SK∞ エスケーエイトを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
夏休みが終わり、レキとランガの日常が戻る。分け隔てなく、友情で繋がれる日々。
そんな、輝きに満ちた幼年期が終わる。
飛ぶ度、思い知らされる。
俺に翼はなくて、星なんて掴めないことに。
引き裂かれる心に、置き去りにされる辛さに、沖縄の空が涙を流す。
というわけで、『宮古島でたっぷりハッピーセット食ったな! これからレキガン曇らせを開始するッ!』という、悪魔も真っ青な後半開始である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
予想はしていたが、想定以上に丁寧にこちらの脳髄をぶっ壊しに来るエピソードだった。林明美コンテ・演出が、凶器のように冴え渡るぜぇ…。
前半のランガはとにかく明るく優しく、誰かのために迷わず体を張れる最高の少年だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
その生き方は、間違いなく正しい。
しかし人は、永遠に少年ではいられない。滑るほど、挑むほど己の分を思い知らされ、友との違いが突き刺さっていく。
その分断、その断絶。
これを超える架け橋が何処にあるのか、物語はレキと一緒に暗い場所を迷っていくことになるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
しかし答えは、既に出ている。
レキが、今まで僕らが見てきたレキであること。
スケボーが大好きで、ダチのために命を張れる男であることに、立ち戻ることが答えとなるだろう。
そして戻ってくることは、ともすれば旅立つよりも難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
雨の中別れた二人がもう一度笑いながら滑るために、ランガは、レキの仲間たちは、恐怖を植え付けた宿敵たるアダムは何が出来るのか。
今後の道筋をしっかりと立て、新しい世界を見せるエピソードだった。
そこにあるのは、輝きだけではない。
というわけで、物語は晴れ渡った沖縄の空から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ここで『今まで通り、最高の二人』を描いておくことが、後々この輝きが曇っていく始点として、最高の仕事をしている。
対比で魅せるためには、初期状態を鮮明に描くのが大事、と。
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今回は電柱やロードミラーが、二人の間に入る構図が非常に多い。それはこの輝きの中に既にあって、まだ全面には出てこない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ランガが軽々と触った、高い高い星。それに驚き喜ぶレキには、まだ二人を分かつ壁が見えていない。
しかし、それは確かにそこにある。既に、二人は別々の人間なのだ。
彩度が非常に高い世界の中で、積み上げられる美しい友情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ただ楽しく、ただ仲良く。
そんなふうに振る舞えていた自分を、ランガはこの後見失っていく事になる。
幼少期から競技者としての鍛錬を続け、スノーボードの経験値をスケートにも活かせる天才と、自分との違い。
自分が万能でないこと、飛べない側の人間であることを思い知らされる辛さが、冒頭の輝きをどんどん奪っていく今回、だからこそその無邪気な美しさは大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
なぜなら、おそらくここが帰還点になるからだ。
この嘘のない、陰りもない、満ち足りた喜びに、レキも作品も戻ってくる。間違いなんかじゃない
迷わずそう言える眩しさで、二人の日常をちゃんと描いていいることは、それがくすんでいく残酷さを強調するだけではない意味が、しっかりあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
つーか戻ってきてくれ本当に…俺は二人が、スケボーバカとして真っ直ぐ、笑顔で走り続けてる姿が本当に好きなんだ…。
そして対置するように、断絶を越えれないまま大人の形に押し込められてしまった、男の顔も描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
愛之助は汚職の片棒をかつぎ、常に隣りにいる忠との関係も壊れてしまっている。
叔母達に押し付けられる自分らしさ、悪を飲み込む大人らしさを、諾々と飲む。
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ただの超絶悪徳変態野郎ではなく、ランガが惹かれレキとの間にヒビを入れるスーパースケーターとして、アダムが扱われていく今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
愛之助の過去と現在もベールを剥がされ、なぜ彼がこんな大人になったのかが、だんだん見えてくる。
『犬がッ…』
吐き捨てる瞳に、宿った濁り。
それがどこから来たのかを描くことで、今まさに間違えつつあるレキ達の現在と、既に間違えてしまったアダム達の過去が、重なって見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
果たして、チェリーやジョーと同じ様に、断絶と後悔を抱えたまま離れていってしまうのか。
