アイドリッシュセブン Third BEAT! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
TRIGGER、八乙女事務所解雇。
衝撃の決断に秘められた信頼と決意を受け取り、雛鳥は巣立ちの時を迎える。
地に落とされて傷つかぬ、志の翼は再び偶像を、高みへ引き上げるのか。
悪意と嘲弄が、世の中の全てか。
問いは眩い闇の中、長く音を引いて…
そんな感じのさらば八乙女事務所ッ! TRIGGER騒動一つの幕切れッ!! な、アニナナ三期第17話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
この決断から広がるのは闇か光か、簡単には未来を見通させない語り口は相変わらずだが、しかし颯爽と決意を告げるTRIGGERも、その背中を押す宗助も、大変カッコよかった。
それは了さんの嘲笑と虚無、ŹOOĻの無様と対比されて際立つ強さであり、無敵の悪役サイドにもピシピシヒビが入り、地金が見えてきた感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
そこで気圧されてるようじゃ、壁役は務まらんぞŹOOĻくん達…可愛いから良いけどね!
一時の衝動に身を任せ、他人が人生賭けた思いを気楽に踏みつける。
それがどんだけ高く付くか…話が落ち着いた後、周りからの追い込み以上に、後悔と呵責でズタズタにされていきそうな気配が、既に漂っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
この『悪ぶってるけど、根っこはいい人そう』感はŹOOĻくんの長所であり、了さんが持ってない(持ってちゃいけない)モノでもある。
アイドルちゃんの輝きに粉砕された後、良い顔面と声帯活かして人生やり直しストーリーを展開していくだろうŹOOĻと、徹底的に憎まれ、光の側からは描けない問を投げつけ、否定され終わっていく役割の了さんじゃ、求められるキャラ性は違うからな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
敗北を約束された、哀れな道化。
そういう立場ながら、キラキラな主役が触ってはいけない世間の薄汚さ、軽薄な移り気、どす黒い欲望を嘘なく作品世界に移入するべく、思うまま邪悪で虚しいキャラに仕上がっているのは、なかなか偉いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
了さんがあくどいこと引き受けてくれるおかげで、八乙女親父の浄化も可能なわけでね…。
『我利我利亡者はもう卒業だッ! 俺は綺麗な小西になるッ!』と、かつての恋敵に相談を持ちかけ、別れた妻の心尽くしを受け取って、宗助は未来を決断する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
夢破れた過去の復讐を、息子たちを使って果たす執着は、険が取れた瞳にもう無い
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第17話から引用) pic.twitter.com/8gczywISNJ
一期の極悪人間っぷりからすると大層な変わりようだが、物語が求める役割だけがキャラクターの魂ではなく、TRIGGERと共に進んでいく中で、宗助も自分の中の悪霊祓いを果たしていた…ということなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
こじれた過去と家庭環境と和解したのだと、心境を示す象徴として、”天ぷらそば”の使い方が良い
宗助がこんだけ丸くなって、難局をひっくり返す秘策を取り出せた事実が、なかなか簡単には動かない人生の厄介事を切り崩す、TRIGGERのアイドル力の高さを語ってもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
べっとりと張り付き、勝手な都合を押し付けるばかりだった”悪しき家”は、その手を放す勇気を捕まえた。
順風満帆とはとても行かないが、飼い殺しでも共倒れでもない第三の道を選び、心地よく別れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
『”親”と離れればこそ、その偉大さとありがたみを知る』ってのは、親子関係が良い小鳥遊だと出来ない書き方なので、ここで触ってきたのはなかなか嬉しい。
そういう繋がり方も、確かにある。
TRIGGERが偽りない心を告げ、未来を選ぶ場所は、やはり移動する密室…車の中だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
しかし光は閉ざされた場所では差し込まず、そこから降りて自分の足で、遠い憧れに向き合った時に形になる。
同時に、開けた場所では明かせないない心も在る
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第17話から引用) pic.twitter.com/SaxCzvXC1R
なぜ、アイドルを目指したのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
この作品が”アイドルの話”である以上、必然的にキャラの根源になる問いかけは、車の中で為される。
そこには嘘がなく、むき出しで柔らかな初期衝動が良く見える。
何かと仮面かぶりがちな天兄の、地金が語られたのはかなり大事かな。
親父への反発、弟の笑顔、家族の生活。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
TRIGGERもまた根っこに”家”との関わりがあって、アイドルという道に進み出た。
そこから始まり進みだした歩みは、ファンを魅了しステージに花咲き、高く眩しい景色を教えてくれた。
それはこの原点に戻ってきても、翼を奪われても消えやしない。
自分たちの始まりと、目指すべき未来を確認する旅路に、翼のモニュメントがカット・インするのは巧妙な演出だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
世間的には惨めなどん底に見えても、これからTRIGGERが進む道には上昇気流が吹き付けていて、それを捕まえる武器は死んでない。
そういう希望が、静物の描き方から静かに立ち上る。
事務所解雇はあくまで巣立ちであり、成功を約束されたアイドルが自分の翼で未来を掴む、新章のまばゆきスタート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
そういう現状を確認し、共有するためには移動する密室での語らいが必要であり、原点に立ち戻って光を見上げる儀式が必要だった。
そういう心の旅路が、上手く演出されているシーンだ。
沢山ぶつかって、意にそぐわぬ横車も押されてきた事務所社長とアイドル…”親”と”子”は、決別のこの瞬間ようやく対等に、瞳を交わすことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
背負った光は爽やかに眩しく、風は未来に吹いている。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第17話から引用) pic.twitter.com/wVE7ymVtFD
『手放す、別れるということにはこういう、ポジティブな強さも在るのだ』と描くことで、全てを手元に集めてぶっ壊そうとしてる了さんの歪な軋みも、より際立ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
TRIGGERと宗助は、こんなに眩しく真っ直ぐな姿勢で、善き別れを寿ぐことが出来た。
でも、了さんは何も手放せない。
自分の憎悪も、執着も、虚無も、何もかも過剰に抱えて周りを巻き込み、人間のどん底に道連れにしようとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
果たして彼に敗北を思い知らせ、手放す意味を教える人はいるのか?
