※訂正
文中、”さらさ”と”ささら”で表記が揺れている部分があります。正しくは”さらさ”です。ここに訂正させていただきます。
かげきしょうじょ!! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
100年の伝統と格式を誇る夢の舞台、紅華歌劇団。
狭き門をくぐり抜け、その入り口に立ったのは個性豊かな凸凹少女たち。
天真爛漫型破り、全てが規格外なさらさと、全てに醒めた視線を送る元アイドルの愛。
二人のレビューが、今幕を上げる!
そんな感じの、青春歌劇群像スポ根(多分)第一話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
もともと好きな題材、座組であるが、アニメの表現力、キャラクターの個性と魅力が華やかに踊っていて、大変に面白かった。
俺このアニメのこと何も知らねぇけど…面白いってことは判るぜーッ!!
お話の舞台はモロに宝塚な、紅華歌劇団…その入口たる音楽学校である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
夢を抱え、厳しい倍率を突破して門をくぐった少女たち…その青春が麗しく踊るだろう学校自体を紹介しつつ、むっつり女とグイグイ女が出逢って、物語が撹拌されだすワクワクが元気であった。
さらさと愛ちゃん、どっちが主役なのかはまだ判然としない(つうかW主役、群像劇として全員主役か?)が、今回は愛ちゃんがモノローグを担当し、さらさは謎の多いトリックスター的立ち位置に収まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
愛ちゃんが閉じ込められているフレーム、歌劇団の格式から大きくはみ出す、身の丈のデカい規格外。
彼女がどんな女の子で、どんなバックボーンを持っているかは未だ不明であり、ルームメイトとなった愛ちゃんは今後、否応なく彼女を知っていく。自分を規定する檻を、壊されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
そんな破壊からの再生こそが、作品を貫く一つの軸なのだろう。
凝り固まった人格を、壊して作る。
それは青春期の物語、人間ドラマの最も基本的で力強いフレームであり、その片鱗が既に見えているのは大変に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
愛ちゃんにとって、音楽学校は”男”から逃避するための枠組み、二年間のモラトリアムの器でしか、現状ない。
ここにどう体温を入れて、”かげきしょうじょ!!”である自分を引き寄せるか。
歌い、踊り、競い合うこと…生きている自分を楽しいと思えるようになるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
その触媒として、規格外なさらさが大事だからこそ、この第1話ではモノローグを持たない、内心も秘密もまだ見えない”謎”として、さらさが描かれているのだと思う。
同時に、そこからはみ出す魅力も大変元気だ。
愛ちゃんはアイドルの舞台からはみ出し、”男”に追い立てられ逃げるように音楽学校を目指す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
ファンの接触は控えめで熱のあるものだが、今の愛ちゃんはそれを素直に見れない。
触るだけのコンタクトも、『肩を叩かれた』と認識してしまう。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第1話より引用) pic.twitter.com/ig4ei3EqHp
そんな彼女が唯一触れられ、抱きしめられる”男”がいるからこそ、音楽学校をシェルターに選んだのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
太一さんはエキセントリックでナイーブな愛ちゃんを、凄く落ち着いて守ってくれてる感じがあって、第一印象がとても良かった。
手を繋ぎ、青信号に進み出す手助けを、ちゃんとしてくれる人
たった一人でも、そういう人が側にいることで、愛ちゃんの心は揺れつつも落ちず、逃げ場所とはいえ音楽学校へと進める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
しかし彼女の認知は何処か傷ついて歪んでいる。
その異性恐怖は、一体何処から来るのか。
これは結構大きな伏せ札で、向き合わない限り彼女を閉じ込める檻は開かないだろう。
なにしろ性にまつわることなので、『思い込みだよ』と気軽に肩を叩け無い重さがありそうだが、さらさの軽妙なステップはそんな傷を、優しく解き放っていけるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
”別に…”の鎧で自分に向けられる…華に引き寄せられる視線を弾くのではなく、演劇人として堂々弾き返せるようになるか。
ここが非常に楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
その契機になるのは間違いなく、超自由なツインテ長身少女である。
二人が出逢った瞬間の演出が、あきらかに”運命”だと華麗に告げていて、とても良かった。
コバヤシは邂逅(であ)っちまうシーンが、いつでも大好き!
