の世界とぶつからないように調整するために。
異常な絵面、殺人事件に一切動じない心魂が目立つので、うっかり”おひいさま”を妖怪サイドだと思いがちだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
琴子は人間の側にも立って、人のルールと怪異のルールを調整するために、片目と片足を残された。
彼女は怪異探偵であり、人と妖の調整官でもある。ならば、人間用のルールに従う必要もない
そんな彼女の”語り”を、影からひっそり聞いてる九郎くん。怪物の肉が混じった自分も否応なく、真実と認識、人間と怪異のあわいに立つ存在であるから、琴子の仕事ぶりは気になるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
シンプルに、縁があったちびっ子を放っておけないのもあるか。
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九郎が指摘した、琴子のフィジカルな弱さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
それは不死身の人魚イーターである九郎が補えば、穴がうまる。いい感じに充足しあえる関係が見えているけど、九郎はじっと距離を測っている。
怪異の喉元に引っかかった謎を、智慧神が適切に処理しきれるか。九郎はそれを、しっかり査定している。
その視線が恋にたどり着くかは、これまた五里霧中の奥である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
多層であやふやな推理から、一つを選んで納得することも出来る。唯一絶対の真実を探し求め、掴み取ることも出来る。
ロマンスもまた、一つのミステリなのだ。それに向かい合う姿勢も、様々にあり得る。
さて、長語りの果てに琴子が差し出す”答え”は、大蛇を納得させうるのか。その答えは、九郎が信頼を寄せるに足りる名回答か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
過去の記述を探ったところで、フェアな答えはない。事実と真実は語りの後を追いかけてきて、次々生成されるものだからだ。
少なくとも、怪異のルールでは。
同時に因果関係が鮮明で、謎をスパッと切り落とせる（ことになってる）啓蒙の世界にも、二人は足を置いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月21日
トンチキ奇っ怪な関係性が、そのどちらに進んでいくか。そもそも、そこに線を引く必要もないのか。
そこもひっくるめて、次回が楽しみです。”鋼人七瀬”に踏み込むの、想定より早いな…。
