うる星やつら を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
リバイバルブームもここまで届いた!
小学館創立100周年の金看板を掲げ、高橋留美子の異星人ラブコメ学園SF群像劇が鮮烈に復活。
どんなモノ出しても絶対文句言われる中で、最高のルックスと変わらぬ魂を両立させた、驚異的リバイバルを見事着弾さす第1話。
ファーストテザーからレトロ・リバイバルの最先鋭に相応しい、圧倒的な色彩感覚で暴れさせてきた本作。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
方向性としては同じ小学館の”かくしごと”、あるいは”スター☆トゥインクルプリキュア”あたりのテイストを継承、強化した印象がある。
https://t.co/hf2pbX6X5s
(ララの楽しい地球留学生活、宇宙とのハッピーな付き合い方を思うと、81うる星→スタプリ→22うる星という響き合いが、コスモレトロな映像表現に宿ってる感覚も、個人的にはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
絵と色の流れとしてはシティポップの流行、そこで消費されるイマージュの取り込み…なのかなぁ)
古い物語を傷つけることなく活かすために、最新鋭の革袋を用意し、革袋自体の化け物的魅力でグイグイと視聴者を引き付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
そんな無茶苦茶を可能にする気合の入り方で、大変良かった。
”チェンソーマン”に引き続き、山下清悟大暴れなOPはポップでリズミカルで、大変可愛い。https://t.co/qVcaPii4uO
そこではあたるの移り気と、そこに感染し占領するラムの姿が、携帯電話の中に写り込んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
しかし本編になると全ては昭和の水準に統一され、あらゆる生活用品がしっかり統一されたラインで肩を並べる。
TV、電話、宇宙船のモニタとインジケータ。
(画像は”うる星やつら”第1話より引用) pic.twitter.com/umf8QfoNLM
激ヤバ暴力女と超絶浮気男が織りなす、オールドスクールな倫理観の物語をモノで補強するように、昭和の文物が画面を埋め尽くし、独自の存在感を宿す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
実際にアニメが動いてみると、ここら辺の美術残り方に一番ビビったかもしれない。
小物周りの時代考証に、力こぶが凄まじい…。
力の入り方はアニメの全領域に及んでいて、しかも多彩だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
冒頭のロンドン塔からして、とても緻密で美しい光の表現(最近の流行りでもある)で殴りつけ、愛を語るあたるの背後で、川面は全てハートマークに輝く。
(画像は”うる星やつら”第1話から引用) pic.twitter.com/hSbU3IKLdb
こういう細かく精妙な仕事を怠けないかと思えば、大胆に画面のトーンを変え、サブタイトルを街に突き刺す派手めな演出もこなす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
何の説明もなく宇宙人が存在している、ややぶっ飛ばし気味な導入を追いかけるように、メリハリと緩急が効いたいろんな手筋が、色んな場所で暴れる。
昭和の匂いを完全再現させた舞台の作り込み、原作テイストを見事に洗練させたデザインのライン取りだけでも相当大変そうなのに、この第1話は魅せ方を休まない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
一つの鮮烈な表現が終わって、『お、今の良かったな…』と感じた残響音が消えるまもなく、新たな響きが別の角度から、別の表現で襲う。
デフォルメが効いて可愛いモンタージュの魅せ方、夕焼け鬼ごっこの鮮やかなオレンジ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
あるいは最終日決戦の時には、かなりいい動きで作画力の本道、しっかり動かし魅せてくる。
と思えば、直接擬音を画面に書く、コミカルな演出も効かす。
(画像は”うる星やつら”第1話より引用) pic.twitter.com/xLcDdVO6dw
あんまりに強力に、あんまりに気を利かせて”うる星やつら”が蘇ったので、その快楽に見落としがちだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
40数年前の作品を”今”に刺すべく、作者たちはアニメ表現者として使える武器を惜しげもなく並べ、小気味よく使い所を考え、とても多彩に挿し込んできている。
ラムの仕草から香り立つ”正解感”からして、一本調子で進めても十分支持は得れそうなのに、貪欲に様々な表現を探り、画面の情報量をパンパンに膨らませ、多彩なスタイルで次々こちらを刺してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
その表現の本流に、”原作”という芯を残したままだ。
声優を筆頭にいろんなモノが変化しているが、異様な血圧で暴力と恋が踊り狂い、『これから狂って楽しいことが起こるぞ!』と継げてくれる感じは抜けていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
宇宙人もブラックホールも雷鳴も、何もかも予告なく訪れ、身構える前に転がり、早めのテンポで狂騒する。
日本が未だ成長期の狂奔を残していた時代の、アッパービートな青春の味付け。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
”うる星”以降の作品が40年以上、それを手本に積み上げてきたいろんな文法を、今本家が新たに奏じる中で、何を変えて何を変えないのか。
ラムのおっぱいは画面に映るべきか。
それは策略で晒すか、偶然で取れるのか。
そこら辺の調整と選択には、”そのまんま”に見えてメチャクチャ丁寧に角を取ってあって、『”今”勝つぞ』という野心と誠意を感じられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