(画像は"かげきしょうじょ!!"第1話より引用) pic.twitter.com/DI2qPDLpLH
愛ちゃんは桜花取り巻く小さなフレームに閉じ込められて、高い場所にある受験票…”かげきしょうじょ!!”となる運命に手が届かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
さらさは揺らぎない跳躍で軽やかに、それを掴み取りて渡す。枠など最初から存在しないように、自由に翔び舞う。携帯電話のフレームからもはみ出す。
紅華桜のジンクスは、100年の伝統というフレームそのものでもあり、そこを逃避場所としか考えたなかった愛ちゃんも、自在に飛び越えていくさらさもそこには縛られない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
この闊達が軋轢を生むこともあろうが、学校のアウトサイダーであることは、二人に共通している。
ジンクスを生む歴史の重さ、積み上げてきた実績は悪いものではないはずで、そこにどう、この二人が接触し、協和していくかにも注目が集まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
幸い同級生に伝統派が多くいるので、そいつらとバチバチやり合う中でこー、学び取っていくのだろう。
孤独なフレームは入学式でも愛ちゃんを覆っており、彼女の周囲には人が集まらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
傷つきやすい自意識を守るために、張り巡らせた結界が人を遠ざけている。
そこを一切気にせず、ズカズカ踏み込むのもまた、ささらである。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第1話より引用) pic.twitter.com/lUILfkzWNN
扉を開けて、光をもたらす。隣に座り、覗き込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
愛ちゃんにとってこの、わけの分からねぇデカ女がどういう存在であるか、よく伝わるシーケンスである。
”卒業”にまつわる噂話、勝手な憶測と遠巻きな隔意。
そういうものは、さらさには関係がない。
彼女は自分の足で、自分のポジションに進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
時折大事なものを足元に置き去りにもするが、しかしその高い目線は、”清く正しく美しく”を旨とする紅華においては大きな武器だろう。
一般社会では浮き上がるだろう長身も、男役目指すなら最高の切り札だしなぁ…。
最悪の出会い、『何なのこいつ…』から始まって、硬く固めた心に踏み込み、激しく心を揺さぶられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
少女漫画的ロマンスの基本文法を、愛ちゃんがささら相手にきっちり踏んでるの、面白くてしょうがねぇなぁ、と思う。
無理解からスタートして、運命的確信へといたる。
このドラマチックな構造が、ルームメイトでありライバルでもある、おそらく親友になるだろう少女に…そして、愛ちゃんが自分を閉じ込める檻としてしか感じていない歌劇に敷衍しているのは、基礎構造の強さを思わせて大変良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
思い込みが壊れ、新たな自分が広がる。やっぱ、それはとても強い物語だ。
まぁ俺が、ムッツリに天然がグイグイ来まくって、ほだされズブズブにされていくお話しが大好きってのが一番デカいがなッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
まーじでさらさの踏み込みがスムーズかつ強くて、愛ちゃんを開放する天使役で終わらず、彼女自身舞台に両足で立つ主役らしさが香るのがいい感じだ。
閉鎖性と開放性、停滞と前進。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
愛ちゃんとさらさを対比させ、絡め合わせる語り口は携帯電話を小道具にしても描かれる。
母への思いを送信できないまま、憂鬱に身を横たえる愛ちゃんは、けしてさらさを追い抜けない。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第1話より引用) pic.twitter.com/XxEMIdudpu
グループ送信をしないのは、人間を束で扱わず、一人ひとりに向き合いたいからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
そういう真摯な思いは、男性からの、芸事からの逃避先としてしか音楽学校を捉えられない、愛ちゃんの心とは真逆だ。
しかしどこかで、母に喜びを伝え、一個の人間として向き合って欲しいと願っている。
だから『お母さんには興味ないかも知れないけど…』という、露骨に否定を誘っている文面にもなるのだろう。ホントは褒められたいんだね愛ちゃん…可愛いね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
フレームに閉じ込められてる状況に安住したくないのに、しかし自分を守るためには檻に入る以外道が見えない。
それが多分、愛ちゃんの現状だ
自分が何を望んでいるのかも分からないまま、男に怯え芸から逃げる。先に進めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
音楽学校での暮らしが、ささらとの交流が愛ちゃんを、何処に開放していくのかが楽しみである。
やっぱ抑圧が丁寧に描かれていると、それを突破していく未来を心地よく想像できて良い。話の先に期待できる。
それを取り巻く他の綺羅星たちも、面倒くさそうなオーラムンムンでおもしれぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
この双子、自分たちが不可分の存在などではないことを思い知らされてブルブル震える話が来るでしょ…。
私物、私室はキャラの内面を見せる大事な要素だと、つねづね思うが
(画像は"かげきしょうじょ!!"第1話より引用) pic.twitter.com/K4nrnBJ8XH
鏡合わせの二人部屋、バチバチ火花の三人部屋に、それぞれのパーソナリティが既に漂ってる印象。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
本しか置かれてねぇ杉本さん、化粧道具しか置かれてねぇ星野さんの紅華ガチ勢っぷりと、なんかフツーにひよこちゃん置いてる山田のフツーっぷりなぁ…でも、ひよこならいつか翔ぶのか。
ここらへんは先の話として、今はささらと愛ちゃんのがっぷり青春四つ相撲である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
