デリシャスパーティ♡プリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
お前って、変だよな。
何気ない一言が、らんの心に突き刺さる。
抑えておけない大好きの、手綱を握れず孤独になった日々。
キュアスタや新しい友達に光明を見出しても、心の闇は簡単に晴れない。
それでも…らんらん””美味しい”大好きだから!
そんな感じのらんらん個別回、多彩な個性をどう受容していくかを描くデパプリ第16話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
大変良かった。
あざとい語尾とキテレツな態度で、記号の煮こごりのようにも思えるらんらんが一少女、一人間として何に悩み、どう苦しみ、なぜ立ち上がれるかを丁寧に掘り下げてくれた。
今回のエピソードは”変”をどう受け取るかが、一つの軸になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
らんらんが幼少期に言われた”変”は、周囲の子供たちが身を置く(内面化している)スタンダードから外れ、共感を得れない…という、孤独に繋がるネガティブな言葉だった。
変であることは、悪いこと。
子供ながら総学習したらんらんは、様々な属性から自由になれるネットで情熱を解放しつつ、”華満らん”としてはなんとか”変”じゃない自分を作り、心を守ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
こういう形で、SNSの良い所をサラッと拾っていく筆とか、今回大変良かったです。
ネットがあって良かったね…。
高木くんに投げかけられた言葉がきっかけで、らんらんはお嬢様言葉を装うくらいガン凹みするわけだが、言った本人にはネガティブな意味合いは薄かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
高木くん自身、話盛りまくりの”変”な少年であり、そうあることはお兄さんと一緒に笑うための、大事なコミュニケーション手段だった。
マリちゃん達にケアされて、最終的にらんらんは”変”な自分を肯定し、高木くんにそれをぶつけて気になっていることを教えてもらうことを、もうためらわなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
その踏み込みが心に届いて、高木くんも”変”であること、”変”な自分をちょっと、肯定的に自覚できる。
『”変”=悪い』という、らんらんの中に突き刺さった鎖が砕けたからこの結末があるのだが、これを成し遂げたマリちゃん達が、マジであったけぇ良い奴ら過ぎて、僕は泣いてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
らんらんを暗がりから釣り出すべく、笑顔でテンション上げて、いちばん大事な料理である家業のラーメン作ってよ…。
無論自分たちがラーメン作りマジ楽しみだから、テンション爆上がりのはしゃぎまくり祭りなんだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
らんらんが”変”だと思ってる料理への情熱、それ故蓄えた知識が凄く良いものだって、らんらん自身に思い出してもらうためには、一緒に料理して、その価値を教えてもらうが一番じゃん。
そういう”場”を構えず押し付けず用意して、自分の価値を確かめ直すチャンスを手渡せる連中は、そらー偉いよ。歴史の教科書に乗るくらい立派だよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
青山先生の作画も相まって、滅茶苦茶無邪気な香りが漂う今回、そういうフワッとした暖かさがよく滲んでいたと思う。
貝澤SD独特の見せ方も合わせて、この回自体も結構”変”じゃないですか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
でも見終わって『”変”だから悪い』とは、絶対ならんでしょ。
作品の語り口、そこに宿る作家の個性それ自体が、テーマを裏打ちして強く語りかける作りになってるのは、俺凄く良かったと思うのね。
マリちゃんが結論めいたことを言うのを、らんらん自身が笑顔になるのを待ってからなのも、凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
『”変”って素敵ね』って最高のメッセージは、ラーメン作りを通じてそれを受け取る土台が出来てたから、らんらんの心に染み込んでいく。
辛かった思い出、押し付けられた”変”の定義を変えれる。
マリちゃんは他人の心に自分の世界観が染み込むのを、焦らず待てる…もっといえば、積極的に働きかけて染み込みやすい心を創れる人なわけよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
そら”人格”ってやつで、『アンタがこの子らの近くにいてくれて…本当に良かったと思ってる!』って感じ。マジありがてぇ。
嘘つきで配慮が足りない人に見えた高木くんも、お兄さんと離れて寂しい思いをしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
