その着せ替え人形は恋をする を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
映画、プール、花火に…なんでもない会話。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、そろそろ夏が終わる。
違う世界に住んでると思いこんでいた人が、開いてくれた扉を開けて。
輝く今より、もっと眩しい明日へ、貴方と共に。
だから、またね。
そんな感じのコスプレしない最終回、アオハルど真ん中夏真っ盛り! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
話としては脇目も振らず主人公とヒロイン重点、二人の夏をどっしり腰を落として見守らせてもらう、甘酸っぱくも爽やかな青春サイダー味の最終話である。
これを最後に持ってくるの、面白い自作認識だなと思った。
コスプレにまつわるウンチクを大事に取り回しつつ、あくまで少年が少女に出会い、”好き”を共有して世界を広げていく普遍的な歩みが話の柱だった、この作品。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
最後に己を描くチャンスとなる今回、あえて”コスプレ”しないことを選んだ。
”コスプレ”が、大事ではないはずがない。
しかしそれだけが二人を繋いだわけではないし、それだけが生きる喜びというわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
海夢ちゃんというとても綺麗で素敵な存在に出逢って、部屋の中閉じ込めていたものを開放して、色んな体験を…”好き”を共有する。
その手触りこそが、作品の勘所と考えてこの最終回…かなぁ。
ある意味日常系の味わいで終わったわけだが、そういうユートピア的青春/恋愛を最高のクオリティで、濁りなく届ける面白さが物語を支えていたのは間違いなく、そこを作品からのラストメッセージと選んだのは、個人的にとても興味深いチョイスだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
描かれてみると、なるほどなー、としか言えないぜ
色んな強みのある作品だったが、やはり情景が大変に印象的で、彼らの青春を定点観測していく今回も、それを取り巻く景色が凄く良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
素敵なあなたと歩く世界は、全ての瞬間が写真のように美しく思えて、特別な気持ちになれる。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第12話から引用) pic.twitter.com/9e5YGyHoSB
わりと五条くん主観に寄せた画作り、話運びが多い今回、こうして描かれる風景は彼が見ているもの…海夢ちゃんがいればこそ輝いて見える場所として成立していくわけだが、最後の告白で、それを共有していた海夢ちゃんもまた、同じ美しさに取り囲まれていたことが解る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
コスプレと人形、2つの”好き”を頼りに触れ合った、切り離されたと思いこんでいた世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
それはあの夕焼けの中で、恋の色合いを混ぜて甘酸っぱく、特別な味わいを足した。
極めて充実した高校一年の夏休みを追う今回は、その手触りをじっくりと追いかける。
Aパートは最初と最後が、鮮明なリフレインを為している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
キマらない面相筆を抱えて部屋の中から遠く花火を見上げていた所から、海夢ちゃんを隣に青春を謳歌し、微笑みながら顔を仕上げる心境へ。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第12話から引用) pic.twitter.com/4uOL0H8KME
コスプレにも人形制作にも関係がないはずの日常が、弾むような”ノリ”を筆に与えて、五条くんは職人として腕を上げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
「エライッ!」のスタンプは海夢ちゃんが自分を褒め、愛しい五条くんにも褒めて欲しいと伝えるメッセージだが、同時に彼の職人修業を褒め称える形にもなっている。
開始時の難しい顔と、終了時の微笑み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
この間にある弾むように楽しく、眩しくきらめく時間があることで、五条くんはかつて自分を閉じ込めていた場所から開放されて、新しい表現を手に入れることができる。
それはこれまで描いてきたことで、これから積み重なるものでもある。
とは言うものの、そこに特別なことはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
めっちゃグイグイ来る陽気なヲタギャルに振り回され、映画を見たり学校に行ったり。
水面の照り返しが反射するプールサイドで、綺麗な横顔に見とれたり。
五条くんの”人形”は、様々な喜びを差し出す。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第12話から引用) pic.twitter.com/0sBrCoeQnr
作中作の気合入った作画とか、プールの照り返しを鮮明に焼き付ける撮影とか、クオリティでぶん殴られてフラフラする幸福を、たっぷり味あわせてくれるAパートでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
水面の輝きと揺らぎは、そのまま五条くんの発情と慕情を象徴化し、見事に演出している。
焦ることなくカメラを据え付けて、二人の夏休みをどっしり追うことで、時にドキドキと心音を揺らしつつ、構えることのない友人関係を心から楽しんでいる時間を、たっぷりと吸い込むことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
これが五条くんを、花火を遠く見るしか無い場所から追い出し、面相筆に力を与えているものだ。
