鬼滅の刃を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
妓夫太郎と堕姫…兄妹二人で一人の”上弦の陸”を相手取る死闘は、伊之助と善逸を加えて酸鼻を極めていく。
宇髄天元の血中に溢れるは、致死の毒と微かな矜持。
人でなしの機械と生きる道をド派手に捻じ曲げた男の強がりは、兇鬼の頸に届くのか!?
そんな感じの2 VS 4+αの大激闘、バトルバトルの鬼滅アニメ遊郭編第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
位置を入れ替え新手が飛び出し、スピーディーに戦況が切り替わる極限の戦いが、迫力満載で暴れるエピソードとなった。
撮影とエフェクトがいいので、こういう早くて派手な戦いはやっぱ映えるなぁ…。
同時にド派手な神様を気取ってた音柱の、存外陰気な根っこもよく見える話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
『自分がやられてマジで嫌だったので、殺し殺されの殺戮機械はやめた』天元さんと、『自分がやられて嫌だったことを、億倍にして返す』鬼の兄妹…っていう対比なんだな。
生き方を変えられるものと、変えられないもの
宇髄さんの忍びらしからぬヒューマニティは、血のつながった親兄弟には理解されなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
『俺たちはそういうもんだ』という冷たい諦観からはみ出せない、生き方を変えれない存在に取り囲まれ、逃げ出した先にあった藤の屋敷。
お館様は、他の隊士にそうであるように全人の父である。
同時に擬・血縁に命を握り込み、鬼を殺すために鬼になる道を柔らかく敷く彼は、やっぱグロテスクだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
『鬼と戦うときは修羅となり、しかし人の心も捨て去るな』っていう鬼殺隊のルール、やっぱ残酷で困難よね…これを貫徹しないと、無軌道な暴力に落ちるから必須なんだけど。
人でなしの家に生まれて、人であることを望んだ宇髄さんはお館様という”父”に認められ、欠落を埋められることで生き様を固めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
血よりも濃く定めよりも正しい、産屋敷耀哉という太陽を中心にして、鬼に…血を吸われぬまま鬼になった人間に、人生を捻じ曲げられた者達は一つの星系を作る。
『それ、疑似家族カルトだよな?』と、鬼殺隊の外部からツッコミがほぼ入らないまま加速していく蒸気圧の高さが、この作品の面白さであり、危うさでもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
徹底して鬼殺隊(と、その対存在である鬼)内部の閉じた視線に密閉されているので、風通しは悪い…
んだが、熱量が尋常ではないので独特の暴風が内部で吹き荒れ、本来外部視点に晒さないと暴けないような真実が、ベリっとめくれてドラマに刺さりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
お話の作り方としてはかなりアンフェアでゴシックな作品だと思うが、同時にその歪さを自覚してる感じもあるんだよな…ヘンな漫画。(今更感想)
とまれ殺戮機械と育てられ、人間に目覚めてしまった宇髄さんの揺らぎを、お館様は肯定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
冷たき刃でありながら、暖かな心を持ち続ける道があまりに厳しいからこそ、宇髄家は人命をコマと使い潰す掟を己に強いた。
それは強靭な狂人以外に進み得ない、正しき修羅の道のりだ。
心を殺し命の値段を極限まで下げ、『それが普通だ』と諦めることしか、凡人は狂気の道には進めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
”家”としてその稼業を継いでいくならなおさらなのだが、宇髄さんはそのレールからはみ出さざるを得なかった。
迷ってなお生き延びたところに、忍びの天稟があると思うが、彼の自己評価は低い。
あんだけ唯我独尊演じておいて、めっちゃ周りと自分を比べて下に見る陰気野郎なところが、またチャーミングであるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
『俺は弱い』と影に入ったところで、鬼に襲われ怯えてる人の魂は安らがない。
俺は神だ、強い存在だ。
アイツら余裕でぶっ殺して、お前らを守ってやる。
彼の増上慢はそんな嘘を維持するための、儚く尊い鎧だったわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
富岡しかりしのぶさんしかり、この作品は初見最悪な印象に誘導しておいて、『実はこんなに”人間”でしたー!』と足払いをかけて、気持ちよくひっくり返すのが上手いなー、と思う。
これは人間だけでなく、鬼も同じ。
