スーパーカブを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
夏休みを終え、小熊のカブはその戦闘力を上げていた。
迫りくる鎌倉修学旅行、馳走を心待ちにしていた想いは、38.0℃の壁に阻まれる。
呪いのように退いた熱に縛られ、暗い場所で終わるなんてまっぴらだ!
これは”征く”と”征かぬ”の選択肢を前に、”征く”を選んだ少女の物語…。
という感じの国道134爆走! バッドガールズ神奈川制覇!! な、スーパーカブ修学旅行編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
『小熊が地元にやってくる!』てんで大興奮だったが、これまでも頭を出してた小熊の悪ーいところがバコバコ顔を出してきて、何にも縛られねぇパンクスの物語として、爽やかかつ元気があった。
今まで散々頭を抑え込まれてきた小熊が、悪い顔しながら自分のしたいことを閉じ込めず暴れている姿を見てると、なんとも言葉にし難い温かみが胸に広がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
小熊はカブにまたがって、失われた幼年期を取り戻しているのかもなぁ、などと思う回でもあった。
べったり心配はしないが友の到来を心待ちにし、先生の言いつけ破って二人で自由に飛び出していく礼子の姿も、また力強く優しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
礼子が見たという富士をどうしても見たくて、宝具・カブの一速でグイグイ愛鷹山を踏破していく小熊の背中には、確かな絆があった。
言われるまま、与えられるままではなく、自分で選び自分で進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
自由と自律がこのアニメの通奏低音であり、青春物語としての大きなエンジンだとも思う。
集団としてバスに揺られず、”わたしのカブ”を乗りこなして来たい場所に来た小熊には、そういうトルクが満ちていた。
50年後も、100年後も無事でいてくれる”わたしのカブ”は、つまり”カブに乗るわたし”と紐付いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
頑丈で、最良で、永遠であるカブにアイデンティティを重ねることで、ないない少女は未来の自己像をより明るい色で塗り直し、一歩進むごとにそれを引き寄せていく。
その実感ある一歩として、自分でやりたいことをやり通す修学旅行ツーリングは、非常に手応えがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
規範を破れば自由というわけではなく、自由を求めた結果規範を破ってしまった、という風情で、不良物語としても、結構独特のテイストだったな…悪い奴らめ!(歓喜)
というわけで修学旅行前日、小熊は鎌倉グルメに心ワクワクである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
ないないと自分と世界を諦めていた彼女もやはり人間、上手いものは食いたいし明るい展望に心は踊る。
カブと礼子が、そういう小熊を生き返らせてくれた、とも言える。
(画像は"スーパーカブ"第6話より引用) pic.twitter.com/972ZXDXpDB
叶うなら冷えたタッパー飯を食べ続けていたくはないが、しかしそれが現実ならば恨まず飲み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
そういうモノ解りの良さを開放できる非日常は、しかしワクワクしすぎて上がった熱で押し流されてしまう。
小熊は休みの連絡も、38℃の熱抱えて自分でやらなきゃならん。
『お母さ~ん』とすがる相手はいないのだ。そらー、部屋もメッコメコに暗くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
おまけに、自分を鎌倉グルメから遠ざけた熱はあっという間に下がる。完全に遠足前の小学生だコレ…。
体温低く、全ての希望を投げ捨ててた頃合いには、多分こういう事もなかったのだと思う。
期待すれば裏切られる。求めたものは手に入らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
小熊なり世界を学習して、諦めることで防衛していた自己はしかし、カブという足を手に入れてもう羽ばたき出した。
それは高望みではない。
確かに自分の目で確かめ、自分の足で進むことが出来る、小熊だけの輝きは手の届く場所にある。
いじけて蹴飛ばした石ころが、カブに小熊を導く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
諦める必要なんて、何処にもない。
出会ってからずっと何処にでも行けたし、これからだって行ける。
小熊のカブは無言でそう語りかけ、不良少女は魂にイグニッションを入れる。
(画像は"スーパーカブ"第6話より引用) pic.twitter.com/6meilOwsaK
武装を整え、トーストで腹を満たし、ルートを自分で選択して。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
諦めの詰まった暗い部屋には、もうサヨナラだ。
今の小熊は、行きたい場所には何処にでも行ける。
決断を妨げる壁は、わたしの愛機がぶっ壊してくれる。
そういうモノを超えた信頼を、既に小熊はカブに抱いている。
ここで諦めなかったことで、小熊はまた一つ、諦め続けてきた過去を乗り越え、現在と未来の形を変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