それとも、今を生きる子供たちは別の答えを掴むのか。
そしてそれが、輝きを殺してしまった子供たちがもう一度、繋がるための助けになりうるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
前回明瞭に大人組と子供組を分けて描いていた筆は、後半戦の物語もまた、大きく2つに分けて…そしてそれが混ざり合いながら進んでいくことを、上手く示唆してくる。
レキの答えが”戻る”ことにあるように、多分アダムの決着も間違えきった過去を取り戻す事に、あると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
重責と汚濁が周囲を取り囲み、立場だけ大人でしかし、聞き分けの良い子供として扱われる歪な日々。
それを猛牛の勢いで突破し、子供時代に戻ることが、アダムの物語になる…気がする。
子供がより良く子供であるためには、そうあることで、より良く大人に、良い人間になる土台を作るためには、彼らを取り巻く大人の対応がとても大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ランガのお母さんは、信じればこそ息子を手放し、見守っている。悪徳を示唆し支配する、アダムの叔母とは違う
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何をやっているかは解らないけど、でも、笑えてるなら多分大丈夫。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
子供の成長を信じ、望むまま自由に飛ばせつつも、帰ってこれる場所を用意する。
そういう母の思いがあればこそ、ランガも新しく出逢った喜びに、悲しみを超える力に滑り出せた。
家庭環境の対比は、残酷で鮮烈だ。
そこに導く翼をくれたレキの誘いを受けて、部屋の明かりが消える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ここの演出、マジ悪魔だな…と思ったのだけども。
ランガが出逢ったものは万能の答えではなく、どす黒い苦しみや断絶を、色濃く含んでいる。
何もかもがピカピカしている時代は、既に終わっているのだ。お父さん亡くなってるし。
だから明かりは消える。二人に待ち構える闇を暗示するように、楽しい”S”への歩みは暗がりから始まっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
その先に、また光があるか。
それは判らない。判らないが、ランガはもう一度明かりを灯すために、ここに帰ってこなければいけない。
帰ってこれるだけの温もりが、この部屋にはあるのだ。
スノウは卓越した実力で、Sの注目株となっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ダチの誉れに鼻高々なランガは、しかしそこに自分が並び立てていない現実を、強く思い知らされる。
天地が逆転し、自由に動き回る天使の視界。
主観視点で描くランガのトリックが、その快楽を追体験させる。
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そしてその気持ちよさは、レキには遠すぎる光だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
彼は眩しく親友を見上げ、その高さに憧れつつ、地面に貼り付けられた自分を思い知らされる。
ランガがあっという間に飛び抜けていった場所に、べったり張り付いている凡人。
周囲に”オマケ”とみなされている自分を、影の中で自覚し始める。
『オメーには”人格”っていう、世界最大級の翼がもうあるだろーが! 人間試験満点合格だろーが!!』と、画面の向こうでは大声で言えるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
レキはスケボーが本当に好きだから、スケボーで繋がったマブダチと、スケボーでは対等でいたいのだろう。重要なのは、やっぱ”そこ”なのだ。
楽しく滑りたい。そんな願いを叶える才能が、レキには強く備わっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
自分だけでなく、一緒に遊ぶやつも最高の笑顔に出来る、最高のスケボー少年だ。
でも、『上手く滑りたい』というもう一つの願いは、レキの掌を残酷に滑り落ちていく。
それが嘘ではないからこそ、上手く滑れる背中が遠い。
コツコツ失敗しながら、一個ずつ上手くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
そんな当たり前のルートをランガも通って、星を掴む高みまで上ったことは、第二話を見れば判る。
しかし速度が違う。高みが違う。
追いつけるのはアダムだけと、肌で感じているからランガも、暴虐の帝王を強く求め続ける。そこに、レキは並べない。
あれだけ眩しかった光は陰り、二人の時間は輝きを失っていく。間に立つ柱が、段々と存在感を強めてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
視力に長けたランガだけが、認識してしまっている闇。
俺と、お前は違いすぎる。
追いつけない、釣り合わない、一緒にはいられない。
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そう感じて苦しむのは、追いつきたいし、釣り合いたいし、一緒にいたいからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
