憂国のモリアーティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
ウィリアムの計画は最終段階へと移り、ロンドンは炎に包まれる。
業火は人の罪と未来を、どちらを照らすのか。
贖罪は死によってしか為し得ないのか。
名探偵に投げかけられた最後の問いに、答えるように二人が落ちる。
この極限が、至るべきライヘンバッハの滝。
そんな感じの憂モリアニメ最終回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
『いい最終回だったなぁ…』という実感と、飲み込みきれない異物感が同居するなかなか不思議な感慨で、そこひっくるめて2クール見続けて良かったな、と思いました。
キャラクターの物語の収まりの良さと、世界観の違和感が、自分の中ではずっと続いた…かな?
このロンドン、”公”なるものが機能していない世界だと思ったんですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
機能不全に陥っている社会正義を、”個”でしかないモリアーティが憂国し、断罪し、改変していくカタルシス。
悪を以て善をなし、死を以て生を繋ぐ逆転のピカレスク。
そこを『そういうもんだ』で飲みきらず、常時首半分ひねりつつ見続けた自分は、ガンダム見ながら『この戦争機械、人の形してる意味なくない?』とか言い出すタイプの、あんまよくない視聴者だったなぁ、と最終話にして今更思い返した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
作品が提供してくるスタンダードに、テンポを合わせられない外野
ま、そんな存在も作品に出逢ってしまうものであるし、僕自身はキャラと美術に萌え萌えするのも、『え~~?』ってグダグダ抜かすのも楽しかったので、良い視聴だと思っております。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
それをWebに放流し、人様に見える所に置いてたのがGoodかBadか…どうなんだろうなぁ。
さておき、あんだけ腐り果ててた貴族社会が、たかだかロンドン大火程度で心機一転、公的善良に目を向けるようになるかは正直疑問である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
そこを計算しきって犯罪劇場を運営し、人身の変化がここで結集するよう計画してたのが、モリアーティの天才…と補正をかけることは出来よう。
ただまー、この作品の貴族社会は徹底的に自浄作用がなく、貴族院特権の撤廃に関しても、ホームズ個人が持ちかけた密約でしか動き出してない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
モリアーティ家とホームズ家、二つの家族が特権的に英国社会の未来を変革しうる、族の力が強調された物語なので、それもまぁ当然かな、と思いもするが。
作品世界でほぼ唯一、”公”なるものを見つめ続けたウィリアムが表舞台から退場した後、彼が望んだ形に、果たして世界が変わっていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
人民を取り巻くシステムを監視し、是正し、取り返しが付く範囲で間違う(あるいは、取り返しがつかない過ちをも受け止められる)社会機構を、獲得しうるか。
ここには大いに疑問が残る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
まー犯罪に踊らされる民衆も、ぶっ殺される側の貴族も、短絡的視野しか持ち得ない愚鈍か、邪悪汁100%の書き割りとして描いてきた部分がこのお話にはあって、それが”社会”をぶっ飛ばす頃合いで軋んでる感じを、僕は受ける。
戯画化の弊害…っていうと上から過ぎんな。
”モリアーティ”が誰も死なず、生きて良い社会のために尽くす結末には、実は結構納得している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
英国ロンドンは既に公的責務を放棄しているのであり、大虐殺者だろうが憂国の士だろうが裁きうるある種の特権性を、もう持ち得ていない感じがある。
国が今更しゃしゃって、お前はOKお前はNG言い出す。
そこに説得力があるとは思えないので、ウィリアムの遺志を継いだ決着で良いんじゃないの、と感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
いやまぁ、屋敷と一緒にボーボー燃えとけよ感はあるけどさ。
それはさておき、炎とともにスタートしたモリアーティの犯罪計画が、大火による英国再生計画に繋がってるのは好きな見立てだ。
自分が死んで全部終わらせる、皆の命を守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
犯罪機械の仮面を外したウィリアムが、身内にダダ甘な結論出すのも、納得はしている。
理屈では奪った命も残る命も差異はなく、殺したんだから死んどけって天秤が正しいと、当然理解はしてんだろうけども。
情が棹さし邪魔をする。兄さん弟生きてくれ。
その柔らかな感性ぶっ殺して、人命処理装置よく続けたなぁ…とは思う。マジでようやく、ミッションを終わらせられる気持ち満載だったと思うよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
犯罪卿として終わりきるなら、ホームズにも憎まれてるのがベストなのだろうけど、ウィリアムは最後に名探偵に甘える。
そこに彼の軋みが滲んでて、結構好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
