東京24区を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
クナイのテロルは”予防”され、DoRedにも調査の手が伸びる。
ハザードキャストとともにアップデートされていく世界と、そこに生まれる軋みを受け止める暇もないまま、少年たちを取り巻く状況は変化を続ける。
はたして選択とは、何かを切り捨てることの別名なのか?
そんな感じのRGB幼年期の終り、東京24区第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
死んだクナイの情報テロルに対抗する形で、24区政府がカナエシステムを用いた監視/予見システムをアップデートする。
コウキはその裏にある”濁”を見せつけられ、一つの選別を果たす…という回。
ふうむ、まぁこうなるか…。
ウゼーガキだったはずのシュウタが、何者でもないパン屋の息子だからこそ中庸な立場に立ち、柔軟に理想を追求できるバランサーに近づく中で、既に立ち位置を決めていたランちゃんとコウキは、自身が選んだアライメントに押し流されて、可塑性を失っていく…って感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
”大人になる”とも言えるか。
なんの根拠もなく、勘とフィーリングだけでシュウタが提案している、柔らかな相互対話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
曲がりくねった友情物語でもあるこのお話は、そこに落着していくんだろうけど…現状、パン屋の息子の理想論は、ダチを動かすには説得力が足らない。
秩序も自由も、お互いを揺るがし試す現実の中で…
適切なバランスを取り、公平な相互対話の舞台を用意し、利も理も偏らないルールを定義/維持していくことの難しさ、莫大なコストは、多分シュウタの視界には入っていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
みんな、偏りすぎない柔らかな立場ってのが正しいことくらいは、ちゃんと知っている。
だがそれは、あまりに難しい。
『難しいからこそ追求し、実現しろ』ってのが、香苗ママンが幼いコウキを抱きながら伝えたかったこと…であり、作品の答えでもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
個人の感情や絆がどうあれ、譲れないところまで押し流されていく互いの立場、加熱していく対立の行方。
見えてる結末に行き着くまでに、書くべきドラマは多い
パンの耳食って一風呂浴びれば、相互理解が成り立つ素朴な幼年期が終わったことを、巧く可視化する演出は結構好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
結局そこに戻ってくるにしても、そのシンプルさを否応なく損なっていく時間の流れ、成長の残酷さをちゃんと書くことで、物語に立体感も出るだろう。
ただまぁ…それを実感込めて深く刺しきるには、ちとこのアニメの表現力は冴えが足りない部分もあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
ニュートラルな庶民感覚ってのを作品に盛り込み、一番共感可能な”普通”てのを描くキャンバスを、戯画化されたノスタルジーと今は無き素朴な共同体主義に置いたのは、まぁ難しいな、と思う。
ランちゃんの無政府芸術主義と、コウキの民営化された公秩序論の間にある、シンプルで当たり前の中庸主義。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
その揺籃になるには、あの商店街は戯画化されすぎてて、ちと体温が少ない気がする。
そのプラスティックな感じを、面白さが引っかかるフックにしたかった…のかなぁ。
これは個人の感覚に過ぎないんで、客観評価の基準としては正直弱いんだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
今後コウキが選び、ランちゃんが押し出された秩序と自由の対立項に、ブリッジをかけうるだけの説得力をシュウタというキャラクター、彼のホームである商店街が持ちうるのか、それなりの疑問がある。
どっかで『俺脳筋でバカだから分かんねぇけどよぉ…』っていう、シュウタの素朴なキャラクターが、素朴だからこそ真実を掴む”賢き愚者”に変わらなきゃいけないタイミングが、あるとは思うんだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
その変化をどうドラマ化して、納得し美味しく飲み込む味付けを用意するかが、滅茶苦茶大事だと思う
親父の圧力に飲まれ、ダチ売って道選んじゃったコウキも、その選別に背中を押されてパブリック・エナミーになっちゃったランちゃんも、既に道を選んだからこそ自分では変われないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
24区の”公”はアスミの死体を礎にしたシステムに立脚した、排除されるべき存在を傲慢に選ぶ”完璧”へ加速していく
現状テロルを排除しているDoRedも、公権の圧力が強まる中でいつ、武装闘争路線に行ってもおかしくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
自由を制限して生まれる秩序と、秩序を破壊することでしか成立し得ない自由。
そこに確かにあるものを排除することでしか成立しない”公”と、それに食われないために暴力闘争を選ぶしか無い”私”。
『清濁併せ呑む、現実的な判断』という美辞麗句に飾られた思考停止のニヒリズムは、二項対立を当然視し、第三のチョイスは影に消えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
それを作品全体が肯定しないのは、システムに取り込まれたアスミの魂が、幼馴染に二択以上の答えを求め語りかけている姿からも感じ取れはする。
