王様ランキング 第15話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
王門前の激戦を制したボッジは、魔獣を故郷に返すべく冥府の門へと赴く。
ボッス王の命により、一足早く向かったドーマス達は、冥府騎士団と鉢合わせる。
祖国の存亡、守るべき弟子。
退けぬ一線がドーマスの剣技を研ぎ澄ませる中、遂に冥王がその威容を現すのだった。
そんな感じの新局面、殺さぬ者同士の譲れぬ戦い、王様ランキング第15話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
あの恥ずべきだまし討ちからドーマスがどう変わったのか、それをボッジはどう受け取っていくのか、なかなか面白い所にフォーカスした展開だ。
ならず者と洗脳魔獣相手の殺し合いに比べ、どこかペーソス漂うノンキな戦い…
というには、生まれ変わったドーマスの人間味、厳しき現実を知るデスハー王の”格”が滲む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
暴力を制し理想を成し遂げる力も手に入れたボッジが、自分を陥れた相手にドス黒い感情を顕にするのも、主役の陰影が濃くなって良い。
こっから更に、どう転がしていくかが楽しみになる回だった。
というわけで王門の戦いには一段落つき、ボッジは異形の影、巨大な鬼、魔獣の群れを引き連れて、城に隠された冥府へ進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
なんとも奇妙な軍勢であるが、いかにもボッジらしい不思議な仲間だ。
我が子の門出を見守るヒリング様も、険が取れていい顔しとる。
(画像は”王様ランキング”第15話から引用) pic.twitter.com/8iXZp9qcMs
守ってあげなきゃいけない弱い存在(ハンディキャップを背負った家族をそういう目線で見るのは、ダイダと通じる部分がある)だったボッジは、自身と王国の窮地を救う英雄となり、操られていた魔獣を故郷に返すべく、新たな戦いに進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
その実力は、実際命を救われ否定しようもない。
そんな優しく強い子の背中を見守り、ヒリング様はボッジを再び『私の子供』と呼べるようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
最弱の王様と触れ合うことで、人は確かに変わっていく。
では彼を奈落に突き落とした卑劣漢は、どう変わったのか。
まず、地の利を作る賢い戦いができるようになった。
これみよがしに巨大な剣(彼を盲目にした、ボッス王への憧れ)を担ぐのをやめ、片手でも両手でも自在に触れるサイズの剣を構えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
そして多勢が押し寄せても刃を翻し、”敵”が何を求めているか話を聞き入れる姿勢を、あくまで堅持するようになった。
総じて、ドーマスは虚飾を片腕とともに切り捨て、率直な戦い方をするようになったように思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
それは過去の自分の似姿のような巨剣士の一撃を擦り落とし、不殺の一撃を(ボッジがそうしたように)突き刺す。
即座にカバーに入る冥府騎士団の、人命大事が可愛い。
失われれば取り返しようがない命を尊重しながら、刃を交えるドーマスと冥府騎士団。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
己の強さを過度に誇り、危うい地位にしがみついていた時には考えられないほどの粘りが、その戦いには宿る。
そしてドーマスとその弟子は、よく怯えよく泣く。
(画像は”王様ランキング”第15話から引用) pic.twitter.com/vN4K8wSfdP
心に裏切りを秘めたまま主を騙していた時の、硬い表情とはうって変わって、ドーマスはピンチにビビる顔、”男”を潰された惨めさを隠そうとしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
そんな彼に鍛えられたホクロも、死地を前に怯える心を覆わない。
その怖さも、情けなさも、確かにそこにあるのだ。
配下を相手に一歩も退かぬ大立ち回りを見せたドーマスを、ぬらりと抜いた鬼棍棒で叩き潰す…のではなく、巧妙なフェイントを交えて制圧する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
デスハー王もまた、彼の賢き弟…その弟子たる王子と同じく、状況を制するために武器を使う方法をよく知っているようだ。
あえて屈辱を与え侮蔑を浴びせるデスハー王は、目の前に立ちふさがるものが真の強者か、見定めるかのようでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
混乱の中心に居座る魔鏡のみを砕き、事態の収集を図る。
後に明かされる遠征の目的を鑑みても、伊達に銅像は立ってない感じだ。
