よふかしのうた 第6話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
だらりと繋がってきた楽しいだけの夜も折り返し、ナズナちゃんのお仕事を通じてその真髄を確認し、自分たちに似合ったナイトプールで笑い合うエピソードである。
前回はひどく人間的な倦怠を滲ませていた吸血鬼は、今回壁は抜けるわ空飛ぶわ、剛力で飛ばすわ…
異質存在としての異様な力を、久々に発揮する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
"そう"であることがナズナちゃんを特別にしているわけではないが、”そう”であることは彼女の大事な一部で、”そう”であることがコウくんの思春期には大きな影響を及ぼしていく。
優等生でいることに疲れ、境界線が揺らぐ真夜中に惹かれる。
レールのように確固たるものとして、揺らぎのないこれからを導いていく、社会だの大人だのが勝手に決めた境目。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
白河さんがナズナちゃんのマッサージで逃避しようとして、課長からの電話でその存在を否応なく思い出せさせられる、当たり前の現実。
そこに戻れば、すり潰されて殺されるモノ。
コウくんのドロップアウトは、そんな巨大で顔のない存在から逃げ隠れる、防衛行動だったのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
誰もが始めて夜更かしした時の、自由で無秩序な高揚感を覚えていて、しかし忘れてしまっている。
線の引かれた場所に戻って、為すべきことをして、ちゃんと大人になって…。
そういう存在がどんだけ疲れていて、そのずっしり重いリアリティを前に自分がなんとも出来なくて、しかし何かをしなきゃあいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
夜がただ夜であるだけで楽しいのだと、今まさに信じたい青年として、境界線をはみ出し道の真ん中で踊る自由を、否定されては困るのだ。
結局コウくんは清澄さんをダイレクトに留める役ではなく、ナズナちゃんを使役(懇願)して、特別な夜の体験を思い出させてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
レールから外れた場所に吸血鬼がいて、かつて確かにあって今は死んでしまっているような気持ちが、けして嘘ではないこと。
誰かが定めたレールに押し潰されそうな時は、人であることを止める自由すらこの世界に、可能性として残されていること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
その尖兵として、吸血鬼になり得た自分が迎えに行くこと。
二千円とチューに目がくらんでいたはずの少年は、疲れたOLと向き合う中で徐々に、自分が夜の何に魅力を感じているか…
その輪郭をなぞっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
コウくんが逃避している現実に戻ろうとする白川さんに、自分と似た灰色の絶望を感じ取って、そこに一歩踏み出す時、彼は中央分離帯を越えている。
誰かが定めたレールを踏み越えている。
そこは自分が思いを伝えていい場所、自由に踊っていい場所なのだと、自分で決めている
ドギツいライトで照らされた”いかにも”なナイトプールに戸惑い、ナズナちゃんと二人だけ、学校のプールで戯れる時も、コウくんは世界が定めた境界線をはみ出すからこそ、自分が欲しい物、イラつく物を知ることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
興奮の貨幣のように、値踏みされ取引されるエロティシズム。
その対象として、普段着よりもエロいナズナちゃんがジロジロ見られる事に、居心地の悪さを感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
風呂上がりの彼女に興奮を覚え、恋心と勘違いしたり。
ラブホに迷い込みつつも、セックスとその近隣行為から遠い場所で、楽しく一緒に踊ってみたり。
恋と性にまつわるステレオタイプの押し付け、この領域ですら誰かが引いてる境界線をはみ出した、自分と彼女だけの手触りを確かめる時に、コウくんは自分の輪郭を見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
そうさせてくれる自由と、そうしたいと願う気持ち。
それが自由に踊るから、彼は夜が好きなのだ。
そんな事を再確認する、折り返しの第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
夜は夜というだけで楽しい。
そんなナズナちゃんとコウくんの理想では、世の中動いていない。
大概の人は誰かの引いた境界線に囚われ、道の真ん中で踊ることをしない。
しかし吸血鬼と中学生は、そういう場所から自由だ。
…自由に見える。
この見せかけが思いの外脆く、シリアスで期限付きのモラトリアムである事実にようやく来週以降、踏み込んでいくわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
物語はここから質的転移を迎え、ガラッと変わっていく。
僕としてはそこが面白く、ただ楽しいだけの夜は六話眺めるには正直、長い。長かった。
無邪気でエロティックで、同じリズムを繰り返す真夜中のビート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
この反復が物語全体にどう効いてくるのか、やっっぱり長すぎだったのか、そこら辺が見えてくる後半戦となりそうだ。
永遠に思えた夜の戯れは、白河さんがフツーに気づいていたように、簡単に終わってしまう。
この脆さから目を背けたくなるだけの魅力が、ナズナちゃんと彼女の夜には溢れていたから、コウくんは吸血鬼を目指す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
境界線を逸脱し、まともな大人でもフツーの人間でもないまま、面白くもない昼間から逃避し続けることを願う。
その先に待っているのは楽園なのか、二個目の現実なのか。
夜という異界に向き合うのならば、むしろ最もオーソドックスなテーマに挑む前に、前半全部。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月24日
かなり思い切った…吸血鬼らしいバロックな構成ではある。
その分コウくんがどんな色合いで夜を見て、その血がどんな味わいなのかは、丁寧に編めた。
その手触りを、どう活かし物語を作るか。
次回も楽しみ。