Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
夭聖の想いの花は、一夜に燃えて散るのが定め。
しかし焔が咲かせた縁の華は、現代の夢として可憐に咲き誇っていた。
運命に導かれ、再び燃え上がる恋の炎。
黒い風に導かれ、悪魂へと変わっていく心の中の鬼。
何のために、誰のために、俺達は戦うのか。
という感じの、焔くんエピソード二回目である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
『スッキリしない後味を残す、一話完結形式』という基本パターンを崩し、かつての縁がもう一度盛り上げるヒロイン再登場回となった。
親世代の因縁もチラホラと燃えて、本来無邪気な想いをわざわざ邪悪に燃やすシリウスの業も暴れ、手応えのある仕上がり
焔くんを見ていると、主人公が炎属性であることが多いのに納得がいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
真っ直ぐで、火傷するほどアツいけど、それは誰かを温めたいから。
素直に応援できるヒロイズムを、屈折したヤンキー仕草に隠す彼は、五人で一番分かりやすい”正義の味方”だ。
胸に燃え上がる情念は、夭聖のルールを超えて記憶を残し、大ヒットを生み出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
焔も恋の炎を静かに燃やし、再会と危機が禁断の思いを滾らせていく。
この歩みは、彼にとって最強のヒーローでありロールモデルでもある父と、おそらく同じだ。
冷えた心を肌で温め、滴る涙を指で拭う。
それが母に裏切られる形になっただろう、うるうの心に残した火傷を思うと、焔くんから見た熱く真っ直ぐな世界だけが、真実ではないなと思わされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
知らないからこそ熱くなれる無邪気を、うるうは既に砕かれている。
それでも闇に落ちず、規範に縛られつつ”何か”を求めるからこそ、彼は戦う。
その哀しさが、唇越しに伝わるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
『シリウスの不意打ちで主役級脱落か!?』という、緊張感のあるヒキも含めて、やはり炎と水は一対で描かれてんだなー、と思うエピソードであった。
いや実際、どうなっちゃうの…。
うるうくんが危惧していた恋の危うさが、現実化した形で続くの面白いよなー。
焔くんが主役を張った第2話は、5人の物語で唯一、絶望の中の希望が強く表に出たエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
人間と夭聖…女と男が心を通わせ、何かを打ち倒し救ったように見えても、それは一時しのぎ。
生きていく上で逃れ得ない業が裁きを塗りつぶして、しっくりこない終わりが多いこのお話。
クリエーターである椎菜ちゃんの苦しみを開放し、記憶は消えても縁は原稿用紙に残った焔くんのエピソードは、その例外と言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
ヒロインが椎菜ちゃんっぽいのが深窓意識夢力高くて微笑ましいけど、ちくわはヤベーだろ…。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第7話より引用) pic.twitter.com/9byZnVePwi
同級生の茶化しには『ちっげーし!』と吠えつつも、焔くんの純情は本物であり、再び紡がれた縁が恋を燃え上がらせていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
宿命に思いを塗りつぶされても、何度でも出会う。
転生モノっぽい純情もあって、この二人の物語は非常にピュアに感じる。他ん所で、どす黒いのは間に合ってるしな…。
しかし無邪気であることがときに危ういことは、第4話の樹果くんでも示されたところ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
恋の形すら規定する女王様のヤバっぷりに一瞬引くけども、それも愛著エネルギーを管理し、情念の危うさをよく知る故かもしれない。
つーか、焔パパでボーボー燃えたしな…。
目の前にいるたった一人の女に、禁忌と知りつつ温もりを伝えるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
社会の形を守るためにルールを守り、冷え切った牢獄に思いを閉じ込めるのか。
焔の父と清怜家が演じた愛憎劇は、個人と集団、情念と掟がぶつかり合う、答えが出ない難問でもあったのだろう。
今まさに命がけの恋を知ろうとしている焔くんは、その複雑さを知らないまま、父に憧れヒーローになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
戦士として色々やってたっぽいパパの、『誰も殺さないでいい』という言葉は、非常に重い。
つーか親世代は感情エネルギー奪取とかヌルいことせず、バコバコ殺してたのね…そりゃそうか。
燃える思いがある女には癒やしとなり、ある男には刃となってしまう大人の複雑さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
殺し、殺されの現実に疲れ果てた戦士が最後にたどり着いたヒロイズムは、焔くんに継承されつつもその全てを伝えていない。
真っ直ぐな正しさがそのまま、正解を掴んではくれない世界の難しさを、炎の少年はまだ知らない
うるうくんが焔くんに見せる苛立ちと執着は、そんな真実を一足先に突きつけられ、規範を守る大人になった(なるしかなかった)立場が生み出している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
世界の難しさも知らず、ノンキにヒーローぶりやがって。
掴み上げる胸ぐらには、その真っ直ぐさが羨ましい思いもあるのだろう。
うるうくんが内心に秘めたものは、どす黒い闇に接近しつつもギリギリ形にならない思いだが、今回の敵役・扇ちゃんはかすかな心の傷をシリウスによって増強され、取り返しのつかない炎を世界に撒き散らしてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
