小林さんちのメイドラゴンS を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
今はのんびり生きてる食いしん坊チョロごん達にも、ハードでシビアな時代があった。
神を演じ、思いをぶつけ、永久に別れる。
蒼月の記憶を越えて今生、笑って隣り合える日々。
トールとエルマが手に入れたものを、イルルも駄菓子屋で掴む…のか!?
そんな感じの錯綜する過去と未来、”トルエル”はあるッ! なメイドラS第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
いやー…急に混じり合う光と闇、判り合えるはずもなく隣り合った遠い日の記憶が良い作画で暴れてきて、ビックリだよホント…。
回想と現在の温度差で、風邪ひきそうにもなったけど。
一期を凄くしっかり作った結果、レギュラーキャラは新たな世界、新たな出会いから何かを学ぶのが難しいメイドラゴン二期。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
語られなかった過去とか、新キャラ・イルルの挑戦なんかを背骨にして、柔らかく心地よい”優しい世界”を延々リピートするだけの展開から、上手く逃れている印象を受ける。
今回は過去怪獣大決戦に終わったトールとエルマの関係を、現代のフニャフニャ仲良しっぷりと対比しつつ、今ここから関係を作っていくイルルの挑戦と出会いに繋げていく構成となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
朗らかなムードは維持しつつ、時の流れと不思議な縁が奥行きを作って、ちょっとしみじみした空気。
過去編の蒼くシャープな造形と、現在の丸っこく柔らかい描画が上手く落差を作って、なかなかいいグルーブが生まれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
信じられるか…? 上と下で同一人物なんだぜ…?
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第5話より引用) pic.twitter.com/u1nuxsCa4x
世界観的にもバチバチのアラビアンファンタジーから、毎日の労働が世知辛い現代コメディにガラッと変わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
それを切り取る美術と作画を、全部まるっと入れ替えて『ああ、変わったんだな…』と解らせる豪腕が、京アニっぽくて楽しい。
適切な力勝負、というか…クオリティの活かし処を知ってる感じ。
僕はこの話のドラゴンたちに、ある種のロボットっぽさがあるのが好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
ファンタジックな故郷では、生来所属する勢力によって生き方が決まり、疑問を抱くことはない。
しかしトールもエルマも勢力の変わり者として、殺し壊す/支配し君臨する当たり前に、何処か疑問をいだき続けてきた。
真逆に見える過去の龍と今の人間には、確かに連続性がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
心の何処かで機会を望んでいた良い変化が、なーんの魔力も持たないただの人間に出逢い優しくさたことで開花し、美味しいご飯に舌鼓、仲良くケンカのちょろゴンとなったわけだ。
規定されたプログラムを越えて、自分の在りたい自分になる。
肩の力が抜けた日常には、そんな”ロボットの余生”的なムードが何処か漂っていて、ぶっ壊れたロボット時代を描く今回はそんな空気を、よく伝えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
バッキンバッキンのアラビアンファンタジーを摂取できて、大変肌も潤うネ。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第5話より引用) pic.twitter.com/aIYYjRpV7w
竜化した二人のド迫力殴り合いも、彼女らがあくまで異形の竜種であることを思い出させてくれて良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
やっぱトールの縦長瞳孔に、シュバッと瞬膜かかると超興奮するんだよな…『あ、怪物だったわそう言えば』って感じ。
そういう存在だからこそ、寄り添う意思と決意が尊い、つーかさ…。
トールとエルマの長くて短い歩みは、食いしん坊ドラゴンが神様に祭り上げられて終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
竜種の絶対的力を人に施し、彼らの世界の中心に宮殿を建てて崇拝されるのが、おそらく秩序側のスタンダードなのだろう。
それを越え、人を見定める視線を字部ンと同じく、持っているかもしれない。
そんな期待があったから、トールもエルマの誘いに乗って一緒に歩いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
しかしこの頃の二人には、定命の存在の小さな歩幅と、自分の神めいた歩みを重ねていく方法は解らなかった。
結果、破壊の龍らしく全てなぎ倒して、正しくない君臨を終わらせる。
ブレスも吐かない街も壊さない、ぷにぷに平和ないがみ合いは、悲しい結末に終わった過去を幸福に取り戻した証。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
そんな奇跡を成し遂げた只人は、自分の特殊さを自覚しないまま、ぶつかり合う友情にホッコリ思いを寄せる。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第5話より引用) pic.twitter.com/ifCFP8B0ar
