時光代理人 -LINK CLICK- 第10話を見る
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
シャンシャンの依頼を解決し、一件落着平和な日々…と思ったのも束の間、怪しげな電話がトキ達を渦中に引きずり込む。
すれ違う二人の思い、終わったはずの事件が告げる、重すぎる宿命…という感じのお話。
さークライマックス、エンジンかかってきたぞ!
恋のアシストをして終わりだったはずの事件は、意外な形でトキ達を巻き込み、二人で一つのはずのバディはバラバラに引き裂かれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
怪しげな連続殺人は謎を深め、トキは己の無力を再度噛み締め、ヒカルはそこに差し伸べる手を持たない。
疑念と不安が深まる回だと言える。
ヒカルはダイブを”仕事”と切り分けられないトキの心根をよく解っていて、エマの末路を知れば首を突っ込むと(正しく)推測して、真実から彼を遠ざけた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
独力で殺人事件を解決しようと異能を使うが、そこには状況に潜る主体性がなく、あくまで客観的な観察に留まる。
今まで描かれてこなかった、ヒカルが異能を使い写真の中の世界を観察する様子が明示された今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
あくまで冷静に”仕事”を観察し、主観に溺れがちなトキをサポートしてきたヒカルも、感情を持つ一人称的存在として、これまでと画角を変えて切り取られていく。
既に行動の端々から、裏稼業に徹するには優しすぎる相棒を気遣い、守ろうとする気持ちが見えているけども、それはトキを信じて共に潜る道ではなく、彼から離れて一人で解決しようとする方向に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
おそらく、それはこの作品の正しい答えではない。
白と黒、客観と主観に分断され、バディとして相補うことを運命づけられた二人は、孤独なままでは運命に立ち向かえない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
今回ヒカルの行動がから回るのも、トキのダイブが何ももたらさないのも、『”時光代理人”は、二人で一人』という作品の基本的なルールに、反しているからだろう。
シャオシャオの失踪とエマの死、そして連続殺人が、どう繋がっているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
そのからくりは未だ見えきらないままで、ヒントになりそうなものが出ては、新たな事実がそれを断ち切る。
第一容疑者のはずの男は、半身不随の不能犯である。
しかし確かに、エマは彼に首を絞められている。
良心を暴走させ、監視カメラの映像にダイブしたトキは、薄暗いトランクに身を潜め、惨劇を前に無力に立ちすくむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
第1話で人情に流され、母にメールを送ったことが、この惨劇を招いたのかもしれない。
あるいは自分が過去に介入したことで、ドウドウが不幸になったかも。
写真の中の人間にダイブするトキにとって、目の前の”事件”は現実であり、現在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
しかし客観的に見てみれば、それは常に切り取られた過去であり、未来に繋がる編み物の一部だ。
あまりにも複雑な因果の糸は、導き無しで触ればどんな結果を生み出すか、分からない。
そんな運命改変を防ぐために、自分を冷静な客観に押し込めているヒカルがガイドをしてきたわけだが、今回トキは一人で潜る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
結果彼はトランクの奥で何もしないことを選び、惨劇は回避されず、そこで得た情報は連続殺人犯のヒントにもならない。
孤独でいることは、異能者をけして助けない。
トランクで無力に膝を抱えるトキは、子宮に閉じ込められた幼子のようにも見えて、家族…特に母にコンプレックスを持つ彼の根源を、上手く図示しているようにも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
全ての始原である第1話で、同じ姿勢を取った時は、因果を越えてヒカルが寄り添ってくれた。
しかし今回、相棒はいない。
この孤独は自分が選んだものであり、相棒を事件から遠ざけようとするヒカルの行動が導いたものである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
助けようとするほどにすれ違い、良かれと思ってやったことが最悪の結果を生む。
ままならない人と人の関係性が、薄暗い血生臭さとともに、作品に浮かび上がってくる。
トキは自分を無力な存在に閉じ込めるトランク≒母の子宮から飛び出して、より善い未来を掴む必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
それはそうすることが正しいから…ではなく、彼自身の良心がそれを求めるからだ。
異能を制御し、幸せをもたらすことは、トキにとって自己実現の問題でもある。
しかし他でもなく、彼が善良な異能者であるからこそ、写真の中で展開する複雑怪奇な因縁は、その機会を略奪していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
人間に背負える範疇を超えた重荷は、未来と運命をかき乱し、不幸しか産まないのか。
第1クール終幕で顔を出した、謎めいた連続殺人は血生臭く厳しく、それを問いかける。
トランクの中何もしないで観察した…とトキが思い込んだエマの運命と、実際の現実が食い違ってるから、ここまで状況も複雑になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
となれば、今度はヒカルに命綱をもってもらった状態で再度ダイブし、真実をその目で確かめる事が必要になるだろう。
その力が二人にはある。幸か不幸かは解らない
どちらにしても、シャオシャオ失踪というプライベートな”事件”がここに食い込んでいる以上、彼らは彼らの運命を放り出すわけにいかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
潜るだけで運命を捻じ曲げてしまっていた真実の重さ、異能を持ちつつ何も出来ない辛さと向き合いながら、再び潜るしかない。
しかしそれは、あまりにも辛い旅路だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
トキが善人だからこそ苦しんでるこの状況に、突破口はあるのか。
潜るほどにロクでもない状況が加速してる感じもあるが、謎めいた事件は異能以外で解決できないだろう。
このジレンマが乗り越えられるか、さらにこんがらがるか。
読みきれないまま、事態はさらに加速していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
このモヤモヤとドキドキが、サスペンスの最終盤に相応しくて、見ていてとても楽しい。
主役たちの決定的な過去とか、色々伏せてあるものが多いので、この爆弾がどのタイミングで炸裂するか、あるいはしないのか…てのも、また読みどころよね。
残り二話、どんな真実が暴かれ、あるいは謎が深まるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月22日
翻弄されつつも、自分なり感じ考えたことの答え合わせを待ち望みながら、次回も楽しみである。
どんどんドツボにハマってくヤバい感覚と、相棒との絆が希望に繋がってそうな期待感の同居は、よく出来たサスペンス故だなぁ…。