MARS REDを見る
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
雪降る帝都で、ルーファスは我が世の春を噛み締めていた。
圧倒的な権勢に酔い、暴虐に浮かれる道化の王の隣で、彩芽は浮かない顔を見せる。
本拠を焼かれてなおしぶとく生きる”零”の終わりも、また迫っていた。
スワが、タケウチが、秀太郎が、それぞれ選ぶ未来の形とは…?
そんな感じの道化王の短き絶頂! お前の狂いっぷり…嫌いじゃなかったぜ…な、マズレ最終話一個前である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
”スーパーカブ”に引き続いてヴィヴァルディ鳴り響く中、マジ超絶いい気になってるルーファスくんが玉座から滑り落ちるまでを、一話にギュッと凝縮であった。おもしれー男だったな…。
吸血禍に唯一対抗できる武力のトップとして、自分を脅かす全てを燃やせる力を手に入れたルーファスくんを、他のキャラ全員が真っ向から受け止めず、スルリと身を躱して処理してたのが、非常にこの作品らしいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
もうちょい真っ当に、キャラの根っこ掘り下げるような会話をしても…。
いやまぁ、調子には乗る裏切りはする、他人は大事にできないツメは甘い行動の芯はないと、真っ当に相手する理由が一切ないキャラであり、帰ってきた真祖にビビった挙げ句幻術にハメられ、偽りの玉座から落ちて死ぬオチは、何より彼に相応しかったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
スワさんは情をかけた彩芽ちゃんに人生捧げる道を選び、タケウチは天満屋に集ったヴァンパイアと友に進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
秀太郎は葵ちゃんとの絆を背負って、剣鬼と化した前田さんとの決着を付けるために、ようやく剣を正しく握る。
全員、道化の王と向き合ってる余裕がないんだよな…。
なのでデフロットくんが超絶良い気になり返して、相応しい最後を演出してあげたのは収まり良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
秀太郎は優しい舞台装置としてS級の能力を使ってきたが、デフロットくんは魅了の瞳で持って、死に至る罠を作った形。この対比は好き。
普通力みそうな所で力抜けてるのは、このアニメの特徴であり特長でもあると、僕は思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
千本鳥居大炎上って、結構な大事件だと思うんだけどもスルッと描写され、天満屋に集った連中もどっこい生きてる。
彼らが目指すべきカナーンは別にあると、既に示されてたとおり道化をハメて、計画を進める
その庶民的なしぶとさが、大正以降も生きるヴァンパイアには必要なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
吸血鬼の強さを感知し、遠隔で盤面を組み上げていく異能も相当強力だと思うけど、絵面としては子供の遊びだもんな…その無邪気な強さに、不思議と救われてしまう。
彩芽ちゃんは元々ルーファスが生み出し、天満屋の内情を探るためのスパイだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
スワさんはそれを知りつつ泳がせ、掌からするりと滑り落ちてしまって…”零”を抜けてでも追いかける。
もう明里の時のように、情けをかけた相手に手が届かないのは、彼もうんざりなのだろう。
死にてぇ終わりてぇとボヤきつつも、それでも生きてしまう自分たちのサガ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
”零”に入って以来、スワさんはそれと向き合って、彼なりに答えを出していたのかも知れない。
だからこそつまらなそうな瞳をして、その癖誰かに助けて欲しがってる彩芽ちゃんを、見て見ぬ振りが出来なかったのか。
千本鳥居の暮らしの中で、幾重にもお互いを偽りつつ心を通わせてきた二人を見ていただけに、新天地に渡っていく決着はとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
自分の獣性を抑え込み、人を装うために必要な口枷…明里相手には外せなかったものを、最後に外して本当の声を届けるの、大変セクシーでした。
そうしてもう一つのカップル、秀太郎と葵ちゃんの逢瀬がまた、最高に切なくて良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
最初は人と鬼に分かたれていた構図が、戯れのように異形の証明を求める言葉に応えて一気に詰まり、ロマンスの間合いへと縮まっていく。
(画像は"MARS RED"第12話より引用) pic.twitter.com/oVP1PJ2I3w
しかし結局人と鬼、秀太郎は東京脱出最大の障害となる剣鬼・前田を止めるために旅立ち、葵ちゃんは取り残される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
かつてサロメが歌い上げていた雪のように、儚い思いを掌に受け止めながら、葵ちゃんは微笑みの奥気づかないふりをしていた別れを飲み込もうとする。
しかし彼女は、ヨカナーンの首を待ち受けるサロメではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
ヴァンパイア大好き天満屋さんの励ましを受け、持ち前の気力を取り戻したあおいちゃんは盆を返し、雪の中ひた走っていく。
それこそがモガの矜持、ずっと元気だった葵ちゃんらしい決断だ。
科学の蝙蝠男となって愛する人を救えた秀太郎と、愛する人達を皆失って鬼に落ちた前田さん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
葵ちゃんが向かうべき場所が、かつて岬が燃え落ちた東京駅というのも、良い舞台設定である。
二人の視界に、もはや道化の王は入らない。
最初から、誰にも相手にされていない一人芝居だったか。
一度は離れた愛に追いつくだろう葵ちゃんに、そこに薫る岬の面影に、正気を失った前田さんは何を見るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
廃墟となった東京駅に、多分まだ刻まれている聖痕はどんな思い出を蘇らせるのか。
数奇な運命に転がった大正吸血鬼譚の決着としては、なかなかいい舞台が仕上がったと思う。
クソボケ我儘ボーヤに拳銃手渡されて『死ねよやー!』されてた中島中将が、このまま牢屋で物語を終えるのか、最後に一発カマすのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
そこも気になるところだが、さてどうなるか。
廃墟の帝都、徘徊する悪鬼の軍勢という、中二チャンバラやるなら絶好の舞台で、全然殴り合いしなかったなぁ、そう言えば
芯を外してると言えばそうだろうし、在り来たりな物語を追わないと言えばその通り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
なかなか奇妙な味わいで進んできた物語も、次回大団円である。
人と鬼、伝説と科学、業と愛。
色んなものが入り交じる世界を、とても独特な力の入れ方で切り取ってきた物語が、最後に描くものはなにか。
大変楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
普通の話ならルーファス、こんなに空回りさせて奈落に落としはしないと思うのだが、しかしマズレだと妙に納得してしまう。
それもまた、鬼の生き方終わり方だ、と。
その不思議な手触りと手応えが、このアニメのいいところかな、と思う。
次回も、それが見たいですね。
追記 まージャズエイジも手早く終わって、地獄の不景気と日系人排斥が待ってるけどなこの後のアメリカッ!!
マズレ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
スワさんは”遊び”である戯れ歌一つ歌えない切なさを、明里の死体から受け取っていた。
大震災以降、遊び楽しむことを大事にしたのはやっぱ、長く続いた生き方を変えるだけの痛みが、あの別れにあった、ってことなんだと思う。
どうせ虚しく生きるなら、せめて歌の一つや二つ。
後半のスワさんと彩芽ちゃんの関わりは、非常に世知辛い状況下で”娯楽”に何が出来るのかという、作者と作品の自問自答が微かに漏れてる感じもあり、僕はとても好きな掛け合いであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月22日
船の行き着く新大陸で、どんな苦労と楽しみが待つか。
二人の未来に、優しき夜の祝福が待ってることを祈る。