NOMAD メガロボクス2を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
炎に燃え残り、まだ消えない夢。
それに導かれて、チーフとジョーは最後のリングに上がる。
人間以下、生きる価値なし。
そう囀る世界を殴り飛ばして、自分のあり方をキャンバスに刻む。
その光が未来を切り開き、蜂鳥を故郷に帰す。
さよなら、戦い抜いた友よ。
そんな感じのカーサ編最終話ッ! さらばノマド旅立てジョー! な、第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
火事の顛末で前回のヒキを解消し『あ、良かった生き残った…』と一息つかせたところで、丁寧に後頭部を叩かれる描写を積んでたどり着いた一つの結末。
しかし、『死ぬな、チーフ』という気持ちよりも。
最後まで主演男優賞クラスの”芝居”を続け、穏やかに眠るように戦い抜いた男への弔慰が…彼の遺志を継いで己の夢に向かう者たちへの声援が、不思議と強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
どん底からの第二章が、この物語、このキャラクター達で始まってくれてよかったな、という思いが強い。
擦り切れたジョーに癒やしを与え、闇雲に駆け抜けるのではなく、意思を持って歩む強さを蘇らせた宿り木。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
カーサから離れても…離れ自分の家に戻ればこそ、ジョーが受け取ったものはハチドリのギアに、彼の拳に宿るだろう。
チーフがくれたもの。第二の”番外地”がくれたもの。
地平線の向こう側に、置き去りにした過去にようやくバイクを進めたジョーの”これから”がどうなるか、非常に楽しみになるカーサ編最終話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
一期キャラがほぼ出てこない、いわば”寄り道”な構成なんだが…最高だった。
『こういうパンチ入れてくるのがメガロボクスだな』という感慨がある。
前回ハラハラのヒキは不幸中の幸いと終わり、チーフと彼の思い出は水の中命を保つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
無軌道な歩みが引き起こしたものを突きつけられたミオは、腹の中に溜め込んだ憎悪を全部叩きつけ、闇に歩き出す。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/R8G6IsD5U4
故郷を遠く離れ、友も誇りもなく流れ着いたこんな場所に、生まれたくなどなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
身を裂く絶望と、行き場のない怒りを叩きつけるミオにサチオの影を見て、ジョーはバイクで少年を追いかける。
それは、ミオが盗みジョーが”カーサ”に身を寄せることになった、奇妙な脚だ。
罪悪感とクスリの傷で、ずっと自分を影の中に追い込んできたジョーは、ここで光を放つ側、誰かに何かを託す側に変わっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
チーフの夢…に反射する己の夢に照らされて、亡霊が亡霊でしか無い虚無を認める勇気を取り戻したことで、彼は光と握手した。
そうして宿ったものが、ミオに投げかけられる。
ジョーのバイクはミオに追いつくだけで、彼を後部座席には乗せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
散々迷い、自分で見つけなければ故郷への道に意味はない。そういう事を当事者として、ジョー自身よく知っているのだろう。
露悪に見えるミオの行動が、自分と同じく罪悪感から出ていることも。
『一生後悔するぞ』という言葉には、切実な重さがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
実際、一生後悔しヒゲも髪も伸び放題、便所の床からクスリを拾うような生き方の果てに、彼はここにいる。
傷つき、迷い、それでも死にきれず優しさに触れ合って、誰かの夢の隣に立っている。
その光が、ミオに何を宿すのか。
それは彼の戦い、彼の物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
それと並走して、ジョーとチーフの闘いが走る。
墓の向こうの息子に語りかける父と、花を添えるジョーの立ち姿が良い。
いつか帰ってくるために、墓石に宿る死と生に額を寄せる祈り。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/uvWkJ0YvKU
その崇高と、ヤクザの浅ましさは残酷に対比されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
前回から”水”を巡る演出は継続していて、ジョーとチーフの間では勝利の祝い酒、魂を癒す薬、炎を遠ざける鎧として扱われていたものが、心なき悪漢では犬畜生の潤いである。
ビジネスパートナーとも、悪態で繋がるような人生の汚濁。
そこを流れていく”水”の入れ物は、人格と関係性の荒廃を照らすように、ゴミとして潰され投げ捨てられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
ジョーが出会いの奇跡を、チーフに隣り合うことで現世にとどまれている自分をしっかり見て、丁寧にケアしようと心がけているのとは、正反対の書き方だ。
チーフは何かを予感するかのように、怯えも怒りも顕に決勝戦に挑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
哀しみも恐怖も微笑みで飲み込んで、タフに生きてきた男にも当然、人の心と弱さがある。
犬畜生以下と罵られれば、頭に血も登る。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/WOiCYDU2a8
前がかりに行き過ぎた第1ラウンド、チーフに調子を取り戻させ、いつものドッシリしたスタイルを取り戻させるのが、セコンドに付いたジョーの闘いとなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
殴り、殴られて燃え上がる血を、言葉と目線で冷ましていく。贋作が、自分にやってくれたことをチーフに返す。
耐えて、打たせて、カウンターを狙う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
二人で作り上げた焦りのない闘い方を、ジョーとチーフは取り戻していく。
あくまでルールの範囲内、汚いことはやらない。
無言の決意を、薄汚い打撃がゴツゴツと揺さぶっても、二人は乱れない。
だが、脳にダメージは蓄積されちゃうんだよなぁ…。
ミオは”何処か”へ逃げるべく乗り込んだトラックの中で、ハチドリの幻視を得る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
それは神へのお願いではなく、去っていった故郷、去っていった人達との絆を確かめる祈りだ。
