ノー・ガンズ・ライフを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
一つの事件を超えた先に待つ、それぞれの後悔、それぞれの痛み。
十三は同胞殺しの罪を、鉄郎は白紙の記憶の矛盾を、それぞれに吐露しながら一つの決意へと進んでいく。
虚ろなる英雄の虚像が見下ろす、夜の闇。ウォシャウスキーの懐へ飛び込み、求める物は何か?
そんな感じのハードボイルドかさぶた剥がし、ノー・ガンズ・ライフ第20話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
エドムントの事件を足がかりに、鉄郎が抱え込んだもの、十三が隠していたものが表に出て、一見闇落ちに見える対峙へと進む。
まー一言も喋ってないのが、ひっくり返す前フリだよなあそこ…。
スピッツベルゲンに拉致されて以来、鉄郎がモヤモヤと溜め込んでいたものをようやく吐き出して、W主人公が繋がった感じのある回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
しっかり向き合って、お互いの魂を確かめあったムードと、大英雄メガアームド斎様が見守る対峙はギャップが有りすぎなので、まぁ来週ひっくり返る…だろう。
先週のちょっとコミカルで艶っぽい雰囲気とうって変わり、今回はじっとり重たい後悔とためらいが、画面を覆うエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
兄と向き合って一つの答えにたどり着いたメアリの、あけすけな態度。これに対置されることで、鉄郎の陰鬱はより濃く見える。
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記憶を失う前の自分は、どんな存在だったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
ウォシャウスキーが仕込んだ毒は鉄郎の認識を犯し、過去に縛り付けている。
今の自分が何をしたいかと、突き進んできた歩みが止まってみると、知らない誰かの業が重たく、背中にのしかかっても来る。
僕は”解体者”との対峙でメアリがキャラを彫り込まれ、登場人物に必要な奥行きを手に入れれたのが好きなので、鉄郎の悩みを生足である意味気軽に蹴っ飛ばし、過去にとらわれない強さを見せてくれたのはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
ホント、二期で一気に育ったキャラだと思うネ。
そんな変化も、悩みや迷いを受け止めてくれる”壁”あってこそなわけで、鉄郎にとっての”壁”はいつでも、でっかい十三の背中である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
それをおっ立てるためにも、過去は掘り下げなきゃいけん。つうわけで、貴腐部隊のお話開始。
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狡兎死して走狗烹らる。戦争を終結させるほどの力は、平時には邪魔となる。名前なく数字でしか呼ばれない”兵器”達は、鎖に繋がれ闇に消えていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
その裏で発生した反乱と、その鎮圧。戦友よりも愛する女を取ったエドムントが、知り得ない戦争の真実。
己の在り方を恥じることなく肯定するエドムントは、エマとともに舞台から去っていって、複雑な感情を紫煙に吐き出す十三の物語は、ここから始まっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
美しくも切ない夕日の色合いと合わせて、なかなか渋いセッティングであった。色合いキレイなの、このアニメのいいところよね。
過剰な暴力たるGSUは、ハンズがあって初めて機能する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
エドムントは己の銃を見捨て、セブンは企業の傘の下ハンズとともにある。
ならば、十三のハンズはどこに行ったのか。なぜ、願いを銃弾と己に込める”処理屋”が生まれたのか。
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モノトーンの回想は、そんな語られざる過去の一端を見せてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
13ではなく”十三”と、人間扱いに名前を与えられたことが、異形の兵器に何をもたらしたのか。
その名付け親が、バックミラー越しに雨の涙を流しながら自分を拘束した時、兵器は何を感じたのか。
それは、十三の口からは語られない。
己の生き様や考えを言葉にせず、ただ行いのみで立証していく。愚か者と笑わば笑え、固茹卵の生きづらさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
事実のみを描いて、感傷の輪郭を縁取っていく手法は、この後の鉄郎との対話でも元気である。
ハードボイルドを成り立たせるためには、固茹で野郎はべらべら自分を語ってはいけんのだ。
同時に鉄郎は、自分を語らない十三の代理人(あるいは継承者)として、その決意を言葉にする仕事もやってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
