憂国のモリアーティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
ベイカー街221B。
無頼の変人諮問探偵に、アフガン帰りの同居人が現れる。
二人で挑む初の事件、容疑者は…シャーロック・ホームズ!?
貴族殺しの嫌疑の裏で、蠢く謀略の蜘蛛。
緋色の署名に隠された、”モリアーティ”の試しとは?
そんな感じの、名探偵本格参戦、キツめの洗礼行ってみよう! なモリアニ第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
陰惨な犯罪ばかりを追いかけてきた話のムードが、ホームズをめぐる陽性の空気でちょっと抜けつつ、謀略殺人で引き戻されつつ。
主役を入れ替えた(あるいは戻した)変化球として、なかなか面白いエピソードだった
モリアニ世界のホームズは神経質で気取った感じが薄く、庶民的ながらっぱち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
下宿払いに汲々としながら、トンチキ繰り広げる変人っぷりがよく出ていた。
前回はかっこいい所ばっかり描かれたが、今回は情けない日常もよく見えて、逆に好感度アップ。犯罪側の主役、人間味薄いからなぁ…。
原典として置いている物語からして、”モリアーティ”とは長い付き合いになる第二の主役。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
彼の人格と知性、取り巻く人間が、この前後編で見えてくるのだろう。
張り巡らされた謀略をどれだけ読み切って、真実に近づけるか。手に入れた真実を、どう利用するか。なかなか後半が楽しみだ。
というわけで、世界一有名な番地のクローズアップから、物語は始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
出だしからして、一生大家とキャフフしてて面白い。アスミス声の萌え萌えハドソン夫人、新鮮だぁ。
前回は伊達にキメてたホームズ…その実態はクズの貧乏人!
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推理能力も科学知識も、時代の水準を半歩踏み越えた元祖チート主人公みてぇなもんだが、日常生活はいい具合に荒れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
前回ウィリアムが見抜いたところによれば、元々は貴族階級出身らしいから、コックニー訛りと同じく”あえて”の無頼なんだろうな。
貴族階級への嫌悪感は宿敵と共有しつつ、ホームズは殺人を犯さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
謎を編むより解く方を選んで、庶民に混ざって鋭い瞳を世間に投げている。
この類似と対比が、今後物語の中でどう活きてくるか。紳士然とはしてない”ホームズ”の、今後が楽しみである。
そこに寄り添う、僕らの同居人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
ジョン・ワトソンとの出会いは、お互いの得意分野を交錯させる感じで進む。
読者への説明役として適度に間抜け…という、原典の属性を外して、この作品のワトソンくんは結構切れ者な感じがする。
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下宿の異常性にもすぐ気づくし、変人ホームズの知性にもしっかり目が向く。諮問探偵の助手をやるには、十分な知性と人格の持ち主に見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
才気頻発の二人が、丁々発止事件を解決…てのは、モリアーティの張り巡らせる蜘蛛の巣、その”表側”にしかならんのだろうけど。
話の主題の反対側を、しっかり抑えるカウンターウェイトとして、なかなか好感の持てる自己紹介となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
ライバルがキレた方が話に緊張感が出て面白くはなるが、ライヘンバッハまでは時間がある…はずだ。
どうホームズに事件の真実を気づかせ、深層を暴かせないか。情報制御の手腕が問われる…かな?
パブで深まる確かな友情。大家と助手と諮問探偵、三人四脚の事件稼業はこれからだっ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
と思ったら、亜音速で探偵が逮捕された。
疑念の緑が画面を染め、このアニメが”快傑ホームズ”ではなく”憂国のモリアーティ”だと思い出させる
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ホームズ最初の事件である”A Study in Scarlet”を、血の署名入りのホームズ研究にすり替える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
ここら辺のクスグリは原典ありの醍醐味であるが、適度なショックもありとてもいい感じだ。
探偵、獄に入る。定番だが、やっぱワクワクする。
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ホームズは人を食った態度でうまく飲み込み、色んな人に囁いて動かす。この人心掌握術も、同じ”諮問”を背負うウィリアムと似通っている感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
レストレイド警部にしてもワトソンくんにしても、人間転がすのが巧いんだよね。人間嫌いの理性主義者って感じはしない、面白いアレンジ。
あと前近代的な自白主義の司法が結構強調されてて、ここに証拠集めと科学的推論、法医学知識で切り込んでくホームズは、ウィリアムとはまた違った『早く来すぎた男』なんだろうね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
”モリアーティ”の先駆的人権意識は犯罪に結びついたけど、さて、ホームズの慧眼は何を生むのか。
それはさておき、殺人現場である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
一瞬切り取られた静物画。ヴァニタスだとすると、描かれてるのはしおれかけた花に剥かれたオレンジ。
秘題は時の残酷、美の儚さ、あたりかなぁ…。いや、過剰な読みだとは思うけど。
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このエピソードが”緋色の研究”をベースに描かれてるとすると、ルーシーという花の若き散華が事件の裏にあるので、結構納得の暗喩ではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
さておき、シャーロックは両手の拘束なんのその、自分の名前ををジロジロ覗き、証拠を失敬までする。
血なまぐさい現場は、名探偵の庭…って感じ。
彼は署名の欺瞞だけでなく、犯罪の構造、蜘蛛糸を引く傀儡師の存在まで一気に読み解く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
しかし旧弊な司法制度に囚われている以上、自分は動けない。邂逅段階で、ワトソン君に事件解決の結構な部分を、預けるしかない。
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半分探偵役もやることになるから、ワトソンくんを優秀に書いたのかなー、という納得もありつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
ホームズが手渡した紙片に、一体何が描かれているのか。そこが一つの鍵になりそうだ。
あと、見据えてる陰謀の構造を、ワトソンくんにどんだけ伝えるかも気になる。
ホームズはノアティックからこの事件に続く、陰謀の網を感知している。その上で、その正体には辿り着けていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
一歩間違えば奈落に落ちるような、危険な謀略。存在を伝えること自体が危機を呼ぶ爆弾を、相棒に預けるか、否か。
そこが、結構気になる。
演出された犯罪を通じて、世論を革命に導こうとするモリアーティを相手取るには、たった一つの真実を見抜くだけでは足らない。いかに真実を加工し、適切に露出するかが大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
情報の利用にまで視線が伸びるのは、”ホームズ”出版から百年以上経った時代の作品だな、と思う。
なので、ワトソン君がこの”最初の事件”を、どう編集し世間に問うかも楽しみだったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
第1話冒頭で、(原典通り)世に問うこと自体は確定してるしね。
『世に認められない親友の奮闘を、手記の形で問う!』つう動き自体が、”モリアーティ”の手のひらの上か、否か。
現場に刻まれた署名は、”モリアーティ”の試し。読み解き、追いかけ、暴いてみせろ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
余命幾ばくもない殺人者、身寄りなし。役名は””ジェファーソン・ホープ”…やっぱ”緋色の研究”なのね、今回。
つーか同居人候補、全員小野友樹かよ。
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そんな裏側を見せつつ、物語は後半へと続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
名探偵とその助手は、用意された試練を乗り越え、教授の望む解を導き出せるのか?
キャラの解釈にしても事件のいじり方にしても、原典の料理法がなかなか面白い回でした。伝奇はこうじゃないとネ。
出題者としてのモリアーティ、回答者としてのホームズ、出版者としてのワトソン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月1日
事件をどう捏造し、読み解き、露出していくか…情報戦として”シャーロック・ホームズ”を書き直す気配もあって、今後の運び方が気になります。
”緋色の研究”を仕込んだ”モリアーティ”の真意も含め、次回も楽しみです。