BNA ビー・エヌ・エーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
アニマシティの現実に、慣れつつも馴染みきれないミチル。”外”への憧れを詰め込んだ違法スマホから、繋がった縁が少女を導く。
無垢な瞳に映るのは、光に満ちた美しい場所。キラキラだけを詰め込んだ、お伽噺の白昼夢。
水槽の中の人魚は、輝く街の夢を見るのか?
そんな感じの、獣人達の生活スケッチ第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
アニマシティの薄暗い側面、それに揉まれながら新たな自分を探すみちるを追ってきたカメラが、今回は同年代の友達との、ひどくファンシーな歩みへと変わった。
その周辺では人喰鮫が、相変わらずウヨウヨしているのだが。
閉じ込められることと、守られることがイコールだとは思えない、幼気な反発。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
それが生み出した冒険は、少女たちに綺麗な夢とザラツイた現実を教える。
便所の中で垂れ流される、当たり前の偏見と差別。
可哀想に思ってくれる”いい人”すら、善意で窒息させてくる無理解。
そういうものに苛まれつつ、みちるとニナは一夜の冒険に世界を学び、キラキラしたものへの夢をまだ捨てない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
己が何も知らない事を知り、知るためにここに居続ける。いつか飛び出すとしても、今じゃない。
そんな前向きな決意を、母の情がこもったケーキへの長回しでスッと冷やす、ラストが見事だ。
今回のお話は、人間の特性…テクノロジーを巡る物語でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
頭に載せたアナログな葉っぱは、みちるの変身能力を引き出してはくれない。ドロンと一化けは、カトゥーンの中だけの話だ。
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市長から手渡される、オフィシャルな存在証明。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
ひび割れて機能しなくなった、(と、この段階では思い込んでいる)人間時代のアイデンティティ。
アニマシティにも当然ある、自分が自分である権利と庇護。それがどんな歴史に成り立っているかが、今回は語られる。
何しろ今回人魚姫とシンデレラと白雪姫の話なので、檻に閉じ込められ、鏡に自分の顔を写すモチーフは多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
市長は人間が独自に発展させた生存戦略…自分たちを山野から追い出した”街”を、ガラス越しに遠く見る。
人間種と獣性人類は、別種の存在。
混ざり合うことはない。
大神が己を支える支柱としている、古くて堅牢な認識。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
それを一つの事実として受け入れつつ、山と街に分かれて暮らせていた時代はもう遠い。
ヒトは街を拡大させ、獣達の聖域を奪った。人間のテクノロジーを借り受ける形で、建造された新たなサンクチュアリ…市長のアニマシティもまた、”街”である。
時は逆しまには戻らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
あり得るはずのない、人から獣への転移者…あるいは越境者。みちるがこの”街”に追い立てられた背景には、時代を変えうる大きな秘密が、あるのかないのか。
そういうデカい話が回る前に、このアニメは丁寧に少女の青春を追ってくれる。そのキラキラも、暗い影も。
みちるが悲劇のヒロイン…とは言えない『いい性格』してるのが、僕は結構好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
市長の高邁な公平さ、自分たちを守るためのネット自閉を理解できず、大神にツケで脱泡スマホ買っちゃう浅はかさは、生っぽくていい。
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大人が定めたルールに閉じ込められ(あるいは守られ)、しかし子供はその檻の中、常に窮屈に身じろいでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
空気穴のように、正しさから抜け出して掴んだSNSには、事情を知らない人間時代の友達が、誕生日の祝福を投げる。
携帯電話というテクノロジーは、時間を飛び越える魔法の杖だ。
それは”LIVE”な現在へとも繋がり、みちるは新しい友達と出会うことにもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
それはとても綺麗で、大切で…今までそう描写されたように、良いことばっかりじゃない。
善いとされていることの裏側には、いつでも落とし穴が会いていて、生の現実を学ぶほどに痛みも増えていく。
そこら辺、結構陰鬱なこのアニメは抜かりがない。なんか良い感じに転がりそうな状況でも、スッと後頭部を暴力が殴る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
ニナとの出会いが、ペリカン男の殴打から始まるのは示唆的だ。光に影が張り付くように、暴力も善に繋がりうる
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携帯電話は非現実の鏡像を照らす、”遠さ”のデバイスでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
なにか違う。なにか異なっている。そういう違和感は海を超えた”街”でみちるを襲うが、SNS越しのキラキラは、現実の”LIVE”を逆しまの鏡写しにした後、暴力で接合する。
その先に、人魚姫との出会いがある。
彼女が閉じ込められた檻が、鮫の用意した無垢なる保護区であるということを、画面は事前に教える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
フィリップはスカーフェイスな職業に相応しく、情け容赦のない牙を、日下部に突き立てる。
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白昼堂々の超暴力が、青く青く非実在的に澄んだ空の下で展開するのが美麗でいいが、色めき立つ部下に対し、フィリップは獣化しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
