からかい上手の高木さん3 を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
クリスマス決戦を経ても、からかい勝負は終わらない! て感じで、お正月の西片&高木さんを描く第10話。
前回荒れ狂った嵐のような濃厚エモーションはないが、前半3エピソードの落ち着いた感じと、第4エピに刻まれた靴音の詩情が良いテンポを作って、とても良かった
こう書くと福田裕也コンテの三作が”前座”のように聞こえてしまうかもしれないが、もちろんそんなことはなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
ベーシックな”高木さん”に見えて、スタッフごとの注力点や着眼点が当然異なり、仕上がりも結構差異があるのが、個人的に面白いところだ。
基礎構造が同じだからこそ、違いが映える…というか
第1エピソードと第2エピソードは寒空の下でも継続なからかい勝負であり、デートだのカップルだの、確実に高木さんが拳をねじ込んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
もう俺も寸止めラブコメ伝統派として抗議するより、ムエタイの観客みたいに打撃当たる度『オーイッ!!』って叫ぶことにする。
ディーッ!(肘入った時の掛け声)
さておき、クリスマスの時のバチバチにライトアップされた体温とはちょっと違う、落ち着いてんだけど微かに体温が上がるイベント感が、巧く情景に焼き付いたエピソードであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
やや引いたカメラで人物と風景を切り取ってくる構図、かなり好き。
(画像は”からかい上手の高木さん3”第10話から引用) pic.twitter.com/bLWVup6Dps
もともと小豆島の四季が美しい作品ではあるのだが、今回はそこに正月の賑やかさ、人がいるからこその営みが巧く乗っかって、なかなか独自の情景を生み出していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
こういう良い手触りの景色の中に、西片と高木さんがある。
それを見れるのは、個人的にありがたい。生きてる感じがする。
知り合いと話し込んで手持ち無沙汰な二人が、家族がいる中学二年生のこどもであることを、ふと思い出すような初詣。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
手持ち無沙汰な時間の相手に、お互いを選ぶ縁の深さも感じられ、なかなか趣が良い。
お正月の改まってるけど家族的な感じが、独自の味わいをエピソードに与えている。
同時に二期最終回とか前回のクリスマスとか、確かに蓄積され変化されてきた関係を、目に映るものから西片が思い出していく描写も太い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
同じことの繰り返しのように見えて、確かに心に焼き付く特別な瞬間がいくつもあって、それは思い出とか手袋とか、色んなものに名残っている。
高木さんと縁付いた色んなものを、なんで忘れられないのか。なんで目を奪われるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
デカい雪だるまを作ろうと血圧上がり、勝ち負けが視野から外れる幼き西片は、そんな部分を深く見つめない。
…わけでもない、ということを、第4エピソードがしっとり語り直すわけだが、それは先の話。
第2エピソードは久々にからかいバトルの本道感があり、素直に負けを認めれる西片ボーイの潔さも合わせて、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
久方の雪景色にテンション上がって、うおー! ってなってる西片はやはり可愛い。
犬の散歩の時といい、高木さん意識過剰じゃない、アーマーパージ西片が好きなんだな。
同時にこの率直さで恋と正面対峙した時が、お話の終わりなんだろうな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
何かと素直で幼い少年が、一番素直に向き合えない、愛しさのミステリー。
映画はそれを解く事になる…のかなぁ?
そもそも三期最終回に、どういう”勝負”仕掛けてくるかも読めねぇし…ここで悩めるの、いいアニメだな。
いつものごとく、クラスメートを幅広くスケッチする第3エピソードで一拍入れたら、次は大地丙太郎コンテの第4エピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
主に三人娘が活躍する第3エピは箸休め的ポジションだが、二人だけの世界じゃない風通し、皆青春の主体として色々ある感じが濃く出て、見てるとホッコリいい気持ちになる。
第4エピソードは北条さんの相談事を起爆剤に、二人の下校時間がヘンな空気になるお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
BGMをせき止め、コツコツとリズムを刻む靴音を活かして、からかいバトルとは違った雰囲気をどっしりと伝えてくる。
(画像は”からかい上手の高木さん3”第10話から引用) pic.twitter.com/OgD4j2XEWn
(西片+私+X)=からかい
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
(西片+私+他の女の子+X)=いじわる
代入されるXの名前を知らない西片は、なんでこんな空気になっているのかイマイチわからない。
ずっと見つめ続け、慣れ親しんだはずの高木さんの顔が一瞬隠れて、遠くに思える。
そんな心理を、無音のリアリズムが巧く伝える。
そこからグイッと回り込んで、下から覗き込むように高木さんの顔が見えて、世界に音が溢れ出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
それは”いじわる”が”からかい”に戻った瞬間であり、少しズレかけていた日常があるべき場所に無事に戻った、安堵の音楽だ。