この体重を預けられないあたり、最後の一線で”モリアーティ”が聖家族たり得てない感じとか、個人的には苦くて良い。
ウィリアム的には、ホームズをあくまで”外部”として機能させて、だからこそ託せる仕事を預けた形なんだとは思う。
しかし出会いと思いは勝手に迸って、外側にあるものを内側に入れてしまう。自分が見つめている自分と、誰かが共有して思いやる自分は不可分で、計算不能なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
それをワトソンくんに教えてもらったホームズは、共に落ちることを選ぶ。
ウィリアムの引力に、一人引かれて肩を並べる。
原典に約束されたライヘンバッハの墜落を、こういう形で再話するのは良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
かくれんぼを続ける無邪気な子供二人が、ようやくお互いを掴まえられた決着。
生存オチなのは…どうなんじゃろな。原典が”そう”だから、そこに忠実だった、とも読めるか。
終わってみると、ウィリアム一人が”公”に対して開かれ、しかし世界は狂いきっていて、一番選びたくない血みどろの道を進むことでしか善を為すことを許してくれなかった結果の、ひどく孤独で私的な闘争のように思えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
そこに最後の最後、ギリギリ滑り込む資格を掴み取ったのがホームズ…かなぁ。
徹底的にウィリアムの私的、人間的側面を描かず演出もしないTVの筆致から、逆に硬い殻の奥に柔らかいものがあると考え、期待していた僕としては、終盤のネタバラシは納得感があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
徹底的に低体温に、爬虫類的に描かれる冷徹なる犯罪者。聖なる処刑者。
彼らだけが世界を変えうるカタルシスよりも、その孤独な立場…ウィリアムの内心に踏み込み得ない”家族”の分断に、いつしか目が行ってたのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
これ凄くヒネた見方なのは自覚してて、そういう意味でも良くねぇ視聴者だったな、と思ってます。
僕個人の考えとしては、創作を楽しむのに共感ってのはそこまでいらない感じがあって、ある程度のルールとロジックが作品世界とキャラクターの間で(またその内部)で統一されていれば、仮想人格として受け止められます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
なんで、極悪の人非人が主役でも、そこは問題なかった。
いつ頃からか、この作品を『極限まで”公”が機能していない世界を舞台とした、一種のSF』として読んでる自分がいたことを、お話終わるにあたって告白しておきます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
国を憂い、社会構造という大きなものと対峙するには、描かれるもののスケールが小さい感じがあった。
反発と共鳴、どちらに転がるにせよ主役たちの行動が作品世界に受け止められ、物語の既定路線に適切な反発が入り切らない感じを、僕は受けていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
個人的な好みとしては、もうちょいイデアルな領域から、犯罪鏡にギャーギャーいうキャラが欲しかったかな。でもただのノイズか、この作風だと。
多分ねー…お話しが提示してる『こうやって楽しんでね!』っていうスタンダードを、自分がちゃんと両手広げて受け取らなかったんですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
お話と向き合う心づくりを、怠けてた部分があった。
自分の食える部分だけ恣意的に摘んで、”憂国のモリアーティ”つう共通認識から、外れた場所で楽しんでた。
しかしそうやって、身勝手に都合よく作品から受け取りたいものを抜き出しつつ、妙に引き寄せられながらお話を見るのは…正直楽しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
なんていうかな…自分の手でオールを漕いでいる(多分悪趣味な)楽しさみたいなものが、確かにあったんです。
そうやって自分なりの切り口で作品に切り込んでいく素材は、やっぱアニメ独自の冷たく遠い筆致…主役を特権化しない(と、僕には受け取れた)演出の徹底にあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
なんでこんな書き方をしてんだろう、つう疑問が、作品を見る一つの助けでした。そこにも、ちゃんと自分なり納得できる答えは出た。
無論それだけじゃなくて、時代の空気を贅沢に吸わせてくれる美術とか、原典をどう解釈し再話していくかの面白さとか、ウィリアムというキャラクターが抱える美しい矛盾の魅惑とか、ホームズくんの七転八倒とか、色々楽しめる部分がたくさんあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
いいアニメだったと思います。
多分俯瞰で分析すると、このお話僕に”向いてない”んですよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
フィクションに求める好みからしても、作品を成立させてる価値観への衝突にしても、あんま相性がいいとは言えないお話だったと思います。
でも、見終わって楽しかった。それは不思議で、奇妙で、幸福な視聴体験でした。
Not for meで身を躱すのも大変賢く、まったく正解のスタンスなのですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
