地縛少年花子くん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
シリアスで重たい、生と死の境界線。光が涙とともに痛みを噛みしめる中…寧々はノンキにお茶会してた。
噂を歪める”敵”は、話してみれば結構いい人で。
呼吸をするように、寧々の命を狙う。
境界の狭間、どこでもない場所を抜けた先に、いかなる答えが待つのか。
そんな感じの、放送室メンツをよく知ろう! という回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
ミツバエピで顔を見せなかった寧々を主役に、明るく楽しくやべーやつらを掘り下げるエピソードである。
寧々と花子くんと光、桜とつかさと夏彦。鏡合わせの敵と味方が接触し、相手のヤバさと寧々の変化、越境され混濁する境界線がよく見える。
寧々は相変わらずの超浅はか人間で、顔が良けりゃヤバいと判ってる相手でも、ヒョイヒョイついていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
欲しいのは”イケメン”という記号であり、自分が恋をしているという空疎な事実であり、危険もときめきも上手く把握できていない。
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それは寧々(そして思春期に溺れる全ての少年少女)の主観でしかなく、夏彦の周囲は怪異と脅威と悪意の緑に、既に塗られている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
花子くんに付き合って、そういう世界をたっぷり体験しているはずなのに、ピンク色の綿あめのような、甘くて都合のいい空想はなかなか寧々から抜けない。
まぁ世知辛さに学び、抜き足差し足で慎重に事件に向き合う寧々とか、話引っ張る主役としてはパワー不足だけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
ヤベー事態に知らず口を突っ込み、状況をかき回しつつちょっとだけ学ぶ。ちょっとだけ変わる。
その行きつ戻りつの”成長”を見るのが、心霊ジュブナイルの楽しみだったりする。
『旅路の対価は高いもの』と、神話時代から決まっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
寧々は浅はかなイケメン妄想の対価として、水ぶっかけられて拉致される。
トンチキな服を着せられ、相手方の領域で、相手方の食事を振る舞われる。
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衣・食・住という日常的生活領域を、”放送室”サイドに寄せるある種の呪術。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
寧々の警戒を解き、生贄の人間性・共通点を確認した上で殺す企みを、寧々は一切看過できない。
何も知らず、何も疑わない”愚者”の負の側面が、彼女にガールズトークの麻酔をかけていく。
桜は寧々と話し込むことで、怪異と行き交った乙女、その意志を現世に作用させる神薙(メディウム)の宿命を確認する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
亡霊の力を借りたものは、亡霊の願いを拒めない。
幼気なつかさが滲ませる黒い気配で、楽しいお茶会は緑暗に染まる。
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人魚の贄になりかけた時、何故花子くんは寧々を選んだのか。数多いるだろう犠牲者から、わざわざ寧々を”主役”に、己の神薙に抜擢した理由は?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
桜とつかさの狂暴な共犯は、当然の主役特権と受け止めていたものを疑わせる。
本当にただの偶然か、それとも何らかの運命か?