同時に不定形のXが、心弾む音に満ちた華やぎであることも語っている。
西片は緊張感漂う下校に自分が何を考えているかあまり語らず、高木さんにはいつもの如くモノローグ権限がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
からかい勝負とは違う、ひりついた空気感。
何かが壊れてしまうかもしれないと、探り探り慎重に相手の顔を見る、なんかヘンな雰囲気。
それはいつもの”からかい”とは違っていて…
同時に少し揺れれば簡単にこうなっていく、青春のリアルでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
二人きりの聖域に見えて、当たり前にクラスメートがいて交流がある彼らの時間には、当然こういう震えもある。
それに接した時、二人が何を感じ、どんな息を飲み込むか。
それから開放された時、どんな顔をするか。
それを丁寧に追いかけるエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
約束を違えぬよう秘密を飲み込む西片の誠実も、微かに燃えた嫉心を笑顔で包む高木さんも、濁りがなく純情だ。
恋に関わりつつちょっとズレた角度から、彼らの人格が理解るエピソードなのは嬉しい。
そういう表情と手触りは、”からかい”が”いじわる”になってしまう変数を混ぜればこそ生まれるものであり、その変化の中にこそ、恋の素顔がよく見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
自分だけの少年から、確かに手渡された優しさの証を、ぴったりと抱きしめ離さない。
(画像は”からかい上手の高木さん3”第10話から引用) pic.twitter.com/NbEkpHvYiD
北条さんとの接触に揺れた高木さんが、自分の立ち位置を確認するように手袋を見つめるラストカットが、凄く三期らしいな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
大好きな西片が自分のことを大好きであり続けてること確認したガールだからな、高木さん…。
ずーっと自分を見ている西片の視線が、横にズレると途端に不安になる…
が、それは表に出さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
それが彼女の恐怖であり、プライドでもある。
雪玉ゴロゴロ転がしてタイムアップになった西片は、スマートにきれいな雪だるまを作った少女と大違いに見える。
だが唯一特別だからこそ、率直になりきれない震えは同じだ。
そこがやっぱり、とても愛しい。
『高木ちゃんも年相応にビビってんだなー…』と思える場面が三期は多くて、無敵のからかいモンスターとの決着も近いんだな、という意識を新たにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
その震えを飛び越えて、自分の心を、瞳を占める特別な誰かを、真っ直ぐに見つめる瞬間。
幼年期の終わりは近い…のか?
そんな感触を噛み締めつつ、不定形のXがどんな手触りなのか、しっかり味わえる良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
桜井明弘、久野遥子、岡本英樹、大地丙太郎…。
三期は”一枚刺し”のスタッフが、安定した作風を心地よく作家性で揺らしてきて、見ごたえあるなー、と感じる。
次回も楽しみですね。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
高木ちゃんがいつもの謎掛けで『15歳の男の子』を匂わせ、自分と同じ嫉心を西片に燃やそうと足掻く所が、大変可愛いけど。
あくまでからかいゲームという、彼らの日常をなぞることでフラットな立場に引き込もうとする所に、高木ちゃんの愛着と怯えが感じられ、なかなか良い。
思いの根っこを顕にしないので、いつものゲームはなんかボタンがかけちがった感じにズレて、下校の時間は居心地が悪い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
ここで自分から回り込んで顔を見せて、ネタバラシをしてしまう高木さんは、実はゲームに負けている。
のだが、顔が見れたことに安堵した西片は、勝ち負けどうでも良くなってる。
”からかい”はあくまでふれあいの形式であり、本当に欲しいものは勝ち負け以外にあるわけだが、『勝ち負けにこだわってる!』という形があることで、臆病で照れ屋な二人はなんとか繋がってもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
あの無音の下校時間には、それが壊れかける危うさが宿っている。
嫉妬に押し流されて”いじわる”な子になってしまえば、高木さんは彼女が大好きな西片に向き合う資格を失う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
ピュアで優しくて、嫌なことを考えないに仕方だからこそ、高木さんは好きだからだ。
それと対峙する自分が、大人びた黒い感情に染まってしまったら、”勝負”は成立しない。
そう考えたからこそ、精一杯の暗号に隠しつつ、嫉妬していた自分をさらけ出して、ぎくしゃくお互いを探り合う靴音の牢獄から、一番最初に抜け出したのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
そこで『負けでも良いや!』って思い切れる所が、高木ちゃんの強くて清いところだなーと思う。
探り合いなんぞ、やっとる場合ではないのだ
高木さんがなぜ”いじわる”から踏み出して”からかい”に戻ってきたのか、西片は分からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月11日
でも”いじわる”の無音は凄く居心地が悪くて、いつもの”からかい”に戻れたことに強く安堵する。
それは同じ場所にい続けたい臆病だけが、生み出す感情では無い。
知ってたけど、西片ホント高木さん好きな…。