王様ランキングを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
最悪の凶漢達は、魔鏡の導きにより王国の中枢を制圧した。
王門へ進み出るものを尻目に、玉座を血に濡らして描かれる暴力の実相。
虫のように屠られた男の無念を、蛇は果たして抱くのか。
運命の風は、未だ胎動を続けていた。
そんな感じの王様ランキング最凶死刑囚編、装いも新たに第2クールスタート! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
不気味なるオウケン、ミランジョの狙い。
未だ解らぬものは多いが、どす黒い部分も輝く魂も全部ひっくるめで”人間”を描く筆は、新展開でも元気そうだと判るエピソードであった。
暴虐に見えたキングリーはオウケンの妖術によって自由を奪われ、手足をもがれて虫のように捨てられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
その脳裏にあったのは、狂気に囚われた父王によって燃えた祖国と、玉座に賭けた理想。
彼もまた、権力と暴力によって己を見失った哀れな犠牲であり、ボッジの合わせ鏡と言えるだろう。
平和とは対極な位置から場を乱しに来たように見えて、やはり死刑囚達も何やら抱え込んでいる”人間”であり、一筋縄では転がっていかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
そんな予感が、強く蠢くエピソードであった。
わかり易すぎる名前と外見に、一歩踏み込んだ奥行きを足すキャラ造形が上手い作品だよなー、ホント。
というわけでカゲくんの親切なまとめ回想をアタマに挟み、時間は少し巻き戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
人倫も権威も鎖にはならぬ豺狼共は、”自由”なるものの最も危険な側面を、当然開放する。
野放図に振るわれる刃と、それでは砕けぬ金剛の鏡。
(画像は"王様ランキング"第12話より引用) pic.twitter.com/uoPdFbtPu2
襲撃に晒されて傷つかぬ自分として選ぶのが、ボッス王が愛の証として正妻に差し出したダイヤモンドなのが、なんとも重い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
ミランジョが何を考え外患を呼び込み、非道を為すのかというのは、お話を強く牽引するミステリーだろう。
図り知れぬ内心に踏み込むヒントは、慎重に差し出されてもいる…か?
他人の事情を知ろうともしない…知らないからこそ他人を踏みつけに出来る、粗暴な悪漢達。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
彼らを利用し彼らに叩き落される時、ミランジョが自分を包む鎧に、既に愛の石として作中描かれたものを選ぶのは、僕には深甚な謎解きと思える。
間違いなく”デカい”よなぁ…声も真綾だし(野放図な期待と信頼)
『山賊の頭』として、社会集団のトップに立っていたゾックは社会貨幣としての暴力、その使い所をしっかり考えられる頭がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
ただ気に食わないから斬り殺す、獣のように奪い狂う。
そんな生き方とはちょっと違う、外交的で狡猾な計算ができる男だ。
なので閉じ込められるリスクを考慮して、ミランジョ&アピスと死刑囚の間を取り持ち、一旦場を収める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
それは平和を求める心ではなく、より効果的な暴力の発露を見据える奸智から生まれたものだ。
これが最適化されると政治化された暴力…軍や警察になったりする。
冥府騎士団が王城に迫るこの状況、場当たり的に聡く動いたゾックと、王冠を被り国家規模の暴力を制御する王族との差異が見える、良いキャンバスになるかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
王たるべきものが率いる力も、犯罪者の剣と同じく炎と血を生む。
ならば、王を王と、国を国とする境目はどこにあるのか?