何しろモニタの外側で、現在進行系で滅茶苦茶発火している複雑でリアルな事項なので、RGBの離別(と、おそらくその先にあるだろう対話と融和、古典的アウフヘーベン)は”現実的”だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
それをテーマとして選んでしまった以上、絵空事以上の熱量と説得力を込めて、過程を描き結末を掴み取る必要はあろう。
果たしてそのための道具立てとして、DoRedが、ハザードキャストが、24区という道具立てが、適切で有効であったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
キャラクターの配置が、それが絡み合って生まれる物語が、その摩擦熱と鋭さが、果たして『イマっぽいネタ擦ってみた』以上の、このお話が今ここに在る意義を、語りうるのか。
それは(物語というものが、例外なくそうであるように)最後まで見届けなければ、分からない所である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
作品の舞台にもキャラクターにもチャーミングな部分はあって、巧く活かせば良いモノ暴けそうな手応えはあるが、同時に至りきらない不安感というのも、正直随所に埋まってる。
それが、折り返し点を過ぎたこの段階での、僕の率直な感覚である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
何しろ難しいテーマを選んでいるので、かなりドンピシャに狙い撃つ”精度”が必要な作品だとは思うのだが、果たして取り込んだ要素に対し十分なだけの思案と作劇と描写を、力強く駆動できるか。
まだまだ話は途中なので、判断なんか出来る段階じゃないけど、『難しいことやってるなぁ…』とは正直思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
難しいことなので、見事やりきれば偉業であり傑作なんだけども、さてやりきれるか。
それはやっぱり、この転換点を越えた先にあるドラマを見ないと、なんとも言えないかな。
険しい高みに至るには、ノンキな半グレ(という名前を冠するには、あまりにノンキ過ぎる非実在犯罪者)はあんまりに頼りないので、今後は最後に存在感出してきたカルネアデスが、表に立つことになるんだろうけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
二択で思考を終わらせる奴らが、どんだけ理のあるワルなのか。
その彫り込み加減が、今後のお話を支える大事な土台になりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
今回区長が吠えてた果断主義(現実でも、かなり凶悪なご面相で暴れ倒してる怪物)の、鏡になる存在でもあろうしね、カルネアデス。
”選択/選別”は作品のメインテーマなんだと思うが、はたしてそれはどんな痛みと犠牲を伴うか。
そこをもう一匙ニ匙、説得力のあるエピソードでもってどっしりおっ立ててくれると、総体としての物語を飲みやすくなる…かな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
キャラ萌えして飲み込むには、作中起こってることズッシリ重いし、選択も行動もシャレにならないんだよね…(この言い回しは、いい意味も悪い意味も含む)
そういう重さ一本槍でぶっ込むには、24区はファンシーで空想的な舞台として現状描写されている(と、僕は思う)し、シュウタを取り巻くノスタルジックで軽い空気をどう、今後重さを増してくだろう状況と巧く混ぜ合わせるか、あんま見通しは立たない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
正直浮いてんだよなー、商店街周り…。
シュウタ自身は死人も出てる状況のリアリティをいい具合に受け止めて、脳筋直情主義からちょっと外れたニュートラル・ポジションへと、巧く自分を進めてる感じがあって良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
彼の人格的成長が、ともすれば浮かび上がる作品を地面に縫い止める、大事な釘になりそうである。がんばれ、主人公。
アスミが与えたRGBの異能が、”現実的”な選択(あるいは諦観)を強いられるヘヴィな状況に、どう突破口を開けるかも、現状あんま見通しがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
現状、異能を駆使して二択に向き合っても、選別のリアリティの範疇というか…フィクションだからこその突破力が確保できない感じだもんね。
そこも今後、力の使い道に悩んで選んで描かれるものだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
つうかヒロイックな力を何に使い、どんな倫理的価値を発揮するかってスーパーヒーロー物語の一番美味しいところなわけで、そこにはちゃんと焦点を合わせて欲しい。
メイン重くていいから時々は、すんげぇ力でスカッとはしたいワケよ。
というわけで、なんか煮え切らない感想となりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
ホントなんとも決定的なことを言えない感じで、今回…に至るまでの6話前半で積んだもの、描かなかったものがどう絡み合って、どこまで描ききれるか、次回以降を見届けないと解んないてのが、現状の素直な感覚となります。
難しいものを描ききれる素地はあると思うので、是非に頑張ってこの作品だけのヴィジョンとメッセージを、説得力のある形で描ききってほしいです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月16日
それが出来るのなら、凄いことだし面白いじゃない?
今回の決断と決別の先に、どんなドラマが待つか。
次回も楽しみです。