ホント、現代パートの作画がいつもより更にまんまるぷにぷにで、大変ありがたい限りだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
自分たちをメロメロにして人生変えた当人が、奇跡に気づかずノンキにしてる状況に、ちょっともどかしくでも好きッ! ってなってるトールが良かった。
トールが全局面で一生、小林さんLOVEなのええわやっぱ。
Aパートを〆る過去回想は、ダークファンタジーらしい殺し合いに終わった関係が、実はしっかりのんびり現代コメディに繋がってることをよく示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
あの時から同じものを食べたかったし、同じ道を進みたかった。
自覚されなかった願いは今叶って、龍たちは人のサイズで、仲良く喧嘩している。
『そうなれたのは、やっぱ良いことなんだなぁ…』と、しみじみ思えるAパートでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
色ボケメイドっぷりが欠片もない、鋭い目をしたトールと、神様を演じる冷たいエルマが、今までにない味わいで大変良かった。”ある”わねコレは…。
一方もう一人のちょろゴンは、ぐうたらデイズに終止符を打ち、新たな社会へと身を投げることになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
気楽に好きって言って照れる、トールとイルルの”間合い”もたっぷり摂取できて、ホンマ有り難いエピソードやで今回…。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第5話より引用) pic.twitter.com/xnNupAzbgR
僕は小林さんを中心に展開される、特別な関係性(とそこから生まれる変化)も、そこから広がっていく名前のない相手との社会性も、両方好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
駄菓子屋へ導かれることで、イルルの社会は望ましい形へと、より善く広がっていく。
ここでの”望ましさ”は、広く客観的であると同時に狭くて主観的だ。
混沌の龍は、殺して燃やす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
イルルのなかのプログラムは、ファンタジーではない現代では罪悪であり、通用しない。
殺さず燃やさない道を選ぶことで、イルルは現代社会のプロトコルに適応した”いい人間”と判断され、友達も出来るし仕事も手に入れていく。
それは外部から要請に的確に答える社会性であると同時に、自分自身の望みをしっかり見据える思弁性でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
幼年期を焼き払われて以来、イルルは混沌の優等生としてプログラムに従って進んできたわけだが、その根底には幸福を取り戻したい願いが、切実に燃え続けていた。
小林さんを色々試したのも、その優しい嘘に飛び込んだのも、彼女自身の願いの発露である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
内側から湧き上がるものと、外側から望まれるものが幸福に響き合った結果、イルルは”笑顔の子供たちのそばにいる”という願いを、流れ着いた異世界で叶えていくことになる。
バキバキにハイクオリティだった異世界砂漠とは、また違った気合で描かれる駄菓子屋の実在感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
アニメ調を守りつつ、細部にまでしっかり筆をこらした仕上がりが、ここもまた確かな”現実”なのだと、独自のリアリティをもって語りかけてくる。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第5話より引用) pic.twitter.com/WdY3fTO62j
異種間コミュニケーションの先輩として、商店街で信頼と経験を積んできたトールが、イルルの願いのために先に頭を下げ、そっと導く描写が最高に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
イルルに優しいだけでなく、トールがギャーギャー賑やかに、人間社会で何積んできたか、彼女独自の尊さが見える所が良い。
人の間で生きていくために、何をすればいいか身を以て示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
イルルを相手にそれが出来るのは、小林さんがすごく自然に、トールにそうしてくれたからこそで。
すごくこー…”繋がってる”感じがしたんですよ。変化と真心の連鎖、というか。その環が、イルルの願いを後押しもする。
こうして社会(の中にある自分)を広げていけるのも、帰り守られるべき家が金城のごとく揺るがないからで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
不器用ドラゴンの小さな一歩を、同居人にして保護者はちゃんと褒める。
人生問題集の大事な所、一切取りこぼさない女、小林さん。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第5話より引用) pic.twitter.com/FRMl867LaC
すっかりエセメイドに育ってしまったトールに、相手を信頼すればこその当てこすりで一笑い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
今日も仲良し小林邸の日常は、トールとエルマの旅路に在り得た未来であり、掴めなかった夢でもある。
