シャドーハウスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
エミリコが連れ去られた、館の奥の深い闇。
ケイトは微かな灯りを携え、”おじい様と共にある棟”へと踏み込んでいく。
友情、知恵、幸運。
何よりも眩しいはずの光は、危機を前に儚く揺れる。
果たして逸脱の影人は、愛しき半身を取り戻せるのか!?
そんな感じの影屋敷最後の冒険、前編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
真夜中の屋敷を大人の監視をくぐり抜け、知恵と友情寄せ集めて探検していくワクワク感が、初心に戻る感じで大変良かった。
このおどろおどろしくもワクワクするセッティングの妙に、一番最初に惹かれたのよね…。
あくまで子供サイズをはみ出さない、小さな勇気と知恵で突破口を探っていく手触りも良かったし、そこに”お披露目”で培った同期の絆が食い込んでくるのもグッドだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
芋臭さのないスタイリッシュな形にシェイプされているが、やはり根っこには児童文学の本道を感じる作品である。
愛、友情、信念、知恵。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
人間にとって大事なものを大事に抱え、あるいは仲間に分け与えてきたケイトとエミリコ。
それを打ち捨てた大人と対峙し、試される流れには物語の根本的なワクワクがしっかり宿っているし、それを盛り上げる手腕も確かだ。
出だし、エドワードとエミリコのお腹ペコペコ漫才で、そこまでシリアスな空気にしないのが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
ちょっと気の抜けた、生き死にがかかってない空気から始まってだんだん、雰囲気が冷えてくる。
その温度差が、予断を許さないサスペンスと、上手く行って欲しい期待感を加速させていく。
エドワードが女声を発するたびにすすがでているので、おそらく彼の煤能力は”変声”だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
最後ケイトをハメた手筋も、それなら説明がつくし。(口をふさがれているエミリコは、自発的発声ができない状況なので)
…精神操作、爆発的怪力、煤自体の操作と比べっと、なんかパッとしねぇなエドワード君!
さておき、天然ボケも交えつつエドワードの詰問を躱すエミリコの心は、ケイトへの信頼と親愛で満たされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
やっぱなー…そこなんですよ。個のお話見てて面白いのは。
とにかく真っ直ぐ、二人はお互いを信じる。敬愛し、与えあい、より善く変化していく。
その揺らがなさが、例えばパトリックを変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
悪しざまに誰かを罵るのではなく、目の前の一人ひとりを尊重できる優しさ。
それはエミリコが植え付けたものではなく、もともとあって覆い隠されていたものが、より善く芽生えさせたものだ。
優しいからこそ臆病で、だから罵倒の鎧で自分を守る。
そういう捻れた生き方を、孤独の闇に差し込まれた黄色い花は元に戻したのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
その想いはリッキーに通じて、珈琲に濁った瞳に光が戻る。そんな風に、善良さは伝播していく。
ここら辺、徹底的かつ強制的に自由意志を封じてくる館のルールと、好対照を為しとるわな。
無論皆が”いい子”ではなく、ルイーズはナルシシズムの延長としてルウを溺愛し、依存する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
この歪みを”従者”が把握・掌握してる所が最高に良いんだが、僕個人の”癖”は横に置いて…そういう人間でも、善き行いに協力することは出来る。
愛を伝えて、心の濁りを取ることは出来る。
同期五人組がいい子集団になりすぎて、リアルな手触りが削れすぎないように、問題アリアリ…なんだけどギリギリ協力できるラインに、ルイーズの人格置いたの上手いなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
根性ドブゲロのクソアマだから、最終決戦にも知らんぷりです! じゃ、あんまり寂しいしな…。
ケイトが重視する個性には、当然尖ったものも含まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
それも巧いこと導き環境と関係を作っていけば、誰かを縛るのではなく解き放つ方向へ、エゴを使えるようにもなる。
そういう多様性への視座、ハンディな解決策が真夜中の子供会議にあったの、僕は凄く好きです。
結局ケイトは単身でエミリコの元へ向かうことになるのだが、リッキーの後ろ髪、謎のリボン付きモーフと、助け舟の伏線も結構出されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
この作品で”リボン”いうたら、あの子しかおらんじゃろ! 離せ、俺は狂ってないッ!!!!
(画像は"シャドーハウス"第12話より引用) pic.twitter.com/oO27EVTasB
話作りがとても巧い物語なので、ケイト単独でエドワードに挑む(≒彼女とエミリコの特別な関係、それを譲れない思いの強さを描く)だけでは、クライマックスは終わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
一人では解決できない窮地に、差し出される誰かの手。確かに育んだ友情と、彼女たちが広げた光の輪。
そういうもんが大団円の切り札になるヒントが、随所に積まれてワックワクである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
非常に基本的なのだが、こういう”起こり”を丁寧に積むことで、意外かつ納得の展開が腑に落ちる素地が作られる。
サスペンスを楽しく食わせるためには、ここの技量がスゲー大事だと思う。
識閾越えて言語化されなくても、描かれてる事自体が脳に引っかかって、後出しで『あ! そう言えば!!』てなるもんでもあるしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
これをどんだけ露骨にやって、どんだけ隠すかって塩梅が、プロの調理法なんだろうなー。シャドーハウス、ここがマジでうめぇ。
ケイトはか細いランプだけを抱え、深い闇の中に分け入っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
順当に調査しているときは影を切り裂く灯りが、ワゴンを調べられ潜入がバレるピンチに吹き消され、闇は濃くなっていく。
扉の奥に響く、愛しいものの声。
(画像は"シャドーハウス"第12話より引用) pic.twitter.com/17qiREUmOd
それが偽りだと知らず踏み込む時、ケイトはどんな灯りも持っていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
しかしランプよりももっと強い輝きが、彼女が追い求める半身の背から、月光と注ぎ込んでくる。
ここら辺の、ライティングを活用して状況を語る演出は最高に良かった。
何が敵で、何が味方なのか本能的に判る。
閉ざされ、煤に満ちた謎の屋敷。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
この物語にとって影は妖しく、危険で、つい手を伸ばしたくなる魅惑に満ちている。
動かぬ自然現象としての影は”シャドー”となって立ち上がり、ドラマの根幹を背負うから、”影”をどう魅せるかは作品にとって、非常に大事だ。
そこがとにかく、上手く行ってる物語だなー、と思う回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
ケイトが挑んでいるものがどういう感触で、何を隠しているのか。
危機と助力が危うく揺れるドラマの運びと、際立ったビジュアルの強さ、コントロールの巧さでしっかり解らせ、ハラハラとワクワクを掻き立てる。
具象の奥に抽象的な意味合いを込めるのが、抜群にうまいんですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
ケイトとの楽しく平らかな日々の象徴であり、彼女たちが無垢なる”子供”である証明たるパンくんが、二人を繋ぎ闇を晴らす決め手になるところとか、最高に良い。
あれは命のない人形だけど、たっぷりと愛と夢が詰まってっからな…。
エドワードの悪しき謀略が二人を捉え、さてどうなる次回最終回ッ! と、大変良い所でヒキましたが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月27日
これはキちまうでしょ…友情・努力・大勝利のYJ黄金方程式がよ!
諸悪の根源であるジジイをぶっ飛ばすかはさておき、エドワードに一発かまして収まりよく終わりそうで、大変次回が楽しみです。