ときにこんな風に、作品と踊り、不器用に足をバタつかせてる自分と踊る体験からも、得難い何かが手に入る。
大変驕った言い回しなんですが、それが今の心境であります。そういう客観で遠い想い以外も、勿論あるけど。
ところどころザラつきを感じさせつつ、しかしこうして最後まで踊ることが出来たのは原作が持つ強さ、アニメが選び取った語り口との共鳴の結果でしょうし、それは…たとえ不格好でも、自分なりに良いダンスだったんだと、今は思っております。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
結構ね、アニメから入った自分が、楽しんで良いのか悩みながら見てた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
漏れ聞こえる評判からも、画面の中に焼付けられているものからも、相当”憂国のモリアーティ”とは違うものしか知らねぇんだろうな、って意識はあって、しかし僕はこれしか知らない。
これが良い。
そんな風に感じてる人間が、自分なり見つけしがみついた面白さを、勝手に垂れ流しにすることで不快に思ったり、傷ついたりする人がいるな、と思いつつ、視聴も感想もやめなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
それはやっぱ、このアニメが面白かったからだ。そこには、勝手になっていいかな、と思っている。
アニメオタクとしても、その感想を書いているものとしても、かなり特殊で貴重で、面白い体験をしたアニメでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
そういう部分を横に置いて、ウィリアムが選び取った血みどろの道、そこに追いすがったホームズの人生には、確かな熱と切実さがあった。
それを感じたから、僕はこの作品を見続けた。
そう思えるものを届けてくれて、大変感謝しております。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月28日
面白かったです。
闇に踊る残酷なる美麗も、それを駆動させる冷徹な犯罪機械も、そこから滲む一人の青年の、魂の血の色も、よく描いてくれた。
いいアニメでした。良いアニメ化だったかは、これから確かめます。
お疲れ様、ありがとう。
追記 最終回視聴後、原作を読了、比較した感想。コバヤシなりの”答え合わせ”です。
憂国のモリアーティ 漫画版14巻までを読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
TVシリーズ視聴を終え、どのように原作がアニメ化されたのかを確認するように見たが…こりゃかなりの勢いで、別の話になっとるな。
その是非は、アニメから入ってその表現が好きな自分は多分、語りうる資質がないと思うので略す。
出だしからして、ウィリアムがどのようにして”モリアーティ”となり、何を憎み何を願ったかが分厚く内言されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
これは徹底的に、ウィリアムの内心を描写せず、遠いところから描き続けたアニメの筆とは違うものだと感じた。
こっちのほうが、人間としての体温は濃く思う。
自分の好みとしては、殺戮による救国という悪魔めいた計画を動かす機械として、人間味を削り謎を残したTVシリーズの書き方は好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
彼に非人間的であって欲しかったという、ひどく残酷な欲望を抱えて、2クール見ていたのだなという意識を再確認もした。
ウィリアムの内面を映像の向こうに覆い、見せぬように進めるTVシリーズの筆致は、彼自身が何を望むかという問いを、作品の推進力として活かす構成に繋がるように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
犯罪卿としてのウィリアム、人間としてのウィリアムを探る、ホームズの歩みとも。
”モリアーティ”を構成する他メンバーの掘り下げを、大胆にカットして探偵と宿敵、二人の物語として再構築したシリーズ構成含め、『ウィリアムが何者か』という一点に強く集約して、TVシリーズは演出されているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
この割り切りは、TVから入った僕には焦点が分かりやすく、読みやすかった。
場面の演出も比較的淡々と、美麗に残酷に書き直されている感じがあり、漫画とアニメーションというメディアの違い、編み上げる物語の違いを意識して、描写を取捨選択し、その味付けを変えている感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
まぁ単純に、莫大な原作を収めきるのに2クールは少ない、というのもあろうが。
ウィリアムの非人間性が強く演出されるに従って、悩みもすれば間違いもする”人間”ホームズへの親近感は強くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
ホームズ自身、倫理超越的な決断に隣接しつつも、ワトソンくんの助けもあって人道を踏破し、肩入れしやすいキャラクターとして描かれることで、作品に体重を預ける足場になってくれた。
アニメ版の”モリアーティ”は極悪殺戮集団として、共感せぬままある程度理解し、しかし信頼し切るには当然距離が生まれる書き方であったと、僕個人は感じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
彼らの現在と過去が描かれ、未だ素顔は見えぬままと知らされ、さてどうしたものかと悩んだノアティック号事件で、名探偵が登場する。