日下部を噛み砕くのは、スクリューというテクノロジーの牙であり、彼自身は己の貪欲さを制御し、弱者を踏みにじり、青を赤に染めていく。
『獣になる』という表現のは今作、様々な意味を込められていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
むき出しの暴力性、余裕の無さ、飾るもののない率直さ、超自然的な力へのアクセス…。
様々な顔を持つ獣のキャラクターを見せる上で、『獣にならない』という表現もまた、大きな意味を持つだろう。
父が用意した檻の中で、ニナは一切構えること無く獣相と人間を行き来する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
SNSで人間の社会と繋がり、コスメの紹介をするキラキラ女子を演じる。それと同じように、イルカの素顔を顕に、みちるとの距離を詰めてくる。
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彼女のトーテムは水棲哺乳類なので、大事なものは海に流れ着く(あるいは、海から出ることで生まれる)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
人間世界ではガラクタでしかない、テクノロジーの残滓。壊れたイヤホンを、貝殻のように耳に寄せることで、みちるは思い出にアクセスしていく。
俺はこういう、イノセントでリリカルな表現に弱い
お菓子も食べれて、当たり前に笑えて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
そんな幸福は、”病気”になっていらいひどく遠い。本当の自分が誰か、まだ分からないまま見通す街も、ガラスの向こう側他人の顔だ。
ニナが無邪気に差し出す、遠い夢。
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それはみちるにとってはかつての現実であり、失われてしまったものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
あれだけ偽ろうとしてなし得なかった人化を、みちるはすごく身近な思い出と癒着した、個人的な痛みを握りしめることで為す。
『スキマも通れる! 帽子もカブれる!』という喜びは、コミカルで…ひどく泣けた。
そう。今回のお話、恥ずかしながらズッとスンスン鼻をすすりながら見てしまった。やっぱTRIGGERくん、こういうメロウな話のほうが上手い気がすんだよなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
ずっと『そういうもの』なら、(ルーナノヴァの)帽子を被ろうとは思わないだろう。
でも、みちるは耳も尻尾もない自分を知っている。
怒涛のような運命に押し流されても、記憶と縁は繋がってしまう。そこにはしょーもない笑いと、マカロン味の生活臭と、ちっぽけで身近だからこそ譲れない祈りが、確かにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
そういうものから、みちるは暴力的に追い立てられ、見知らぬ場所へと流れ着いてしまった。
『そういうもの』と大人ぶって納得させても、その切断は当然全て飲み込めるものではなくて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
あるいは、ずっと父の愛に閉じ込められてるニナも、『そういうもの』を飲み込めないから。
少女たちは、海の向こうを目指すのかも知れない
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波打ち際(ニナのトーテムがやってきた故郷)に身を寄せた少女たちの視界を、遮るものはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
ガラスの覆いを取っ払って、裸眼で同じものを見つめる少女たちには、確かに通じ合うものがある。
それは沈む夕日のようにキラキラしていて、だからすぐさま闇もやってくる。それらは切り離せない。
それでも、浅はかに憬れた。綺麗なものにたどり着きたいと、微笑みながら同じものを見た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
凄く美しいシーンだからこそ、この後の展開が怖くて怖くて、何度も一時停止してしまった。
俺マジ、ガキの綺麗なものを土足で踏む展開険しくてですねぇ…人魚姫モチーフなのもあって戦々恐々でした。
面白いのは、同じように幼く見えるみちるとニナの間に、しっかりギャップが有ることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
みちるはかつて人間であり、”街”にいた。その綺麗な側面も、ドス汚れた悪も、自分の体験として思い知っている。
水槽の中で守られてきたニナは、その両方を知らない。知らないからこそ、強く憬れる。
その一歩が生み出すものを、一切知らない…一瞥だにしない思い切りと愚かさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
デレデレ顔のフィリップは、娘がもう子供ではないことを自覚できていない愚かな親であり…同時に凶暴極まるマフィア鮫だ。
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大神との対峙は人間顔でやり過ごした大物が、即座に獣相をむき出しにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
その”速さ”に、娘への確かな愛情と、人間と触れ合う危険さが滲む。
”食う”側の獣人として、自分たちに人間が振り回すものの鋭さ、容赦の無さは、嫌というほど知っているのだろう。
だからこそ檻に閉じ込め、守る。何も伝えず、大人が知っている正しさを飲み込めばいいと、対話を怠る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
フィリップの姿勢は、後に大神がみちるとの通話で再演することにもなる。
人と獣の断絶の話であると同時に、ジェネレーション・ギャップの物語でもあるのだね。
檻の外の凶悪を知りもせず、陸に上がった人魚姫は夢のお城へと急ぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
みちるが思い知らされた”人間”の暴虐は、ニナを襲わない。良かった…。法の番人に思わず背中を向けてしまう経験知は、この局面では間違いだ。
