イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

”Pokémon Special Music Video 「GOTCHA!」 ”を見て思ったこと/松本理恵小論

やっぱ松本理恵はコマーシャルフィルム、あるいはMVくらいの尺に情報を超圧縮して、見てる側を強制的映像に溺れさせる密度戦を仕掛けるのが最強の手筋なんだな。
バキッと大胆に塗り倒した80Sテイスト、”かくしごと”とかグレプリとか、トレンドなんだろうか?

 


【Official】Pokémon Special Music Video 「GOTCHA!」 | BUMP OF CHICKEN - Acacia

 

”ベイビーアイラブユーだぜ”でもそうなんだが、コンテンツが積み上げてきた歴史にリスペクトを照射し、圧倒的な速度とテンポの小気味よさでラッシュを仕掛けて、映像で見てる側を飲み込んでしまう怪物的才覚は、このMVでも元気だ。

 


ロッテ×BUMP OF CHICKEN ベイビーアイラブユーだぜ フルバージョン

 

 

コンテンツホルダーストーリーテラー)が一方的に物語を照射するのではなく、大量のサンプリングとリスペクトを極限まで研ぎ澄ませ、圧縮した上で投げつけてきて、視聴者サイドがレスポンスする。
相互呼応がベーシックになってる時代性と、松本理恵の過剰で精密なコラージュ感覚、対話性は噛み合う

凄く複雑で難しいことをやってるのだけども、三分大興奮の亜音速で気持ちよく飲めてしまうのは、やはり動きとタイミングの気持ちよさ、アニメーターとしての皮膚の強さがベースにあって。
こっち方面で勝負すると、今一番強い人だと思う。
それを活かせる土俵が大資本MVなんだろうな。

 

更に言うと、何処をコスればリスペクトがあるように受け止めてもらえるか、ネタを選別する目も悪魔的なのだと思う。
『リスペクトがあるか、ないか』は、このレベルのプロダクトになってくると関係なくて、『あるように見えるか、創れるか』って部分がコマーシャルとしての衝撃力を決める。

そこを最大化するべく情報を選別し、圧縮し、詰め込んだ上で食わせてしまうサンプリングのセンスが、圧倒的な強度で踊るMV(&CF)だと思う。
変な話だが、松本監督は、凄くヒップホップIQが高い人だと感じる。
文脈を切り合わせ再加工してオリジナリティを見せ、ユーザーと対話する時代の申し子。

こんだけ強い爆弾を、ポケモンという世界的にリスペクトされてる、モノホンのマニアックが全領域にいるコンテンツでやれば、あとはあらゆる場所で連鎖爆発が起きる。
MVを作った”後”どういう動作をするかは、松本監督の上流がキメたことなんだろうけど、まぁドンピシャだわな。