殺さぬためには技がいり、弱さを超えるためには覚悟がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
ドルーシの殺陣、デスハー王の戦いには、むき出しの暴力が暴れた王門の戦いとはまた違う、剣豪めいた心の強さが宿り、とても面白い。
戦いの質自体があそことは違ってるわけで、それがアクションに宿ってるのは良いわな。
涙と屈辱にまみれてなお、ドーマスはかつて背を向けた忠義のために、王国の平和のために、武器を携え不屈を叫ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
その先にこそ、かつて求めた戦士の誉れがあることを、彼はもはや意識していない。
その無心にこそ、真の”男”が宿る。
(画像は”王様ランキング”第15話から引用) pic.twitter.com/X7ASNGcTux
そしてギガンのインチキショートカットで燦然と降り立ったボッジに、師弟も思わず男泣きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
同じ涙ながら、金的食らった痛みと屈辱に泣いた数瞬前とは、その熱さが違おう。
弱さも感慨も、自分を突き動かすものを隠さなくなってきた、元裏切り者である。
ここでギガンが持ち前の巨体を敵を排除するのではなく、主をあるべき場所へと届けるために使っているのは、個人的に興味深い描写だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
その殆どが仲間割れで倒れた死刑囚の中で、ギガンだけが他人の心に強く貫かれ、生き方を変えた。
その現れとして、彼は自分の肉体を守護装置として使う。
しかし戦場のリアルはそんな変化を踏み潰すように、ボッジの心に混沌の大渦を生み出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
自分を殺そうとした相手を、憎めば良いのか愛すれば良いのか。
人間として…生物として当然の反応と、デスパーさんの教えが複雑に衝突していく。
(画像は”王様ランキング”第15話から引用) pic.twitter.com/pQlN3uE0KW
ここでかつてカゲくんが囚われ、やけっぱちな悪徳に身を投げた己を鑑みて、必死に止めようとするのが涙ぐましい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
ダチの魂が黒く染まるかの瀬戸際、泣いてる場合じゃねぇと涙を振りちぎって、悪意に慣れないボッジにその手を伸ばし、真心の在処を教える。
その歩み寄りが、やはり尊い。
ボッジがドーマスを前にドス黒い感情を顕にし、混乱し、友の手のひらと己の拳で自分を取り戻す一連の流れは、清廉な主役に上手く人間味を与えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
まぁ人間なんだから、当然こういう思いもある。
あった上で、それを乗り越えていく事こそが大事なのだ。
死んで詫びる決断までが早すぎるのに、鍛えすぎた体が死に逃げを許してくれないドーマスを、制止を聞かず暴力による制圧を振り回すギガンを、デスハー王は達観の極みから見下ろし、雷で制する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
(画像は”王様ランキング”第15話から引用) pic.twitter.com/AWM7pfE2xw
強者ぶったにやけヅラがいい塩梅にムカつくが、ギガンへの攻撃もせっかくデカい体の使い所を覚えたはずなのに、うっかり昔の流儀で他人を害してしまった暴れん坊を止めているようにも見え、なかなか底を見せない面白さだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
ボッジが今回、ドーマス相手に飲み込まれそうになった暗い感情、人間の現実。
強さがなければ過ちを正すことすら出来ない事実を、どうも冥王はしっかり見据えた上で、ミランジョに的を絞って解決を望んでいるように思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
顔のない銅像のあたりから傑物の匂いはしてたが、鉄火版に立つとぐんと分厚さが増すなぁ…。
『殺すのはたった一人、ミランジョ』つうことは、王家の恥であるオウケンはやっぱ、止めて治す道を考えてる、ってことなんだろうしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
そんな陰謀の中心は、悪漢の卑劣な腕に抱かれているわけだが…さて次回どうなるか。
やっぱ進むべき道を見据えている者同士の戦いは、ちょっと笑いが交じるなと。
変顔乱発に思わず笑ってしまう、久々に一息つける回でもありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
そういう洒落になる、余裕のある人間の道に、ドーマスが自分自身を引き戻した結果、彼は強さに驕り己を偽ってたときより、遥かに強くなった。
真実人が求める”強さ”がどんなものか、掘り下げていく物語は続く。次回も楽しみ。