思い返せば、今まで断罪した悪党も、背中を押されなければ普通でいられたかもしれない
妬ましい、憎い。弱いやつから奪って、自分だけはいい思いをしたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
人間が生きていく以上、そういう思いはジクジクと否応なく湧き上がる。
その泥をどう表に出さず、上手く吐き出して生きていくかという智慧を、人間社会はシステム化し、また積み上げもしてきた。
それはけして十全ではなく悲劇も起こるが、完全に無力というわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
椎菜ちゃんが扇ちゃんの作品を好きでいた事、扇ちゃんがアシスタントをすることで自分のクリエイティビティを守れたことは、けして嘘ではなかったと思う。
かすかな嫉心を抱えつつ、それでも相補う喜ばしい関係。
それは確かにあったのに、綺羅びやか悩みに導かれて崩壊していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
マッチポンプのトレパク騒動で、扇ちゃんは幸福だった夢から身を乗り出し、化粧で素顔を覆い隠して悪しざまに振る舞っていく。
そんな、小さな楽園の崩壊が僕は寂しかった。シリウスは悪いことをしているな、と思った。
幼い夭聖達が、十訓に代表されるキレイな夢だけを無邪気に追いかけているように、シリウスは闇に惹かれる人間の一側面だけを、真実として固定してしまっているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
人は醜い。人は落ちる。
それは事実であるけども、それが全てではない。
怒りも妬みも、時に世界を切り裂く武器になる。
第2話で正しい怒りを椎菜から引き出し、引き受けた焔くんは、父を奪われた怒りを武器に変えて、泣いて暴れる自分自身を越えていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
そんな風に、歪み間違える自分、ままならない世界を自分に引き受け、他人と支え合うことで乗り越えていく道が、多分バランスの良い答えとして話の先にある。
…のだが、業深い世界に生きる人間も、誰かの用意した答えに縛られる夭聖も、そこから反転したシリウスも、皆世界の全体像、人間のあるべき姿を把握するには(まだ)愚かで、幼い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
だからこそ愛著回収の任務の中で試され、学び、己を変えていける。
あるいは業に飲まれ、変わることが出来ない。
やっぱ作品全体の構図が、迷妄に苦しむがゆえに発心し、四苦八苦を噛み締めながら勤行していく仏道を強く、見据えてる感じはすんのよな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
悟れないからこそ悟ろうとし、その度あまりにままならぬ業にぶち当たる。
そんな人間のダイナミズムを、スゲートンチキな角度から切り取ろうとしてる印象。
炎のオブジェを挟んで、焔くんとうるうくんは交わらなぬ思いを交わす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
やっぱうるうくんがツッコみ過ぎで、無邪気を憎み救済を求めるコンプレックスがむっちゃ深い。
愛の真実を知らない焔くんは、(まだ)壁を超えられない。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第7話より引用) pic.twitter.com/knRAoY3MCK
しかし扉の向こうに隠した女の涙には、その熱い思いを届けることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
世界中が敵に回っても、俺だけはお前を抱く。
その思いは、知らず父が殉じた愛をなぞっている。
闘いに必要な冷製を奪われようと、掟で禁じられていようと、燃え上がる思いを止められない。
うるうくんがチクチク突っつく”火炎族の習性”は、ことこの親子に関しては強く継承されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
それが悪だと言われたら、人間が信じられるものは無くなってしまうが、しかし確かに、愛は闇を生みもする。
扇ちゃんも、漫画を愛すればこそ憎み、妬んだのだろう。哀しい…。
無垢なる天才・山下清風のヘヴン空間では、邪悪なものとされる鬼や蛇が無邪気に闊歩する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
焔くんは思い込みに突き動かされて、炎の槍で彼らを殴りつけようとするが、愛した女の言葉で敵が敵ではないことに気づく。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第7話より引用) pic.twitter.com/YsIWIX9jv4
俺は優しい異形が石投げられる展開がマジでキツイので、鬼たちの真実を見定めた焔くんが体張って、野次馬たちの投げかける花火(悪しき炎)に立ち向かってくれたのが、とても嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
多分この無邪気な鬼は、扇ちゃんの思いそのものなのだ。放っておけば、ちぎり絵のなかでのどかに暮らしていけた
でも自分自身の浅ましさと、シリウスが投げ込んだ火種が、この世界を地獄にしてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
玉屋鍵屋と無邪気に囃し立てる観衆は、扇ちゃん自身が呼び込んだものだ。
でも、それで彼女の胸の中にある優しい鬼は癒やされない。
誰かを貶め、傷つければ自分の大事なものが助かるわけではない。
落ちた夭聖であるシリウスの超常的な後押しと、善悪同居していた扇ちゃんの心がバランスを欠いたあわせ技で、連載は炎上し、椎菜ちゃんは闇の中涙を堪える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
