架空アキバを舞台とした、ヤクザ実録モノとメイドカフェお仕事奮戦記の悪魔合体アニメ、怒涛の第2話である。
悪趣味と勢いを丁寧な取材で裏打ちして見てる側をぶん殴るような第1話に比べ、ややBPMを落としたダウナーな造りであり、キラキラなPAお仕事主人公の夢破れたなごみの地味なボヤキが、エピソードを埋め尽くす。
まぁ、そらそうだわな……。
今回のネタは賭け事であるが、『ゆめちの博才が唸ってギャンブル大勝利!』とはせず、店長筆頭にどボンクラ揃いの”とんとことん”メンバーは、嵐子の超暴力以外に現状突破口を持たない。
一切合切皆殺しで決着する超バイオレンス主義に『コレで良いのか?』と首をひねりつつも、一応店の看板背負ってるのに一番ぼんくらな店長を熱演する高垣彩陽の冴えもあって、『コレ以外手はねぇな……』と、しみじみ飲み込む話となった。
殺しも爆破も当たり前の超危険地帯(だと、世間的にも認識されニュースになってるのに、あの世界のオタク良くアキバ行くな……)で生き抜くには、あの店の住人はいろんなモノが足りてない。
監獄から戻ってきた地獄のサイボーグが偶然転がり込んできたから凌げているが、このまま嵐子を爆炎のデウスエキスマキナとして使って、ボンクラ共がのったりのったり地獄のテーマパークを流れていくのか。
はたまた、大きなうねりが否応なく、彼女たちの地金を試していくのか。
結構先が読めなくなって、個人的には面白い。
……なんて嬉しくない下乳なんだ。最高だ。
メイド稼業の媚態を、色んな角度からバカにし倒し、女であること、性的であること、”萌え”であることを正面から踏み倒す作風は、個人的に肌に合う。
嵐子は一人だけハードボイルド復讐譚の文脈と実力で生きている女で、鉄仮面の奥に静かに滾る炎を宿しつつ、一宿一飯の恩義、仮の宿り木である”とんとことん”にも暴力的仁義を尽くす天性の侠客である。
”仁義なき戦い”に代表される実録ヤクザものに、一人迷い込んでしまったド任侠物語の国のアリス……といったところか。今回描かれた”とんとことん”のどーしょもなさを考えると、実録モノのカタルシスすら蕩尽された後の、Vシネ的ペーソス世界かもしれないが。
この苛烈な生き様は、人間ティーグランドを顔ひとつ変えず噛み砕く”系列”の幹部連にも、それにヨイショ投げつつ”おひねり”回収の債鬼になってる取り立て屋にもない、古い生き方だ。
もちろん”とんとことん”に流れ着いた、腐れボンクラ共には望むべくもない。
侠を侠でいさせてくれる全てが腐り果て、仁義なき末世になってしまったアキバで、嵐子は一人傷を縫い、何かを待ち続けている。
それがなにか見えてくると、話のギアも一つ上る感じがする。
一方もう一人の主役であるなごみは、夢懐いて飛び込んだメイド業界のあまりにあまりな実態に打ちのめされ、精神的活力を失っている。
ビラ配りを”お散歩”と言い換えるメイド業界的欺瞞、そこに噛みついてくるどチンピラの柄の悪さに、彼女が身を置いた地獄の顔も良く見える。
そこで出会った地獄に仏、侵略カフェ・ですとろんのねるらちゃん。
一見縦割りを越えた運命の出会いに見えるが、狭い裏路地がバッツリ間を分断し、閉ざされたシャッターとコンクリに刻まれた弾痕が、二人の未来を予見しているように感じる。
何しろ2話終わって主役の感想が『まだ、生きてる』なわけで、何らポジティブな要因が見えないまま流されてる物語的現状。
ここになにか、なごみだけの突破口、メイドとしてヤクザとして一皮むける起爆剤があってくれると、話がゴロリと転がりだして面白くなりそうだ。
それがねるらちゃんの血と銃弾になるかは、先を見てみなきゃわからない。
……ヤクザ映画で『別系列の頼れる兄さんと、縁を深める』ってシーンあったら、どう考えても悲劇の火種でしかないよなぁ……。
先読みはさておき、今回は前回過剰に発火したテンションをやや抑えめに、”とんとことん”とアキバの現状をスケッチする回であった。
そこで示されたのはどこまで行っても金と血がつきまとうこの世の果てに、切り込んでいく才覚もねぇぼんくらの寄せ集めが、降って湧いた女サイボーグの力でなんもかんも爆破する、シニカルで悪趣味な停滞である。
ここをどう転がしていくのか、次回以降のイグニッションに期待がかかる。
舞台設定の突飛さ、表面的なアクの強さだけで押すには、嵐子はストイックに自分を隠しすぎているし、なごみは現状に流され自発的意志が見えなすぎる。
結局お話を燃やすのはキャラの意志なわけで、そこがグツグツ煮え始めて、狂いすぎたテーマパークに牙を突き立てだすと、洗練された悪趣味もより強く、その真価を発揮してくれる気がする。
次回も楽しみである。