スケボーが出会わせてくれた異国の友が、最高に好きだからだ。
でも、その苦しみはあくまでレキの中で荒れ狂い、表には出ない。
ガキじゃねぇんだ、素直に弱音吐けるかよ。そういうプライドもあろう。
ランガが曇りの理由を見定められず、的はずれな一言にレキが笑顔の仮面をかぶるやり取りが、なんとも辛かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
こんな時でも、いつもの明るいレキでいようとする健気さが、二人を阻む壁にもなる。
ズレ始めた歯車は、お互いの差異と断絶を加速させ、ゴロゴロと転がっていく。
比べられたくない。傷つきたくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
レキは初めて”S”から距離を取り、闇の中で過去を見つめる。ここにも柱。
天才が初心者だった頃。
俺が経験者として、あいつの上を飛べてた頃。
ほんの数ヶ月前のはずなのに、ひどく昔に感じる思い出は、レキを慰めてはくれない。
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ランガもまた、一人走る”S”で青い残影を追い、危険な走りを加速させていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
レキほど視力が良くない彼は、人の心も周囲の状況もなかなか見えない。
アダムと同じ様に、ギャラリーを押しのけるような走りをする危うさが、既に片鱗を見せている。
もし道が交わらなければ、天使は二人目の悪魔に堕ちる。
そういう道も、輪郭が示されているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
レキの瞳を塞ぐ、過去の残影。
ランガの視界を奪う、妖しい影。
これを祓って真っ直ぐ進むためには、お互いが間近にいなければいけないのに、レキが身を引いたことで二人は離れ離れになっていく。ヤベーぜ…。
ここでレキは市街地での練習、楽しいスケボーを見て、ランガは”S”での決戦、強いスケボーを見てるのが、それぞれの資質を活写してて面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
お互い、見えてるものは結構正反対なんだよな。でも二人は出会って、スケボーを通じ魂を通わせてマブダチになった。それは、嘘じゃない。
でも二人が別々の人間だということも、また嘘ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
そこに、どう向き合っていくか。離れたものを、どう再び近づけていくか。
ジュブナイルとしての基本をしっかり抑えた展開が動き出してみると、一足早く大人びたミヤくんの存在意義が、別角度から浮かび上がってくる感じ。
彼は既にプロアスリートとして、シビアな現実に向き合う経験値を積んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
レキがホビーとしてのスケボーを、ミヤの手に取り戻したように。
今度はミヤが、自分が学び取った厳しさとの向き合い方を、レキに教える形になんじゃねーかなー、と期待してる。負うた子に教えられる展開、大好き。
危うく揺れるランガの視界に、割り込む愛の使者。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
天から舞い降りた”S”の支配者は、高らかにトーナメントを宣言する。
ライトアップされた神の舞台が、上手く行かない現実の憂さ晴らしであることを、影に潜む忠は知っている。だが、犬は吠えない。少なくとも、まだ。
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アダムの内面が見えてくると、彼が裸の王様として君臨する”S”の狂騒が、ただのバカ騒ぎで終わらない寂しさを宿してくるから不思議だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ここでしか、彼は望んだ自分になれない。自由になれない。
だからこそ、ド派手に最高にショーアップして、やりたいことをやり抜く。
無言で忠を尽くすもの、八年ぶりの決着に燃えるもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ランガの危険な独走に、割って入ったジョーもまた、自分の過去を取り戻すべく燃えてるのが良い。物分かりいいだけじゃないのだ。
アダム周辺の人々も、その在り方がよく見えてきた感じがする。ぜってー大人組面倒くせぇって…最高じゃん。
他のライバルたちも、決戦の舞台に魂を燃やす。やっぱミヤくん、生意気な顔してるのも可愛いなー…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
広海ちゃんがなんで、”S”最凶のヒールを演じていたかも描かれて、大変良かった。
あなたのために、僕は強く悪くなった。純愛ボーイかよ…。
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多分シャドウは店長さんのいう”強い人”とはズレてんだが、それでも広海ちゃんが必死に考えて本気で演じてるペルソナなのは、違いがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