それを愛の炎でぶち壊した焔くんも、一番傷ついている鬼に向けた刃を、女の言葉で収める。
椎菜ちゃんが鍵穴の向こうから、(第2話でそうしたように)闘いに参加しなければ、全てを焼き尽くす火焔族の悪しき習性に従って、焔くんは鬼を焼いていただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
だが、そうはならなかった。真実泣いているのが誰か、見定める智慧を少年は手に入れた。
これは、非常に功徳なことである。
ピンク色のリア充空間を嫉む心も、扇ちゃんはまぁまぁ制御してアシスタントやってたと思うんだが、シリウスの介入を受けてそれも暴走する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
闇こそが人の真実と、自分が手に入れた悟りにしがみつき、産まなくてもいい悲劇を拡散していくその様は、まさに餓鬼というべき危うさ、浅ましさを宿している
焔くんに強く当たるうるうくんと同じく、シリウスもまた悪しざまに業を強調しつつ、それを越えていく光を求めて、色々暴れてるんだろうな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
何かが奪われた欠落があまりに痛むから、それを補うだろう誰かを挑発し、殴りつけ、自分と繋げようとする。
ひどく間違っていて、切実で痛い。
愛ゆえに焔くんは勝利し、シリウスの乱入で輝石を砕かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
水に落ちていく彼をうるうは追いかけ、唇越しに命の泡を手渡す。
今回は冒頭←の距離感だったものが、→になるまでのエピソードでもある。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第7話より引用) pic.twitter.com/ZxDAxiiG4s
沈んでいく焔よりも、潜っていくうるうは速い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
それは水に親しむ水潤族の特性でもあるし、『救いたい!』という強い意志が生み出した速度でもあろう。
夭聖達は舞台裏に閉じ込められ、仲間とともに戦うことを禁じられている。
仲間のようでいて、ひどく孤独な彼らが今回、一つの枠を超えた。
その先頭を切ったのが白紙の主役、正しさの権化たる蘭丸なのは納得であるが、彼は傷つけたシリウスを追い、傷ついた焔くんを助けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
ここに、常に自動的な蘭丸の欠落があるように思う。
彼はクライアントの思いにも、自分の中にある情動にも、世のままならなさにも寄り添えない。
実際に傷つき沈んでいく、自分の仲間にも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
その空疎な正義を補うように、『舞台裏で見守る』というルールをぶち破って水に潜ったのが、うるうくんなのは僕には嬉しい。
やっぱ水→火の感情デカ過ぎんだよな…。
愛憎、憧憬、対比…色々混ざりすぎて、一番人間くさい。スゲー良い。
愛する人の死に、鍵穴の向こうで気を失うしかない弱い人間の定め。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
それを補うように、うるうくんは颯爽と駆け出し、口づけを果たした。
これ、傷ついた人を放っておけない火焔族的な性質が、思わずうるうくんを焼いた…って事でもあるんだろうな。見た目ほど、水潤族の男ではないのだ。
この口づけが傷ついた焔くんに、迷えるうるうくんに何を生み出すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
驚愕のヒキでぐいっと引っ張られて、一週間待つのがなかなか辛くもありますが、大変良いエピソードでした。
やっぱ焔くんはキャラが真っ直ぐなので、全体的に受け止めやすい。
その純粋さが、物語全体や他のキャラも鮮明にするね
その代表格、色んなものに雁字搦めなうるうくんの第二エピソードで、一体何を描いてくるか。大変楽しみです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
うるうくんの業の深さ、屈折した情感だけが浮き彫りに出来るもの、凄く多いからな…次回は大事な話数になりそうだ。
追記 夭聖が介入しなくても、業は踊る。そこであがく地団駄こそが、人の醜さである美しさなjのだろう。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
今回のシリウスの立ち回りが僕は凄く嫌なんだが、その理由を探ってみると、扇ちゃんなりの努力が超常的な力で無化されてるからなんだと思う。
コンプレックスの種はアシスタントやってる扇ちゃんに確かにあって、だからトレパク捏造として発芽もした。
でもそんな風に全部ぶち壊しにして、一緒に漫画を作っていく日々を踏みにじりたくなかったからこそ、なかなか目が出ない事を恨む自分と折り合いつけながら、扇ちゃんはアシスタントをやってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
良い自分、好きになれる自分でいようとした。
そこには、結構な努力があったと思う。
化粧でそばかすを覆い、漫画ではなくゴシップでメディアに映る彼女を、シリウスが介入する前の彼女が望んでいたか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
それを考えると、シリウスの振り回す悪辣は人間の小さな踏ん張りを、上から特別な力で押し流す傲慢がすぎるな、と感じる。
シリウスは凄く純粋な夭聖で、人間と自分たちのキレイな部分だけを強く信じ続けたから、それが砕かれた時一気に反転したのかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月20日
ここら辺はベテルギウスとの過去が語られた時、一気に解る部分だろう。
『加害者は被害者』という作品のルールは、最大の悪にも適応されるんだろうなぁ…。