ルミナスウィッチーズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
眩いデビューを飾り、世界へ飛び出した光輝の魔女達。
ツアー最初に選ばれたのは、麗しのロマーニャ。
故国でのステージだというのに、シルヴィの表情には濃い陰りがあった。
虚飾に飾られた影と、何もないむき出しの自分。
どちらが嘘で、どちらが本当なのか?
そんな感じの往くぞ戦時下各国! 歌で心を癒やすんだ!! つう、ルミナスウィッチーズ第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
各キャラ個別掘り下げ回でもあり、今回の担当はジョーとシルヴィ。
ウィッチお嬢様部どころか、ガチでお姫様だったよオイ…二期第5話のマリア公女と同等だな。
ゆったりと焦らない語り口は世界に飛び出しても継続で、”おれ”口調を恥じるジョーと公女の身分を隠すシルヴィ、二人の嘘が優しく踊っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
のんびりと優しい女学院テイストは佐伯監督の得意でもあり、ふれあいの中で大事なものを見つけていく少女小説の味わいは、銃声がしないからこそよく響く。
しかし遠景には確かに戦場があって、チームで唯一ポンコツ厄介払いではなく、万が一死なれると大問題になる”軍曹”を安全地帯に送ったことが、シルヴィの嘘と憂鬱に繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
家族を養う金を稼ぐために、軍に入るもの。
家名に縛られない自分を、探して軍属になるもの。
色んな人がこの時代を生きていて、一緒の部隊/舞台で戦い踊っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
そこに身分の垣根はなく、同じ夢を形にし、一つの輝きを生み出す連帯がある。
ロマーニャの旅は、二人の少女の嘘と本当を混ぜ合わせて、ただただ己でしかない自分を誇れる場所に、今立っていることを実感させた。
このちっぽけで大事な歩みが、種族の壁を超えて仲良く過ごす使い魔たちの在り方に象徴されてるのが、またファンシーな味わいを強くしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
動物さん達が争わず暮らす楽土の景色は、血みどろの戦火が遠く立ち上る世界で、音楽隊が何を作りたいか、ひっそり語ってくれてる感じがする。そこが好き。
軍隊のお仕事のはずなのに、どこか修学旅行めいた空気が宿る、ロマーニャの旅。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
今回の主役であるシルヴィを照らす時、画面は肩の力が抜けた日常から、とても劇的なライティングへと切り替わる。
秘密と因縁を、隊長に告げる時の薄暗さ。
(画像は"ルミナスウィッチーズ"第5話から引用) pic.twitter.com/0OhjzgZFVH
それは艶やかな夏の熱射が照らす、シルヴィの隠しえぬ美しさと対称を成している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
冒頭、少しエロティックな味わいすらある描画はジョーから見たシルヴィであり、影に身を沈めて故国への後ろめたさを語る場面は、シルヴィから見える自分自身の反映…とも言えるだろう。
カリニャーノ公女たるシルヴィは、常に民からどう見られているか、自覚し自制する必要の中で生きてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
悲しみの雨の中、あくまで気高く揺るがぬ姿を作らねばならない生き方に、反発しているわけではない。
しかし家名が求める虚飾だけが、自分の全てだと思えるほど枯れてもいない。
だから名前を変え軍隊に志願したが、”ただのシルヴィ”になっても、虚飾は付きまとう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
大事な仲間に嘘をつき、故国でこそこそ身を隠し、ホントの自分はどこにあるのか。
友達が差し出してくれた真っ白なリボンをつければ、真の名がバレてしまうから、好意を受け取れもしない。
戦地に進んでも故国に戻っても、何処にもいけないどん詰まりに、シルヴィは縛り付けられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
まっしろリボンを身に着けられないのは、故国や家に結びついた自分自身を、どう受け止めたらいいか分からないからだ。
これを身につけることで、シルヴィは純白の心を取り戻して、ありのままの自分と結ぶ
その助けとして、飛行機嫌いないのりがパニクりながら作っていた、紙の桔梗が役に立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
ロマーニャだと仏花である青い桔梗は、父が母を思い、わざわざ毎年取り寄せる思い出の花、高貴の花である。
ステージに立ちたくないと逃げ出した先、否応なく血の定めと大事な愛を思い出す、母の墓所。
そこにシルヴィが差し出せたのは、迷いだらけの自分から湧き出すものではなく、自分の外にいてくれる仲間の、手作りの花だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
居場所を見失い流れ着いたポンコツ音楽隊で、嘘を抱えてでも確かに、自分を繋げてくれたもの。
それだけが、今のシルヴィが母に差し出せるよすがだ。
家名を捨てた”ただのシルヴィ”は、虚飾と一緒に誇り高き公責も、土地と家族への愛も置いてきてしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
仲間の力を借りて自分を見つける今回の旅は、彼女が置き去りにしてきたとても大事なものを、取り戻していく旅でもある。
そんな自分を取り戻してくれるのは、いつでも仲間の手だ。
絵でしか無いキュポラを見上げながら、シルヴィは嘘の後ろめたさを、ジニーは嘘でも輝く喜びを見出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
これまでの物語でもそうだったように、不思議な主役は誰かが自分を見つける決定機を、無邪気に差し出してくる。
それが、ジニーの主人公力だ。
(画像は"ルミナスウィッチーズ"第5話から引用) pic.twitter.com/yUoogVH6wn
黄金が光に溶け出したような、美しきロマーニャの黄昏。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
偽りのキューポラにシルヴィが重ねていたのは、公女の立場を捨てた嘘と、真実を言い出さないまま生まれていた光…それをどうすればいいか分からない自分なのだと思う。
それでもみんなで歌って踊って生まれた喜びは、嘘じゃない。
ジニーの無邪気な掌は、迷いの霧を切り裂いて真実を掴み取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
また慶して遠ざけられ、一人になるのが怖くて重ねた嘘を、ジニーは美しいと言ってくれるのだろうか?
