鬼滅の刃 遊郭編を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
欲と業とが華美に照らす郭には、濃い闇があり蛇が潜む。
鱗の代わりに金襴緞子、帯で着飾り絞め殺す。
上弦の陸、堕姫。
名を変え時を超え、人知れず生き血を啜ってきた鬼はこの大正にも、ずるりと這い回っていた。
音なく気配なく、外道は夜を駆け回る。
そんな感じの強敵顕現、郭舞台の調査フェイズな、遊郭編第3話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
導入も済み話の水気が切れてきて、明暗の表現力や細やかな仕草など、作品の強い所がグイと前に押し出されてきた感じがある。
3Dで走り回るアクションも、作り込んだ郭の美術を堪能させてくれてありがたい。
このアニメを見てると、色んな角度から大正時代の”生活”というものを照らしてくれて、とても面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
雪に包まれた炭治郎の炭焼小屋、あるいは電灯が照らす上野。
夜鳴きそばの湯気が漂ってきそうな、その時代そこにあった人々の息吹が、瑞々しく切り取られてくる。
何かと血みどろでド派手な部分が目立つ…し、演出哲学もそういう方向ではあるんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
すごく地味なところにも気を抜かない作り込みが、作品の舞台を下支えしドラマを分厚くしている所は、作品の強みであり良さでもあろう。
この手触りを楽しむのが、自分的に鬼滅アニメの本命まであるからな…。
だから正面対決の前段階、三つの楼閣に潜り込んだ三人の子供がそれぞれのやり方で、色々探ってるこの時間はありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
彼らの歩みが、彼らの見るものが、郭に生きる人達の”生活”を切り取り届けてくれる。
そこには鯉夏花魁のような善人も、蕨姫花魁のような極悪もいるのだ。
禿への対応で人と鬼の差が良く見える構成は、そのまま善逸の見せ場へと繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
女好きでヘタレで妄想屋で、しかし一番大事なものを聞き逃さない。
ヤバいと分かりつつ、少女の耳から血が流れりゃ、手が伸びるのを止められねぇ。
僕はあの少年の”意気”が、やっぱ好きだ。
伊之助の触覚もそうだが、異様に優れた感覚という個性を生かして、鬼を探り街を嗅ぎ分ける描写は良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
それは彼らが普通の存在ではなく、鬼斬の剣士として厳しい戦いに挑み、誰かを守って傷つく宿命を、上手く際立たせる。
異常な感覚の持ち主は、異常な運命に飲み込まれる。
物語的には必然的に繋がる所で、しかしその異様さは常に本質を見抜き、誰かを助けるために発露される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
身にまとった女の装束が、伊之助の微細な皮膚感覚を殺し、鬼を取り逃した時の無念。
その前に描かれる、”猪突猛進”とはいかない慎重さと、自分らしさを取り戻し踏み込む気概。
ここら辺、煉獄さんの死を涙ながら噛み砕いて、新しい自分になろうと決意した”今”の彼が滲んでいて、とても好きな描写だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
トーテムである猪のように、他人の事情を踏み倒してとにかく突っ込む。
そんな風に突き進んできた少年も、痛みと哀しみを糧に変えて、己を変えている。
ここら辺、常に正しく的確な炭治郎の完成度と面白い対比で、結構特殊な話作りだなー、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
炭治郎、学ぶし強くもなるけど、人間の根っこの部分は炭焼やってた頃から変わらねぇからな。
今回テキパキと仕事をこなし、生活を豊かに彩るのも、あの家で学んだそのままであるし。
菊の花の水切りをし、ふすまに溜まったホコリを丁寧に取り除く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
炭治郎がどんだけ”生活”を疎かにせず、当たり前のことを大事にできる存在なのかが、派手さのない細やかな描写にしっとり宿っていて、大変良かった。
あんなに精妙な活け花の描写、アニメで初めて見たよ。別に主題じゃないんだがな…。