綺麗事、終わってる。
そうツバを吐いた思い出の中に、もう答えはあった。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/3nG7QhImdI
ギトついた性欲、自分を”モノ”にするだろう運転手の視線を刃で跳ね除けて、ミオは自分の道を選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
行き場もなく駆け出し、自分の意志で戻ることを決める。
この歩み方が、彼がバイクを盗み”カーサ”に繋ぎ止めたジョーと重なるのは、皮肉でも何でも無い。
一度失わなければ、その意味がわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
手放し傷つかければ、取り戻すことは出来ない。
みんなそういう不思議な道の上に立っていて、ズタボロに傷つきながらそれでも、なにか出来ることがあるはずだと信じて拳を握る。
答えのない闇にさまよって、誰かの光に助けられ、自分の意志で道を決める。
そこには、いつでも試練が待ち構える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
バックブローは後頭部を捉え、チーフの中で何かが壊れる。
洗礼のように水を浴びせ、戦の熱を醒ますジョーの存在を感じながら、チーフは自分に迫る運命を知っていたのだろうか?
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/SADxqQ7vVD
かつて”ギアレス”ジョーが燃やし、息子がハチドリのギアに託した、夢の残り火。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
それがどれだけ燃えているか確認して、チーフは光の中に飛び出していく。
ミオにとっての光となって、その背中で導きを与えていく。
皆、勝手に生きて勝手に死んでいく。でも、確かに触れ合うものはある。
かつてジョーが贋作から受け取り、失い、今再び取り戻そうとしているように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
バイクを盗まれたことでジョーはカーサに宿り、それを利用し居場所を作ろうとして、ミオは惨めな自分を思い知らされた。
光など何処にもないと、”家”に背中を向けて逃げ出そうとした。
それでも墓の前で語り合った思い出に火が灯り、彼は戻ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
戦士最後の戦いを見届け、思いを胸に刻んで先に進んでいく。
そうさせたのは、彼がバイクを盗む悪行であり、自分の戦いに向き合ったジョーであり、複雑な編み物のように、運命の繋がりは捩れる。
だから、面白い。
命を削る卑劣な一打に耐え、死の誘いに息子の声を聞き、歓声を切り裂いて届いた声に、倒れられない理由を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
俺の夢は、まだ覚めちゃいない。確かに届いて、あの子を”家”に導いた。
その確信が、チーフに最後の一打を撃たす。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/vF51jMI5zz
””眼”の作画がめっぽう良いアニメであるが、このラストラウンドは特に冴え渡っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
チーフのタフさ、強さ、輝きが迸る汗(最も輝く”水”)に反射して、とても眩しかった。
人間性のフチギリギリまで歩みを進めていたミオが、戻ってくる説得力がしっかり宿っている。
一方ヤクザは、唯一”水”を与えていた飼い犬すら蹴り飛ばし、逃げ出した畜生を追うのに部下を使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
その無様が、現金主義の小役人の心を決めさせる。
アイツより、移民のがましだ。
ここら辺の生っぽい人生劇場も、結構好きな章だったな…。
チーフは勝利の美酒に酔わず、”あした”のために水を飲む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
二人で戦い、二人で勝った。その先にあるものを掴めない運命を悟ったように、チーフは金をマーラに、約束をジョーに手渡していく。
形見分け以外の何者でもなく、もう見てらんない…。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/ocdYqTtZ5m
二人を照らす小さな灯火は、心を繋げた証だ。この光の側では、何も隠せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
夢は輝き続ける。泥にまみれても、たとえ死んでも、思いを受け継いだものが自分の戦場で戦い続ける。
チーフの勝利が、”ギアレス”が死んでいないことを証明した。受け取ったものを、ペテン野郎は確かに返した。
だから心に蓋をせず、帰るべき”家”に戻れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
全てを失ったように見えても、取り戻せる。
戦いを挑むのに、勝利を掴むのに、遅すぎるということはない。
それを間近に証明したのが、チーフの闘いだった。ジョーは拳を握らない闘いの中で、いちばん大事なものを掴み直す。
ミオもまた、居場所が欲しかった自分に決別していく。拳を握る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
くすぶって、薄汚れて、同朋に火を突きつければ飼い犬になれると、己を貶める日々を殴りつけたい。
その決意が悪友に伝わったからこそ、不器用な決別が訪れるのだろうか。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/2aSLOcgh1z
日本人社会のはみ出しものだろう彼も、ミオのファイトスタイルを見て、何かを変えるのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
三つならんだバイクを見て、ミオがジョーのバイクを盗んだ理由がようやく解った気がする。
そこに、並んでみたかった。空風の吹く虚しさを、形だけでも埋めたかった。
でもそれが嘘っぱちで、犬のように蹴り飛ばされる未来しか無いことを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
ハチドリの帰る場所は今、ここであることを思い出したミオは、もうバイクには乗らない。
それは遊牧民であるノマドの…己の名と家を思い出したジョーの脚である。
ベタ足ながらいい話だったなぁ、悪童ミオの青春…。
そして、ジョーとチーフも別れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
ジョーが差し出した掌ごと、家族を抱きしめていくチーフのデカさが眩しい。
第1話では出立の方角に向いていたピックアップが、今は終わりを睨みつける。
オアーぜってぇ死ぬけど死ぬな!