諦め、新たに始める潔い強さなど、業に飲まれた道化には遠い夢なのか?
主役が正しく綺麗な道に踏み出す心地よさを味わいつつ、そんな事も考えてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
くっそムカつく最悪の敵と描かれ続けてるから、その始末もぶっ飛ばして終わりでいいんだけども、アイナナくん特有の筆の濃さが及んでるおかげで、了さんの始末気になるなぁどうしても…。
かくして心を固め、TRIGGERは一つの終わりへと静かに進みだしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
陸の無邪気な天真と、楽の描かれない瞳の対比がいい。
世界の汚れを知らない天使が、否応なく持ってしまう残酷さが鋭く刺さって、前回語られた怪物性に自然目が行く。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第17話から引用) pic.twitter.com/WhgtWUASmR
無論陸に悪気などなくて、ライバルとして戦友として、良いステージを作ろうと爽やかに笑いかけてるだけなんだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
TRIGGERが巻き込まれ、いつもどおりの外殻に押し込めようとしてるどす黒い渦から、陸ははたして遠い場所で笑っているのか。
同じ泥に飲み込まれた時、同じように笑えるのか。
そんな事も考える、良い対照である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
まーりっくんもここまで、結構山あり谷ありハードモードではあったから、何も知らねぇまま自動的に笑ってはいないんだけど。
…それでもなお、その笑顔が一切くすむことなく輝き続けることが、神様に選ばれた偶像の条件…なのかなぁ。怖いことだよ全く…。
一方自分たちを悪魔だと思い込んでる(思い込みたい)ボーヤ達は、TRIGGERの決意に撃ち抜かれてた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
弱い…あまりに弱すぎるッ!!
揺るがぬ信念、燃え上がる魂を込めた獣の瞳と、気圧され泣き濡れる草食獣の柔弱。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第17話から引用) pic.twitter.com/BNcPYVreSP
アイドルとして人間としての”格”がどんだけ違うか、よく語るバチバチであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
泣いてる亥清くんに近寄る人は誰もいなくて、声はかけつつ親身にはならないこの間合が、ŹOOĻの現状なのだろう。
それじゃ”アイドル”はおろか、悪役すら十分には務まらない。
楽が『客をナメるな!』と吠えたのは大変良く、ŹOOĻくんがアイドルとして勝てそうもない感じはそこから来てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
三部は特に、顔のない大衆がどんだけ貪欲にスターの輝きを貪り、残酷に打ち捨てて顧みないか濃く描いているので、『こんなもんっしょ』なŹOOĻくんが世間に勝てるビジョン浮かばんのよな…
客をナメるならケツの穴まで本気でナメた上で、全霊を絞り出して迎合しなければ、輝く救いもどす黒い悦楽も、求めるまま届けることは出来ないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
TRIGGERは高みで輝くことを選び、ファンに報いる己であるために必死に、ここまで進んできた。
その志は、どん底に落ちても消えない。
噛みついた相手に眼で殺されて、ピーピー泣いてお家に帰る(帰るお家がまだある)ボーヤに、本気の相手を殺す牙があるとは思えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
ヤバく強がっていたŹOOĻくん達が、まだ甘噛の野獣気取りだってこと…青臭く熱いアイドルのど真ん中に戻る余地があることを、教える場面でもあるか。
同時にありふれた挫折や憎悪にクニャッと曲がっちゃった根性は、一回ボコされることでしか戻るきっかけを掴めないと思うので、光のアイドル達には全力でぶん殴って欲しいもんだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
掴みどころがなかった棗くんも、ナギへの濃い執着を見せてきて、攻めどころが解ってきたしな。
つーか期限付きの嘘っぱちアイドルに、ステージ最後までやりきる気概を求め、仲間として良い舞台作ろうとしてる狗丸くん…悪ぶっても善良な地金が常時透けてて、どう考えても好漢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
この子のマトモさを足場に、ŹOOĻくんが変わっていく感じはあるなー…頑張れ苦労人ッ!