これは剣を鞘に納め、殺さず制する術を身につけたボッジが背負う問題と、根っこで繋がった課題である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
ミランジョの謎めいた謀略、解き放たれた豺狼達は、社会の頂点からは見えない灯りでもって、世界の真実を、作品のテーマを照らしに来ている。
そういう緊迫した状況に一息、コメディの味を足してくれるデスパーさんが、相変わらずありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
主と定めた英傑にしか背中を預けない白王くんが、とても可愛かった。
デスパーさん周辺の基本は、”下げて上げる”だからな…大逆転の前座でしょ、この一笑
(画像は"王様ランキング"第12話より引用) pic.twitter.com/pJguq34j5X
デスパーさんはこの作品の巧みな緩急を象徴するキャラで、お笑い担当の道化師かと思えば凄腕の戦士であり、ゲスな俗人かと思えば人生の真実を知る賢者でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
この硬軟自在のキャラクター性が、相矛盾するように思えるものが裏腹背中合わせな世界を、上手く僕らに伝えてくる。
綺麗で真っ直ぐであることだけが正しさではないし、ただ強いことだけがカッコよさでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
そう全身全霊で伝えてくるいいキャラが、主人公の師匠として太い存在感を持っておるのは、大変いいことだと思う。
問いが多い物語だけに、『コレが答えだ!』って示す存在がチャーミングなのは大事よ。
デスパーさんは揺るがぬ真実を体現するキャラなので、鉄火場に到着したら場を否応なく収めちゃうだろうしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
物語進行上必要な遅延を、一息つける楽しいエピソードとともに油断なく混ぜ込んでくるの、話運びがうまいなー、と感心する。
こういうベーシックな語りの技術が高いの、このお話の強みね。
さて玉座に押し入った悪党どもは、王を殴りつけ王冠を奪う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
キングリーが見せる玉座への執着が、俗な虚栄心とはまた違う場所から燃えていることが判るのは、暴力の嵐が収まってからである。
巨躯を納めきれない玉座に刃を振るい、己の形に整える。
(画像は"王様ランキング"第12話より引用) pic.twitter.com/G2DMy2jWAX
あまりに粗雑な王権簒奪であるが、彼が偽物の王冠を投げ捨て本物のレガリアを被った行為には、失われた過去を取り戻す意味合いが強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
布の王冠をカゲくんに手渡されたことで、ボッジが過剰に父…が体現する虚栄と暴力への焦燥を和らげたのとは、対照的な行為といえる。
キングリーには本当に欲しい冠を授けてくれる友はいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
代わりにいるのは自由を奪い刃を突き刺す敵であり、手に入れた玉座も王冠も、一瞬の夢と儚く消えてしまう。
モノ化した王権は簡単に手に入る代わりに、簡単に奪われていくのだ。
ここら辺は、ダイダの身体簒奪と通じるところかな…。
運命が狂わなければ、キングリーにも形なき理想を追い共に支えてくれる存在はあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
しかし天秤は狂気に傾き、(ボッジと違って)彼は零落した王族となってしまった。
オウケンが恐れ震えるものを、キングリーは見ることが出来ない。だから王冠を奪い、玉座を切り取れる。
ミランジョが『愚か者が…』と唾棄したのは、無言で震えるオウケンではあるまい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
ではオウケンは何に怯え、何を求めるのか。
不気味で謎めいた剣王…であり、その名に”王権”を隠すものにも、興味深いミステリーがありそうだ。
顔が見えねーやつは大体ワケアリなんだよ!(雑な物語分類法)
兇猛なるキングリーの夢は妖術で醒め、剣で手に入れたものは剣で奪われていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
このアニメは”手”のフェティシズムが非常に強い演出哲学が貫徹されているけども、彼はあくまで刃を握ろうとして果たせない。
このクローズアップが、後に再演される事になる。
(画像は"王様ランキング"第12話より引用) pic.twitter.com/VEDkLnYCmc
身悶えする哀れなキングリーの死を、オウケンは恍惚と見つめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
そこに何が宿るかは、今は預かり知らぬ謎である。ただの子供めいた嗜虐とはまた違う味が、微かに臭うか…。
王冠は流れ流れて、山賊王の頭上に収まる。
物質化した権力など、その程度のものなのかも知れない。
玉座の狼藉はつまり、ボッス王が駆け抜けた戦場の再演とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
国を下支えする大義や仁愛を剥ぎ取ってみれば、剥き出しの暴力が権力のボールを奪い合う現実が、無慈悲に横たわる。
崇高なる王権は常に、この血みどろの事実の上にあることを、この場面はよく伝える。
キングリーもまた、この剥き出しの現実に最初からいたわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