そういう事実にいの一番目を向けるのが、冷たい食卓に毎夜傷つけられてるここねちゃんなのも、細かく良い描写だった。
そういう所へのセンサーが、否応なく敏感なのだなぁ…。
一面から見れば他人を傷つける嘘で、でも蓋を開けてみれば事実を悪気なく膨らませてるだけでもあって、それが身近な人の笑顔にもなってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
高木くんをらんらん達が理解っていく過程は、”変”の意味が変わっていく様子とよく似ている。
他人の表面ではなく、内側を覗き込む努力。
運命に導かれて出会った少女たちは、お互いの良い所は既に知ってて、”変”であることはポジティブな意味を持つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
でも高木くんの内側には踏み込まないまま、彼の嘘を…あるいは”変”を勝手に評価していた。
そういうアンバランスも今回ちゃんと描かれ、変化していく。
らんらんは”変”な自分をもうせき止めずに、高木くんが肉じゃがに感じる気持ちにズカズカ踏み込み、ヘンテコな語彙と行動力で自分の内側に入れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
それはとても嬉しくて、ありがたいことなのだと、戯けたラーメン作りが教えてくれたから、らんらんはそこで一歩を踏み出すのだ。
思いで奪うナルシストルーが敵になってから、否応なく思い出が絡む人の営為としての”食”の陰影は、かなり濃くなってきているが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
今回らんらんが高木くん思い出の肉じゃがを手渡したことで、異能と闘争に頼らずとも寂しさを埋め、思い出を取り戻せる”食”の可能性も、良く描けたと思う。
敵の悪行が食に宿る思い出を際立たせることで、話にヒューマンドラマとしての色合いが足されてコクが出てきた強みが、今回最大限にブン回ったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
らんらんが仲間の力を借りて、生身の”華満らん”として作った料理が、価値あるものを生み出す。
やっぱそういうコト書くの、スゲー大事よ。
らんらんが自分の内側にある”変”の意味を書き換えていく歩みと、高木くんの”嘘”が持つ複雑な表情に踏み込んでいく歩み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
この両方が乗っかる足場になった、高木くんのお兄さんがめっちゃヘンテコで面白いキャラになってのも、愉快な話運びだった。
弟が話を盛る以上の速度で、兄貴が盛られていく…。
ここねちゃんの友情奮戦記もそうだけど、”プリキュア”の外側に話が広がっていくと話の風通しが良くなって、好みの雰囲気が生まれてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
ので、今後も高木くんはちょくちょく顔出して欲しい所ね。
…地味に最序盤、彼のホラが『そういうもん』と友達に受け入れられてる描写あったのも、良かったな。
あとコメコメちゃんの可愛いシーンが大変多かったのも、今回メッチャ良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
お座布団山ほど重ねてみんなと同じ机に座ったり、お母さんに見つからないよう下に隠れて、疲れて欠伸するところとかね…。
回想シーンのらんらんもそうだけど、青山先生やっぱ”幼気”書く時筆冴えてる印象あるなー。
つうわけで、事前に高めていた期待を悠々飛び越える、とても良いお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
らんらんのあざとい記号的キャラを、否応なくそうせざるを得ない生き様なのだと描き、それが生み出す阻害と、新しく出会えた友達からの受容を通じて、個性として豊かに花開かせていく。
誰かの良い所を覗き込み、踏み込んで受け止める余裕と優しさがあると、呪いも祝福に変わっていくのだと描くエピソードで、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
そして次回は会長が遂に”起床(おき)”る!
相当破天荒な形で露出を制御してた”四人目”が、どんな話を生み出すか。
次回も楽しみですね。
追記 ある意味ノルマ的なキャラ個別回で、こういう自作の核心にふれるような強いお話が出てくると、一年の物語を自分らしく走り切る底力を感じることが出来て、期待が高まる。
デパ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月26日
オフビートな笑いの作り方とか、せっかくエモい流れで洗脳解いた会長即座に寝込ませて画面からパージするところとか、デパプリ自身”変”なプリキュアで。
そんな作品が自分を伝えるのに、”変”を真正面から扱った今回は、見た目より大事なのかなー、って感じたね。