狗丸くんはNO_MADが本当に好きで、だからこそ事務所の七光りで勝った(と思いこむことで、プライドをぎりぎり護った)TRIGGERを許せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
そんな自分が、了さんのどす黒い政治力と宣伝工作で輝く場所に立ってる現状を、見据えたときのショックはデカそう。
ヤバいブーメラン迫ってきてるってッ!
それは先の話として、TRIGGERの”今”は決意の巣立ちである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
深い闇の中でも非常口は輝き、気高い決意は熱く燃えている。
ここで”before the Radiant Glory”持ってくるの、グッと心に染みるね…。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第17話から引用) pic.twitter.com/EYxfqZOEsF
絶望の中の希望、光をかき消す闇。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
ステージの狂騒の奥で、確かに色づく明暗は様々な角度から切り取られ、アイドルたちを照らしている。
TRIGGERのステージが暗転で終わり、世間の力学に飲まれて消えていく暗い未来を油断なく語るナレーションと、反撃の狼煙を静かに構える、千の携帯電話。
全体的に明るい決意に満ちた話なんだが、それで全部を解決させてくれない厳しさにもしっかり目をやって、見据えているものをちゃんと絵に織り込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
話の落ち着かせ方にアニナナらしい演出力が鮮明で、なかなかにワクワクした。
こういう象徴と暗喩の巧さが、アニナナの強さだと思う。
『事務所の力で勝ってたくせに!』つうのは事実の指摘でもあって、フリーになったTRIGGERは文字通りゼロから、自分たちを作り上げていかなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
ファンの祈りも、世間の呪いも背負う分、ゼロよりキツいかも…か。
そういう嘘のない厳しさを、キャラと物語に背負わせている所が好きだ。
このハードコアな状況を超えて、TRIGGERが新たに羽ばたいた時、どんな高みにのし上がっていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
そこから見える景色の眩さは、どん底を知らなかった幼き日より、もっと鮮明だと思う。
そういう場所に彼らを連れて行くために、”巣立ち”を選ばせたのは良い話運びだと感じる。
同時に執着を手放せないロクデナシも世間には山盛りいて、物語はまだまだ続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
タブレットの画面で龍ノ介と楽の顔を切り捨てることで、鷹匡が見てるセカイをコッチに伝えてくれるの、かなりキレた演出で良かった。
あいつマージ…。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第17話から引用) pic.twitter.com/TCZFcLCQuS
鷹匡の怖さは静かに暗い情熱にこそあるが、了さんはおどけた嘲笑を移動する密室の中一人引っ剥がして、素顔に虚無を宿す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
イイよ了さん…そういうのもっと見せてよ…アンタを教えてよッ!!
裏切られたから、ネジ曲がった手段で復讐をする。
それは傷ついた俺の、正統な権利だ。
車中、誰に聞かせるでもなく呟いた思いはŹOOĻと似てて、もう取り返しがつかない荒廃は”了さんのアイドル”とは大違いだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
ガキが気の迷いで吹き上がって、ぶん回してる半端なワルとは違った、もっと乾いてもっと湿った思いの刃を、多分了さんは抱えている。
その身勝手を、抱くものはいない。
それは捻くれすぎた彼の生き様が、必然的に連れてきた自業自得であり、この孤独な虚無から彼は一人、虚しく転がり落ちていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
ザマァ見ろ、悪漢に似合いの結末だ。
そう思いつつ、彼の孤独と暴走、執着と虚無は確かに、僕の中にも在るなと感じる。
そういう悪役を創れているのは、いい話だろう
宗助とTRIGGERが別れに際し、ようやくまっすぐ向き合えた顛末を描く物語の最後に、了さんがŹOOĻの虚栄を見る場面挿し込んでくるの、エグくていいなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
揺るがぬ信念も、高みへ飛び立つ翼も、お互いを結びつける絆も…
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第17話から引用) pic.twitter.com/sblmZ0h31v
何も持たないまま、ショーアップされた嘘の輝きで世間に復讐が為ると思いこんでいる…思い込むことで、自分をとどめている虚無の住人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
その瞳は凶暴でありながら少し寂しく、僕には感じられた。
…了さんに体重預けてきてる自覚があり、これはヤバい兆候なので、大変良い感じです。ヤバいから良いッ!
後半クールを初手から揺るがしたTRIGGER崩しも、これで一段落。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月24日
信念の弾丸を胸に宿した男たちが、どん底からどう羽ばたいていくか。
闇の中確かに輝く希望は、どんな歌で己の在り方を叫ぶのか。
次回以降描かれるものは、鮮明な色を増していくでしょう。
来週も楽しみですね。