ジョーが窓ガラスに己を写し、より良く舞えるよう努力する姿も、虚しい嘘なのだろうか?
そうではないことを、シルヴィは積み重なる日常の中確かめていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
リベリオンの田舎娘のグイグイ来っぷりはホント凄いが、正反対のジョーだからこそ、ここまでシルヴィの懐に入れた感じもある。
生まれも育ちも違っていて、でもいま同じ光を見上げている。
一瞬の幻を生み出して、戦火に溶けそうになる人間性を保つ魔女たち自身が、当たり前に少女らしい、人間らしい日々の中で光を掴んでいる様子が、僕にはとても公平で嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
光を与える彼女たちもまた、大きくて小さいそれぞれの悩みを抱えていて、戦争してても少女は迷う。
それでいいのだ。
それを越えていくからこそ…越えさせてくれるかけがえのない誰かがいるからこそ、魔女たちの歌はより良く響いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
戦時の偶像たる音楽隊が、空疎な虚像ではなく人間それ自体だからこそ、生み出せる歌が確かにあるのだ。
この夜闇には、確かにそれが響いている。
幻に思えるものの中にこそ血の通った真実があり、置き去りにしてきた嘘の中にこそ、守りたい輝きがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
自分と真逆で、とても良く似てるジョーを鏡にして、シルヴィはこれまでの自分を顧みて、これからの未来を前向きに思い描く。
この静けきジュブナイルど真ん中…俺は大好きだぜ!
というわけで、まっしろリボンで武装して何を恐れることもなく、シルヴィは故郷に舞う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
公女の事情を知りつつ、優しく見守ってきたグレイスPの、優しい視線が本当にいい。
リーダーらしさが出てきたアイラ様といい、お姉さんチームホント好き。
(画像は"ルミナスウィッチーズ"第5話から引用) pic.twitter.com/42qtLB77XW
リボンは髪をまとめ飾ると同時に、お互いを結ぶ道具でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
ありのままの自分を素直に認め、虚飾に屈折していた気持ちを真っ白に洗い直して、故郷と家族…それと結びついた今の自分を、もう一度取り戻す。
そんな決意が、仲間との縁をより強く、結びつけてもくれる。
そんな娘の成長を、スーパーダンディなカリニャーノ公は確かに見守り、紙の桔梗を胸に抱いて、娘の翼を優しく言祝ぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
この世界のロマーニャがどういう経緯で”イタリア”作ってるのか僕には不確かだけど、サヴォイア=カリニャーノ家って王家ど真ん中だからな…1831年の本家断絶がなかった世界線かな?
シルヴィがまっしろリボンで、正体がバレるのも恐れず故郷で歌ったのは、カリニャーノ公女である自分を受け止める準備ができたからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
一見冷たく思えた父が、そんな娘の思いをすごく大事に見守って、母に捧げた花を胸に宿しているラストは、親子和解のお話としてすごく綺麗だった。
シルヴィが迷った旅路に比べると、ジョーの”おれ”な悩みは一見軽く見えるんだけども、悩みは天秤で客観的に測れるものではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
”おれ”なジョーも、お姫様で兵士で音楽隊なシルヴィも、みんな素敵でみんな仲間だ。
卑近で身近なものと、高貴で遠く思えるものは、思いの外近い場所、結び合ってる。
そんな不思議な人生を切り取るための、まっしろリボンでもあったかなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
『ボサ髪っ子が、素敵なリボンで新しい自分!』つうありがちなイベントに見えて、白に宿る率直と素朴、リボンが持つ結びつける力を存分に活かし、青春の詩学として凄く趣深いエピソードが編まれていました。
第1章に4話使い、どっしり音楽隊本格始動までを描いていたことが、個々人の悩みと成長、それぞれ照らし合い結び合って生まれる光を見事に切り取る助けにもなってて、そこも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
焦りなく土台を作ったことが、一人ひとりを接写する段階に話が移って、しっかり活きてきた印象。
ジョーとシルヴィって12と15、三歳の差があるんだけども、同じ屋根の下集って、年の差を感じさせない結びつきを描いたのも素晴らしかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
全世界最高のエースを集めたJFWとはまた違った、生国も個性も歳も違う連中が集まって、一つの音楽を生み出す良さが、グラグラ煮立ってきたぞ…ッ!
というわけで、大変素晴らしいロマーニャ公演でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
基本ゆったり進むんだけど、ガリアを占拠したネウロイの巣を遠くに描いて、戦時下であることを強調する場面もあって。
それでも、そういう時代だからこそ人を結びつける純白のリボンが、魔女たちを…彼女の舞台を見届ける人たちを繋いでいく。
ルミナスウィッチーズが飛行機の窓越し見た戦場では、ペリ公がカリカリ雷飛ばしつつ、祖国開放のために頑張ってんだなぁ…などという感慨も、ひょっこり生まれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
この、すでに見た英雄物語を舞台裏から覗き込んでいる感じは、歴史大河の趣があり楽しい。
飄々としてるエリー、故国への情念重そー…。
遠い戦火が音楽隊と交わる話を楽しみに待ちつつ、次回はカールスラント、ねぼすけマリアちゃんのお話っぽい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月2日
ルーズに見えるけど規律正しく、しかし眠いもんは眠い…つうキャラ付けかなり好きなので、次回主役が回ってきてどう輝くか。
今から、たいへん楽しみです。