未だ詳細を描かれないが、しかし長く影を伸ばしている彼女の過去に対する、ポジティブな青春復讐譚としても読めるのが、このお話の面白いところだろう。
それは誰も傷つけず、挑戦と友情と発見に満ちて明るい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
規範は破るが、反抗のための出口なき反抗ではない。
それをやらなきゃ、魂の翼が折りたたまれてしまうから、小熊は”わたしのカブ”で進むことを選ぶ。カブはその決断に、しっかり応える。
否。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
そんな小熊の決断を世界でたった一人、親友が遠くから認め、応援してくれているのが最高に良い。
走りたい。
その思いを富士にぶつけた同志として、礼子は小熊の決断を止めない。後押しする。
これ以上ないほどに”マブ”である。
(画像は"スーパーカブ"第6話より引用) pic.twitter.com/dF3qKqXoea
けしてベタベタと張り付くことはないが、お互いの視界を吹き抜ける風を爽やかに共有する間柄。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
だからこそ、あの子が見た世界を自分も見てみたい。
見上げる夏の富士は友情を宿して高いが、カブの一速は見事に大地を掴み、小熊に美しい景色を見せる。
それは、礼子も見た世界だ。だから見たかったのだ
相当に胸揺らす光景だと思うけど、『ま、こんぐらいにしてやるか…』と言い放つ小熊の強がりが、愛らしくも頼もしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
日本人形みたいな外見しておいて、やっぱ相当鼻っ柱の強い少女である。
そういう魂の地金が、カブの翼で羽ばたき出した、という話なのだろう。良いよ…もっと剥き出しになんな…。
景色は箱根路を過ぎて湘南街道、異様に見慣れた風景を行き過ぎていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
ボトルに魂の燃料を注ぎ、一歩ずつ進んでいく景色。当たり前の住宅街も、初めて見るなら…自分の足で進むなら、特別に輝いて見える。
(画像は"スーパーカブ"第6話より引用) pic.twitter.com/vqPCCZTQzq
風光明媚な海岸線だけでなく、長者町の交差点を上がった先にあるふっつーの景色、そこでも輝く小熊の視線を切り取ってくるのが、この作品らしいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
絵葉書に切り取られるような絶景も、当たり前の景色も。
共に、人生の一場面であることには違いがない。
”わたしのカブ”で、”カブに乗れるわたし”が過ぎゆくのなら、そこは何処でも特別になりうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
小熊はそういう喜びと実感を込めて、このツーリングを走っていく。
たった一人自由で、ひどく満ち足りている。
あ、ここの交差点ちょっと進むと、クッキーの自販機あるところだ…。
お仕着せのレールに乗っかるよりも遥かに実りの多い”修学旅行”を終えて、一足先に旅館にたどり着いた小熊を、礼子はいの一番で向かい入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
この”速度”が、二人が駆け抜ける青春の風を雄弁に語っていて凄く良かった。”マブ”なんだよなぁ…。
(画像は"スーパーカブ"第6話より引用) pic.twitter.com/xT1TThRcBE
一緒に叱られて、一緒に舌出して。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
今回のお話は、たった二人の不良少女が自由気ままに、視線を交えつつ駆け抜けていく開放感がある。
事前に相談とかはしねぇ。やりたいとなったらやる。”わたしのカブ”は為し遂げてくれる。
でも、ダチにだけは連絡入れる。
一本筋の通った硬派な不良っぷりが、誰かを押しのけることもなく勝手に暴れていて、なんとも清々しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
子熊たちの”反抗”は凄く自律が効いてて、自分の力と責任の範疇で、自分たちの輪郭を探ってる感じがあるんだよな…誰かを殴った反動で、自分を確かめてる感じじゃない。
むしろ己の足と魂の延長として、カブに助けてもらいながらたった一人、あるいは真実心が通じるもう一人と、人生の輪郭をなぞっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
そういう手触りが、今回のエピソードには強くある。
暴れ出さずにはいられない思いに、どう手綱を付けて走らせるかを、小熊たちは結構考えている。
その結果がワクワクお風呂タイムであり、笑顔のごはんタイムである。笑顔になれて、良かったねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
”わたしのカブ”がなければ、礼子と共通の話題で鬼盛り上がりすることもなかった。
”カブに乗るわたし”じゃなければ、ここにも来れなかった。
(画像は"スーパーカブ"第6話より引用) pic.twitter.com/DYKPDyYqJR
親友が心待ちにしていた食事を、菩薩のような表情で見つめる礼子がマジ優しくて、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
彼女かなりのカブキチで変態なんだが、その想いがモノで留まらず、そこから喜びを手に入れる自分や小熊…ヒトに向いてるのが偉いよな。
マニア気質なんだけども、体験が閉じてないというか…。
