オッドタクシーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
欲望と暴力を詰め込んで、車が街を行く。
予定調和には行かない現実に、韻は吹き飛びネタは壊れる。
狙いすました伏線と、思わぬ不意打ちが混ざって転がす運命の、奇妙な行末。
GPS、キーホルダー、六発目の銃弾。
日常を飾ってきたアイテム達が、夕焼けに牙を剥くッ!
そんな感じのアドリブ天国スクリプト地獄、十億円大騒動遂に本番ッ! オッドタクシー第12話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
クライマックスに相応しいハラハラ感と、たっぷり溜め込んだ伏線が一気に燃える爽快感、それでもまだまだ待ち構えるサプライズが渾然一体となり、大変血の燃える視聴体験となった。マージ面白い。
まだ終わってねぇネタ山盛りだが、明かされた事実と運命の決着も怒涛のように押し寄せて、脳髄をグイグイと揺さぶられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
長いリハーサルが終わり、動き出す悪達の本番。何もかも予定調和では終わらず、しかししっかり準備したやつが勝つシビアな舞台が、ホモサピエンスの漫才コンテストと重なる。
あれだけ漫才に全てを捧げてきた柴垣がネタを飛ばし、作り込んだフィクションではなく剥き出しのリアルを板に乗せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
『今の感じ、おもろいやん』とタクシーの後部座席、馬場に言ってたフィーリングをアドリブで突き出して、たりないふたりは何処に転がっていくのか。
それは次回の、大事な決着として今回は十億攻防戦である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
初手から偽札チェック作戦が破綻し、もー一筋縄では行かないことがよく判る本番は、意外性と納得が入り交じる濃厚な時間で、大変良かった。
仕込んだ横殴りが冴え、見知らぬ横紙破りが横行し、意外なキャストが横から顔を出す。
ヤノも思わず押韻を飛ばすリアル・アクシデントは、運転席でほくそ笑むドブの狙い通り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
誰かにとっては予期せぬサプライズで、誰かにとっては約束された必然。
わけの分からねぇ狂人の乱入に見えて、自分を追い詰めるGPSを逆手に取った、小戸川の切り札が刺さる。
『知ってる!』と『え!?』のバランスが絶妙で、ここまで仕込んだ食材を最高に生かした、最高の狂騒劇だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
こういうワチャクチャな状況になると、キャラの地が剥き出しになって、作品全体がズドンと重くなる感じがあり大変面白い。踏めてないですヤノさんッ!
カッチリヤノをハメたように見える大門兄が、まさかの逆襲ボッコで地面這ってるのも、『あー終わった終わった』感出たところにワルの乱入が気持ちよく決まる、良いサプライズであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
考えてみりゃ、『ハイそうですかお巡りさん』で済ます連中じゃねーよな。
こういう、後追いの納得がこの話巧い。
ドブの腹をえぐることになった、大門弟の”六発目”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
追い込まれて正義を暴走させていたのは、樺沢や田中だけじゃなかった。
バカバカなじられてても、それでも譲れず信じたいものと、それを裏切っていく現実。
(画像は"オッドタクシー"第12話より引用) pic.twitter.com/BJFLRc3AUQ
ままならない世界に涙を流す男と、泣けない男。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
兄の代わりに弟の想いが頬を伝い、兄弟が自分たちだけの、そして真実の正義に向かってようやく立ち上がる展開は、大変良かった。
大門兄が泣かないのは、遺児として取り残されたこの世界で生き延びるため。
泥をすすり、悪の片棒担いででも弟と生きるため。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
その乾いた生き様に、ずっと寄り添えなかった幼い弟がようやく、ここで追いつく。
落ちた涙は、悪徳警官の渇いた世界を潤し、変えていけるのか。彼らの闘いも、まだまだ先が見えない。
例えタイムマシンがなくても、相乗りタクシーくらいはある世界。
そこを皆、自分の足で進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
そこには因縁があり、無関係に思えたものが結びついて果てに行き着く。
15年前の詐欺が、巡り巡って腹を穿つ。
放たれた銃弾を抜け目なく数えておく才気が、悪党自身を死地に追い込むことになる。
なるほどなー…こうまとまるんか。
斉藤壮馬がゾンビのようにぶっ壊れた田中を快演/怪演し、駐車場の土壇場は大変見応えがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
神ならぬ小戸川達は、第4話を見ていない。
田中がブツブツ呟く”そこにいる理由”は、狂人の戯言でしかない。
