ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
魂を溶かす夢から醒め、無実の罪から娘を解き放たんと、承太郎は牢獄を進む。
夢と現実が不確かな死地に迫る、邪悪な蛇の牙。
無敵の”スタープラチナ”を奪われ、瞳を閉じた瞬間見えたのは、確かに継がれた血と魂の輝き。
かくして、物語は始まる!
そんな感じの序章終了、旧作主人公兼頼れる親父の助け舟はもうないぞッ! という、ストーンオーシャン第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
このエピソードで決定的に徐倫の少女時代が終わり、父の魂を取り戻すべく自分の意志で、牢獄の奥深くへと囚われて…あるいは突き進んでいくことになる。
『何でアタシなの!?』と運命に文句タレていた小娘は、自分を守るために傷ついた父を蘇らせるために、姿なき邪悪に立ち向かう道へ進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
それはもはやジョースターの血脈、第3部の後始末に巻き込まれた脇役ではなく、第6部の主役として徐倫が両の足で立つ瞬間だ。
そのためにも、彼女を守り導く父…というには、祖父譲り不器用な所がある承太郎を、話のメインステージからリタイアさせる必要があったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
まぁ無敵のスタープラチナがいつでもパナせると、徐倫が成長しながら危機に立ち向かう緊張感ユルユルになっちゃうからな。さよなら、ダディ…。
同時に承太郎すら欺く敵の悪辣さ、あの承太郎の急所となってしまう徐倫への深い愛も、よく見えるエピソードだった気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
”矢”で目覚めた能力が厳しい刑務所で頼れる武器になってたからこそ、ペンダントが持つ本当の意味を、徐倫も視聴者も掴み損なう。
そこに宿っていたのは、力ではなく愛だった。
徐倫もまた、産声のように己のスタンドの名を叫びながら振り絞った力で、愛に触れようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
前回のヒキから徐倫が選んだのが『親父に触れ、目覚めさせる』ってのが、彼女が本当に望んでいるものを明瞭に示していて、既に泣ける。
糸は柔らかく、靭やかに誰かに触れる事ができる。
後に銃口に包囲されながらも、秘密の言葉でエンポリオと魂を通じわせる場面でも、”ストーンフリー”はメッセージ・メディアとしての力を示している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
無論クソジョンガリをクルクル翻弄し、オラオラする剛力も備えているわけで、自在に変わりうる柔軟性こそが、徐倫の魂なのだろう。
(ここら辺、トリッシュの”スパイス・ガールズ”が全てを柔らかくし、ダイヤモンドよりも強い防御を生み出しうるスタンドなのと、ちょっと通じる感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
プラチナよりも強い、柔らかな力を作品に取り込むべく、6部は女性主人公にしたんかなー、みたいな。)
徐倫が求める繋がりはしかし、親子の気質を反映して、なかなか上手く接続されない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
甘い言葉で褒めてもらえるかと思えば、スタンドぶん殴って強制脱出だし、優しく手を取ってもらえるかと思ったら、『それより”石”だ』だし。
世界を救った英雄も、家族相手に素直に愛を伝えることは難しい。
しかし果たすべき目的のためには実の娘すらぶん殴り、たどり着くべき場所に自分たちを引っ張り上げるパワーこそ、彼ら親子の強さでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
後にジョンガリ・Aを処刑するとき、ほぼ同じやり取りをしているのは印象的だ。
ジョジョらしい”その血の定め”…を、超えていく物語でもあるわけだが。
ジョンガリ・Aとの決着、承太郎の犠牲、”ホワイト・スネイク”との因縁。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
一連の流れは(アニメ化でかなり分かりやすくなったとはいえ)誰が敵で何が現実か、とてもあやふやに状況をぼやかしていく。
だからこそ、どんな夢の中でも信じられる真実が、その輪郭を鮮明にもしていく。
現実と夢が入り交じるスタンド攻撃に、『敵は「2人」いたッ!』という真実を隠す、かなり捻じくれたトリック。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
これが承太郎の背後を突き、英雄を打ち倒す決定機を呼び込むわけだが、その根底には娘への愛がある。
目の前に現れた、看守姿のジョンガリ・Aが果たして、現実なのか幻覚なのか。
その一瞬の惑いを作るべく、”ホワイト・スネイク”の主はジョンガリ・Aと共謀し、徐倫をハメて刑務所に呼び込んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
彼らの本命は愛するDIOを滅ぼした承太郎であり、徐倫はあくまで囮、脇役、餌…のはずだった。
しかしこの第6部、主役はあくまで徐倫である。
魂を宿した”ストーン・フリー”で確かに触れていたはずなのに、信じきれなかった父の愛。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
自分を守るために傷ついたそれを、取り戻すために徐倫は監獄に残る。
あるいは戻り、進んでいく。
心臓が止まっても、魂の力を取り戻せば人は生き返ると信じて。
エンポリオもドン引きの果断主義は、人を人たらしめるものがどこにあるか、狂気にも似た信念に裏打ちされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
スタンド能力の基盤となる精神の力こそが、この作品では生命の源なのだ。
気高くなければ、生きていることにはならないッ! 厳しいよね、JOJO倫理。
それは逆に、力はその正しさを無条件に保証しない、ということでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
