オッドタクシーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
小戸川の繰るタクシーは、夜の底を滑っていく。
引っかかるのは不思議な恋の予感、人と調子がいいドルヲタ、伸び悩むお笑いコンビ。
後部座席に繰り広げられる人生劇場に、シニカルにツッコみ、時に首を伸ばす。
そんな穏やかな夜が、冷たい銃口で打ち破られるときも、またある
そんな感じの、都市型群像擬人化ミステリの第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
相変わらず小気味いいダイアログは元気であり、ラジオ感覚で音声を拾っているだけでクスリと笑わされる。
ラジオ越しのネタ以上に、獣達が演じる人生にクスグリが聴いてて、思わず耳をそばだててしまう。
そんな小品を繋ぎ合わせる隙間に、四十路の小さな恋模様だとか、小戸川の過去であるとか、ド地下アイドルの人生だとか、ヌッと拳銃が突き出されるやばい感じだとか、ゴツゴツと異物が混ざってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
バズを求める自己承認欲求モンスター、タクシー代ケチってチェキ撮る限界オタク。
生っぽく今っぽいヤバ人間が点描されて、それが小戸川のタクシーに詰め込まれ、何かを語り、街に降りていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
遠いようで近くて、近いようで離れていく物語の灯火が、どういう形でまとまって、大きな流れになっていくのか。
まだ見えないからこそ、そこに惹かれる。
それは先の話として、今回も色んな事が起きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
まさに青天の霹靂、白川さんの不意打ち急接近は小戸川にとってもサプライズで、なんとも気まずい空気が流れる。
ここを繋ぐように、ホモサピエンスの毒の強いラジオが車内を埋めていくのは面白い。
四十の独身がロマンスに急接近されて、一応は客と運転手で、あるいは患者とナースで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
どう間合いを取ればいいか測りかねる気まずい距離感が、ドッシリと描写される。
無音だと重すぎ、あるいは退屈にもなる場面だろうが、流れるラジオはテンポよく容赦もない。笑い飛ばせる悲哀が滲んで、いい感じだ。
小戸川の皮膚感覚をたっぷり体感させつつも、詰まる息の逃しどころをコントに置いて、押し付ける感じを減らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
序盤四分の運び方はまさに”話芸”という感じで、とても面白かった。
ここでホモサピエンスに意識を誘導しておいたことが、後に彼らの実体が乗り込んでくる時に効いてもくる。
白川さんがグイと身を乗り出し、ラジオが止まって小戸川の物語が転がりだす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
電波越しの笑劇場に負けず劣らず、小戸川のシニカルなツッコミ、それを上回る白川さんのウィットはよく噛み合う。
後の柿花との会話もそうだが、素人の喋りが良く練られて、スタンダップ・コメディめいた滑稽があるのは良い
親の不在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
仮面アイドル・市村が自己肯定感のなさに上げる『愛されなさ』の感覚を、小戸川も共有していることが会話から見えてくる。
なぜ、返済できた奨学金を狩りなければよかったと、白川さんは後悔しているのか。
謎はその輪郭を上手く見せて、中身を見せきらない。
何かが欠けてて何かが過剰な人間たちは、奇妙な縁をつなぎながらそれぞれの物語を転がしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
小戸川と白川さんのロマンス、バズを求め続けるカバの馬鹿、あるいはドルヲタとアイドルの奇妙なダンス。
そして、暴力に満ちたサスペンス。色んなものが、タクシーに乗って夜を描けていく。
今井にとっては感無量のライブであっても、当のミステリーキッスにとっては不服極まる日常であり、まだまだ色々なものが全然足りない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
ユニット内部でも軋轢と格差があり、妙手じゃないと解っていても素顔よりマシと、仮面被ってアイドル二人、売れ残りをやる気なく路上に並べる。
なんとも生臭く煮え切らない彼女たちの物語が、何処に転がっていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
これもまた、複数の物語が同時並走する(その結節点として小戸川のタクシーに乗り込む)このアニメの、大事な糸の一つなのだろう。
色んな人生を編んで一つのタピストリを作る形式、ちょっと”街”を思い出すね。
凄く露骨な経済原則で動いてるアイドル商売に、不穏にかかってきた電話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
マネジは何を受け取って、二階堂ルイは何を求めるのか。ここもまた、伏せ札を埋め込んだミステリが駆動している。
つーか三森さん様々に”アイドル”演じまくってるから、擦り切れたド地下担当、ある意味新鮮だな…。
個別の物語が転がりつつ、細かくブリッジを架けているのもまた、このアニメの話芸で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
恵まれない幼少期で小戸川の過去とアイドルの現在を、あるいは”運”でドルヲタとタクシー運転手、お笑いコンビを繋げていく。
運が良ければ売れて、運が悪ければ潰れる。宝くじに儚く乗せる、アイドル独占の夢。
小戸川のシニカルな態度が、海に沈む記憶と繋がっているのは間違いないっぽい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
タクシーが街を転がす度に少しずつ、キャラクターの過去と秘密が顕になって、ちょっとずつ彼らが分かってくる。
このジワジワした語り口は、軽妙なダイアログの仕上がりと合わせて面白い。
ミラー越しにシニカルな視線を後部座席に投げ、一瞬の同席が瞬く物語の基本形。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
ここをしっかり作りつつ、時々揺らすのがまた面白い。
ラジオの向こうにしか存在しなかったホモサピエンスは、タクシーを捕まえてネタより面白い現実を後部座席で演じ、小戸川はファンとして会話に割り込む。
基本客に興味がない塩対応を見せられていただけに、お気に入りコンビの知名度問題に当事者として前のめりになる小戸川は、ちょっと意外で可愛かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
自分の人生も含め、サラリと横切って毒づき観察するポジションなんだが、時折体温のあることをする。
むき出しの面白さをようやく引き出したと思ったら、今度は逆転した格差がコンビに襲いかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
ホモサピエンスの今後も、山あり谷ありで転がっていきそうである。
顔が出たことで、ラジオの向こうの虚構にグッと肉がついて、生の事件として受け取れる相転移、結構面白かったな…。
そんな一幕に寄り添って、さて次の仕事…と思ったところで、ヌッと突き出された拳銃。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
人間交差点に立って、色んな色の物語を見つめるだけでは終わらせないサスペンスが、最後に牙を向いて次回に続く、である。
ヒキが強いのは、基本淡白な味付けのこのアニメに推進力を生み、とてもありがたい。
タクシーの外側を不気味にのたくってた、マンドリル型の暴力がドアを開けてくるのと、アルパカ相手のロマンスが転がるのが同時ってのも、なかなか面白い運びである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
人生甘いか酸っぱいか、進んでみなけりゃ分からない。謎めいた過去も含め、中々上手く引っ張る作りで、大変面白かった。
この二話である程度、このアニメの形みたいなモノを受け取れた感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月13日
複数主人公、小洒落た会話、笑いと苦味。くっついては離れ、下車しては乗り込む人生タクシー。
ピストルに小突かれながら向かう先は、破滅か幸福か。
読みきれず、だから面白い。次回も楽しみ。