デカダンスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
どん底から始まったNEW GAMEは、カブラギにデカダンスの新たな形を見せる。
すれ違うタンカーとギア、戦士と市民。座して死を待つ群れに切り込み、強い自分を掴むべく奮戦するナツメ。
その涙が、叛逆のエンジンに火をつけた。
終わりがないのなら、俺が全部終わらせてやる…ッ!
そんな感じのパンクス覚醒、新章もエンジン全開なデカダンス第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
クソまみれのどん底をくぐり抜けたことで、タンカーたちにより親しい立場になったカブラギ。
新たな体で体験するデカダンスの現状は、断絶と欺瞞、終わらない搾取が構造化された、歪な楽園と写る。
そこを、師を喪ったナツメが必死に歯を食いしばりつつ疾走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
物分りが良く…時に”良すぎる”とすら感じるキレイな主役が、その透明さ故に反発され、それでもまっすぐに進み、摩擦と摩耗に苦しみながらも、小さく何事かを成し遂げる健気。
その裏にある、へし折れそうな心と涙。
ナツメがどういう人間なのか、地道に追いかけ裏打ちしつつ、カブラギの決意に説得力をもたせる回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
上部構造の最底辺に落ちたからこそ可能な、どん底からの叛逆。
バグ達が目指す最凶のパーティー…ガドル工場破壊が、どのような闘争と未来を連れてくるか。
かなりワクワクしてきたぞ…ッ!
というわけで始まったNEW GAME。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
ミナト司令のアガる…けど、今となっては空々しいナレーションを背中に受け、別のアバターで降り立った世界は、一時のメンテナンスを終え新たな”イベント”を迎えていた。
詫び石代わりの市街戦…ってか。笑えねー。
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シナリオを書き換えるまでは、タンクは絶滅危惧種と触れ合えるプレイエリアであり、テーマパークを成り立たせるバックヤードとして不可侵でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
後方に炎は飛ばず、戦士は娯楽のように永遠を戦う。
その不文律は、より刺激的で”ヤバい”イベントのために破られ、タンカーはバッタバッタと死ぬ。
タンカー戦士にとっては身内の死体だが、ギアにとってはNPCの残骸。とある人にとってはシャレにならない現実が、誰かにとっては食い捨てるべきコンテンツ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
この断絶は、シナリオを書き換えたからと言って変わらない。むしろ強化されている感じすらある。
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比較的皮膚の色が”人間”に近いNEWカブラギは、そんな断絶を乗り越えてしまったバグであり、ギアでありながらタンカーの痛みがわかる違法ログイン者でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
(皮膚の色合いで人間性をヴィジュアライズするの、かなりナイーブな演出だと思うんだけど大丈夫なんだろうか? 余計な心配かもだけど)
『タンカーだって人間だ』という、当たり前の事実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
『ギアは人間じゃない』という、隠された真実。
その両方を、実感を持って受け止めているのはこの世界でカブラギだけで、しかし彼はそこに橋を架ける方法を知らない。
そういうのは、真っ当で真っ直ぐなナツメの領分なのだ。
戦友の命を特権で持って繋いだミナトですら、タンカーは増えすぎた”間引き”の対象としてみている。人間の定義は、個人が置かれた環境によって大きく異なってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
濃厚な煙の中かわされる、プライベートな会話。そこでカブラギは、親友との断絶を再確認する。
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カブラギがナツメと過ごすことで手に入れた、”死”に頼らない生きている実感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
それはミナトには、遠いバグでしかない。彼にとってタンカーは、安全な仮想現実にリアリティを出す演出の道具であって、司令として安全を守るべき市民ではない。
おそらくそれが、サイボーグの一般的な倫理だ。
サイボーグと人間はその生態、社会、地位と権力からして別種であるけども、同じ仮想≒現実を共有し、同じ戦いに挑んでもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
巨大なシステムの歯車と組み込まれて、人間的な生き方を疎外されている犠牲者でもある。
そしてシステムに組み込まれている限り、断絶は埋まらない。
上手く言葉にできない、カブラギの熱。それを煙に巻くような親友の言葉に、男は静かに背中を向ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
罪を背負い、バグを狩り、人にまじり、バグに落ちた。
カブラギはもう、ミナトが体現するサイボーグ世界のスタンダードを、自分の生き方と受け止めることは出来ない。
それが変化なのか、再動なのか
答えは叛逆の先にあると思うが、今はナツメちゃんの地道な闘争である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
戦場と日常を遮る壁には、巨大な穴が開いてしまった。そこから”ゲーム”の侵入を許せば、また身内が死ぬ。
かつての自分のように、親を喪い腕を奪われた子供ができる。
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それが嫌だから、ナツメは必死に走り回って条理をひっくり返そうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
普通なら『そういうもんだ』と諦める、ずっと続いてきた絶望を乗り越えて、もっと当たり前の幸福を掴み取ろうともがく。
それが、当たり前に頑張れることではないという事は、後半より鮮明になるわけだが。
解体屋の親方がピシャっと閉じた、扉の向こう側。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
『俺たちだって、必死にやってる』と叫んで足踏みする人間の当たり前を、ナツメは拒絶する。
片腕だって、戦士になっても良い。終わらない闘いを、終わらせたって良い。
より良く、より強くなるために、彼女は走る。
それが、諦めてしまった者たちには辛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
不屈の自己実現を果たした親友の、ひたむきに進む正しさ。それがフェイを卑屈に誘い、拒絶を生む。
鋼鉄の握りこぶしなんて、私にはない。そんなものより、当たり前の小さな幸福を、あなたと過ごしたかった。
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想定の五倍ほどフェイの感情がデカくて、嬉しい不意打ちだったりもしたが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
屈折を繰り返したカブラギに対置する形で、非常に素直にまっすぐ描かれているナツメは、時に反発を生む主役だと思う。
そんな視聴者の感覚を、フェイの対応は上手く拾ってもいる。
誰もがそんな、主人公気質なんてもってない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
逆境に敗けず、ハンディに諦めず、自分にできることを一つずつ積み重ね、確かに世界を変えるなんて出来ない。
ナツメが超人だと描かれないからこそ生まれる、体温のある反感。
それが八つ当たりだと、言ってる本人が一番良く知ってる
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閉ざされたと思った扉は、心のどこかでは善くなりたいと思っていた人々の手で開かれ、タンカーは結束して何かを変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
そのイグニッション・キーをひねったのは、やっぱりナツメだ。カブラギを変えたように、タンカーも変えていく。
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色々衝突もあったけど、ナツメと同じ立場にフェイが向き合えたのはとても良かったと思う。後ろ向きな卑屈で距離を取るより、少しの勇気で同じ領域まで自分引っ張り上げたほうが、幸福に近づけるよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
やっぱ人情が通じるあったけぇ展開は好きだなぁ…。まぁ上部構造はそういうのガン無視だけどね!