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音楽と甘いもの…沢山のキラキラに満ちたパーティの中で、みちるは水槽に思い出を反射させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
あの時も、同じ歌が流れていた。
でも、何かが違う。
ガラス一枚隔てた離人感が、みちるの感覚を焦げ付かせる。それは獣のセンスというよりは、大人の智慧だ。
グラングランマに囚われていた、名前を剥奪された子供たち。あるいは、今回のニナ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
みちるは子供であり、しかし子供ではいられない先達として、とても無力で幼い存在に隣り合い、彼らを守る。
鮫顔のマフィアや、狼探偵の乾き完成したスタイルとも、また違うヒロイズム。
自分も”化ける”可能性を持った、何も知らない(が、少しは知ってる)子供として、違和感に耳を澄まし、共感に身を寄せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
胸の底から湧き上がる優しさと喜びに、背中を向けず飛び込む。
その冒険が、とても大きな対価を払うとしても、未知に踏み込んで新たに学ぶ。
それが、このジュブナイルの主役たるみちるの特質なのだと思う。獣と人の境界線を越える少女は、大人と子供の中間点に立ち…だからこそ両方に手を差し伸べられるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
その半端なあり方が、僕にはとても眩しくて切ない。
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ともすれば暴力の渦に巻き込まれかねない、ニナの無邪気な獣人化…『私らしさ』の発露。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
それを恐れなく顕に出来てしまうニナからも、獣相をファッショナブルな(つまりはディスポーザルな)仮面として消費する”いい人間”にも、みちるは馴染めない。
ガラスはなくとも、それは檻の中の光景だ。
市長は闇の中、テクノロジーの覗き眼鏡で子供たちの現状を知る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
それは簡単に”戦争”へ…市長がアニマシティに獣人を匿い、閉じ込めたことでなんとか隔絶した、獣人と人間の自然状態へと、状況を引きずり込んでしまう。
これを回避する責任が、みちるの保護者たる大神にはある。
『12時までだ』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
鐘が鳴り響いた時、ニナが見据えている憬れは硝煙に染まって、魔法使いが夢を終わりにする。
スモークガラスが隔意を告げつつも、夢を夢で居続けさせるために、アニマシティの微睡みを守ろうとする。
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そんな大人の思惑も知らず、ニナは舞踏会で舞い踊り、みちるはそれを遠くから見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
彼女は獣相を表に出せない。それは本当の自分ではなく、”化けた”この顔が本当なのだと、血と思い出が語ってくる。
でも、人間が無自覚な無理解をぶん回すパーティーの、仲間にもなれない。
水の生き物であるニナと、プールサイドに座るだけの狸との距離。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
それが埋まりきらないまま、みちるは”人間”の理解と軽薄の象徴たる耳飾りを取り外し、リアルな耳で大神の声を聞く。
押し付けがましく、勝手で、説明が足らない。
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いつもの大神スタイルだが、それが非常なレアケースであることを、当然みちるは知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
それはつまり、大神に頼られる自分も、自分を頼る大神も、まだ見えていない、ということだ。
”化ける”特別な可能性を、みちるはここまでで大神に証明し、結構な期待を寄せられている。
でも大人は頑なで素直じゃないから、そういう想いをうまく形にできない。携帯電話で話しても、中々通じてはくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
みちるは(今まで通り)訳のわからないまま流されて、非常に決定的な瞬間に行き交ってしまう。
それは無力で幼いものが、強制的に檻に閉じ込められるシーケンスだ。
リサはニナの(感じていない)苦しみに寄り添い、獣人を理解して”あげる”ポジションに居る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
そんな善良なパーティーの裏では、便所で非常に無邪気な(だからこそ致命的な)差別意識が排泄され、大神との対話を終えたみちるが聴く。
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異質な存在、人類史の乱入者。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
獣人のあり方は人間には知られておらず、みちるの正体もまた、便所の隣人は判らない。
獣耳のない”私達”だと信じればこそ、その眼前でサラリと毒を吐き出し、省みることはない。
そこが”便所”なのは、排泄の必然性と合わせて、上手い比喩だ。
リサは善意でリサを檻に閉じ込め、無知で窒息させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
イルカなら、水の中でも息が出来るだろう。
己の優しさと賢さを疑わない、無自覚な強者の暴力。
それを打ち破るのに、人間の顔では足りない。
みちるはなりふり構わず、”化ける”獣として拳を振るい、檻を壊していく。
そこはただの水タンクではなく、ナポレオンフィッシュが住んでいた一つのエコシステムだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
みちるが手に入れた、暴力的な獣としての自己認識、存在証明。
それが命を奪いうるものだということを、僕は忘れたくないし、忘れてはいけないのだと思う。