ここで彼に体重を預け、彼を窓にして作品世界に…運命的に出逢った男に惹かれ、惑わされ、踊らされていく視線に共鳴しながら、作品を読んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
そういう足取りで、僕はアニメを見た。
これがアニメ作者の意図したものかは判然としないが、そこまで無茶な軽業とも思えない。
無論様々な描写や積極的な価値観の語りを通じて、ウィリアムの体温を既に知っている/知らしめている漫画版とは違う誘導の仕方であるが、探偵が追うべき巨大な”謎”としてウィリアムを描く、ある意味三人称的な視点がブレることなく固定されていたのは、僕としてはありがたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
漫画版はウィリアム(と”モリアーティ”)の一人称視点が強く、外部から壁越し観察する”謎”は内側からその事実を語られ、伝えられる形になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
この親密さを切って、視座逆転で語り直したアニメ版は、大胆なアレンジを選んだとは言えるだろう。
解くべき”謎”が人である以上、それは震えて息をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
心を殺し、人を殺して使命を完遂しようとするウィリアムが殺戮の天使ではなく、眠り疲れる一人間であるという描写は、かなり計画的に、話が進むうちにアニメでも”謎”から漏出していたように思う。
僕は自分たちが編みあげようとしているものがなんであり、それをどういう表現の組み合わせで伝えればいいか、考えて制御している物語が好みだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
アニメ版モリアーティは、名探偵が”謎”を追う定式のフレームに、男と男の出会いと人生を混ぜ込んだ独自の形を、自作の表現として選び取った感じを受ける。
そのために大胆に切り捨てたものは多く、そこには作品の精髄と言えるものもあるかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
個人的には、”黄金の軍隊を持つ男”が持つ”モリアーティ”の歪な鏡っぷりが面白く、これはアニメで見たかったな、と思った。
国のため、他者の命を踏みつけに、神の高みから運命を裁く。
その傲慢は敵と共通で、しかしモランは『違う』と嘯く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
俺たちは、自分の命すら駒にする覚悟がある、と。
『命を天秤に載せりゃ何やっても良いのか』とか、『結局死なねぇじゃん』とか、『正義を私することでしか為せない英国マジ終わってる』とか、思うところは色々ある。
このお話、個人的な感覚としては主役があまり試されない話で、その無双の爽快感がジャンルとして、作品として心地よいところなのだろうな、と思ったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
ホームズは心情的にも信条的にも、ウィリアムに共感し、理解し、接近していく立ち位置で、大上段に正義を構えて断罪はしない。
”正しさ”なるものは朧気に存在しながら、しかし明瞭なキャラクターとして存在し得ず、主役に強烈なカウンターを当て、そのアイデンティティを試す存在はいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
ウィリアムが疲れ果てた顔で真意を伝えるまで、或いは伝えられてなお、”モリアーティ”は己の正義を疑わない。
その震えなさが、個人的には没入を拒む厚めの壁であり、これは漫画版よりもアニメ版のほうが比較的、壁が薄い感じがした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
アニメ版は人としての”モリアーティ”の内言をカットするので、彼らが己をどう思っているかもまた”謎”のまま、不定形に保留され続ける。
その解らなさが、あまりに悍ましい世直し計画に邁進する犯罪機械を噛み砕くのには、自分的に都合が良かった。怪物には、怪物でいてくれたほうが幾ばくか楽だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
ここを噛み砕いて腹に落としていかないとダメなあたり、やっぱ作品との相性はあんま良くなかったのかなー、と思ったりもする。
とまれ、自分なりの”答え合わせ”は斯様に終えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
それはさておき、アニメ版より表情豊かに、取り繕わず人間味を見せる彼らの物語には独特の香味があり、面白かった。
メディアが変われば、やはり作品は変わる。
その必然をどう食うか。そこに立つ自分をどう見、どう処すか。
個人的には結構な強度で、それを問われ試される視聴/読書体験となり、正直大変だった。また、面白くもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
原作をかなり大胆に変化させて語り直すアニモリの試みは、”モリアーティ”を主役に据えホームズを語り直した原作を、更なるスクリューに巻き込むメタな面白さを、僕は感じる。
それは作品に自分のエゴとアイデンティティを預けていない、にわかな外野の気楽さ故だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
それが色々言うのも、また口幅ったい感じがするが、しかしそんな風に僕がいて、こんな風にこのアニメと…”憂国のモリアーティ”と出会ったのもまた、事実なのだ。
その一記録を残すことを、許して欲しい。