結界を貼っても、思わぬ角度から滑り込みかき回す。カーテン越し、ささらの影は愛ちゃんのクローゼットに、既に写ってしまっているのだ。
開始(はじ)まってるな…運命が
(画像は"かげきしょうじょ!!"第1話より引用) pic.twitter.com/Uj8gLzKxZY
最初は下からにょろりと侵入されていたものが、気付けば自分で扉を開け…しかしまだ、声をかけるには至らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
『あーハイハイ、ズブズブになるやつだ。好物のやつだッ!!!』と血圧上がる描写で、大変良かった。
珍妙な動物っぽいささらの動きも、たっぷり堪能できたし。
剽軽で上品な笑いが元気で、青春コメディとして心地よく笑えるのも、このお話のいいところだなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
崩した表現が可愛くて、ほっこり見守りたい気持ちになんのよね。
ピチッと襟を正したシーン、ドラマがうねる熱いシーンを、手触りのある笑いが上手く支えてくれてる感じ。
アナゴ声の教官に導かれて、紡がれる自衛隊式共同訓練。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
山田は周りを見すぎ、星野は前に出過ぎ、愛ちゃんは不安定すぎ。
各キャラクターがこれから超えるべき(だろう)問題点が、仕草に現れ指摘されてるのは明瞭な表現だ。そこがポイントなわけね~。
規格外にはみ出すささらを、しかし教官は一番に評価する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
どっしり構える体幹の強さは、どうやら歌舞伎由来のものらしい。でもなぁ…歌舞伎は女人禁制だからなぁ…。
ストイックに畳を編むお祖父さんの、ちと危うい背中と合わせて。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第1話より引用) pic.twitter.com/c59fPI98dR
さらさの家庭にも個人史にも、ただ天真爛漫な無敵の天使では終わらなそうな、不穏な謎が漂ってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
愛ちゃんが引退する原因になったファンらしき影、バチバチなトップ奪取宣言と、今後に生きそうな要素を散りばめつつ、今は噛み合わない歩調が夕焼けに踊る。
更衣室のシーンを見ても分かる通り、さらさから遠ざかることは愛ちゃんを檻に閉じ込めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
そのまま着替えていたら晒していただろう素肌を、愛ちゃんはまださらさに見せられない。
物陰に隠れ、しかし目で追ってしまう背景に一体何があるのか。
物語は、心地よく回転を始めている。
というわけで、キャラとドラマの見取り図をはっきりと届けてくれる、溌溂と楽しい第一話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
ヅカを扱うなら絶対に欲しい華やかさ、運命と若々しさが弾ける輝きが画面に踊りつつも、硬く構えて閉じこもりはしない。
さらさの規格外なキャラクターが、魅力的に壁を壊し風を入れる。
笑いを扱う手付きも的確で、群像の個性も上手く画面に焼き付き、非常に手際のいいスタートと感じました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
僕はちゃんと挨拶をしてくれる第一話が大好きなので、”かげきしょうじょ!!”凄く良いぞ! という気持ちになりました。ありがたい…。
愛ちゃんがツンツンナイーブで、大変可愛いね。
歌劇を逃げ場としてしか捉えていない主役が、何を起爆剤に作品に前のめりになるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
そのダイナミクスが、まず愉しみです。
彼女の世界が改まるほどの輝きは、作品が紅華をどう捉え、何を魅力として描いていくかを一番強く、僕らに伝えるだろうから。
そのための滑走路は、非常に周到に整えられてる。
あとねー、ささらのデカさを強調する意味合いもあってか、全体的に手足がスラッと長く、涼やかな感じのキャラデザインが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
男女を超越し、軽やかなる夢を見せる。
紅華を描くのに必要な妖精的な気配が、上手く絵に落とし込まれてる感じがします。
そこに演劇人の血潮を、どう宿していくかも楽しみ
つーわけで、キャラとドラマが可憐に踊る舞台を、ちゃんと好きになれる第一話でした。良いよ…とっても良い…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
はよう愛ちゃんの檻がぶっ壊れ、柔らかな心中をささらのデカボディに預けズブズブになる日が見たいです。その開放と信頼が、愛ちゃんを高く翔ばすだろうから。
次回も楽しみッ!!
追記 典型的乙女ロマンス言語でいうと『おもしれー女』なんだよな、さらさ。
かげきしょうじょ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
紅華桜の下で、愛ちゃんはアイドルである自分が写真を取られると思っているが、さらさは自分の写真を撮ってほしくて声をかける。
この時点で、さらさは愛ちゃんの過去を飛び越え、想像の埒外にはみ出している。
そういう存在と出会い、変えられていく世界、暴かれる真意。
青春の息吹が、愛ちゃんの頑なな震えと一緒にちゃんと描かれている所が、初見でも期待高まる第一話な理由なんだろうなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
これは多分、出会いと変化と克服の話だ。僕の好物であり、オーソドックスで強いジュブナイルでもあろう。大変楽しみだ。
あとあんだけぶっ飛んだグイグイ女なのに、常時敬語なのが面白いギャップであり、紅華の”正しく”な部分を修身してる感じもあって、良いキャラ付けだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
やっぱ話の真ん中に座るやつが面白いと、思わず前のめりで話見るね。愛ちゃんも可愛いしさ…。
追記 女であることを、まだ演じなれていない少女たちを取り巻くドス黒い性愛の泥。それを浴びる握手会に立って、よく愛ちゃんアイドルやれたな……。
…そっか、宝塚と歌舞伎って、それぞれ『女しか舞台に立てない場所』と『男しか舞台に立てない場所』なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月3日
さらさが歌舞伎に縁深い立ち位置だとすると、愛ちゃんの異性恐怖と合わせて、セックスとジェンダー、それを演じる意味合いは掘ってくポイントなんかな?