そういう朗らかさが、蕨姫花魁を包む薄暗がり、据えた瘴気と睨めつける視線にしっかり対比され、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
闇に潜み人を喰う鬼を、なかなか効果的に演出できていたと思う。
スパッと善逸が攫われるヒキもシャープで、サスペンスを巧妙に盛り上げる。
Ufoは撮影が良いスタジオだと思うけど、堕姫を彩る濃い闇、血と欲の色を宿した紅い陰りは非常に鮮烈に使われていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
吉原表通りの華やぎを前回、大変眩しく描いたからこそ、あのクソアマの淀みっぷりはよく際立つ。
脅し、殴り、殺す。
人間の最悪に錦を着せて、沢城みゆきの声帯を付けた性悪。
客前で繕った”ありんす”とはまた違う、苦界生粋の悪ぃ舌が存分に踊って、いい具合に最悪だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
治安の悪い美形を見ると血が沸き立つのは、全オタクの風習だと思うけども(特大主語の言い切り)。
やっぱドスの利いた沢城ボイスはええわな。
あのドス黒さが無残の前に立つと、ほのかに紅さした媚を宿すのがまた、最悪で最高である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
男手玉に取り、影に潜んで生き血を啜る今般若が、嘘っぱちで固めた冷血の鬼相手にのぼせてる姿は、なんとも皮肉で面白い。
この微かな血色が、極悪の花に一つかすみ草を添えて、奥行きが出る。
早い段階で『こいつ最悪です! ぶっ殺しましょう!!』と示してくれる、堕姫のヘイトアーツはよく冴える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
尋常の死に方じゃないおかみさんの始末とか、幼気な禿への癇癪の起こし方とか、何もかんも自分のことしか考えねぇ鬼そのもので、『まー殺して止めなきゃな…』となる。
討ち果たすべき邪悪が強大で悪辣なのはとても大事で、後腐れなくぶっ倒してスカッともするし、首が切れた瞬間開示される悲しい過去に、一抹のやるせなさを味わうことも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
やっぱバトルの邪魔になる湿り気は戦い終わるまで封じて、最後にドバっと流すスタイル発明だよなー。
というわけで、今はやりたい放題絶頂な梅ちゃんを『ぜってぇ許せねぇ!』と思う存分、憎みたい気持ちです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
大門抜けるは御輿か戸板か、陰鬱に閉鎖された吉原の中で陰惨な事件が起こりまくるの、和風ミステリの味付けもあって好きなんよね。
主犯がちょうど、怪物にしか出来ねぇ殺しをやってくれるんだ
どうしようもねぇ欲を燃やして、綺羅びやかな華やぎを照らす郭の業。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
名を変え場所を変え、栄達と残酷を長年啜ってきた堕姫の在り方は、鬼が現し世に生きる一つのテストケースとして、説得力があるし魅力的だ。
そんな風に、生きる鬼もいるのだろう。
そういう納得が、彼女を照らすカメラにはある。
さて炭治郎が嗅ぎ分ける臭気の中心で、善逸抱えてとぐろを巻く猛悪の姫君。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
ここに鬼殺隊の刃は届くのか、張り巡らせた罠に引っ掛けられるのか。
ジリジリと白刃が迫りつつも、未だお互いの喉笛に牙はかけないこの時間、僕はかなり好きです。
次回もどんな調査が繰り広げられるか、楽しみですね。
遊郭編序盤の空気が好きなのは、郭探偵独特の空気感もあるし、鬼殺隊がチャンバラ以外に何頑張ってるか、多角的に教えてくれるのもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
これは天元さんの”忍者”っていうオリジンが、ドラマにうまく生きた形かなーとも思う。
ド派手ド派手といいつつも、忍び探る本分を忘れられないのよなぁ…。
しっかし仮面外した伊之助の顔面、マジで強かったな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月19日
下唇に微かに塗った桃色が、上手く美青年のかんばせを照らして華やぎ、しかしその装いを一切無視して任務に邁進し、為すべきことを探る凛々しさ。
絶妙なバランスで勇美が同居してて、瑞々しき若武者の気配があった。大変良い。