シャドーハウスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
煤に汚れた館の影が、生き人形達を飲み込んだ。
魂を蝕む邪悪を痛みとともに吐き出し、再び繋がったはずの想い。
攫われたエミリコを追って、ケイトは”お披露目”の仲間を頼る。
影と人の垣根を超えた絆は、闇を切り裂く光となるか。
そんな感じの最終決戦前夜! 待ってろエドワードッ!! な、シャドーハウスアニメ第11話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
想定していたより進みが早いが、アニメの枠の中でしっかり終わらせるために選んだ展開だと思う。原作付きアニメは、どうしても此処の処理が難しいよなぁ…。
正直な話をすれば、原作読んでないアニメ入り口のニワカからすると、省略された(だろう)アレソレは『無い』わけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
1クールのアニメーション連作として、手応えのある終わりを見せてくれる方が大事かなと思う。
相変わらず演出がキレて、シャドーと生人形の情がよく伝わるのが有り難い。
とまれ、コーヒーによって洗脳され館にとって便利な人形ではなく、自由な意思を持つエミリコを取り戻すべく、ケイトは静かな戦いを始める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
館の規範からすれば生き人形は”モノ”であり、そのプライバシーを尊重する理由はないはずなのに、部屋に入り日記を読むことに断りを入れる。
こういう細かい振る舞いに、ケイトがぶん回す人格尊重主義が誰かに与えられた題目ではなく、血の通った信念であることが見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
他のモーフが自我の薄い、館に備え付けの規範を当然視して疑わない子供であるのに対し、ケイトは何があっても譲らないルールをしっかり定めている。
この唯一性が彼女をこの物語の主役にしているわけだが、そこに理由はあるのか、ないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
まー人間が人間として為すべきことを見据えるのに、理由なんていらないので”ない”でもOKだが、カッチリ作ってる話なので”ある”理由も決めてありそう。
ま、大事なのはケイト様が義人である、ということだ。
ケイトは思い出のパンくん人形を追いかけて、エミリコ奪還のヒントが畫かれたノートを見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
確固たる目的意識を持ちつつ、ただの人形一つにも膝を折って丁寧に扱う優しさが、結果として望みを叶えていく。
(画像は"シャドーハウス"第11話より引用) pic.twitter.com/6eZFVtY9h7
無私の善良が遠回りに報われる描写は随所にあって、ラムを見回りの時にエミリコが打きしめたときも、お披露目での方舟脱出大作戦も、何らか見返りを求めて行ったわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
震える子供を、傷ついた友を癒やしたいと、それだけ考えて動いたことが、ままならない世界を変える鍵になっていく。
こういう因果が丁寧に編まれているのが、この物語の目立たない良さかなー、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
ケイトがエミリコを求める情は、黒い表情には映らない。
なので指先の芝居を丁寧に作って、彼女が何を思っているか伝えてくる演出が冴える。
ノートに描かれたエミリコの面影を、撫でる仕草に宿る情。
あるいは過酷な水責めを、為さねばならぬと分かりつつ課す時の震える拳。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
俺のエミリコたんがゲーゲー吐いてて、大変可哀想だった。良くないなぁ…そういうのは…(ねっとり愉悦顔)
わざわざ嘔吐シーケンスを丁寧に描写するあたり、スタッフに重度のエトフィリアがいると思う。
エミリコが”考えないノート”を作ったのは、問い考える賢さを大事にしたケイトの影響だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
考えない道具になることを是とする規範に反逆し、自分が大事だと思えるものを半身に分け与えたことが、巡り巡ってケイトを助け、エミリコを救う。
全てが繋がっている感覚は、やっぱり感慨を強くするね。
しかし水飲みオゲゲーで洗脳解けるなら、煤病治療でオゲゲーしてたローズマリーも、洗脳珈琲の影響受けてないんだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
中原麻衣声の一見おっとり多分ヤバ女が実際ヤバいと大変嬉しい世代なので、是非内乱の予感を秘めたトリーズナーでいて欲しいが、さて。
さておき、落ちるグラスと砕かれた命、エミリコが自我を取り戻し黒い檻を突破した瞬間を、重ねて見せる演出は良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
それは半身に苦痛を強いる時間が終わったこと、死を正しく悼んでもいい自由が取り戻されたことを示す。
(画像は"シャドーハウス"第11話より引用) pic.twitter.com/EwiylOBO9x
やっぱよぉ…ラムとシャーリーの死をニコニコ笑顔で受け入れなきゃいけない世界は、絶対的に間違っとるからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
喜びに笑い、哀しみに泣く。