甘く柔らかな描画で一息つかせて、スパッと過去の寂しさを混ぜてくる緩急、今回とても良い。
エルマとトールは比翼の鳥になり得る可能性があって、しかしそうはなりえず殺し合いで終わった…咲くことのない徒花である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
カンナちゃんやイルルも交えて、豊かに咲き誇る約束の居場所が眩しいほどに、潰えてしまった過去の切なさは際立っていく。
しかし、そんな過去はもう報われている。
シリアスな切なさが笑いのスパイスで終わるわけでも、世界を満たす優しさが世知辛さの代用品ってわけでもなく、真逆に見える温もりと冷たさが、不思議に繋がって”今”がある…という書き方になっていたのは、今回のエピソードの大変良いところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
イルルが子供の笑顔に近い場所にいたいのも、それがかつてボーボー燃えて、適切に子供でいられなかった過去を”今”、まさに取り戻しつつあるからこそだしなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
シビアで痛い過去との縁を切らず、満ち足りた現在との繋がりをとせることで、語り口が柔らかくなりすぎず、適度な硬さを保ってる印象。
というわけで、エプロン姿に腕まくり、駄菓子屋商売頑張りますッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
『名誉童貞人間国宝』こと、下野ヴォイスも鮮烈なタケトくんとの、エロティック青春絵巻も可愛らしくて良い。
あの弾み方、ぜってぇ人体の一部じゃねーだろ…。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第5話より引用) pic.twitter.com/gxefHshybv
エロティックなリアクションされた時、イルルに一瞬ラグがあるのが、ロボットみを強めてて良いんですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
今まとってる人間の形に、全然アイデンティティ置いていない、というか。
デカいチチは火炎袋でしかないし、性愛を喚起するフォルムをしてる自分自身を、実感もって受け取れてない、というか。
どうやったって龍は龍で、タケトが属する嬉し恥ずかし青春絵巻とは断絶とズレがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
でもそこにこそ手を伸ばしたいと、かつてのイルルは願って叶えられず、今ここにいる。
あまりにも美しい夕焼けの中、手を繋いで去っていく子供たちの笑顔は、イルルが欲しくて掴めなかった思い出の陽炎だ。
しかし同じく美しい場所に、イルルは今立っている。隣り合ってくれる人がいて、色んな楽しいことを差し出してもくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
夕焼けの表現力はとても豊かで、家を出て新しい家を手に入れたイルルの”今”が、凄く力強く焼き付いていました。やっぱ京アニの撮影はスゲーな…光がつえーわ。
イルルは色んな人好きになって、それを素直に表現するところが可愛くていいですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
そこに機械の率直さを感じるのが、このアニメをロボット生き直し物語として見たくなる足場でもあんだろうな。
ヒトではありえないほど純粋だから、決められた定めから抜け出せず、同じ在り方を繰り返す。
でもどっかで社会との違和があって、変わり者のドラゴン達が願ってたことが、今叶っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
持ち前の素直さが、実態のないイデオロギーへの奉仕の道具ではなく、一人ひとりがより己らしく活きるための武器として、活用されてきてる。
そういう善さを、竜の素直な愛情表現見てると感じるわけ。
イルルが掴み取った新しい社会は、カンナちゃんの学校とか、エルマの会社とか、他のドラゴンにとってそうであるように、色んな出会いと喜び、学びを与えていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
それを糧にして、イルルはどんどんかつてそうなりたかった、子供の笑顔の守護者になっていくだろう。
純情ボーイ・タケトくんとの関係構築も楽しみな、とても良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
なんだかんだ小林さんとの関係が作品の背骨なんだが、そこから伸びていく別個の関係性がどんだけキレるか、よく判る話数になってた。
”ある”んだよなぁ…。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第5話より引用) pic.twitter.com/UtN5NMABTD
遠い過去、遥かな異世界で愚かしいと切り捨てた、微かな願い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
流れる星がそれを拾い上げて、彼女たちの”今”がある。
そんな優しいロマンスを想像させてくれるラストシーンも、大変美麗で良かったです。
龍は神になって人の願いを叶えたが、龍の願いは誰が叶えるのか、つう話ね。
いやー…マジで”ある”
失われたことすら意識されなかった夢の残骸が、幸福な日常の中で果たす再生。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月5日
そんな美しい翳りが作品に宿ってることを確認して、楽しい日々はまだまだ続きます。
このアニメがなんで好きか、思い出せるエピソードでとても良かったです。次回も楽しみ!