戦士として人々を守り、崩れかけの世界を維持するアイデアを出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
お仕事モノの側面も持つこのお話、ナツメのキャリアは着実に進んでいて、しかしそれは蟷螂の斧でもある。
世界を支配する巨大なシステムを知らないまま、見える範囲の現実を良くしても、戦いは終わらない。
同時にナツメが必死に駆けずり回った、当たり前の日常を変えていく歩みが空転する状況は、身近だからこそ濃厚なヤダ味を持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
『どうにかなんねぇの…?』という視聴者の疑念を、反逆者カブラギの覚醒で拾い上げるのも、今回の眼目である。
姿を変え、出会い直したかつての師弟。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
”カブラギ”では飲めなかった牛乳(ナツメの、タンカーの糧)を素直に口にして、二人の距離は縮まる。
”飯食う人々”としてタンカー、ギア、ガドルを書く今回の筆は、結構好きだな。
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震える身の丈を精一杯伸ばして健気に、世界を変えていく小さな英雄。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
ナツメの真っ直ぐな主人公っぷりが印象的だからこそ、姿が変わってなお”カブラギ”を幻視する脆さは深く刺さる。
『あ、結構限界…?』って感じしたもんな、このシーン…。そら限界だわな…。
別人として接するからこそ、カブラギは牛乳も飲めるし、ナツメのひたむきさに救われた本心も言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
お前の真っ直ぐな魂が、諦めない心が、俺を導いてくれた。
そんな思いはしかし、弱さを強さに変えるべく戦っている少女の、涙を誘う。
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茜色に明暗入り交じる、美しい夕暮れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
そこで少女は、終わらない闘いに、あの時は目を背けていた世界の真実に、折れそうな心を吐露していく。
戦っても戦っても、人は死ぬ。そうなるしかない世界の構造を、自分たちを窒息させる透明な天蓋を知らないからこそ、悲痛に響く涙。
それが燃え尽きた灰を、反逆者に変えるッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
『俺が全部ぶっ壊してやる…!』
カブラギに火が入った瞬間である。あまりにボルテージ上がり過ぎだが、そう、俺はこの瞬間を待っていた!
やっぱパンクスが覚醒する瞬間はたまんねーな…。ド底辺からの革命ッ…!
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腕をもぎ取られ、親をぶっ殺されてなお、諦めず戦う少女の涙。それが報われねぇ世界は間違ってる。間違っていることを、俺は知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
カブラギは社会構造の断絶を、人間とサイボーグの差異を意志で飛び越え、バグたちを焚き付けに行く。ナツメから譲り受けた炎で、世界を焼き尽くす戦いを始める。
それはデカダンスよりも刺激的な、本物の闘争。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
巨大すぎるシステムに反逆し、スクラップに砕かれる未来しか待ってない、リアルな革命。
誰もが無意味と諦め、バグとあざ笑うゲームを、ドナテロだけが笑わない。カブドナキテル……。
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目指すは俺たちを塞ぐ、水底の天。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
上部存在の最底辺として、システムにアクセス可能な立場だから可能な、がドル工場へのサボタージュ。
タンカーと同じ被差別者でありながら、同時に特権者でもある矛盾はここで、透明なシステムにアクセス可能な実効性へと形を変える。
アイツラが知らないまま支配されているシステムと同じものが、俺たちをバグにしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
そして俺たちの現実は、システムに直接繋がっている。
タンカー達が知らぬまま取り込まれている神様をぶん殴れるのは、カブラギが特権的な上位存在…”だった”し、サイボーグである以上現在進行でそう”だから”だ。
そして戦う理由は、『報われるべきものが絶対の理不尽にとらわれて、勝てない闘いに心折れそうになっているから』で十分である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
『俺が、全部ぶっ壊してやる』
瞳に鬼を宿したカブラギの宣言は、視聴者全員の思いではないだろうか。いやー…キたなぁ…。
まぁ言うたかて、絶滅危惧種になっちゃった人間はデカダンス構造の中でだけ生きれるわけで、無軌道にシステムぶっ壊すだけじゃ皆殺しなわけだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月20日
立ち上った叛逆の炎が、何を焼き何を奪うのか。そこに合いた風穴が、生き苦しい世界をどう変えるか。
ガドル工場襲撃編…マジ楽しみだぜ。