王様ランキングを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
王弟デスパーに弟子入りし、強くなるための修行を始めたボッジとカゲ。
生活を共にする中で、失われた膂力を補う新たな武器を、希望とともに見出しつつあった。
一方冷たき王城では、復活の秘薬を飲まされたダイダが別人の顔で目覚める…。
そんな感じの貧弱王子の修行時代、王様ランキング第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
ずーっと虐げられ泣いてばかりいたボッジに、ようやく”強さ”への道筋が見えてありがたい展開。
コミカルな俗物も聡明な賢者も両方こなす、デスパーのキャラがいい具合に立っている。
二人の生活をしっかり支える、カゲくんの健気も良い。
三人がっちりスクラム組んで、冥府の底で未来にレッツゴー! してる兄貴をよそに、ダイダはどうやら親父に乗っ取られたっぽく…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
今までの価値観を投げ捨て、腕力/暴力/強制力に収まらない”力”を教えられ、選び取っているボッジの歩みと、父の悪しきマチズモの犠牲となるダイダの未来。
闘争の代価、血縁の鎖、否定しても伸びる影。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
様々な意味合いを孕んだ”血”で繋がった兄弟…そして親子が、この後どう絡み合っていくか楽しみになる回でもあった。
デスパーの元でボッジが新たな価値観を手に入れることは、彼個人で留まらず奪われし兄、奪った父、彼らが背負う王国に波紋を広げるだろう
『”また”息子を犠牲にした』という発言から考えて、ボッジの非力(不当な簒奪)とボッス王の隆盛は繋がっているわけで、ボッジが強くなることはある意味、父への無意識の反逆と復讐でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
デスパーとの修行が、掃除と食事を大事に描かれる、新たな”家”の獲得という側面を強調されているのも…
おぞましき復活によって我が子の意思を、運命を、力を剥奪する、悪しき父の影響下から逃れ、より自分らしく力を発揮できる環境の(再)獲得という意味が、そこに在るからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
児童が本来、庇護されて然るべき清潔で安全な環境、豊かな身の養い。
銭ゲバで弱いヘンテコおじさんは、価値観の転換、力の獲得だけではなく、父王が放棄した(どころか、積極的に略奪した)責務も、代わりに果たしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
ボッジは王国を離れ殺されかかることで、自尊心を削る痛罵、身を切り裂く暴力から離れ、己が己でいられる場所を見つけた。
カゲともデスパーとも”血”では繋がらぬが、ボッス王もヒリング王妃もダイダも与えられなかった糧をたっぷり食べて、おそらく王子は家路につくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
正面から相手を粉砕する力だけが称揚される国では、けして認められない強さを手に入れて。
その異質性が、国をどう変え弟をどう救うか。楽しみだ。
さて、可愛くファンシーなデザインで暴力と差別が炸裂する、このアニメーション。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
何かと世知辛い描写が続いてきたが、今回はデスパーのコミカルな表情、楽しく温かい共同生活が画面に満ちて、全体的に明るい気持ちで見守れる。
…ダイダ王の方は見るなッ!