そのヒントも今回出るが、桜とつかさの関係性もまた、色々考えたくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
幼さと同居する、つかさの無邪気な破壊願望。人ならざるものの願いをすくい上げる、花子くんの対存在。
人魚の呪いを受け半・怪異となることで、寧々は花子くんを見、聞き、触ることが出来るようになった。
ならばその鏡像たる桜は、怪異が半・人間となる願いを込め、つかさと契約した存在なのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
『結構仲良し』に見えて、隠微な支配関係と透明な悪意が満ちる”放送室”の関係性。これを彫り込むには、多分アニメの放送期間足らないんだよなぁ。
…行くか、”原作”。
得体が知れないのは謎のチャラ男、夏彦も同じである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
彼は致死の悪意が満ちる部屋で、一切動じない。
『死んでも大丈夫系な人』じゃないなら、ヤバい部屋。水に触れれば魚になるはずの寧々が、人の殺される呪詛の只中で、だ。
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境界の間に迷い、扉の向こうの危険に巻き込まれつつ、彼は死なない。それはいかにも漫画的なギャグキャラ補正…に隠された、怪異としての彼の特質なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
彼は多分、『死んでも大丈夫系な人』なのだろう。
元来そういう存在なのか、生死の境界を越えたからそうなったかは分からんけども。
パット見口当たりが良い、最新鋭のポップさ。その奥に芯の太い伝奇と、かなり重たい生き死にが詰まっているのがこのお話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
夏彦も見た目通りのチャラ男では当然なく、”放送室”に相応しい重さと歪みを秘めてんだろうなぁ、と思う。
それを暴くのは、このタイミングではないけども。
浅はかな主観世界を越えて、シリアスな実相を飲み込むには段階がある。夢想と現実の境界を一緒に越えてくれる、パートナーが必要になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
寧々にとって花子くんはそういう存在で、魔法使いのお婆さんであり、王子様でもある。
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この世でもあの世でもなく、過去でも現在でもない場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
白紙であるがゆえに、いかな存在にもなりうる空白。
寧々が迷う場所は、青春期の可能性、生者の不確か。その只中にいる彼女の状況を、そのまま反映している。
そこはワクワクと危険に満ちて、一人で迷っては死んでしまう。
スピリチュアルな導き手、『私を守ってくれる男性』という、甘っちょろいファンタジー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
そういう夢想を全て背負ってくれる花子くんの顔を、寧々はだんだん裸眼で見つめてきている。
しかし等身大の彼を抱きしめるには、まだまだ時間と歩みが必要で。今回の花子くんは、遠い助言者である。
ほんっまこのアマは、緒方恵美声の超絶ミステリアス&エロティック美少年が一生自分を気にかけて、大事にしてくれる特大ラッキーを自覚しておらんからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
まぁ幸運というのは無自覚にこそ宿るもので、意識してしまえば失われるものは多い。
ホント、”愚者”のアルカナを背負う少女ね。
夏彦が扉の向こうの”死”に食われても、寧々はあまり気にしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
例えばミツバ編の重たさでやると、放送室が”敵”になりすぎる、ってのもあるだろう。自分たちに似て、だからこそ敵対する存在として描きたいんだから、寧々たちが楽しむような日常、笑顔の余地は残さんといかん。
それと同時に、寧々の浅はかな鈍感さ、霊的存在の本質を見抜く視力も、結構残酷な置き去りに繋がってる気はする。まぁ死にかけてるしな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
寧々はもっけ(花子くん代理としてのスピリチュアル・メンター)に導かれ、扉の裏の扉に気づく。
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普通に境界線を定めていたのでは、けして見つからない突破口。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
それを超自然的存在に示唆され、自分の足で”裏/表”の境界を定める(”回り込む”というのはそういう行為だ)ことで発見する。
寧々の歩みはかなり魔術的だが、彼女はそれがオカルトだと一切気づかない。
その扉は時間と因果を捻じ曲げる、”どこでもない場所”だからこそ開く突破口だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
寧々は扉の向こうで、花子くんになる前の人間・柚木普と出会う。霊体ではない肉から血を流し、溢れる涙を瞳に止める。
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あの校門(越境された境界!)で見つめた、”まるで人間みたい”な花子くん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
彼が殺し、死に、怪異の王であり亡霊であり秩序の維持装置でもある存在に成り果てる前の、血の通った表情。
恋の夢に溺れ、危険な世界の本質に目覚めない寧々が、それでも見たいと願ったものを、彼女は死を超え見つける。
敵地に囚われ、賢者の助言で危機を脱出し、一つの叡智に至る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
寧々が今回歩むのは、結構古典的な英雄物語だったりもする。
花子くんがどんな人間なのか。なぜ、”花子くん”になったのか。
それを、寧々は知りたいと願った。世界は彼女の望みに、厳しく優しく答える。
ここで一つの、とても強大な越境が行われているが、寧々は(これまで通り)その意味に気づかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
狭間から繋がった過去は夢ではなく、花子くんの主観において過去となる普時代、既に寧々と出会っていることになる。
誰も気にしてくれない己の傷と涙を、気にかけてくれた不思議な少女。
その面影を寧々に見つけたから、特別に寧々を選んだのか。しかしその出会いがなければ、このオカルティック・タイムトラベルは発生していない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
過去と未来、原因と結果の境界はねじ曲がり、始まりと終わりがくっついた不可思議な空間が、今回生まれてしまった。
失せ物注意。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
アポロの過去から令和の未来へ、時間を越えて寧々に付き従ったロケットは、どんな運命を書き換え、どんな冒険へ繋がるのか。
否…絶対に書き換わらないはずの”赤い本”を、普の死が超越した理由は、このロケットに?