何かを救うことと、何かを奪うことは背中合わせだ。
ならば奪われ、書き換えられることが何らか、変化や救済に繋がることもありうるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
獣相の少女二人だけが、余人を寄せ付けず歩いていけるシリアスな光。そこに怯えるリサが、この夜から何かを学んで欲しいな、と僕は思う。
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ニナが一夜の夢も輝きを、己の魂を支える確かなものだと肯定してくれた時、その強さと美しさにうっかり泣いてしまった。偉いよニナちゃん…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
知らぬままなら、綺麗でいられた。憬れに近づけた、私が間違いだった。
そう謝罪するみちるを、後悔から救ってもくれただろう。
携帯電話の中に閉じ込めた、キレイな憬れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
みちるの過去と同じように、それは自分ではどうにもならないものに押し流され、傷ついて流れていく。
でも、それが確かにあったのだと確かめることで、少女たちは何かを掴めるのだろうか。
判らない。判らないからこそ、知りたい。
獣人であり、獣人でしかない今の己を(不承不承ながら)受け入れたみちるは、遠ざかっていく人間の世界を見つめながら、更にもう半歩踏み込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
獣人のことを、何も知らない自分。獣人である自分のことも、何も知らない自分。
知れば傷つき、憬れは壊れていくだろう。
それでも、残骸の中に確かな輝きが残りもすると、幼く美しく残酷だった一夜から学んだからこそ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
みちるはいつか未来に巣立つために、自分が足を置く今を知ろうとする。
立派な決意だ。それを茶化しつつ、隣り合う大神も良い。
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大神が自分に寄せる、特別な信頼を知り得ぬまま。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
みちるは状況をうまくまとめて、”戦争”を回避した。自分たちが一触即発な状況にいたことすら、知らなかっただろう。
複雑怪奇な大人の世界…”外”が、知ったこっちゃないわけではない。それは少女を取り巻き、包囲している。
でもそこに、変異した手を伸ばして少しでも、何かを変えうるのなら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
あるいは、変えたいと願うのならば。
みちるは色んな事を知り、踏み込んで傷つかなければいけない。踏みつけにされてなお、綺麗なものがあるのだと信じ続けなければいけない。
とても大変な道だ。
しかしこの話の主人公は、そこに踏み出したいと今回決意し、物語の始まりにおいてそう決意したからこそ、アニマシティにたどり着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
道は続く。自分と世界と、その間にある様々な人を変え、また変えられながら、みちるの歩みは…この物語は続くだろう。
面白い。とても面白い。
そんな一少女の傷だらけの青春に、巨大企業の主はどう関わってくるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
檻の向こうに憬れつつ届かない視線を向ける獣とは、また違った”遠さ”。
上から観察し、弄ぶ悍ましさ。
そういうものが、ぞろりと匂う。俺、コイツ嫌いだな…。
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人類のテクノロジーが生み出した、空中を舞う豪奢な宮殿。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
そんな場所とは程遠い大地で、みちるは携帯電話を弄び、流れ着いた母の愛を見つけてしまう。
震え、手を伸ばし、しかし掴めない。
長い無音に込められたものが、重く痛い。
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『私はここにいる』と吠えることも、当たり前の愛に答えを返すことも許されない、流刑地としての”街”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
獣人と己を知ると、立派に背筋を伸ばした直後にやってくるのは、そういう冷たく重たくひどく熱い現実だ。
このラストシーンは、みちるの今と過去と未来、全てが的確に描かれとても良かった。
ケーキはあくまで画面の向こう、手の届かない場所にある。それに星1つ、指一つ添えることすら出来ない悲しさを飲み込みながら、少女は新天地に立つのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
そういう、凄く硬く確かな質感のある寂しさが押し寄せてきて、みちると彼女が背負う作品を、ギュッと僕に近づけてくれたと思う。切ねえ…。
というわけで、少女たちの旅立ちと帰還でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
飛び出したようで戻ってきているのだが、歩みの中で見つけたものは確かに”何か”を残し、変化を生み出していく。
人間に化け檻をぶち壊す力に目覚めたみちるは、世界のあり方に目を開くけども、その決意だけでは現実は変わらない。
置き去りにしてきたとても愛おしいものへ、手を伸ばすことすら許されない檻の住人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
そういう存在でしかない己を思い知らされることが、傷だけではなく力と正しさを、みちるに与えて欲しい。
そう思わされる、静謐で詩的なエピソードでした。
とても良かったです。やっぱ童話モチーフに弱い。
今回ニナと作った絆、街に踏み込んだからこそ生まれた波紋が、後の展開で生きると良いなぁ、と思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月30日
光に付きまとう影も、傷から生まれる輝きも、両方見落とさず進む、獣と人のハードボイルド。
次はうえのきみこで野球回らしいんで、まーヒデェことになるでしょう。マジ楽しみ。