ドロヘドロを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
ホールと魔法使いの世界を繋ぐ因縁は、混沌の海を揺らす。
己の力を示すためにボールを握り、友の死体を取り戻すためにバットを振るう。
唐突に暴れ狂う野球回と、恵比寿のケムリ。血みどろベシャベシャな友情は、一体何処に行き着くのか。
そんな感じのカオスの極み、ドロヘドロ第七話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
凄まじいスピードで野球をすることになった藤田が、作中随一の人間性と弱さを見せたり。
そんな藤田が大事にしてる恵比寿が、”魔法使い”としての凶暴な過去を顕にしたり。
相変わらず足踏みしているようでいて、ジリジリと物語は進んでいく。
藤田は遺体のない松村の墓を、この生命がスナック菓子より軽い世界で大事にしている。それは狂った世界では異質であり、魔法使いとして大成できないのはその”マトモさ”故かも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
世界のルールに適応しきらないのが、彼の良いところだが
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パートナーに募集が集まらなかった藤田は、プライドを回復するためにカイマンを殺る決意を固める。慰めてくれる心&能井が、なんだかんだ優しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
男を立てる闘いに、守るべき重荷は不要。カッコよくキメようとドアをくぐった所で、恵比寿はピョンと跳ねて隣に立つ。なんだかんだ、藤田が好きか…。
狂って弱っちいけども、嘘のない二人の関係がよく切り取られたドア越えだが、そこから”野球”になるところがまぁ、ドロヘドロである。全く必然性がねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
運命はゴロゴロと転がり、13はニカイドウに熱視線を送り、恵比寿はサメ可愛い。
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魔法使いのマスクを外した二人の私服が、歳相応の兄妹みたいで可愛いが、そんな生っちょろい関係を街は赦してくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
完全ギャグの野球が終わったら、守りたかったダチは暴走した友達にぶっ潰され、自分は何も出来ない。そういう厳しさに感傷を抱く暇もなく、状況は転がり続ける。
すんごい酷いことが起こり続けるのだが、あんまベッタリとカメラを貼り付けず、感傷を置き去りに転がっていく人生のドライさ、出目が読めないカオス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
そこに笑いとセンスの風が吹いていることが、作品独自のテイストを生んでいるのだと思う。ウェットな描写も巧いけどね…。
恵比寿のケムリで掃除屋共が大変なことになってるなんぞ、想像もしないまま。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
こっちはこっちで、運命に出会いなおす。第1話であっさり死んだはずの松村に、藤田は人間として当然の情を持ち続ける。カスカベ博士のマッドっぷり、ほんと凄いな…
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『魔法使いの死体だから、まぁ良いだろ』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
ホールも魔法使いの世界に負けないほど、十分狂ってる。野球をするのは、心先輩が皆殺しにした”町内会”の処刑場跡地だし、底なし沼も開いている。
その泥に汚れて、友達に手を伸ばすのは少数派だ。
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魔法でズルをするのも、睡眠剤入りドリンクも当たり前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
MAPPA謹製の良い野球作画が、ホールのルールにドンドン飲まれていく…。
こんなトンチキ話なのに、”動き”の質は圧倒的で、非常に気持ちよく嘘のない”野球”な所が、コストを掛けたミスマッチの作り方だ。アホだなー(褒め言葉)
カイマンをぶっ殺し、魔法使いとしてのプライドを取り戻してきたホールで、なんの因果かピッチャー稼業。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
しかし恵比寿の助言で、人殺しには使えねぇ魔法を活用する方法を見つけたりもする。
この屈折したプライド回復法が、藤田&恵比寿ペアっぽくて好きだ。
まぁニカイドウ必殺のアバンストラッシュ殺法で、綺麗にぶっ壊されるんだけどね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
魔法とかそういうの関係ねぇ、圧倒的にフィジカルな領域で叩き潰しに来るの、最高に”ニカイドウ”って感じ。
13が知らない素顔を、カイマンはよく知ってる訳だ
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藤田が男を上げようと企画したホール殴り込みは、野球やって負けて松村(の死体)を回収して終わる。