しかしそれでも、手繰り寄せて逆転の秘策に使わなきゃ、未来は掴めない。
グチャグチャに壊れた妄想のようで、しかし張り巡らされた真実の欠片を繋ぎ合わせれば必然で、しかしやっぱり当事者からすれば、唐突な偶然でしかない物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
数多のキャラクターと、それぞれが抱える物語が複雑に絡み合い、また離れているこのアニメの真骨頂が味わえる、良いクライマックスだった。
田中の人生を狂わせたアイコンが、ドブ本人だと見抜く決まり手。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
それが、小戸川のODDな世界認識なのが良かった。
フラフラと揺れる運命の天秤を、GPSと自らの異能で最後に手繰り寄せて、タクシー運転手は悪業と手を切って街に消える。
いい最終回だった…。
と思わせた所でもう一波乱、暴走タクシーとの大争奪戦続行だッ! てのが、嬉しいサプライズであり、やられて納得でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
まーもう一枚あるよなーそりゃ。
ミステリーキッスの会見も、ホモサピエンスの未来も、黒田組長が唯一課したルールも。
小戸川の過去と心のあり方も、まだまだ判ってないことは沢山ある。三ツ矢を殺した犯人もなッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
大門兄弟への支援が、兄を悪の泥沼に引きずり込んじゃったように、黒田組長がやること軒並み裏目にしか出てなくて、なんとも哀しい。
つーか恩人の娘の死体バラして海に捨ててる時点で、ヤノに先がねー。
残るは一話、今回以上の因縁と暴力が、ワクワクと運命を加速させていくのでしょう。大変楽しみです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
今回あえて出番なかった剛力探偵が、友情をゴリラパワーでぶん回し、小戸川を助けに来る展開マジ待ってるから。
あと、白川さんとのカポエラ・ロマンスね。
思えば田中の狂気がターゲットを変えたのも、小戸川が白川さんと本気で向き合って、呑楽消しゴムを手渡されたからで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
思わぬ真心が欠落を埋めて、運命を変えていく。ある者にとっては望む方向へ、ある者にとっては理不尽の果てへ。
その絡み合いが、やっぱり面白い作品である。
このお話には欠けた自分に向き合えないまま、何かで埋めようとするODDな奴らしかいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
白川さんのストックホルム症候群、ドブとヤノの超暴力主義、柿花の結婚願望、樺沢のバズリ渇望。
皆何かがたりない痛みに突き動かされて暴走し、そのツケを支払う。一人で完結なぞせず、周りに迷惑をかけまくる
そんな狂える巷をリアルに切り取るべく、人間が生み出した話芸…漫才とラップが強くフィーチャーされてるのも、納得の作風であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
しかしそれでも、何処かにたりない自分を埋めてくれるもう一人が…ODDの片割れがいる、かもしれない。
漫才師と相方、マネージャーとファンとアイドル。
冴えない中年男と、友達と恋した人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
欠けてるからこそ狂うほどに求め、無様で人間臭い結末にたどり着くODDな物語も、そろそろ終着点だ。
色んな道を楽しく走ってくれる、良いタクシーの旅だった。勘定はたっぷりの感謝と喝采で、しっかり支払いたい。一話早いが、ありがとう。
次回も楽しみ!
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
多彩なキャラと物語が並走してきたオッドタクシーだが、"欠乏故の狂騒"というテーマがそこに共通していて、群像劇にしっかり芯が入ってる所が強い。
皆何かが欠けていて、それを満たしてくれる誰かを求めている。大概、それは見えない。
見えないから、別のものに救いを求めて狂う。
二階堂の救いは、自分の牙を包んでくれる馬場なのか、既に喪われてしまった三ツ矢なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
泣けない兄貴に涙を差し出した弟に、満たされて大門兄弟は正義に走れるのか。
皆の欠落が、次回決着していく。矢継ぎ早の大団円で、頭がオカシクなっちまいそうだぜ…(歓喜)
柿花くんとか樺沢とか、中盤をもり立ててくれたキャストの欠落は、彼らなり痛み分けで既に決着している整理も上手い。全部ラストにやると、交通渋滞するからな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
ドブと田中の因縁を、今回決着させたのそういう交通整理の一環だと思う。
あんだけバラバラに思えたものが、実はしっかり因縁で繋がり、人間普遍のODDなややこしさを共有していると判って浮かび上がる、作品全体の輪郭。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月21日
既に臥竜は書き上がりつつある。最終話が点睛を加えて、見事に走り切ることを強く期待する。
オッドタクシー、マジ面白い。