東京24区を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
東京湾上に作られた特区に住む、シュウタ達三人。
唐突な悲劇により終わった友情と幼年期は、死者からの呼び出しにより再び動き出す。
謎めいた預言に示された破滅を、決断によって超えていくチカラ。
それは一体どこから来て、少年たちをどこへ連れて行くのか!?
そんな感じの新感覚ヒロイックSF、堂々一時間SPで開演である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
どんなキャラクターがどんなドラマを背負い、何を描いて何を掘り下げていくか、よく挨拶してくれるスタートだったと思う。
主人公トリオ(と、それにマッチアップするヒロイン三人)が、それぞれ個性強めで魅力的なこと。
彼らが背負う社会的立場、行動理念、精神的成長のグラデーションが作風に奥行きを生み、今後の展開が楽しみな所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
東京湾沿いの下町な懐かしい空気と、グラフィティ、パルクール、クラッキング、行動予測などなど、”今”を感じさせるガジェットの組み合わせが独自のコクを出していること。
止め絵をオーバーレイして残響を強く残す演出が、これまた独自のテンポと味わいを生んでいること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
主人公たちに付与された超人的能力の見せ方が、三者三様個性的で、切れ味鋭く面白かったこと。
作品の強い部分が、初手から心地よく殴ってくる感じだった。
話としては”マイノリティ・レポート”に”こち亀”を混ぜて、”IT”の青春やり直しテイストと”クロニクル”の異能ジュブナイル味を足した感じ…というか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
現実の硬い問題をスタイリッシュなフィクションのメスで解体し、ポップで食いやすい感じに整える手付きには”ガッチャマンクラウズ”を思い出しもする。
物語は東京湾上に巨大特区が作られた、架空の戦後を舞台に転がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
昭和テイスト溢れる仲良しローカル商店街が未だ残るタイムカプセルは同時に、秩序と自由の天秤が揺れ続け、監視カメラと行動予測技術による締め付けが日常化する、現実の延長線上でもある。
切り捨てられる少数派の反発と、多数派への責務
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
を背負った為政者の思惑が火花を散らす舞台で、RGBな三人はそれぞれ、価値観の二極とその中間を担保する。
グラフィティアーティストとして、野放図な活動家として、自由と混沌を背負うラン。
権力者の家系に生まれ、高潔な意思で秩序に奉仕することを選びとったコウキ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
LAWとCHAOSの善き側面をそれぞれ体現する二人の青年の、間に挟まれるのが道定かならざるNEUTRAL、青担当のシュウタとなる。
既に自分の道を選び、責務に走り回ってる二人に対して、彼は挫折したヒロイズムから動けない。
自由-秩序という価値観軸と同時に、大人-子供という成熟の軸が三人の間にはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
一番幼く直感的(だからブーストされる能力も超絶フィジカル)なシュウタは、24区(の延長線上に在る現実)にとって何が大事なのか、それを守るために自分はどうなれば良いのか、揺れ動く主役だ。
ぶっちゃけあんまりにも直情主義過ぎて、第一印象は『オイオイ…』って感じであったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
一時間付き合ってみると主役三人がそれぞれ果たすだろう役割も見えて、暴走したり迷ったりを担当する(だろう)シュウタくんも、暖かく見守る心構えができた。
彼をポジティブに見れたのは、土壇場で甦る炎の記憶と、それが後押しするパルクール・アクションの切れ味が大きい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
幼い万能感を完膚無きまでに叩き潰されて、それでも胸に残る約束と夢。
謎の声が告げる未来に向き合う中で、彼は自分なりのヒロイズムを探していくのだろう。
形のあるヴィランを殴るのではなく、救命のために必死に駆けるだけのアクションは、シュウタに宿る英雄の資質を描くには地味…ってことは、けしてなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
超人ブーストかかったパルクール描写は迫力と疾走感があり、グイッと体温上げてくれるいい仕上がりだった。
運命の声が後押しする超常能力は、他の二人もまぁ地味で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
ランちゃんは驚異的な知的能力向上、コウキくんは他者を動かす社会的能力の覚醒と、あくまで人間の範疇、手から火が出たり嵐が巻き起こったりはしねぇ。
しかし事件に立ち向かう武器の鋭さは、上手くハッタリの効いた演出の中でよく届いた。