小熊も礼子と出会わず、出立を告げる相手なしではもしかしたら、鎌倉まで来れなかったかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
いつものように諦めて、暗い場所で冷たい飯を食っていたかもしれない。
しかしカブが結んだ縁を手繰って、確かに彼女はここに来た。ここでしか食えないものを腹に落とし、熱い湯を浴びた。
その唯一性が、今ここにしかいない小熊を、小熊自身に実感させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
わたしだけのカブがあったから、わたしはわたしなんだ。
モノが連れてくる体験と友情が、ないない少女の世界、世界を走り抜けていく小熊を彩っている。
なんとも、心地よく眩しい。
というわけで私らの”修学旅行”はコレや! マジで悪い子達だよ…(歓喜)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
ここでも小熊たちは誰に頼るでもなく、二人でテキパキカブをイジって、二人乗りモードに作り変えていく。
他の誰でもない、自分たちでやる。自分たちで、自分たちの世界を掴み取る。
(画像は"スーパーカブ"第6話より引用) pic.twitter.com/1Iqb9UfN3r
丁寧に積み上げられるカブ・リアリティは小道具へのこだわりを超えて、青春物語に必要な質感を生み出す、大事な要素になっていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
荷台を外し、ステップを引き出す。
その一挙手一投足に気合が入っているからこそ、小熊に回された礼子の腕に、こもる力も伝わるのだ。
そうやって、自分を抱きしめてくれる友だちがいることで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
ここにつれてきてくれたカブと、ここに来ようと思えた自分がいることで。
小熊は与えるがままに満足できない、悪くて元気な自分を捕まえていく。
本当の自分がどんな存在か、実感を込めて確認していく。
それは、”わたしのカブに乗るわたし”だ
それはずっと続いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
挑戦に付き合って壊れたとしても、新しく挑み直せる。
遠い国の牧場でも、生活の脚として活躍している。
50年、100年先の未来にも、ずっとずっと在り続けてくれる。
そんな安心感を、小熊はカブに投影し、カブから受け取る。
(画像は"スーパーカブ"第6話より引用) pic.twitter.com/h5VSD5CW0S
それはただのカブ信仰ではなく、ついに後部座席に乗って小熊を抱きしめ、同じ空を見上げた礼子が、共にいてくれるからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
マジで今回の礼子は”マブ”過ぎて、直視できないレベルで眩しかった。つ、強すぎる…。
小熊も控えめな顔して、相当礼子に体重預けてるからな文字通り…。
つーか鎌倉まで踏破出来たのはカブがレベルアップしたからで、そうなるための免許は礼子が手伝ったから取れて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
あらゆる変化が、友情を舫い綱にして一つに、前向きにまとまってんだよな…。
このべとつかない一体感、運命がドライブしてる感じが良い。手応えがある。
という感じの、ないない少女の修学旅行闘争でした。大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
僕は小熊のパンクスな所に惚れとるのですが、『諦めろ!』と頭を抑え込んでくる世界に堂々反骨の志をおっ立て、愛機とマブダチで未来に駆け抜けていくバッドな空気を堪能でき、大変良かったです。悪い奴だよ…!(三度目の歓喜)
『征てぇ…何処までも!』と吠えるマブダチの魂を電話越し、あるいは後部座席と風呂ん中で受け止める礼子も、爽やかに眩しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
以心伝心、悪巧みにおりゃー! っと漕ぎ出していく二人が心地よくワイルドで、大変良かったです。
二人とカブは、まだまだ進む。次回も楽しみです。
追記 色んな角度から勝負できるけど、マニアックな深さも失わない。ここら辺の尖ったバランス調整が、一番凄いことかもしんない。
スーパーカブは豊かな作品、豊かなアニメ化であり、色んな人が『ここみたい!』って部分に横幅広く反応できるリッチさが、高評価に繋がっていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
つまり見る人によって、刺さるポイントが結構違う話なんだと思う。でも作品として、一まとまりの唯一性もしっかりある。そこが強い。
自分は児童文学みつうか、抑圧された子供である小熊がカブを通じ自分と世界を掴み直す感触に惹かれて見ている部分もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
礼子と二人きり、カブを通じて解り合い駆け抜けていく自由さ、抑圧を弾き飛ばすパンクスな気配も響く。
自分の足で勝手に進んでいく、手作りの秘密基地感もグッドだ。
見る人によっては体内のバイク分解酵素と反応して快楽物質が発生したり、情景と音楽に魂が震えたり、学生生活の解像度がズバッと刺さったり、生活描写の細やかさに心打たれたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月12日
そのどれもが切り離されず、連動しながら生きてる所が、色んな人を引きつける強さなのだと思う。豊かなアニメよね。