無敵のはずのスタープラチナは「DISC」に封じられ、そこに宿った承太郎の魂は奪われてしまった。
本来不定形の精神を物質化し、実力として行使する”スタンド”という概念は、それを簒奪し移植するところまでたどり着いた。
徐倫が奪われた「DISC」を追って刑務所に戻る足取りは、父が血みどろで証明した愛を取り戻し、今度こそ己のスタンドで優しく触れるための旅でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
モノのように奪われたその尊厳が、邪悪な目的に乗っ取られ利用されないよう、その手で掴み直す。
ここら辺、ジョナサンの首から下を悪用したDIOに、その孫と玄孫がプッツン切れながら立ち向かった道と、結構似てるなー、と思ったりするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
どちらにしても、英雄を英雄足らしめていた圧倒的なパワーは、その愛を利用した卑劣な策略により奪われ、汚された。
徐倫への愛ゆえに、承太郎の魂は「DISC」という牢獄に囚われ、それを取り戻すべく徐倫も監獄へと戻っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
DIOへの歪んだ愛ゆえに復讐を望んだジョンガリ・Aや、”ホワイト・スネイク”の精神性を考えると、敵も味方も皆愛の虜囚…Prisoner of Loveである。
なにかに運命を刻まれ、縛られるのは人の定めとしても、そこに何らか尊い自由を刻み、正しい行いを果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
幾度も繰り返されたJOJOの物語を、新たな舞台、新たな戦いの中で描くための徐倫であり、彼女の靭やかなる”ストーン・フリー”なのだろう。
父を奪われて今、その幕があがるのだ。
そういう状況でも、徐倫は自分を案じてくれたエンポリオに感謝を伝え、彼の母の遺骸を手渡すことを忘れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
精神を腐らせる”ホワイト・スネイク”に、愛する親を溶かされた遺児として、二人はある意味姉弟のような関係にもある。
そこで徐倫は戻って立ち向かうことを選び、エンポリオは逃げろと告げた
この差が果たしてスタンド能力の有無、”血”の違いなのかということも、物語は問いただしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
エンポリオが”お姉ちゃん”に忠告し骨を預けたのは、過酷な運命から逃げる道を示すと同時に、それを超えてくれるかもしれない希望が、どっかにあったのかなー…。
エンポリオもまた、母の愛に命を繋ぎ、刑務所に縛られた虜囚だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
自由になる近道は目の前にあるが、彼ら監獄の子供は靭やかな糸で繋がりながら、より過酷な道へと突き進んでいく。
奪われた魂を取り戻し、もう一度その愛に触れるために。
正義を果たし、その天秤を正しい位置に戻すために。
復讐者たるジョンガリ・Aをぶっ飛ばす戦いが、徐倫を聖なる復讐者として覚醒していくの、なかなか面白い連鎖だよな…などと思いつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
あえて荒野を進む旅路は、一人ではけして進めない。
父を奪われた少女の側に立ち、支えるものは誰か。
さー、魂を繋いだ仲間たちがドシドシ集まってくるぞーッ!
あと徐倫がめっちゃ絶叫してて、ファイルーズあいのJOJO適正の高さがバリバリ証明されてたのも、印象的な回でしたね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
自分を守るために撃たれて初めて、『親父ッ!』って呼びかける所とか、少女らしいツンツン感と後悔、譲れない決意が滲んでグッドでした。
まぁ”ホワイト・スネイク”の能力とか、幻覚に秘められたバトルのからくりとか、脱出の段取りとか、状況飲み込む能力高すぎだろ…って感じもあるが、逆境の中で眠っていた可能性が目覚めたってコトで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
あそこで物分かり悪いと、マジでテンポ悪いからな。爆速理解助かる。
徐倫を監獄に引き戻した愛は、果たして自由を奪う鎖なのか、可能性を長く伸ばす糸なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
主役の帰還はそういう事も掘り下げていくわけだが、アニメはどんな色でそれを刻んでいくのか。
徐倫とユカイな仲間たちのおもしろ道中を、どう描いてくれるか。
次回も、とても楽しみですね。
追記 スタンド能力の設定はバトルの幅そのものになるし、キャラの精神性を反映する以上ドラマの方向性にも絡んでくる。アクションの基盤となる異能が、そのまま登場人物のあり方と直結する書き方、本家本元はやっぱりつええ。
ていうか”スタープラチナ”は電子錠をぶん殴って壊せて、”ストーン・フリー”は鉄格子をひん曲げる程度な対比で、承太郎と徐倫、親と子、男と女、第3部主人公と第6部主人公の強さの違いを見せる回…とも言えるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
直線的なパワー勝負において、”ストーン・フリー”は強いが無敵ではない。
だがオラオラのラッシュでクズをボッコにすることは出来るし、糸電話にしてメッセージを伝えることも、鎧を編むことも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
そんな多彩な可能性も、”ホワイト・スネイク”の罠から父を守ることは(この段階では)出来なかった。
愛も強さもを信じきれなかった。
徐倫が監獄に戻るのは、父を信じきれなかった弱い自分を取り戻すためでもあり、自分を信じてくれた父の愛を嘘にしないためでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月6日
どちらにしても過酷な荒野に留まるのは、奪われたものを取り戻し、欲しかったものを蘇らせるためである。
靭やかなる再生の物語だよなー、第6部。