ランちゃんはドローンを通じた後方支援型なので、鉄火場に挑む痛みと汗が足りなくなりがちなキャラだと思うけど、脳髄全開鼻血ブーと気合のエナドリド注入で、チャーミングに戦う資格を証明していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
かなり高潔な思想家なので、キャラクターがフワフワ浮きがちになりそうだけど。
ストリートに根を張り、フッドを集めて力強くアクションしていく手触りが良く、彼が背負う高潔なる混沌に、ちゃんとアクセスできるキャラだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
表面的なダルさと奥に秘めたアツさのバランスが良く、スケボーやグラフィティといったストリート文化で上手く下支えしてる感じ。可愛い。
コウキくんは24区の秩序サイドに、政治と警察力側からガッポリ踏み込んでいる立ち位置。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
常に冷静で視野が広く、統治機構に巻き込まれつつも理想を失わない…ランちゃんとはまた違った意味で、バランスの良いキャラだ。
LAWとCHAOSの両極に立つ二人がブレないことで、揺れるショウタを保たせる構図かな
同時に優等生になり過ぎそうなところを、謎のストーカー保護・者黒葛川とのバディアクションと、妹を既に奪われている痛みでガツッと補った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
最後幻想の墓場の中で、無邪気にアスミちゃんの生存を信じるショウタにキレたの、クールガイの魂が燃えてるの感じて、大変良かったです。
死者の尊厳、取り返しのつかない悲劇を土足で踏まれてキレる心と、それでも殴らず諭す理性が同居してるキャラなんだと、あそこでよく判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
抑圧的な父との軋轢、目指すべき理想の難しさと、今後彼が追うだろう課題…それを突破できる思いの強さは、既にジワリと滲んでいる。
幼く直線的なシュウタが、文字通り燃え盛る傷に背中を押されて突っ走る様子が目立つけども、残りの二人もそれぞれ24区の現状を自分なりしっかり見据え、魂を燃やしているのが伝わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
そのための手段として、二人は既に現実に適応可能な”大人”のやり方を、ある程度選んでいる。
その決断で落ち着いてしまいそうなところを、未だ道定まらぬシュウタの疾走が、気持ちよく揺らしてくれるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
それぞれ家庭環境も性格も、見据えるものも違う三人が手を携えることで、どんな未来が拓けていくのか。
話のメインエンジンは、なかなかに熱い。そして、よく整えられている。
悲劇を通じてバラバラの道を進んでいた(あるいは自室で停滞していた)三人が、一周忌の引力に惹かれて幾度も出会い、同じヴィジョンに突き動かされて力を合わせる様子には、シンプルな友情物語の面白さもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
道を違えつつも、あんまガミガミ言い合わないのはいい塩梅。
でも当然譲れないものはあって、いいバランスで激しく熱くブツカリ合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
今回はシュウタの未成熟が、妹ぶっ殺されたお兄ちゃんの熱量と擦れる形だったけども、ランちゃんが背負う少数派の自由と、コウキの見据える多数派の幸福も、バチッとブツカリそうなんだよなー。楽しみ。
主役三人にそれぞれマッチアップするヒロインも、それぞれの造形とテーマを上手く膨らませる感じの、なかなか良い造形。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
目指すべき理想像よりも、目の前の商店街的日常がまずあるシュウタには、典型的な看板娘幼馴染ヒロインを。
ポップなセンスで爆走するランには、おっとり切れ者な男の娘を。
そして秩序サイドのコウキには、超曲者の変人凄腕女を据え付けて、バディものの面白さもある、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
すごーく静かに高度な変態行為をブッ込みつつ、サイドキックとしてメチャ有能な黒葛川さんの造形、大変好みです。
なーんであんなに坊っちゃん好きなのか、そのうち教えて欲しい。
あときなこちゃんは若きカリスマを慕う後輩アーティストの健気さと、権力の傲慢に反逆する一員としての”腕”が匂っていて、これまた好みの味付け。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
DoRedの面々は、『みんなランちゃん好きなんだろうなー』つうオーラがじんわり滲んでていて、フッドとしての良さが既にあるよね。
そういうふうに理想を共有できる仲間を、既に間近に置いて戦えるだけの”格”が、ランちゃんにあるってのも判るし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
ここら辺説明しすぎず描写でスルッと、キャラとか世界を飲ませてくる話運びで良かったです。
結構色んなものが乗っかってる話なんで、そこの圧縮率は大事だよなー。
