時光代理人 第5話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
本格バスケアニメから始まった三部作も完結、トキの心はもう限界だッ! な第5話である。
いやー…無理だわアレは…。
家庭料理を舌で味わい、母の掌を肌で感じてしまう、没入者故の強い実感。
それに突き動かされて動いても、過去は変わらない。変えてはいけない。
そんな宿命が、死者との思い出すら永遠に守ってくれる”写真”という題材、本来の意味と強く響き合って、どうにもやりきれないけど美しいエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
第3話では『ショボいおっさん…』と思わされた依頼人が、全ての物語を通じて艱難辛苦を噛み締めなお生きるサバイバーに変わるの、天才の話運び。
富沢美智恵の芝居が染みる、ママンの暖かな掌。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
トキと同じく物語に潜る僕らにとっても、コレを失いたくないという実感は切なく染みる。
過去を書き換えてでも、死ぬべき人を切り捨てても、この人だけは守るというトキの決意には、思わず握りこぶしで共感と応援を自然、送ってしまう。
しかし変則的タイムトラベラーであるトキの言葉は誰にも信じられず、母だけが我が子と”かくれんぼ”に興じてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
潜って戻るサイコダイブ的物語に、重すぎる宿命をなんとか揺り動かそうとするタイムリープの味わいが加わり、SF的な立体感が増えていく話でもある。
状況自体は時渡りの異能をベースにした非日常なのだが、そこはただただ切実で必死な熱が強く宿っていて、誰にでも起こりうる普遍性がしっかりある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
トキもまた母を失い、その思い出を抱きしめて生きてきた描写が入ることで、人間存在の根っこにしがみつく強さが加速し…だから結末は辛い。
どこにでもある家族のように言い争い、死を恐れぬほどに愛し、歌を歌って手を握ってくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
この手触りを写真の中の虚像に投影…”もう一人の自分”として実感しながら、トキは仕事をする。
潜るたびこんなに心を揺るがされ、己の無力を味合わされていれば、そりゃ長くは続かない。
無理だってもうッ!
ヒカルもトキの実感をわかりつつ、写真の外にある自分たちを消さないために、決められた結末へと誘導していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
そうすることが正しいからだし、彼もまた彼なりの実感を込めて、写真の中の過去と眼の前の現実…お母さんとトキどちらを助けるかという、命の選択を果たしている。
超絶バスケ描写に興奮していた時には、想像もしなかった重さと切なさで物語が行き過ぎ、全ては一瞬の夢として消えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
終わってしまった物語の残滓を、確かに残してくれる”写真”。
そこに切り取られた思い出の中では、死者も笑い輝きは永遠である。
それがあるから、人は生きていける。
トキ視点では苦しい異能の対象だった”写真”が、どんな言葉を託したか答え合わせしつつ、非常に一般的かつ大切な価値を取り戻して話が収まっていくのが、非常に巧い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
その中に潜って運命を背負わずとも、”写真”は人の思いと定めを宿して、とても特別な意味を持っている。
あのバスケコートに、確かにあった情熱。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月17日
死んでしまった初恋を、追いかけるように積み上げた人生。
あの惨劇を生き延びてしまった依頼人は否応なく進んでしまって、悲劇の重さを噛み締めながらなお、写真の外側に進みだしている。
生きるということの、逞しさと切なさ。
死ぬほど苦しくて悲しい目にあっても、写真の中の物語はトキを殺さない。(少なくとも、今回は)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
同じ辛さを抱えた依頼人…もうひとりの自分と、母や初恋や友を失った哀しみを共有することも出来ない。
トキもまた、心の傷を抱えて”仕事”を続けなければいけないのだ。
持ち込まれた写真を現像する時、そこに込められた思い出は全て生きた体験として、トキの中に蘇るだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
だがそれはあくまで、異能が連れてきた孤独な実感だ。他人の人生だ。
それは”仕事”ではなく、しかしただの”仕事”でしかありえない。
こんなの…心の持ってき所がどこにもないでしょーがッ!!!
やるせない思いと、何かが確かに終わった実感と、それでも人生が続いてしまう切なさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
色んなモノを整理する時間は当然必要だが、刑事の来訪で休暇願いは取り下げられそうだ。
いやー…話が休まない良いヒキなんだが、トキのメンタルは早くも限界なので休ませてあげて…。
青春バスケ物語を入り口に、伝わった温もりを助けたいと願う必死の気持ちが、大きすぎる宿命に攫われ…しかし物語は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
導入後の三部作として、巧妙で強烈なお話をたっぷり味わうことが出来ました。
第3話で感じた青春の爽やかさが、後に異様な苦味と確かな輝きとして意味を変えるの、凄すぎる。
地震であのボロ体育館が壊れた時の『うわぁああ!!』感、ほんと凄かったもんな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
あのどうにもならねぇ無力感、止めてくれと思うキツさは、あそこで良いバスケやったからこそ生まれる。
トキが作中感じた気持ちに視聴者を重ねる、強力な誘引にもなっている。
『”時光代理人”とはこういう物語、そういう存在なのだ』と見ている側に解らせる意味でも、ありふれた青春の輝きと、重すぎる宿命のギャップを活かしたサスペンスの上手さ、人情劇としての切なさ、冴え渡っていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
いやー…これは刺さるよ。
シンプルに物語としても、キャラとのシンクロ率でも。
メンタルケア無しの民間でやるには、あんまりキツすぎる”仕事”だと思い知らされましたが、え…まだ8話も残ってんの?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
今後トキの心がどんだけズタズタにされるか、覚悟が決まっていませんが、こんな話を見せられちゃあ、先を見ないのは”嘘”なんで…。
次回も楽しみです。トキー! 休めーッ!!