デフォルトのデザインとカラーリングがとにかく良いんだけど、その強さを足場に、色んなところでヘンテコな演出跳ねてるの…好きだな。
第2エピソードは急に空から落ちてお嫁さんぶったと思いきや、恋仲娘と電話してたら怒りのあまり電撃は落とす、ブラックホールは生むと、ラムのメチャクチャな所が良く暴れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
お前はギリシャ神話のヘラか…。
(画像は”うる星やつら”第1話より引用) pic.twitter.com/72SY6Gvn7H
第1話が”鬼ごっこ、追いかけっこ”から始まるのは印象的、かつ示唆的で、生粋のプレイボーイ(であることが、男の甲斐性として社会的妥当性を持ち得た時代が確かにあったのだ…)なあたるはラムを追いかけ、ラムは捕まらないように逃げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
この関係は勘違いのプロポーズから反転し、らむはあたるを追う
それはご町内を粉砕する大騒動を毎回巻き起こし、とんでもない剣幕(怒っても可愛い)とすさまじい電撃(発射シーンの作画力は壮絶)を暴れさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
この段階ではあたるはラムに心を寄せていないので、彼女は厄介な災害であって、逃げられても追うべき”彼の少女”ではない。
大破壊のリアリティが、謝罪ギャグでまとまってしまうコメディ空間に包み込まれながら、あたるとラムの追いかけっこは主客を変え、今から思えば結構洒落になんない暴力と移り気のアマルガムとして、雷鳴轟かせながら疾走する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
第2エピソードは、そのスケールを示すテストケースでもある。
今なら冷えたツッコミの一つや二つ入り、あるいはあたるが身を置く”日常”のスケッチにもうちょい尺も入りそうなものだが、このお話は欠陥バチ切りなテンションのまま一気に突っ走り、騒がしく駆け抜ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
付随被害は…大丈夫、来週には直ってるから。
いろんな女の子にフラフラ目移するあたるを追い、殴り、電撃で痺れさせながら、続く鬼ごっこ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
コミカルでハイテンションな、ぶっ壊れているようで復元力の高い日常を共有する中で、あたるの中にラムが入っていく。
その思いの外落ち着いた染み込み具合を、作品はどう書くか。
心配しなくても、こんなに可愛いラムちゃんを描けるんだから、問題はない気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
24分総身にみなぎる『”今”最高に可愛いラムを書くぞッッ!』という気合は、あたる飛び越えてコッチを見事に殴り倒した。
いや、ほんと可愛い。色んな顔見せてくれるし。
(画像は”うる星やつら”第1話から引用) pic.twitter.com/7vjnUloJyK
見るもの皆『ラムでいいだろ…つうかラム”が”いいだろ』と思いつつ、しかし第2エピで見せたような宇宙規模ヤバ女っぷりを我が身に引き寄せれば、あたるの気持ちが理解らなくもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
ここら辺の絶妙なバランスを、視聴者に教える構成だったとも思う。
いやーヤバイよなぁ絶対…でも可愛い。
あたるがなぜラムを拒むのかと同じくらい、ラムがなぜあたるに惹かれたのかも分かりにくい部分で、”追いかけっこ”を成立させる引力を見てる側に届けるのは、結構難しい行為だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
降って湧いた狂騒が日常に染み込む頃、二人が惹かれ合って離れる微細な心も、この表現力で示されるのか。
あたるがしのぶの肩を抱く場面が凄くさり気なく、しかし計画的に随所に配置されてて、ここら辺の繊細さは問題ないように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
想い人の体に触らなければ気が済まない、天性のカサノヴァ。
その接触はコミカルで騒がしいだけでなく、思いの外ムーディで密やかだ
(画像は”うる星やつら”第1話から引用) pic.twitter.com/GDABjsrX0V
こういう細やかな身体性の表現が、ハイテンション・コメディの隙間に叙情性を突っ込み、新たに描かれる物語と見ている側を近づけていくのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
強くて派手な演出で目を引きつつ、しっとり抑えた表現も上手かったの、芸達者だなーと思う。
バキバキに強まった期待感と不安に答えるべく、第1話は強めのアンサーを色彩豊かに咲き誇らせ、BPM早めに語り抜けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
この素晴らしい挨拶が落ち着いた後、あたるとラムは永遠に終わらない狂騒を日常として、付いたり離れたり、愛しいダンスを踊ることになる。
周りの連中も、華やかで賑やかだ。
今回示した基本線からちょっと外れた、SFテイスト濃いめの話とか、しっとりした人情劇とか、バラエティ豊かに色んな物語を紡げるのも、”うる星”の良いところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
そんな横幅に対応しうる芸幅も、しっかり示してくれる第1話でした。
この大盤振る舞い、どんだけ持つか体力勝負な部分は正直あるな…
物語を強く蹴り飛ばし始動させる足取りは大変良かったので、それが落ち着いてからの見せ方にも期待が高まります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月14日
軽薄なだけじゃないダーリンの良さ、ヤバさの奥に光るラムの可憐。
そういうのズバッと魅せてくれるお話を心待ちにしつつ、次回も楽しみですね!