薔薇王の葬列を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
フランス王の仲介によって、ウォリック伯とランカスター家は接近する。
王弟ジョージを取り込んだ伯は軍を起こし、エドワード四世は捉えられた。
戦火の中、危うく逃げ延びたリチャードは王の自覚と資格を、茨の中で問う。
孤独にして平穏なる玉座は、魂の棺足りうるのか。
そんな感じの第二次内乱勃発! 誰が敵やら味方やら!! な、薔薇王の葬列第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
因縁と愛憎と野心が複雑に絡んで、婚姻と裏切りが奇っ怪な織物を作る薔薇戦争。
千々に乱れる情勢の中で、リチャードの精神状態は失恋でズタズタ、玉座さえ手に入れれば平穏が…と思うのも、まぁ無理はないか。
ウォリック伯とランカスター家を仲介した当時のフランス王は”慎重王”ルイ11世。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
”蜘蛛”の悪名を持つ稀代の策略家である。
100年戦争の傷痕も残る中、一度もイングランドに上陸しないまま、自分の影響力が残るウォリック伯に内乱をそそのかし国力を削りに行く一手が、大変エグい。
ヨークとランカスター、ネヴィルとウッドヴィル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
”血”に呪われたとしか言いようがない、兄弟姉妹の複雑怪奇な因縁の外側から、国を揺るがす大乱の種を蒔く。
顔すら無いフランス王の存在感は、結構大きいなぁ…などと思う。
ウォリックが担ぎやすい神輿を玉座に上げるなら、それはそれで良し。
負けたとしても自分の兵は戦場に送っていないわけで、懐が痛む敗戦でもなし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
怜悧に国益をにらみ、非常に”王らしく”立ち回る対岸の策士に操られながら、イングランドの国情は揺れに揺れていく。
不倶戴天の敵同士…のはずだった、ウォリック伯とランカスター。
これが手を結び、イザベルと王弟ジョージの婚礼も加わって、エドワード四世に反逆する側は盤石に思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
乱の火種となった、エドワードとエリザベスの”愛”を意趣返しするように、ジョージが許可のない結婚を敢行する所、バカ王の首が自分の縄で絞まってる感じで最高。
自分が何をしでかしてるか自覚がない夫に比べ、エリザベスは大変賢く、執念深く立ち回る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
王妃に引っ張られる形で成り上がったウッドヴィルは当然、旧貴族の恨みを買っている。
エリザベスも国難を呼び込んだ魔女扱いはされるだろうが、さてこの状況をどう乗り切るか。
自分自身の胎も、生まれてくる子どもも復讐と栄光の道具と割り切れるエリザベスは、純朴に恋を信じ、それ故致命的にリチャードとすれ違ったアン・ネヴィルとは、対極に位置する人物…と、言えるかどうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
この後ネヴィル家を襲う激動の中で、アンがどういう人物になるか次第かなぁ。
裏切りと同盟を繰り返す政治事情だけでもややこしいのに、ここに個人的な恋情が伝奇的に差し込まれ、さらなるドロドロ加減を足すこのお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
ランカスターのエドワードは、リチャードを女と信じて追いかけ、その手が届かぬまま別れていく。
彼の行動、全てが誤解ベースなのが憐れで危ういな…。
苛烈なる母の圧力を受け続けるエドワードは、ある意味リチャードと同じく父母の呪いを受けた不自由な子どもであり、心通じる部分は多々あるのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
しかし運命は彼らを敵味方に引き裂き、その”性”の真実を告げないまま、血みどろの未来まで押し流していく。
ここでウォリック伯は、反乱同盟の結束を高めるための楔として、アンをエドワードに打ち込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
お互いリチャードを慕う二人が、政治的結束の道具として結ばれていくこの結婚。
幸福な結末にならない…どころか、凄まじく奇怪な未来に繋がっていくのは、年表の示すところだ。
ランカスターのエドワードに引っ張られる形は、アンがリチャードと敵対する陣営に身を置くわけだが、あの冬の城に確かにあった暖かな”愛”は、今後どうなっていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
皆複雑怪奇な政治の波に揺られつつ、不安定な心と業を抱えたまま、一つの結末…その先に待つ物語へと流されていく。
リチャードにも兄弟相食む内乱の時代をくぐり抜け、王冠を頂く未来が待っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
アンとの間に感じた安らぎを打ち砕かれ、自身の定まらぬ性に揺り動かされたリチャードは、悪夢の中で玉座を夢見る。
そこに至れば、もう誰も何も言えない。
孤独で安らかな、棺としての玉座。
後に”リチャード三世”となる者が、この段階でそれを夢見るのはなんとも…なんとも重い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
父が語ってくれた楽園も、玉座の足下にある国家も、リチャードにはもう見えてない…のかなぁ。
王たるべき資格も自覚もないものが玉座に座ると、国がどう揺れるか。
それを痛感はしているようだが…。
唐突な内乱に巻き込まれ、女を装うことで窮地を脱したリチャードは、同時に女を装ったことで兵士の獣欲を煽る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
”性”を便利に使おうとしたら、即座にしっぺ返しが来て大ピンチなあたり、なかなかにシビアなルールで動く作品である。
窮地を救ってくれたケイツビーは、あくまで国に仕える騎士。
多層なる人格と”性”を持つリチャード個人を、まるごと受け止めてくれる存在にはなりえない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
しかしその私心のなさが、”国”なる巨大過ぎる怪物に寄り添う時人に何が求められるかを、静かに描いている感じもある。
仕組まれた”愛”に踊って国ガッタガッタにするのも、野心の道具として人間踏みにじるのも
どっちも”国”に向き合う、善き姿勢とは言えないのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
あ、この期に及んでフラフラしまくってる羊飼いのスタンスは論外ですね。
でもウォリック伯が担ぐ神輿は、ジョージでもランカスターのエドワードでもなく、ヤツなんだよなぁ…。
フワッフワに軽い方が、扱いやすくはあるのか。
リチャードは王の資質を考え、”愛”で不和を呼んだ兄王奪還へと動き出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
その凶暴な瞳は、一体何処を睨んでいるのか。
それぞれの思惑を抱えたまま、内乱の編み物の中を蜘蛛達が這い回る。
切れ者っぽいオーラ出してたバッキンガム公も、誰に貼るか決めたっぽいしな…。
かくして、国を二分する内乱の炎は燃え盛る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
自由な愛に寿がれるはずの婚礼が不和を呼び、あるいは不実な同盟の楔となる中で、リチャードは己を…目指すべき王道を、どんな存在と定めるのか。
まー真っ当に幸せにゃあならない気配が、プンプン漂う中、次回も謀略地獄絵図だよッ! 楽しみだねッ!!
追記 ”性”に関しても王道においても、リチャードを導く存在がいない現状は、リチャードにしか見えないジャンヌ・ダルクの幻影が、唯一彼の本音を受け取る存在になってることからもよく分かる。孤独なのだ。
しっかしリチャードが目指すべき、自覚も資格もある王ってのが現状、死んで首を取られた父王と、敵国の奥で慎重に謀略の糸を繰るルイ11世だけなのが、どーにもヒドい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月15日
生きてる人間に、一人もロールモデルがいない。死人は理想化され、あるいは亡霊になって生者の不安を反射するからなぁ…。