海夢ちゃんの、沢山ある魅力の一つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
素直な感情表現と、くるくる変わる表情を、ずっと隣りにい続ける五條くんの瞳を借りて、僕らも堪能することが出来る。
こういう人が隣りにいたら、確かに世界は輝いて見えるだろうな。
そう思える説得力が、海夢ちゃんの百面相にあるのが良い。
狭いはずのプールは無限の海原のように眩しく輝いていて、限りも果てもないと思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
その錯覚はつまり、海夢ちゃんと一緒にいるからこそ生まれるものだ。
お話が一旦幕を下ろすこのタイミングで、彼らの青春がずっと続いていくのだと、視覚的に示す広い広い水面。
その眩さが、力入りまくりのAパートでも白眉だったかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
終わっちゃう寂しさを飲み込ませるべく、終わるのに終わらない希望を映像に宿して、情感豊かに幕を閉じる手付きは、ここまでこのアニメを見て好きになった人に優しい、別れの挨拶だと思った。
そして、花火大会。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
五条くんは浴衣の海夢ちゃんに見とれ、音圧と煙の香りを肌で感じながら、幾度も”綺麗”なものに瞳を奪われていく。
かつては人形の中にしか見いだせなかった、自分だけの特別な美しさ。
あるいは”好き”
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第12話から引用) pic.twitter.com/aZYMzXED2s
それが一人きりの部屋を出て広がる世界に、たくさん在るのだということを教えてくれる人だから、五条くんは海夢ちゃんが好きなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
この最終回はとにかく『海夢ちゃんに見惚れる五条くん』と『見惚れさせる海夢ちゃんの美しさ』がガンガン前面に出てて、青春物語の本道でぶん殴られてる感じ。
思えばここまで艷やかに話を彩ってきた、エロティックな味合いも今回は遠ざけられていて、とにかく甘酸っぱく力強い青春のうねりを、延々と切り取り続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
コスプレもエロスも作品の大事な要素だが、最後の最後一本勝負を仕掛けるのは、やはり出会いの奇跡と見つめ合う二人…か。
正しいッ!!
自分の”好き”を否定されたトラウマから、自分を狭い場所に閉じ込めていた五条くんだが、手を繋ぎ広い場所に引っ張ってくれる海夢ちゃんとの出会いが、自分の目と鼻と肌で美しさを味わう体験を、彼に連れてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
それが頭師としての成長に、密接に繋がっているのだろう。
間近で見上げた花火は肌が震えるほどに音が大きくて、煙が視界を塞いで見せない時もあって、光の花に照らされるあの人は、幾度見ても綺麗で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
そうやって心を体験によって耕されることで、率直で誠実な五条くんの感受性は、豊かに花開いていく。
クリエーターのお話としても、芯があって良いよね。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、擦れた足が歩けぬほどに痛む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
海夢ちゃんは『こういう事あると、全部楽しくなくなっちゃう』と言うけども、そんな陰りも二人でいれば、眩しい光の中に溶けていくのだ。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第12話から引用) pic.twitter.com/ait71GZTS6
海夢ちゃんが『楽しくなさ』を語る時、一瞬五条くんの顔もふせられて影に沈み、でも顔を上げて未来を見つめた時には、しっかり光が照らしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
そうさせてくれるのは誰の存在か、語らずともしっかり伝わる演出が、キュンキュンを加速させて大変良い。
…この距離、やっぱ”ダチ”超えてね!?
そんな疑問に答えるように、離れているからこそ強く繋がる夜を描いて、物語は終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
ずーっと五条→海夢の視線を書き続けたエピソードだからこそ、その終わりに海夢→五条の視線を…届かない”好き”を刻んでまとめるの、めっちゃ巧いな…。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第12話から引用) pic.twitter.com/ykbHtSWjrv
携帯越しに届く寝息と、ワガママも受け止めてくれる安らぎ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
しみじみと愛しさが胸に染み渡って、するりとこぼれ落ちた”好き”は、夏の夢のように夜に溶けていく。
その不発も、特別な甘さを宿して楽しくて。
海夢ちゃんはいつものように、最高の笑顔で『またね』と言ってくれる。
なんでも無い夏の日を、あまりに眩しく輝く特別な時間が終わった後の二学期。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
それに『またね』出来るかは現状不明であるが、僕らがこのアニメを好きになれた大きな力であるあの笑顔に約束を宿して一旦の幕を下ろしたのは、とても素晴らしいことだと思う。
というわけで、『お前らこういう”着せ恋”が好きなんだろッ!』と、本家本元に延々殴りつけられるようなエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
ハイ好きッス大好きッス、最後の良いもの頂いてアザしたッ!!
