シャドーハウス 2nd Seasonを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
亡霊騒動の真相にたどり着いたケイトは、ローズマリーと対峙する。
絶望に閉ざされた未来を切り開くべく、自分達以外の全てを犠牲にする覚悟は、若き革命児を圧倒する。
苛烈なる決断の奥にあったのは、愛する者の顔を食うシャドーの宿命、分厚い館の闇だった…。
そんな感じの異能力バトル勃発! VSローブ様クライマックスな、シャドーハウス二期第9話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
もともとジョジョみのあった作品だが、芝居がかった口調で”Lesson”し始めるマリーローズがどう考えてもスタンド使いで、不思議な面白さがあった。
カタログスペックが闘いの全てでは無いッ!!
相手の力を探り合う頭脳戦の様相も呈してきたが、基本的にはお互いの覚悟をぶつけ合う能力戦であり、二期に欠けてた活劇要素を補充できる回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
それが優しき古馴染みとの化かし合い、命の取り合いだってのが、なかなかやるせないけどね…。
マリーローズの”動機”はだいたい想定通りで、実際に描かれてみると想像よりもおぞましかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
シャドーが館の住人として他人の顔を奪い、人を食って”羽化”するかは、結構分の悪い賭けだ。
おまけにその生き死には、二階だ三階だ、出口も入り口もない館の政治、その道具にされている。
まともな心があれば耐えられない状況であるが、物理的にも社会的にも精神的にも、脱出口はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
同志を探す時間的余裕もなく、人食い社会のイニシエーションにも抗えず、追い込まれて最後の賭けに出たマリーローズは、館に挑み、”お祖父様”の首に刃を届かせる前に膝を付いた、革命の敗残兵である。
この失敗を己の鏡と乗り越えて、彼女が成し遂げ得なかった変化を館全体に広げていくのが、ケイトのミッションなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
ケイトの叛逆が色んな人を巻き込み、彼女の人形以外の幸福を望みながら進んでいくのに対し、マリーローズはローズマリーのため、全てを犠牲に進んできた。
ローズマリーも後輩への情愛は嘘ではなく、しかしそれを囮に汚い罠を仕掛ける事を、もはや躊躇わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
シャドーと生き人形だけで完結してしまう、狭くて強い関係性。
ケイトを追い込んでいるようで館に追い詰められているマリーローズは、その危うさを体現しているように思う。
生き人形を喰らって化ける館のスタンダードは、おぞましき屍…もしくは狂った社会規範に奉仕する人非人を生むだけ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
しかしその絶望を一対一の狭い関係だけで跳ね除けようとすると、出口のない絶望に追い詰められていく。
このジレンマを打ち破る第三の道は、既にケイトの前に開かれている。
仲間を作り、共に戦う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
マリーローズが亡霊騒動を通じ、試みて果たせなかった大望こそが、彼女をここまで追い詰めたものにケイトが勝つ、唯一の武器である。
連帯は、人間の最も基本的な強さだ。
これを断ち切るために、館のクソシステムも練り上げられているわけだが…。
ともあれ双子を筆頭に、”私たち”以外を切り捨ててどこかに辿り着こうとする試みは、儚く失敗する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
そういう定めを描くために、その先にある未来を掴むために、マリーローズは自分の覚悟をケイトに叩きつけ、暴力的な”Lesson”を刻み込んでるように思う。
どこかで何かを間違えてしまった”私たち”に、未来はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
そう心の何処かで考えているから、自分達には出来なかった連帯を形にしてるケイトに、教えを残し退場しようとしてる感じもある。
これからケイトが挑む館のシステム、その怪物的巨大さを教える壁役でもあるしなぁ…。
ジュブナイル、ミステリ、ヒューマンドラマ、ゴシック・ロマンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
色んなジャンルを贅沢に横断するこの作品、すすを用いた能力バトル的側面もあって、今回の”Lesson”は近い将来、ケイトの闘いの中で生きるのだろう。
もっと多様で、油断できない大人が、理想を求める道のりの先で待っている。
それはマリーローズが勝ちきれなかったものであり、エドワードが抗おうとは、最初から思わなかったものでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
館のシステムに飲み込まれ、生き人形の顔を食って他人の足を引っ張り、出世の階段を登る。
そんな風に生きれたらある意味楽なのだろう。
しかしマリーローズもケイトも、それは出来ない
譲れない信念と覚悟を抱え、一人…あるいは二人きりでは勝てない巨大なシステムを前に、何を選ぶか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
マリーローズが選んだものは、残酷で哀しすぎた。
それが正しくないと聡明な彼女自身知っているのに、他の道を選べなかったことがまた悲しい。
ケイトは、そこに進んではいけない。
しかし愛も力も賢さも備えていたはずのマリーローズは、このどん詰りに追い込まれてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
どうすれば絶望を跳ね返し、巨大なシステムに抗えるのか。
亡霊騒動それ自体が人生の”Lesson”として、主人公が挑むべき大きな問を顕にしていく。
しかしそれは、目の前の強敵に勝った先んだけ、続く道だ。
二期は奇妙に似た者同士で、決定的に道を違えてしまった二人の決着で、幕を閉じそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
しかしケイトの戦いはまだまだ続くし、続かなければいけない。
重苦しく歪んだ館のシステムが破壊され、出口なき場所から人々が解放される闘いは、その端緒に足をかけたばかりなのだ。
ケイトの革命が行き着く先まで、アニメで見届けたい気持ちもあるが、それは先の話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月4日
今は厳しいバトルでもう一人の自分を試し、掴めなかった希望を託す敗残者の、生き様を見届けたいと思う。
双子という犠牲者が在ることで、マリーローズの弱さと哀しみをギリギリ肯定できないの、いい塩梅だな…。