(画像は"王様ランキング"第7話より引用) pic.twitter.com/f5rYMSTBZo
『兄に比べればイケメン』と、戯けた仕草でゼニに目を輝かせ、笑いを生み出す勇者育成請負人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
気取った喋り方とマネー大好きな俗物っぷりのギャップが、ホッと心を落ち着かせてくれる。
まー、悪い人じゃねぇだろ。
初見でそう思える見せ方してきたのは、大変ありがたい。
デスハーとデスパーはお互いコンプレックスを持つ間柄ながら、お互いの強みも認め合い、まぁまぁ良い距離感で付き合えている雰囲気だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
力強き名君ながら、その顔貌に負い目を感じ、銅像の顔面を潰してしまうデスハーは、果たして”強い”のか”弱い”のか。
そういう比べ合いを超えた縁が、兄弟に在るのか
ブラコン拗らせまくった結果、兄貴(と、それを命じた自分)を修羅道に突き落とす事になったダイダを見てると、冥王兄弟の在り方が羨ましくもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
自身が王になれなくても、立派に生きてるデスパーはボッジのロールモデル足りうる存在だと思うが、兄弟関係も導きをもらえると良いね…。
ボッジの言語障害が、ボッス王によって力を奪われた結果だとすると、ダイダとの関係の拗れは、父に遠因があるとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
(カゲと今そうしているように)同じコミュニケーションメディアで、しっかり心魂を照らし合わせて通じ会えれば、お互いここにはいなかったのではないか。
言葉が喋れれば、無条件に思いが通じるわけではないが、少なくともその助けにはなっていただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
父の不当な簒奪は剣を握る膂力だけでなく、そういう芽も摘んでいるわけで、むしろそっちのほうが罪深い気もする。
ヘンテコ師匠は、そういう部分も補ってくれるわけだが。
俗で笑える部分で軽妙な挨拶をした後、デスパーはボッジにしっかり向き合い、窓を開けて灯火を手渡す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
フィジカルな仕草、無生物の描き方にしっかり意味を込めてドラマを作る強さは、今回も健在…というか、ひとしお濃い。
(画像は"王様ランキング"第7話より引用) pic.twitter.com/bWkmkMSPUQ
デスパーは今後、ボッジにとって(つまり、この物語にとって)どういう存在になるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
それは彼が対話の中で取る仕草に、既に強く予言されている。
彼は未来に向かって窓を開け、心地よい風を呼び込み、幼子の両手をしっかり握って運命を見据える。
絶望に光を灯し、まっすぐその瞳を見る。
賢者であり、教師であり、ここまでボッジの人生に欠けていた”大人”として振る舞う資質が、部屋での対話から既に伝わってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
彼が手を握ることで、風聞や偏見に惑わされずボッジの過去と未来を見れることは、とても大事だ。
ボッジはずっと、それに苦しめられていたからだ。
デスパーは王国から遠く離れた冥府にて、ランキング二位の兄王とは違った生き方を選んだ男である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
自分に出来るのは、資質を開花させる手助けだけ。
それは誇り高き事実の記述であり、卑下の色合いは一切ない。
デスパーの世界において、自分が剣を握らないこと、誰かを助けることは大きな価値だ。
ドーマスが残酷に告げたように、ボッジはずっと巨大で、強く、相手を正面から粉砕する”強さ”以外の価値を、教えられずに過ごしてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
か弱くなることしか出来ない彼は常に虐げられ、不屈の闘志も気高き優しさは認められず、無用の存在と蔑まれ続けてきた。
しかし、この風と灯火のある場所では違う。
デスパー自身が、酒場のケンカでボッコボコにされる弱い存在であり、王にはなれなかった男だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
しかし王様請負人として高名を響かせる彼は、ボッジが包囲されていた価値観…『父のようになる』という、ダイダが最悪の形で食われた生き方を既に跳ね除けている
(画像は"王様ランキング"第7話より引用) pic.twitter.com/sN0TgK8B3n
彼はボッジを導く存在として、剣だけを教えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
掃除をし、料理を作り、生活を共にする。
王子として与えられず、だから異様に気合の入ったデス料理描写をコミカルに叩きつけるしかない人生の領域を、かなり大事に弟子を教え育てていく。
それは、ボッス王国では大事にされない価値だろう。