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顕になるのは藤田の新しい実力ではなく、恵比寿の魔法だ。始点と着地点がズレているが、全体としては謎が一つ解けて、新しい謎が生まれ、松村は死体に戻る。
捻じくれた、混沌の物語敵足跡。
恵比寿の魔法はもう一つの関係性も、色々見せてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
闇の中、怪物になった相棒の臓腑をえぐり、こちらもハラワタをくれてやる赤い友情。
恋とか信頼とか、なかなかラベルはつかないけども。
心先輩は能井を、とても大事に思っている。
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相棒がピンクの狂獣になっても、ちゃんと自分の両足で担いで、始末をつける。マスクを剥がれても、別に対応が変わるわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
心先輩は、ツギハギのまま完成し、非常に安定した人格を持ってる。狂ってはいるが、芯はぶっとく入っている。
その土台を、能井の存在が支えてもいるのだろう。
ボスは姪っ子を元に戻すため、塔に幽閉した変態相棒を頼る。私室の装飾が露骨狂ってて、鳥太のクレイジーな内面をよく教えてくれるね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
鳥太、魔法を解く魔法。
カイマンが魔法使いをぶっ殺して手に入れたいものは、ここにある。
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だが主人公はそれを知らず、むしろ敵対してしまっている。この混沌が解れる時は、いつか来るのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
それは未来の話として、心先輩は過去を思う。能井と一緒に過ごした、一番面白い瞬間。
それが崖っぷちのダイブな所に、二人の距離がある
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胸の中に宿した、黄金の瞬間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
お前と一緒なら、地獄だって楽しめる。
舞い降りる黒い鳥と、復活の奇跡。
目を覚ました能井のまつ毛はバッチバチで、『見せてやるよ…超絶美女だってことをよぉお!!』というMAPPA作画班の気合いが聞こえるようだ。
臓物出てんのに、まず服を差し出す心先輩…。
恵比寿のケムリで始まった大騒動は、心と能井が有りもののロマンスではなく、臓物と狂気で繋がる間柄をよく見せてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
それは普通じゃないし、一般的な意味合いでの”綺麗”でもない。
しかし言葉にしない真心と思い出があって、ノータイムで命くらいは張れて。
そういう友情よりも太くて、恋よりも熱い絆が二人を繋いでいることが、登場人物中一番ブレない人格を支えているのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
他の連中過去を失ったり隠したり、相当に揺れてっからな…心先輩はツギハギになった時に、そういうもんを置いてきちまったわけだ。
一方弱い藤田はツギハギになった友人を止め得ず、もう一人の友人が力を暴走させるのも止められない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
狂獣と化した恵比寿は松村を二度目の死に誘い、その過程で何かを思い出す。
藤田も松村も、相当悲惨だよなぁ…。
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まぁ死活の境界線を、スナック感覚で行き来するお話だから、死んだ程度で悲劇と決まったわけではないが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
確かに悲しみは存在するし、悲しみを前に立ち止まっているほど悠長な話でもないのだ。
藤田の悲痛な叫びを置き去りに、次のお話へ
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そんな感じのドロヘドロ、第七話でした。”コンテ清書”ってクレジット、初めて見たヨ…一体何があったんだろうか……。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
野球でクレイジーに始まったと思ったら、能井と心、恵比寿と藤田、藤田と松村の”情”が血に滲む、妙にメロウな仕上がり。
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それをベシャリと投げつけて、混沌はグルグル転がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月24日
13を当て馬に、カイマンとニカイドウの絆も見えたなー…。こういう形で、狂った世界でも息づく人と人の繋がりを見せるのは、やっぱ巧いね。
取り戻された恵比寿の記憶と正気は、一体状況をどう動かすか。次回も楽しみ。