24区の書き方は古く懐かしいものと新しく現実的なものを、あえてゴロッとそのまま噛み合わせる感じで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
行動予測による犯罪抑圧、ストリーミング・アートアクティビスト、超法規的地域にこそ必要な民警。
色々ナウいネタを、遠くなりすぎない程度にぐいっと攫ってきた。
同時にシュウタ周辺は時間が昭和に巻き戻っていて、地域共同体の綿密な絆が、牧歌的に日常を守りうる”三丁目の夕日”的ノスタルジーが漂っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
その良さを主役に背負わせた上で、最新型のガジェットで”今”通じる形にシェイプしていくのが、今後の狙いかなー。
過去と未来が程よく同居する異郷感が、東京湾に浮かぶ巨大人工島…日本でありながら日本ではないハコに、上手く詰まっている感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
そして死者からのコール、それが呼び覚ます未来の記憶と超常の能力が、24区の日常を一段回高い場所へ、気持ちよく飛び立たせる。
アスミからの未来予報が一体どこから来て、なんで超人パワーに目覚めたか…って説明は、今後あるだろうから楽しみに待つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
ここで問いかけられる選択が、チョイ流行りしてる倫理学的思考実験をモチーフにしそうなのは、ちょっと面白い目線。
今回は海辺のピカソとトロッコ問題か。臓器くじとかやりそー
シュウタは一回折れ曲がった夢を、アスミが今際の際に残した『ヒーロー続けてね?』という言葉で、なんとか燃やし直してる状況だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
彼は子供で、自分の見たいものを世界の形として認識する。
だから与えられた特別な言葉は死者が特別に与えてくれたチャンスであり、届いたヴィジョンは生存を意味する。
しかし世の中、そんなに甘くないことを彼の親友たちは既に知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
死人は蘇らないし、うまい話には裏がある。
謎めいたメッセージの影を探りつつ、それでも信じたいと思ったシュウタの無垢をどう傷つけ、どう守るか。
託された死者の想いを、どう呪いにしないか。
そこら辺を活劇の中で描けると、ドゴンと面白くなりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
1ON1で主役たちに対応するヒロインの上に、超常的パワーの源として、けして忘れられない夢として、死するアスミが君臨してる構図、残酷で安定してるよなー…。
思い出 VS 現実の正面衝突、終盤に絶対あるでしょ。(期待を込めた願望)
トロッコ問題が現実に乗るまでの構図がやや強引に思える部分もあったが、その裏になにか思惑と謀略がありそうな匂いも漂ってて、ここらへんは今後を見守りたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
シュウタ=まりの小市民ラインは正解が見えない等身大で動く関係上、見えてる答えからズレた所に走らなきゃならんのは、なかなか大変だ。
でもランちゃんとコウキが見据えてる”答え”だけだと、ゴツゴツしすぎて話が硬くなりすぎるだろうし、この作品が描こうとしているもの、視聴者に考え共感してほしいものが、上手く届かないだろうしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
狭い視界で迷って走って、分からないまま汗だくになる主役をどう書くかは、今後を支える大事な柱か
そこら辺のポジション取り含めて、見通しの良い第一話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
白樺先生とかシュウタママが色々世話焼いてくれるおかげで、しっかりしてる印象の三人がまだ子供で、未知を探す途中でもあることがよく判るのは、なんか安心した。
秩序と自由、過去と現在の間で揺れる、東京24区。
壊れた友情、救い得なかった後悔を背負って、残酷な未来に挑んでいく三人の旅は、そこを舞台に楽しく踊りそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
技術描写も世界の空気も、”現実”の半歩先を上手く捉える。
その心地よいファンタジーに、好感の持てるキャラとアクションが力強く噛み合っていた。
とても面白かったです。次回も楽しみ
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
わかりやすい24区怪人を出して、異能に目覚めてスーパーアクション! としなかったのは、日常から半歩ズレた所で現実を彫り込もうとする姿勢が感じられて、個人的に嬉しかった。
わかり易さと見栄えを重視すれば、人対人の異能戦にテーマと主張を盛り込んでいく形なんだろうけど。
あえて地味で実直な構図を選び、見栄えがするようにしっかり演出を編み上げていく道を選んだことには、野心と矜持を感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月5日
事件解決型の異能アクション、日本アニメだとなかなか摂取できない栄養素なので、その見せ方にも期待したい。
いやまぁ、今後出てくるかもしんねぇけどさ、24区怪人。