慈愛を父から伝えられ、理想を求めた時代があった。
狂気に愛を燃やされ、慈悲無き禽獣に墜ちた過去があった。
全ては誰にも知られぬまま、無情なまま地に落ちる。
(画像は"王様ランキング"第12話より引用) pic.twitter.com/VNBFIiOziH
血に濡れた”手”が求めたのは、空しき玉座か輝く王冠か、はたまた取り戻し得ぬ過去か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
ここでボッジに世界の真相を伝えた、狂える蛮王とキングリーが繋がってくるの、運命の大河を感じてかなり滾った。なるほどなー…。
王の狂気は彼の血統も、王子の夢も、何もかも燃やした。
それが偶発なのか必然なのか、今後掘り下げそうな気配は、この絶望でキングリーが終わりにならない展開からも感じられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
虚しく血みどろに空をかいた掌は、蛇の優しさに抱かれて最後、もう一度動く。
運命を間違えてしまったものものもまた、何かを取り戻しうるのか。
問いは続く。
さて玉の間を舞台に演じられた無残なリアルを背後に、王城を巡る闘争には役者が集ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
あの壁の向こう側にいた時は自分のやり方を押し付けるばかりで、弟子の顔を見れなかったドーマスも、今は弟子の力量に応じた武器と役割を、適切に差し出せる。
(画像は"王様ランキング"第12話より引用) pic.twitter.com/8xQ7mrze1s
『ホクドーは…あるッ!』と確信する、良いツンデレだったけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
この別働隊が城門前で対峙する女二人騎士二人にどう絡んでくるか、なかなか楽しみな状況だ。
『この国を滅ぼしたい』
そううそぶくミランジョの真意は、やはり茫漠と不鮮明なままである。
似合わぬ鎧に身を包んだヒリング様が、相変わらずお可愛いけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
長子は謀略に伏し次子は夫に体を乗っ取られ、擬を正すべく剣を玉座に向ければ、出てきたのはよく理解んねー鏡と異国の荒くれ。
運命の激浪は、ただの優しいママではいさせてくれないね…。
あるいは”優しいママ”なんざぁ、望んでも手に入らなかった魔女の怒りが、嵐を生み出しているのかも知れないが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
ミランジョが何を望み何を恨むのかは、本当に気になる…気になってしまっている。
ダイダ坊やをハメた時は怒り心頭であったが、そういうキャラの懐に薫る人間味を、無視させない作風である
お姫様になりたかった幼き日の夢を、無残に引っ剥がされ、望まぬ能面を貼り付けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
明かされてる情報から推察するに、ミランジョもまたキングリーと同じく、暴力と運命の犠牲である。
波打つ段平を引っさげ、戦場に赴く不屈の戦士が見せた、一筋の情愛。
(画像は"王様ランキング"第12話より引用) pic.twitter.com/QemGP6SsC1
一見すれば蛇に食われているおぞましき絵面だが、ベビンおじさんと彼の蛇ちゃんの優しさを知ってみれば、それが弔いであり、不死の魔力を分け与える仁術であることが判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
愛するものを奪われたが故に、果たすべき誇りを汚されたがゆえに、虫のように死んだ男。
その刀傷と砕けた心が、苛まれた正しさが果たして、黄泉返りを果たすか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
そこも気になる、”手”のクローズアップであった。
王権を蔑し、暴力に貫かれてなお、キングリーは命を繋ごうともがく。
再生とやり直しの機会は、確かにそこにあるのだ。
そしてそれは、綺麗な主役の特権ではない…かもしれない
ここまで1クール見させてもらって、可愛い筆でエグい人生模様を逃げずに描く骨の太さを感じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
人生は無情であり、望みは叶わず、気高いものは必ず汚される。
しかしそれだけが終わりではなく、再生の機運も、より靭やかな真実への道も、力強く開かれている。
あるいは苦しみや過ちを知ればこそ、人はより強く正しい道へと、己を進められるのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
カゲくんは追い剥ぎであり、ボッジは罵声をぶつけられる弱者であった。
ダイダは兄を殺し己を奪われ、ヒリングは劇場に駆られて死を叫ぶ。
皆が間違え、至らず、必死に駆け抜ける人間の情景。
そこに一見、荒らくれたトラブルメイカー、大事なものを汚す悪党、強敵の力を示す噛ませ犬と思える存在も、身を投げるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
キングリーのもぞり動いた掌が、果たして何を掴むのかは、個人的にかなり大事な描写である。
悪人正機。
ボッジのように正法に愛された主人公以外にも、善は道を通じるか。
そこを深く問いかけ答えを出してくれそうで、次回も大変に楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月6日
やっぱなー…カゲくんの親方もそうだけども、人生を間違えちまって、あるいは捻じ曲げられて悪行に走り、なお心のどこか人道を諦めきれない身じろぎ…一寸の虫に宿る五分の魂に、強く惹かれるわけよ。
それを尺使って描く。偉い