若造が勝手に、他人の心を想像しやがって。
そう切り捨てることも出来ようが、他人の痛み、大人の辛さを想像できるようになった鉄郎が、僕には嬉しい。
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鉄郎の言葉はハルモニエに直結し、誰かの尊厳をハッキングする暴力に、今まではなっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
しかし悲しい事件を沢山乗り越え、”処理屋”のデカい背中を間近で見て、ヴィクターの処置で声帯が機能を取り戻した今、その言葉は本来の役割…交流と意志のメディアとして機能し始める。
十三が産声をあげるのを助けた、”今”の荒吐鉄郎。べリューレンの理不尽を憎み、その横暴を止めたいと願う意志。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
鉄郎が己の事件と引き受けたその思いを、自分自身の過去が裏切っているかもしれない。
それを確かめるすべが、今の自分にはない苦しさ。
それを吐き出すのは、突破したい思いがあるからだ
いつだって自分を助け導いてくれた、寡黙で不器用なヒーローにそれを手伝って欲しい思いが、少年に宿っているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
そんな鉄郎の苦しさと真摯さを、十三は煙草を口から話し、言葉で受け止めていく。べリューレンという”父”に捨てられた鉄郎の、理想の”オヤジ”でもあんだよなぁ…。
鉄郎は兵器としての自分を封印した十三を語るけども、彼が形のない弾丸を自分に込めて、事件を処理してきた事実を見落としている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
ただ兵器であることをやめるなら、銃口にワックスを詰め、銃爪をへし折っても良かった。
しかし、十三は兵器であるまま、それを制御する道を選んだ。
誰かから与えられた過剰な力を、想いを弾丸に制御する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
誰かから託された想いを、力に変えて世界を変えていく。
そうやって、兵器である自分を使いこなす道が鉄郎と交わったからこそ、このお話は始まったのだ。
未知と向き合い、意思を貫く。鉄郎へのアドバイスは、十三自身が進んできた過去で…
向かうべき未来の指針ともなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
心の凄い深い部分で、処理屋と少年が解りあった感じがあるこの対話シーン。
そっから繋げるには、英雄偶像が見下ろす裏切りの夜には違和感がある。まぁ、なんかあるでしょ。あってくれ!
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ウォシャウスキーとスピッツベルゲンの間にある、断絶と摩擦。悲しい過去を乗り越えるべく生み出した、拡張技術の歪み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
英雄・メガアームド斎の威容がどこか虚しい夜には、ギクシャクした違和感が満ちている。そういうものを、十三も鉄郎もぶっ飛ばしたい…はずだ。
かつて抱えていたはずの理想が裏切られ、歪み、暴走する。それを止めるために動いていたはずが、己も一匹の怪物となっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
ウォシャウスキーの過去と現在は、”解体者”の語ったヴィクターの傷と、奇妙に呼応している。
まぁ戦後モノだからね…癒えない瘡蓋の話にはなるわな。
まぁだからって、可愛い可愛い鉄郎様を、こういう触り方してもいい理由にはならんがなッ! ほんっとこのジジイ、身体接触が粘っこいんだよなぁイチイチ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
悪魔の誘惑に屈したと、ほくそ笑む老醜。物言わぬ人形と見える、銃頭の沈黙。
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これをひっくり返すべく、鉄郎と十三がどういう罠を仕組んでいるのか…次回が楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
鉄郎が現役主人公としてバリバリ思い悩み、それを超えて己の思いを言葉にしていくのも。
過去に重い瘢痕を背負い、それを超えて生き様を貫いている十三が、寡黙に突き進むのも。
それが交わり、新たな可能性へ思いの銃弾がぶっ放されるのも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
どれも好きなんだなぁ、と思い知らされるエピソードでとても良かったです。
やっぱ十三がハードボイルドキメて、鉄郎が少年主人公しまくってる話が好きだな。真っ向勝負が強い。
あとメガアームド斎先生が、魂宿らぬ虚像といえど再登場したのも、彼のファンとしては嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月22日
一度作り出した幻影は、骨になるまでしゃぶり倒す。そんなべリューレン子飼いのGSUとハンズが、どういう横なぐりかけてくるかも含め、次回も楽しみですね。