新たな生活の始まりにウキウキ瞳を輝かせ、なれてねー下手っぴ掃除と巨人の胃袋が生み出すデス料理には、大変爆笑してしまったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
異様なキラキラで描かれる人参で打ち止め方と思ったら、凄まじいモーフィングで部屋が巨人の領域に変化して、超大げさに死の危険を語りだすの、面白くてしょうがねぇ…
散々に笑ったけども、膂力とコミュニケーションメディアは継承されない…どころか剥奪されたっぽいボッジが、他人との共同生活を脅威にさらす巨人の胃袋だけは受け継いでるの、ひどいブラックジョークだな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
もうちょいこー…人生のいい部分に役立つもんを、手渡してやんなよ…。
王たる父(の延長線上にある、王国共同体)の望む子供として生まれてこれなかった(その機会を不当に剥奪された)ボッジは、この他人の家で居住空間を清潔に保ち、自分に不可能な料理をカゲくんにやってもらって、一緒に当たり前に生きていく事を学ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
絶対に手に入らない力だけが世界の全てだと、越えられない壁を叩きつけられ闇に沈むのではなく、持ち前の強さを活かす道が別にあるのだと灯火を貰い、己の価値を認めてもらう喜びを知る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
そういう人にかけがえないものを手渡すのが、デスパーという存在なのだ。優しいおじさん…。
ボッジを誇りに思い、生き方を支える同志として、デスパーおじさんとカゲくんがすぐさま意気投合して、仲良しなところを見せてくれるのも最高に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
デスパーおじさん、暗殺一族っていう出自も、異形の外見も、一切気にせずサラッと共同生活させてんだよなー。
『真の力は勇気』つう価値観で伝説を成し遂げたところと良い、”王様ランキング”に代表される一般的価値観から、チョイ外れた所で生きてる感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
その善きアウトサイダーとしての在り方が、生まれた時から逸れるしかなかったボッジに、運命的に噛み合うのだろう。
逸は逸を知るのだ。
デスパーはボッジを、世界の武器全てを並べた場所に連れていく。(ここでも、デスパーは扉を開け光をもたらす存在として描かれている)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
『これまでの価値観を外して、虚心に己にふさわしい武器を見つけろ』という師の教えに、王子は新たな何かを見つける。
(画像は"王様ランキング"第7話より引用) pic.twitter.com/130rQk5uSp
周囲が価値と認める、大きく重たい刃。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
それは水いっぱいのバケツのように、ボッジには過ぎた重荷だ。
そこには周囲に認められようと足掻いた過去、炎から栄光を掴んだ歴史が反射し、手斧は敵より先にボッジ自身を傷つけようとする。
それは賢きデスパーが教えたものではなく、ボッジ自身が見たものだ
デスパーはボッジが掴むべき武器が何か、教えはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
自分で考え、選べる場所への扉を開き、機会を用意した。
最初から決まった答えに魂を当てはめるのではなく、豊かな可能性から子ども自身が学ぶチャンスを、挑戦によって傷つかないよう手を差し伸べる姿勢を、どっしり構えている。
デスパーの言う通り、この武器庫には世界の全てがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
自分がどんなものに取り囲まれて、それを掴もうと背伸びを続ければどうなるかを、ボッジは刃の煌めきの中に、落ちてくる斧に学ぶ。
この”教え”の描き方が、正調ファンタジーの荘厳を宿して、大変好きである。
デスパーに見守られて、ボッジはここまで彼を縛ってきた強さの教え、”血”の呪いから己を切り裂き、自分だけの強さを指し示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
それがどんな形をしているのか、大事な所をタメる作劇が、期待を上手く煽ってくる。
辛い辛い道の先で、ようやく出会えた約束の場所。
ボッジは、そこで何を見つけたか。
これはこの物語がどんな”強さ”を描こうとしているか、根幹に関わる大事な描写だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
今見せない分、どんだけ美味しいシチュエーションで開示されるか、大変楽しみである。
マージでこの主人公、酷い目会いすぎなワリに報われねぇからな…でもストレス喰えるの、凄いバランスよね。
かくして始まった修行は厳しく、崩れ落ちるボッジを親友が支える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
ボッジ運び板をしっかり用意して、丁寧にお世話してるカゲくんのチャーミングが、天元突破でマジヤベェ。