存在しない自分の顔の延長ではなく、湧き上がる思いを自然に、自由に表す率直さをこそ、ケイトは抱きしめたかった。
そんな人道主義と、館のシステムは真っ向から対立する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
館の外もやはり心を侵す煤まみれで、館の…その中心にいる”お祖父様”に都合のいい農場として機能させられている。
生活に利便をもたらす煤炭と引き換えに、生贄の羊を差し出す狂気のシステム。
(画像は"シャドーハウス"第11話より引用) pic.twitter.com/E68L4VAtNT
煤発生能力に長けたシャドー(成体モーフ)を館内部で増やし、生き人形にそれを清掃・回収させて煤炭を生成する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
これを村々に伝播することで利便と洗脳で縛って、モーフが成体となるのに必要な生き人形を近隣から回収する。
よく出来たシステムである。人間のいちばん大事な部分を踏んでる事を除けば
館を出ても空は煤に汚れ、”お祖父様”のシステム化された威光は地に満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
教育、異能、規範、排除。
あらゆる手段を効率的に使って、シャドーハウスは拡大を続ける。
自我を殺し、支配者のコピー以外とそれに傅く奴隷は生存できぬよう、世界を黒く塗りつぶしていく。
その具体的なからくりが見えて、答え合わせの嬉しさと、外道への憤怒が同時に沸く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
奴隷労働力として使い潰され、悪しきモーフに食われる未来を”誉れ”に塗り替えてんの、ホント最悪だよなー。
同時に、社会規範をハックすればどんな外道も成り立つという世知に、ジジイが長けてる所が良く見える。
攫われたエミリコを追って、ケイトは同期を頼っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
女の子コンビが繊細な指先で愛しさを撫でていたのに対し、わんぱくボーイズは夕日で殴り合いなあたり、”手”を使った演出で各組の差異が良く見える回である。
(画像は"シャドーハウス"第11話より引用) pic.twitter.com/FvuwUpjDY9
殴り合って対等な関係性を取り戻すものもいるし、精神操作能力に目覚めて人形を繰るものもいる。シャドーと生人形の関係は多様だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
アニメはとりあえず、エドワードを最後の壁に話をまとめる感じだろうか。
なんでかかずゆみ声になってんのアイツ!?
館の行動規範を押し付ける珈琲ではなく紅茶を選んであるあたり、エドワードも結構反逆気質だよな、などと思いつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
エミリコを餌兼証拠として、反逆分子であるケイトを釣り上げて差し出し、警戒の強い新体制の必要を自分と一緒に”お祖父様”に売り込む感じかなー…。
ジジイが煤使って拡大してるシステムに順応しないと、この世界では大人になれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
水責したり殴り合ったりしてでも、半身に自分を取り戻させる正しさは、この檻の中では摘み取られるべき悪しき芽だ。
エミリコを攫ったエドワードの謀略には、彼自身の矮小さと同時に、巨大なシステムの影が伸びている
そこに子供たちの同盟が、恩義に報いるべく…あるいは個人的な反発を叩きつけるべく、牙を突き立てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
長く時間を使った”お披露目”で畫かれた、勇気と団結、率直さと無垢なる腕白が最後の戦いでも武器になりそうなのは、一貫性があって良い。
システムに対抗しうるのは、結局そういう武器なのだろう
ルイーズがエグい性悪のまま、最終決戦に乗り込む情報とモチベケイトに繋いで場を整えるの、円熟のTRPGプレイヤーを背後に幻視してしまった…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
『私のキャラはこうなんで~』に逃げず、”らしさ”保ったままシナリオ進行に貢献するの、上手い立ち回りだよなー…大事よね、そういうの。
というわけで、色々判って色々動く最終決戦一個前でした。ふーむ、なるほどなー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
展開も情報も詰め込んだ感が無いわけではないが、よく整理され演出にも血が通っているので、結構スルリと食えました。
謎が伏せられてる間に、『こうだろう、こうだったら良い』と思ってた形に近かったのもあるけど。
やっぱケイト様がエミリコ♡ぶっちぎり♡LOVEで、自力で愛を取り戻さんと頑張っていたのが良かったですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
”お披露目”では囚われのヒロインポジだったので、ここでヒーロー力を発揮し対等な関係だと示すの、お話の骨として大事に感じたね。
あと…ラムを悼んでくれて…ありがとうございました…。
あとは可愛い可愛いエミリコを攫った、悪いエドワードをぶっ飛ばすだけ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
”お披露目”で子供らの人格を丁寧に追った結果、モーフという種族ではなく各個人がクズだったり聖人だったりすると判ったの、個人的には結構大事です。人間と同じだなぁ…。
成るか大団円、次回も楽しみッ!