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そこら辺は今後の謎として、今はロマンスの時間である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
ずーるーいーーーー!!
俺も声が鬼頭明里で、浅はかな15歳女子だったらこんな体験できるんか!(出来ません)
花子くんは屋上で寧々のドーナツ…真心の象徴であり、現世に己を繋げる供物を無下にしたことを謝る。
その体温は、先週ミツバを処断した冷たさと相反する…ようでいて、矛盾せず同居する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
”花子くん”を作り上げる、人間と怪異、2つの仮面。ヤヌスめいた矛盾を繋げ、境界を一つにまとめあげる鍵は、人と亡霊の許されざるロマンスの只中にこそある。
んーむ、クラシック!(超褒め言葉)
夕日の只中の包容を、寧々はのぼせることもなく素直に受け止められる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
これは恋じゃないから。花子くんは”なんか違う”から。
その言い訳が、浅はかな夢ではない自分だけの物語と強く繋がっている事実に、寧々はやっぱり気づかない。
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しかし『無自覚である』ことと『無視をする』ことはイコールではなく、寧々は自覚のないまま、オカルト的にも人格形成的にも非常に正しい道を進んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
山あり谷ありの冒険を経て、霊的なアドバイザーの言葉を受けつつ、先に進んでいく少女の歩み。
花子くんは仇敵が着せたドレスを、一瞬で戻す。
『いつもの制服』こそが、寧々が向き合うべきロマンスの正装であり、自分とともに歩む物語に相応しいと、学帽をかぶったフェアリー・ゴッドマザーは微笑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
…衣装が変わっても、胸のドクロが消えないあたり、寧々には”死”のヴァニタスが付きまとうね。未来、結構暗いなコリャ…このままじゃ。
寧々は『いつもどおり』のはずの笑顔に”なにか”を感じ取り、自分の足で境界線を踏み越える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
過去から時を超え持ち帰ったロケットは、既に死せる少年の魂に何を連れてくるのか。少女の小さな一歩は、月世界を超えて亡霊に、温もりを届けるか
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『花子くんがいない冒険』をなんとか乗り越えることで、寧々は花子くんの存在感を再確認する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
もっと強く、もっと近く花子くんを知って、その存在に触れたい。
それは亡霊と人、過去と現在、生と死の境界を超え、世界のあるべき姿を学び書き換える旅路だ。せ、正調オカルトだ…。
それはただ願えば叶うような甘っちょろい旅ではなく、運命に導かれた反存在が、無邪気な悪意を込めて立ちふさがる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
血の色に塗られ、見えぬ者の声が木霊するつかさの領域。そこでベチャベチャと塗り込まれるのは、死せる死者の無念か。
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オフボイスで呟かれていた言葉、壁面に刻まれた衣装。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
どう考えても、超ろくでもない形でミツバが戻ってくる前兆で嫌な予感しかしない。
先週の話がスゲーいい角度で刺さっているので、ミツバの死体を更に玩弄するつかさのヘイトアーツ、無茶苦茶よく効くな…。
おそらくおぞましい変容を遂げ、三度生者の世界に戻ってくるだろう憐れなる少年。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
それと向き合う時、今回寧々が成し遂げた”放送室”との対峙、花子くんにより強く踏み込む決意が、どう生きてくるか。
なかなか楽しみになってくるエピソードでした。
あらゆるオカルトが重要視する”越境”を、この作品も大事に扱いながら進んでいると思うのですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
『どこでもない場所』から過去に飛んだことで、寧々(を主役とするこのお話)は因果と時間の境界を越え、書き換える仕事を果たしました。
ある意味、時空間ミステリの側面が出てきたな…。
想定していたスケールをもう一つ越えて、話が良い勢いで転がるのが楽しいですが、アニメの範疇で全部を捉えるのはまぁ無理だよな…原作、終わってないし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月7日
”放送室”の無邪気と悪辣、鏡合わせの類似と相違を寧々も確認したところで、さて、次の事件どうなるか。
来週も楽しみです。