そんな感じよ。
ドラマ自体を転がすことに焦らず、二人の時間をみっしり切り取る選択は絶妙。
五条くんと海夢ちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
清潔感と可愛さに満ちた二人の主役を強力なエンジンに据えて、”コスプレ”という知ってるようで知らない異文化への適切な導きも丁寧に作り上げ、色んな”好き”を全力で肯定し青春を駆け抜ける、優れたジュブナイルでした。
いやー…面白かったな。
話運びを焦ることなく、登場人物がどんな奇跡に出会い、喜びを広げていくかを丁寧に追いかけていく、繊細な筆使いが印象的でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
極端に主線が細く、清潔感のあるビジュアルが作風とベストマッチで、絵がドラマを支え、物語が絵を加速させる共存関係が、最初から最後までブン回っていた。
何も否定せず、新たな出会いに目を見開いて積極的に飛び込んでいく二人が、優しく育む”好き”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
それが彼らの人生をとても豊かにしていく様子も、叙情派の演出を背中に受けて、引っかかりなく心に染み込んだ。
とにもかくにも、見守り応援したくなる、気持ちの良い若人たちだったなぁ…。
エロティックなクスグリも、艶をたっぷり宿しつつ何処か上品で、食べやすい油っこさだったのありがたかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
『そらー体温も上昇するよな!』と、五条くんに共感しちゃう海夢ちゃんの魅力が、しっかり書けていたことがまた、彼女の魅力を高めていた。
その思いが一方通行ではなくて、海夢ちゃんが五条くんにゾッコンになっていく流れもまた『そーらしょうがねぇよッ!』と納得できるのも、また良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
夢を形にし、一緒に”好き”を追い求め、ずっと隣りにいてくれるシャイボーイ。
そらー…そらーなッ!!!!
Clover Worksの豊かな演出力がフル駆動し、どっかからの借り物ではない手捻りの叙情が、風景や表情にしっかり宿り続けていたのも、凄く良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
明暗や境界線、静物配置を活用したかなりベタ足の演出なんだが、躊躇わずに全力で振り抜いたことで、真っ直ぐな表現力があった。
同時に撮影や音響を最大限活用して、ベタに乗っかった古びた埃をしっかり落として、”今”通用するパワーを宿していたのも、大変に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
『俺はやっぱ、画面に作者の意図が乗っかってるアニメのほうが食べやすく、読みやすいんだなー』つうことを、再認識させられたわな。
お話としては異業種のウンチクを適切に使った、青春ど真ん中エロティックラブコメで、ジャンルの時点でかなり強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
でもそこに甘えず、自分たちが何を作って、どう魅力を伝えるかしっかり考え、全力で筆を執って形にした事で、凄くスペシャルな作品になったと思います。
ともすれば類型に埋もれてしまう”王道”なるものが、これだけのクオリティと気合でぶん回されると、こんなに気持ちいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
そういう感覚を肌で受け止めることが出来て、ぼんやり膜が張りかけていたアニメ視力をガツンと開かされた感じもありました。
そういうお話に出会えるのは、やっぱり嬉しい。
僕がヘテロラブコメに苦手意識があるのは、男女の恋愛は在って当然で、特定のパターンを踏襲する思考停止こそが常道で、一つ一つ生成される感情を型に押し込めることが正解だ…みたいなノイズを、勝手に感じ取ってしまうからだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
その形式主義を、お話の魅力と筆の強さで、堂々打破した作品でした。
艷やかなエロティックコメディであり、出会いが奇跡を呼ぶ青春物語であり、”コスプレ”を知っていく面白さもあり、なによりも甘酸っぱい”好き”がたっぷりと嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
色んな面白さを貪欲に詰め込み、良くコントロールされた筆先で精密に仕上げた、大変素晴らしいアニメでした。
面白かったッ!!
優しく『またね』と微笑んで閉じた幕は、是非にも”二期”と墨書して再び開いて欲しいもんですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月28日
一瞬一瞬に宿る活き活きとした、この作品だけの息吹をたっぷりと届けてくれて、12話みっしり楽しかったです。
お疲れさまでした、ありがとう。
とても良いアニメでした!