巧妙に誘導を隠した悪印象って、読んでる当人が抱く感情なので、否応なく自主性と責任が生えるんだよね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
それを逆手に取って、真実が暴露された時に『あんたそんな人間だったんだな…ち、違う。俺はそんなつもりじゃ…』って罪悪感を欠片でも煽れると、キャラがグッと読者の内側に入り込む。
露悪、苛烈、傲慢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
そんな表層の奥にある柔らかな真心は、大きな倫理にとってもキャラクター個人にとってもこれ以上譲れない”真実”になることが多く、今まで見えていたものがガラッと姿を変えるダイナミズムの気持ちよさもある。
伏せ札が顕になることは、物語の根源的な快楽だ。
宇髄さんの過去語りを見ていると、ここら辺の操作が巧妙で強く、熱い作品だと思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
あ、敵役である鬼がバトルの途中に悲しい過去をブッパするとテンポ最悪なので、奴らの性根が見えるのは首が飛ぶ時だけです。
ここの割り切りは、帰れる人間と帰れない鬼を分ける線が明瞭だからこそ、かな。
さて守るべき子供たちを背中に背負いつつ、忍になりきれなかった正義の味方は激闘を演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
屋内と天井の上、鬼1-人間2の構図に分断されつつ、戦場を高速で暴力が行き来するバトルの描写は、迫力があり大変良かった。
次々対手と攻め筋が変わるので、戦闘が居着かず動き続けて、イキイキしとるのね。
鬼兄妹はオールレンジ攻撃持ちなので、カメラもグリングリン動いてその驚異を伝え、また次々攻め手を繋げる人間の強みもよく見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
”連帯”っていう剣士サイドの強みに、鬼兄妹が肩を並べてるの、かなり特殊なバトルだよなー。
完結した孤独な個体として強いのが、鬼の基本なので。
世界にたった二人の血縁として、歪みきってなおお互いを頼り、守る兄妹。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
後に描かれる人間性の残滓を残した鬼の描き方まで含めると、やっぱ”血”あるいは”家”の縁(婚礼により新たに血を繋ぎ、家を生むものを含む)が、人を人たらしめる足場と、認識されてる気がする。
産屋敷を”父”とする鬼殺隊の疑似家族性もそうだけど、”家”なるものが十全に機能した時、それは身内のために死んでもいいし他人を殺してもいい一つの結界として、強烈に機能する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
堕姫とお兄ちゃんのいびつな縁は、主役サイド…特に竈門兄妹の鏡なんだろう。
同時にカナヲしかり宇髄さんしかり、生物的血縁でオート生成された”家”が三界火宅の腐臭を放つことも、多々ある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
”家”と繋がらない性行為をひさぐ遊郭を舞台に、こういうネジレが積み上がっていくのは、個人的にはとても面白い。
そういう意味では、人間買い漁って強制込で売春させてる施設の管理人が『お母さん』って言われてるの、凄まじくグロテスクな皮肉として機能するな、などと思いつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
堕姫と妓夫太郎が骨に刻まれ肉に焼かれた、遊郭最悪のルール。
他人はみんな食い物で、弱さを誰も許してくれない。
宇髄天元はその逆を与えられたから、音柱として徹底的にツッパってんだと、よく分かるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
幸運に恵まれ出会いに救われた存在は”正しい”からいいけど、んじゃあそれ全部取りこぼして地獄の鬼になっちゃった輩は、どう死ねばいいんだ、という話でもあるか。助けて見真大師!
あ、即成のチームワークを冷静に見切り、苦無の戦術的意味合いを冷静に感じ取るお兄ちゃんのクレバーさと、ワーワーわめき続ける弱虫堕姫ちゃんを対比で見せるの、キャラ生かしてていいなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
『マージでお兄ちゃんいないとヤベェな…』と、頭ではなく肌で理解るのは秀逸。
沢城先輩の好演も刺さって、こんだけバカで性悪なのに可愛く見捨てきれない、堕姫のキャラ性…妹大事な妓夫太郎の性根も、バトルの中でよく伝わってきます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月28日
『これでもうちょい、モノローグの重さを削ってくれりゃあ…』などとも、幾度目か思いつつ。
加熱する激戦、次回も楽しみです!