最高のボーダーだと全世界に褒めてほしいし、恋も道化で終わらず完璧に成就して欲しいと、僕は願っています。
シャドウさんどう扱うか、個人的にかなり大事よ。
そしてあのときと同じ色合いに滲む、錆だらけの街角。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
学生服も初々しいかつての少年たちが、あの場所に置き去りにしてしまったもの。
それを取り戻すためにトーナメントに挑む叙情が、一人足りない景色に滲む。つーか愛之助、白ランかよ…。
大人組は『間違えてしまった主役』として物語に配置されてる感じが、今回でより強くなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
現在進行系で分断され、それを埋めるべく藻掻いていく(だろう)レキとランガに対し、アダムとチェリー達の距離は既に、決定的に開いてしまっている。
しかし二人は、過去を諦めきっていない。
突きつけられたサヨナラを取り戻し、もう一度アイツの思いを受け止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
ただ勝つ、ただ悪逆を止める以上の熱量が、”S”のレジェンド達に宿ってきて、大変いい感じだ。
八年分の年輪を背負って、失われたもの。まだ消えていないもの。
そして、新たに掴んだもの。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/IvqdETUfua
そういうモノを、バチバチぶつけ合うトーナメントになりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
現状アダムの視界に、古馴染みは自分を滑り込ませられてない感じだけど、積み上げたトリックで無理くり理解らせる強さと怖さってのも、ランガのアダム惚れで描かれてるからな。
そういう所、競技は強い。強者は無視できないのだ。
二人が通り過ぎ、再び掴もうとする場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
そのど真ん中で、レキとランガは不安定に揺れている。わ、わかり易すぎる明暗の分割~~~~。
静物の暗喩力、レイアウトの説得力を生かした画面構成が、ここらへんから牙を剥き出してきて出血多量である。
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ダチが当然のように掴む、高い高い場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
それに挑む決意、挑まなければどこにも行けないモヤモヤを、悟られないように闇の中、笑顔を作る。
それを受け取るランガもまた、鏡の中に揺れながら嘘を隠している。
惹かれている。
逢うな、滑るなと言われても、どうしても。
スケボーが繋いでくれた友情が、スケボーによってひび割れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
飛べるもの、飛べないもの。
羽を持つ天才だけが共有する、胸の中に燃える炎。
それに触れたくて、幾度も手を伸ばす。伸ばすほどに、羽を持たない自分を思い知らされる。
でも、挑まずにはいられない。逃げるわけにもいかない。
レキが抱え込んだ黒い炎が、ジリジリと燻る様子が非常に鮮烈である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
レキが抱える娯楽性と、ランガが背負う競技性はどうしても対立するものであり、また融和しなければ真実”スケボー”は描ききれないものだと思う。
この分断は、テーマから考えても必然ではある。辛いけどねホント…。
子供たちの煉獄と並んで、大人になってしまった子供たちの苦しみも描かれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
犬は身代わりの死を、諾々と受け入れる。
あの時、僕の魂が燃やされたときと同じ様に、何も言わない。
その時、”忠”は犬に落ちた。
人間と、友達と認められない、意思なき道具。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/2Xucmh2ZuV
如何にも悪い大人っぽく、『全部秘書がやりました』の構図をガラス越し押し付けて、死ぬ側もそれに満足してしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
レキとランガの断絶が、行き着くところまで行くとこういう関係になってしまうと、思い出に転がるスケボーの遺骸は教えてくれている。
『子供の遊び』と取り上げられるボードが、彼方から母が見守るランガの”遊び”と鮮烈な対比をなして、なかなかに痛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
多分忠は、抑圧に傷つけられてきた愛之助最後の支えだったと思うのだが、それがこの瞬間ベッキリ折れたんだな…。
大人が不適切に求めるロールを、従順に演じる”いい子”。
それを突き詰めていくと、いつかしか誰かに役割を押し付け、身代わりに死ぬことを強要する大人が生まれてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
そういう悲しい連鎖を断ち切る飛躍を、スケボーは果たしうるのか。やっぱ、終わったようで終わってないアダム回りの物語が、僕は気になる。愛之介好きやからね!