よく学び、よく鍛え、よく食べ、よく生きる。
(画像は"王様ランキング"第7話より引用) pic.twitter.com/bKDdDr56xw
心の友、真の師と共に暮す日々は、ボッジに本当に必要だったものを全て与え、その才能は開花の時を迎えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
デスパーおじさんが、知恵も人格も闘う技も、ボッジが自身を誇れるボッジとして立つ杖を惜しげなく与えている描写、それが喜びに満ちている描写が、大変なクオリティで暴れ倒す。
初日はマジ下手くそだった掃除を、しっかりこなせるようになってる成長とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
父から受け継いじゃったデス胃袋が、他人に迷惑かけないようカゲくんに料理やって貰う選択肢だとか。
王国で蔑まれ続けてきた時、必要なのに奪われていたものがどんどん満たされる描写が随所にあって、ジジイは嬉しい。
ボッジの修行時代が剣技だけでなく、共同生活の仕方だとか、広い世界の味方だとか、もっと幅広く人生全域に及んでいるのが、彼がここで獲得する”強さ”を、静かに照らしているようにも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
巨大な棍棒を振るい、弱い存在から奪う力だけが、”強さ”であってはいけない。
彼自身が最も悲惨な犠牲者である価値観に、ボッジはここで学び手に入れた武器でもって、叛逆する運命にあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
そのための準備が全然苦しくなくて、むしろ最高に輝き楽しい時間として描かれているのが、僕には嬉しい。
(画像は"王様ランキング"第7話より引用) pic.twitter.com/KKzTxgvlmh
ご飯は美味しく、掃除は楽しく、家は安心できるいい場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
そういう人間の当たり前を、ボッジとカゲはずっと与えられず、ここでようやく手に入れた。
そういうモンをよぉ…己を苛む冷たい嵐の中必死に手を取り合った健気なガキに差し出せるオッサンって、”尊敬”の二文字以外ねぇじゃん。
そしてデスパーは、ただの優しいおじさんではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
膂力を奪われたボッジが、絶対に成し遂げ得ないと思われていた巨石斬岩。
扉の隙間からカゲくんが眩しく見つめた光は、”力”においてもボッジが世界と渡り合える可能性を、力強く照らす。
それもまた、ここで掴んだ新たな灯火だ。
武器庫で刃に見たように、灯火は時に炎となり、他者を苛み己を焼く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
力を持つことよりも、それを適切に使うことのほうが難しいことは、不当に王冠を奪って苦しんでいるダイダの書き方を見ても判る。
彼には隣り合ってくれる親友も、導いてくれる師も、安らかな家もない。
あるのは汚れた血を流し込まれる屈辱と、遠く冷たい玉座と、知らない誰かの顔での目覚めだけである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
明るく開放的なデスパー家に比べ、ダイダが身を置く場所は強くパースが歪んで、色彩も暗く冷たく描かれ続ける。
そこが、彼の追い込まれた場所だ。
(画像は"王様ランキング"第7話より引用) pic.twitter.com/TyD3XxF0w0
ミランジョが王の力を(不当に)継承できると甘言し、若き誇りによって跳ね除けられた秘薬。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
ボッス王の躯を素材とするそれは、ダイダを器とおぞましき再誕を果たす呪術だったようだ。
しかも我が子からの簒奪は、一度目ではないと目覚めに告げられている。
色々得心が行くな、ここの下り…。
ダイダは誰の代用品でもない己を世に問い、堂々証明したい願い…そして誇りを持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
ミランジョの謀略、ボッス王の復活は、それを踏みにじる行為だ。
嫉心に焦がれ、人道を踏み外した彼は、けして正しいだけの青年ではない。
しかし彼の身じろぎは人間らしい苦悩と過ちに満ちて、眩しくも見える
そういう彼に”代打”という名を背負わせるのは、なんとも過酷な物語だと思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
”血”の呪いに囚われた先に、兄弟はどんな運命を切り開くのか。
冥府の底の光、王城の奥の闇は運命を響かせながら、それぞれの世界を包んでいる。
兄弟それぞれの命運が、忙しく入れ替わるのも退屈しないポイントよね。
父の王国を代表する存在になったダイダは、誰かを押しのける強さを求め、己自身が押しのけられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月26日
この無明の闇を切り裂き照らすのに、デスパーの教えはどれだけ強い灯火となるか。
重い鋼を振り捨て、ボッジが選んだものとは何か。
物語は、より強く運命を照らす。
次回も大変楽しみ。