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用)https://t.co/dWJHsp9MLW pic.twitter.com/PWE3176Nco
故郷があればこそ自由に飛べると、赤いハチドリの羽根に身を委ねていたチーフは最後に、親愛なる家族、共に戦い抜いた戦友を抱きしめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
醒めない夢に微睡みながら、夢の先にある”あした”にそれぞれ、巣立っていく。
皆、必死に羽ばたく蜂鳥のように飛び立つのだ。
禊のようにミオは”似合ってねぇ”髪を切り、力強い羽ばたきのようにジョーのジャブが唸る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
痛みを堪え、戦えないとうずくまっていた日々が終わっていく。
一足先に戦いを終えた男は、家族が見守る中眠りにつく。
寝ても夢、覚めても夢の拳旅。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/FBy2xnVxoK
チーフの死を以て、カーサの物語は終わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
ジョーは約束とギアを抱え、物語は一時羽を休めるの枝ではなく、メガロボクスの太い幹へと帰っていく。
だが、余りに多くのものを貰った、太い寄り道だった…。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/2DtAfC5M56
赤いピックアップ、赤いギア。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
思えば、チーフを取り巻く色彩は皆ハチドリの色で、望まず流されてきたこの国に、遠く離れた故郷と死者の祈りを刻むための、魂の血の色だったかのように思う。
それはミオに宿り、ジョーに託される。グローブの緑は、マーラが引き受ける。
ゴーグルもなく吹き付ける風に、ジョーは涙を堪えるように目を細める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
いつか、イカサマ無しでもう一度。
チーフが去った今、その約束は果たせないのだろうか?
違うことを、ジョーはもう知っている。
死を超えて託されるものが確かにあることを、あの闇の中、この強い風の中、ジョーは抱きしめている
”ギアレス”ジョーが再びメガロボクスに向き合う決定打が、チーフと息子の魂が宿った赤いギアの継承であるのは、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
それは防御力に特化し、再び戻ってくるという祈りを込めた聖なる鎧だ。
無防備に己を削りながら、伝説を打ち立てたあの人はまた違う物語が、想いに守られながら動く。
その先に待つのは、一体どんな”あした”か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
ジョーの行く手を遮るものは、もう何もない。
バイクを奪われ、ギアを盗まれたことから絡み合った運命が、道に迷った狼に戻るべき場所を教えた。
拳には力、心には約束。
ジョーは、もう孤独ではない。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第4話より引用) pic.twitter.com/X8eQMkWXJU
そんな感じの、NOMAD第一章完結でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
いやー…良かった。
”二期”としては寄り道なんだが、この道に迷い込まなきゃ7年後のメガロボクスが動き出さない必然性が、確かに宿っていた。
あまりの崩壊に、唖然とした第一話からこの結末へ。ジョーの抱えた絶望と、燻る希望が鮮烈に見えた。
ジョーがどんな敗北からここにたどり着いたのか、未だ具体的には描かれていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
だがその傷の深さ、失ったものの重さは”今”のジョーを描くことでよく伝わったし、そこから這い上がる光、未だ消えていない夢の輝きも、第二の”家”に強く反射していた。
必ず、帰ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
チーフの約束は最後に効力を失ったが、為すべきを為し遂げ想いを継いだその最後を思えば、本当に帰るべき場所に帰った、とも言える…のだろうか?
死の中に確かにある救いと温もりに、触れ合う陽気なる死者の日を、この物語が書いた意味。
それが今後にも響いてきそうだなと思う、良い終わり、良い始まりでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月27日
七年ぶり、時を止めず動いていた”メガロボクス”に戻るジョーを待つのは、罵声か栄光か。
次回からの第二章も非常に楽しみです。
NOMAD…マージで面白いッ! 見てない人見てッ!!!!