そして夕焼けの中、レキは思い知る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
幾度手を伸ばしても、届かないもの。
己の身の丈、確かにあるギャップ。
追いつきたいと思えばこそ飛び、追いつけぬと叩き落される痛み。
倒れ伏した少年に、雫は涙のように降り注いでいく。
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第2話では曇り一つない輝きの中、失敗すらも笑いながら糧に変え、一歩ずつ進む足場として描かれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
今回レキを痛めつける壁には、そういう朗らかさはない。暗く、重く、痛いものとして描かれ続けている。
既に積み上げて、先に行っていたはずなのに、追い抜かれていた苦しみ。
己への不甲斐なさと同時に、レキはただただ、ランガと同じ場所に立てない悲しさに、深い傷を刻まれているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
彼は周囲を良く見て、自分の側に仲間を引っ張ってこれる手がかりを見つけ、身を乗り出して魂を掴んでくれる存在として、ここまで書かれてきた。
そんな”レキらしさ”が、非常にシンプルで残酷な壁に阻まれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
隣りにいたいのに、自分の側に引き寄せたいのに、『出来ない』という事実は冷たく、その思いを阻む。
それが、とても優しい彼には凄く辛いのだと思う。俺も辛いけど、何倍も辛いよなレキ…。
溢れる思いを反射して、天が泣き友は別れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
交わした約束はすれ違い、足下を分かつ境界線は乗り越えられない。
足先のアップで、あくまで歩み寄ろうとするランガと、それを拒むレキの心境が可視化されているのは、鋭い演出。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/FL4M3cdcmW
ここまで後景に下がり、不穏な未来を暗示してきたポールもここが勝負とばかり存在感を増し、冷たい雨の中断絶を刻む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
天候、レイアウト、静物が一体となって、雄弁にモノがしゃべる表現力が、狙いすまされたタイミングで青春の傷みを教えてくる。
俺は、お前の側にはいられない。
子供たちの夏休みが終わり、雨降りしきる厳しい季節が二人を包む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
俺が恐怖しか感じない領域で、お前は興奮する。あの悪魔に惹かれていく。
付いていけねぇ、やってらんねぇ。
突きつけられる離別に、ランガの瞳が見開かれる。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/1pwOTqzq6k
ちっぽけなプライド。お前と対等でいるための、微かな強がり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
そういうモノを剥き出しに引っ剥がされて、さらけ出された痛みと思い。
ランガも、もう鈍感ではいられない。
自分の強さが、大事な人を傷つけてしまっていることに。
二人が、遠くに離れていくことに。
レキは荒んだ瞳を抱え、諦めを苦く嚥下しながら、闇の奥へと沈んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
遠くに消えていく背中を、今は追えないとしても。
ランガ、君の間近にこそ、光はあるのだ。
断絶の闇に、一筋光を置くラストカットが良い。
沖縄の雨は、激しく短い…と良いな…。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/YxzsyX4lct
という感じの、大嵐の新章開幕でありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
レキとランガの断絶は、比較的明るく進んだ前半にも精妙に刻まれて、ここで爆発するよう積み上げられてきました。
そこに挑むことは、子供から大人への道を疾走する青少年の物語として、競技であり娯楽でもある”スケボー”のアニメとして、必須だと思います
非常に切実で嘘のないものが、レキに襲いかかり歩みを止めさせたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
生まれてしまった断絶を前に、光を抱えて進む主体が、レキからランガに移りつつあること。
他人の痛みを良く見て、手を差し伸べる役割を今度は、鈍感天然な天才が背負わなければいけないこと。
そういうことが見える回でした。
レキだけが人格的に完成してて、ランガの欠落を補ってやる関係は、麗しいけど公平ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
今後ランガは、レキ的な思いやりを学ぶことで、生まれてしまった(既にあって今回顕になった)断絶を超える手立てを、探していくのだと思います。
それは、ただ欲望に任せ滑るだけでは届かない道。
同時に星に届かない現実を思い知らされたレキも、ランガの(そしてアダムの)領域に挑むためには、レキ的な強さと巧さを自分のものにしていくしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
強くなるための道のりを誰が付けるか、どう進んでいくかも、また楽しみだ。
ぜってーこの雨から立ち上がるからよ…畠中声は伊達じゃねぇからよ…。
アダム達の間違え尽くし、しかし終わりきっていない青春も見えてきて、皆の譲れない思いが燃えるトーナメントが始まります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月20日
やっぱアダム、プロモーターとしての腕がいいよな…選手潰すけど。
様々なうねりが強く混ざり合う、青春の決闘場。
”S”に何が刻まれるか、次回も楽しみです。